@移動皿洗い自動車(ゲシル・モビール)

ドイツのケルン市は、2台の移動皿洗い自動車を購入した。パーティーで使い捨てのお皿を使うのを止めましょうと呼びかけるだけでなく、そのかわりこれを使って下さいと、ケルン市が新システムを市民に提供したのである。この車、小型トラックに約250人ぶんのお皿と食器を積み込み、食器洗い機を搭載したものである。

1 車の大きさ(長さ3.8m,幅1.56m,高さ1.85m)

2 揃えている食器(紛失した場合支払う金額)
  24cm平皿 224枚(576円)、19cm平皿 238枚(432円)、22.5cmスープ皿 90枚(576円)、取り皿 144枚(360円)、受け皿144枚(360円)、ナイフ240本(252円)、フォーク240本(252円)、テーブルスプーン90本(252円)、コーヒースプーン120本(108円)ケーキ用ナイフ120本(122円)

3 一日の使用料金 13825円、保証金36000円

 保証金は、もしゲシルモビールがどこかに消えてしまった場合の担保。ゲシルモビールを返却すると、この36000円は返金される。パーティーの時、もしお皿を割ったりスプーンが1本足りなくなった場合は実費が請求される。このお金はあらかじめ預けている保証金から差し引かれる。
 一日の賃貸料は13825円だが、連続して借りると2日目からは3割引で借りることができる。

4 借りる人は?

 こうしてゲシル・モビールは土日全て貸し出しで出てしまう人気ぶりだ。教会・学校祭、幼稚園、地域のイベントに食器貸し出しシステムとして大繁盛なのである。
 ケルン市では、2台を用意してある。最近は、民間企業も数社あり、河原のバーベキュー大会、スポーツ大会などで大人気だという。
 借りては、個人や企業、学校、さまざまな団体。
 民間の場合は、必要な人数とお皿の種類をあらかじめ伝えておけば用意してくれる。民間のレンタル・ゲシル・モビールの料金は、一日につき7200円、10800円、20160円、34560円と4段階あり。2日目以降は半額となる。(1ドイツマルク=72円として計算)

 特徴は?
 
ゲシル・モビールの特徴は、食器洗い機の機能をレストランなどで使用する営業用のものにしたことである。これは、家庭用の食器洗い機に比べて性能が高く、使用後すぐ食器を洗うことを前提としているため、洗浄時間が短い。汚れがこびり付かないうちに洗うので、わずか2分で食器がきれいになるという。汚れがこびりついている場合は、附属の予洗い様の流しで軽くすすいでから機械に入れる。
 洗浄時間の短縮とマイクロプロセッサー(水と洗剤の量を自動調節)の内蔵により、水の使用量も通常の十分の一(2.5〜3リットル)に節約、洗剤の使用量も家庭用の約3分の2ですむという。
 食器を洗った後の汚水に含まれる油や生ゴミは分類する機械が付いていて、汚水はこの機会で洗浄されてから排水。このため、排水処理施設に与える負荷が少ない。食器洗い機には、浄水排水用のホースが接続されているので、これを水道の蛇口や排水溝につなぐことができる。また、浄水・排水タンクも搭載しているので、近くに水道や排水溝がなくても問題はなく、野外のパーティでも使用できる。
 民間のゲシル・モビール・レンタル会社は、市の用意している食器のレパートリーの他に、ワイングラス、シャンパングラス、ビールのジョッキ、模様の付いた豪華な食器も選べる。

出典:「月刊廃棄物1997-10,欧州に学ぶ21世紀の廃棄物管理システム 第7回 ケルン市のごみ事情 後編 移動皿洗い自動車」ごみ減量システム研究家 松田美夜子著