座談会:「海のトリトン」の音楽を語る

「トリトン」は70年代アニメ劇伴のルーツ!?

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「海のトリトン テーマ音楽集」を聴きながら(2)


M-23 遥かなる旅は続く
この曲のアレンジは変わっていて、テーマを前半しかやらないで、アドリブが16小節あって、またテーマに戻る。こういうアレンジは聴いたことがなかった。
R3 いきなりギターソロになっちゃうんですよね。しかも、かなりアーシーな。
※アーシー:「前衛的でカッコいい」みたいな意味。
これもテレビで聴いていて、最初2種類あると思っていたんですよ。ちゃんと演奏するのと、アドリブで終わるのと。
このアドリブの部分って、テレビで使ってます?
使ってる。
じゃあ、私も別の曲だと思っていたのかもしれない。
R3 完全にジャズの手法ですよ。テーマやって、そのコードのままアドリブがずーっと続く。しかも、これはテーマを途中までしかやらない(笑)。
ペットもいいんだけど、このギターもかっこいいんですよ。再演奏版だと、だいぶテイストが違う。
あ、なんか違いましたね。

M-17 困惑
R3 この辺も常套手段ですねえ。
劇伴ぽい。
R3 サスペンス劇伴。
※自宅で確認した結果、初代ヤマトの「誰もいない街」という曲に似ているように思いました。(仙)
こういう音もなかったんですよ。心理描写の。これ北極だっけな、トリトンが怪獣を殺して血が流れるときに、「いやだ」って走り出すシーンがあるんだけれど、そういう描写のときに使った。そういう描写自体今までアニメではなかったんですよ。
R3 トリトン以前の作品で劇伴的に「おおっ」ていう作品って、何がありましたっけ?
「おおっ」っていうと、結局、「ウルトラセブン」になっちゃうんですよ。「セブン」と「帰ってきたウルトラマン」はやっぱり別格。
R3 コロムビアがらみのアニメていうと。
この頃は別にコロムビアが劇伴作っているわけではないんで。アニメだと・・・。
田中正史(※「サスケ」「黄金バット」「妖怪人間ベム」)なんかはどうなんでしょう。
いや、劇伴はわりと、ふつうの劇伴なんですよ。
主題歌だけがかっこいい。
そう。
R3 じゃあ、ここから音が決まってきたっていうのは、あながち間違いではないのかな。
「ジャングル大帝」は?
「ジャングル大帝」はテレビの劇伴は毎回つけているんですよ、割と小編成でミュージカル風に。だから「交響詩
ジャングル大帝」っていうのは(TVとは)別ものですね。

M-109 ブルーダ
このベース聴いたら、もう全部宙明先生やと思ってしまう。「マジンガーZ」にこういうのがある。
R3 〜ジング・ジング・ジング、マジング・ジング(笑)。
時代はほぼ一緒?
「マジンガー」の方が、半年あとぐらい。
R3 このセッションに松岡直也がいれば完璧だったんだけどなあ。
松岡さんて、「キカイダー」の頃からやってるんですかね?
R3 「マジンガー」っていうのはよく聞くけどねえ。
「大鉄人17」はやってたんですよ。ライナーで宙明先生が断言しているから。
R3 もうひとつのなぞのウワサが、「デビルマン」のギターがチャーだっていう話(笑)。
ああ、そういうのがかけめぐっているんですか。
R3 うん。

M-108 海の散歩
これねえ、「スヌーピー」の曲そっくり。「スヌーピー」ってこういう曲なの。
ジャズっぽいですね。
ほんとにありとあらゆるパターンが入っている。
70年代ジャズ。
ジャズテイストが共通ってことですか。

M-107 楽しい遊び
これ私が持ってきた70年代のテープとそっくりですよ。ベースだけ違う。なんか、やってる方が楽しそう。
歌がつきそうですよ。
※私が持参したカセットテープ:「70'S GOLD〜ORIGINAL ARTISTS〜」GUSTO RECORDS 1981年・米(仙)

