湯沢先生のドイツ訪問記
いいことはどんどんまねしよう こんなこと あんなこと
ドイツに学ぶ廃棄物管理システム 湯沢安治
ダイオキシンを発生させないために必要なことは、ごみを燃やさないことである。ごみを全く燃やさない市がドイツにあると聞いて、1996年、夏休みを利用してドイツ南部、人口20万人のフライブルグ市を訪れた。食べられる食器や金券が出てくる瓶回収機、無包装の工夫、同じ瓶を何回も繰り返し使うリターナブル瓶、10人に8人が買い物袋を持参するというこの市の人々に出会って帰ってきた。
ドイツでは他に、北部のハノーバー市にあるドイツの中でも最大規模で歴史もある生物教育センターを訪れた。環境先進国ドイツの環境教育を知りたかったからである。そこで知り合ったヨルク氏は一日中園内を熱心に案内してくれたが、そのセンターの職員と小中学校の教師を兼任するイング・ミケスカ氏がなんと1996年12月4日、日本の私の勤務する所沢市立富岡小学校を訪れた。
ミケスカ氏は、その日の夕方、地元「下富若き農業後継者の会(グリーンクラブ21)」主催、下富公民館を会場にして行われた学習会で講師を務めることになった。
1988年8月、私は再度ドイツを訪れた。この2年間でドイツがどの様に変化し、どの方向に進もうとしているのか知りたいと思ったからである。環境への取り組みをみる限り、「ドイツを大学生だとしたら、日本は小学生のレベルだ」と私は訪れる度に感じてしまう。そして、私たちは、今からでも遅くない、あきらめないで、素直にドイツの後を歩いていくことこそ今一番必要なことだと実感した。
しかし、ドイツも、いつも全てが理想的に進んでいるわけではない。そこには、生身の人間が生活している。どうしても失敗したり、誘惑に負けて逆方向に戻ってしまうことだってある。実際ドイツも、その繰り返しの歴史だったし今も現在進行形なのである。その中でも、今回次の6つについてご紹介したい。
@ 移動皿洗い自動機(ゲシルモビール)
A 食べられる食器
B 金券が出てくる瓶回収機
C 無包装の工夫・自動バーコードシール製作機
D コップ持参の自動販売機
E カバンの中から始まる環境保護
楽しみながら・誰でもできるようにドイツのこの6つの実例は様々なアイデアに満ちている。
その中でも@Aはみんなが集まるお祭り・パーティーをテーマにしている。「楽しみながら」「ユーモア」をまず一番大切にしているのが特徴である。やきそば・おでんの発砲スチロールのお皿、ビール・ジュースの空き缶があふれる日本のお祭りを通して私たちは何を身につけてきたのだろう。それは「使い捨て社会」という怪物に対して私たちは無力であることをみんなで確認する年一回の儀式といっては言い過ぎだろうか。
逆にドイツはお祭りを「環境を変えていけるんだ!」という自信と勇気を、みんなで年一回集まって確認しあう空間に変えているように私の目には映った。非日常というお祭りを日常に変えてしまう力をお祭りは持っていてドイツではその力を100%活かしている。「お祭り」こそ今の生活を変えるきっかけとなる導火線なのである。これが今の日本を変える大きなヒントになると私は確信している。
BCは@Aの非日常の反対でとても日常的な「買い物」をテーマにしている。
あふれかえる空き缶・発砲スチロール・塩ビを始めとする包装材の中に埋まるようにして、私たちの生活がある。ドイツはそこから抜け出そうとしてきた。最先端の技術が、こんな生活に密着した町のスーパーの中にしっかり生きている様子を見たとき、私はとても驚いた。こんなことが技術の発達しているといわれる日本に導入されないのはとても悲しい。
当たり前のように空き瓶を自動回収機に入れるドイツの日常生活。日本中にあふれかえる自動販売機。しかし販売するだけ。「おらしらねー」である。ドイツ→自動回収機。日本→自動販売機。とても象徴的な話である。
そんな中でDはドイツらしい自動販売機の話。
Eは学校教育の話。とても具体的。
まえがきはここまでいして、是非、それぞれご覧下さい。
Fおまけ
生物教育センターのひとこま。生ゴミが土に変わっていく様子。そして土にならないものは?を学ぶ。