M-5A 進撃のマーチ
トリトンって挿入歌とかなかったんですか。
ない。
4曲しかない。
歌っていうのはあまり考えてなかったんでしょうか。
「ピピの歌」とかは、売るために作ったぐらいで。
作曲家も全然違うし。
R3 好きだけどなあ。逆にああいう曲こそ書けないんだよ、絶対。
あれ聴くとピピのキャラクター、ちょっと変わっちゃいますよね。

M-33 勇壮
これもちょっとマカロニ入っている。かっこいい。
結局、このあとのアニメの劇伴って、「トリトン」をひきずってきたんですか。
だいぶ影響を与えているんでしょうね。
でも、今やっているアニメで、これをひきずっているっていうのは、全然ないですよね。
あ、今はだいぶ変わったからね。
ということは、今のアニメの劇伴になる転機がまたどこかで、作品があるってことですか。
「うる星やつら('81-'86)」とかじゃないの?(笑)
ああ、そうか。そうかもしれない。
なるほどねえ。
今は、こういう硬派でストレートでっていうのがなくなったでしょう。かえって、恥ずかしくってできない。
直球ど真ん中(笑)。
この曲なんて、ポセイドンが進撃するときに使われてるんだけど、かえってポセイドンの方がかっこよく見える。
かっこいいですよね。私もそう思った。
それは音楽の力もあるんでしょうね。
まさに音楽の力ですよ。あんな変な顔した連中が、かっこいいわけないのに(笑)。

M-24 迫り来る敵
声優ファンのはしりも、この作品なんですよ。声優マニアが出てきたのも。
あ、そうなんですか。
だから、同人界にも転機の作品でしたね。
みんな塩屋翼とか。
追っかけたよー(笑)。

M-16 ヘプタポーダ/M-36 悲愴
R3 トリトン族の女子は子どもの頃は人魚なの?
そうです。
R3 大人になったら足ができるの?
そう。
原作はそういう描写ありますよね。
R3 アニメではずーっと人魚のまんまですか?
人魚のまま。子どものままですもの。
原作だと大人になって、子どもも産まれて、ジュニアが出てきて。
そうそう。このヘプタポーダが人気あったんですよ。
R3 吉田理保子キャラだよな。声誰だっけ?
中西妙子。
R3 映画版も?
そうでしょう。
映画版は再編集ですものね。新しくアテてないんですよね。
R3 再アフレコとかしてないんだ。
塩谷翼、声変わりしちゃったからね。トリトンの声変えられないから。あの声出ないんですよ。
もう2度と聞けないんですよ。「ガッチャマン」のときに声変わりして大変でしたからね。途中で甚平が「お前も声が変わったのう」って竜にいわれるんですよね。「大人になったのう」って(笑)。
塩谷翼って人気あったんだ。
子ども声の頃に特に人気があったんですよね。今とはタイプの違うかわいい声ですよね。
次が神谷明。
この曲、「ヤマト」だ。
R3 「ヤマト」だねえ。艦長が死ぬシーンの曲。
そうそう(笑)。

M-55 それから場面は変わって
ブリッジ集も懐かしかった。
全部覚えているんですよね。

M-62 静かに余韻を受けて
これもよく覚えている。なんか、きれいでしたよね、「トリトン」の曲って。

M-60 眉をきして・・・
R3 珍しい変奏曲。

M-48 テンション!
R3 完全にR&Bのテイスト。

M-57 平和 穏やかに・・・
どうもコルゲンさんは、このメロディをトリトンの主題のつもりで作ったらしいですよ。このテーマが割と何度も出てくる。一番最初のプロローグも、このメロディで始まるんですよね。

M-3 急を受けて迫る危機!
これなんか、ほんとに「ヤマト」って言われても、わからない。

M-32 穏やかな海
R3 バカラック風ですね。コルゲンさん、バカラックの曲を日本側でリアレンジしたイージーリスニングのアルバムにも何枚か参加してますから。
確かに。
こういうイメージあんまりないんだけれど。劇中でかかってました?
かかってます。
イルカ島とか?
うん。たぶん後半はあんまり出てこないでしょう。

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