埼玉県内3000m3以上のゴミ山について
2005.09.20
1、埼玉県のごみ山対策の経緯
もともと、首都圏にあって、埼玉県は首都圏産廃の中間処理基地と位置づけられ、首都圏産廃を大量に受け入れてきました。
無秩序なこの政策により、産業廃棄物処理施設が乱立し、1997年ごろには、多数の焼却施設集中立地による所沢ダイオキシン汚染が大問題になりました。その後、焼却施設は減ったものの、破砕施設は増え続け、ごみ山も増え続けました。
2002年4月には所沢市の9000m3のごみ山が大火災を起こし、隣接工場が延焼により全焼する、という被害を受けました。
また、久喜市内の住宅地にあるごみ山もニュース報道で取り上げられるなど、ごみ山が社会問題となりました。
当時の埼玉県土屋知事は、「率直に言って、県の責任もある」、と議会で発言し、今後、ごみ山対策を徹底的に行うことを約束しました。
埼玉県は2002年7月「廃棄物の山対策について」と題するごみ山対策を記者発表しました。
埼玉県内には3000m3以上のごみ山が69箇所ある、と当時の調査結果を発表。その後、ごみ山撤去対策を推進し、新たなごみ山を作らせない、としていました。
しかし、その後も、産業廃棄物の流入は続き、ごみ山対策も抜本的な改善がとられることはありませんでした。
目玉とされた、監視体制の強化についても、めぼしい成果を挙げることもなく、いつのまにか、各地の環境管理事務所から人員が引き上げられました。
わたしたちは、2002年以降、3年を経て、これまでの埼玉県のごみ山対策が抜本的なものではなく、ごみ山が減っておらず、かえって増えていること、を独自の調査で明らかにし、埼玉県に対し、「ごみ山問題に関する市民からの提言」を提出しました。
その後、埼玉県は再び、ごみ山調査を実施、その結果を発表、引き続き対策をとる、としています。
埼玉県の発表では3000m3のごみ山は98箇所(さいたま市分含む)、私たちの調査分を足すと116箇所になります。その量は推定130万m3に達します。(埼玉県内ごみ山リストはこちらへ)このごみ山をなくしていくために、これ以上増やさないために何ができるのか、何が足りないのか、を共に考えていきたいと思っています。
埼玉県内3000m3以上のごみ山MAP
埼玉県内3000m3以上のごみ山リスト
2.3000m3のゴミ山とは
ひと口に3000m3のごみ山といっても、その大きさを実感することは難しいでしょう。例えば以下のように考えると、イメージできるでしょうか。
@大きさは?
敷地面積:1000m2(40m×25m=一般住宅5〜10軒分の敷地)一杯に、
高さ:10m(鉄板のフェンスの3倍程度)に積み上げられた状態
A3000m3搬入するのにどのくらいのトラックが必要か?
――――混廃でカサ比重0.5〜1.0とすると、10tダンプ300〜600台分。搬入路の巾にもよるが2〜3ヶ月で積み上げ可能。
B3000m3のごみ山を積むことによって得られる売り上げは?
5000円/m3で引き受けたとすると、5000円/m3×3000m3=約1500万円
10000円/m3で引き受けたとすると 10000円/m3×3000m3=約3000万円
C3000m3のごみ山撤去費用は?
分別、運搬費用、処理費用、人件費等で、約1億円はかかる!?
3.埼玉県発表「改善等の経過」による管内のゴミ山の数
2001.10.01:73箇所
2002.07.05:69箇所
2003.04.01:64箇所
2004.04.01:62箇所
2005.07.28:98箇所(91+移管:7)
*移管とは、岩槻市がさいたま市に編入されたため、埼玉県管轄から外れたこと
私達が認識しているゴミ山の数:116(2005年9月現在)
4.私達が認識している市町村別のゴミ山数
ゴミ山数 |
市町村数 |
市町村名(2004.4.1現在) |
16 |
1 |
|
8 |
1 |
|
7 |
1 |
|
6 |
2 |
|
5 |
4 |
|
4 |
3 |
|
3 |
2 |
|
2 |
11 |
|
1 |
13 |
|
0 |
52 |
|
東松山市と
5、私たちが必要だと考える対策
既にあるごみ山について
@ 現に公害が顕在化しているごみ山の即時撤去対策
A ごみ山公害緊急調査
ごみ山には様々な有害物質が含まれている可能性があります。
飛散、流出、崩壊、火災の危険もあります。それらの調査を早急に行うことが必要です。
ごみ山防止対策について
@埼玉県へ流入してくる首都圏産廃の量を減らすこと 流入規制
A新たなごみ山を作らせないための監視指導許可体制の抜本的な見直し
わたしたちはこれまで、ごみ山について、苦情を申し立ててきました。その際の埼玉県の取った対策は、全く効果のない、「粘り強い指導」でした。一言で言うと、、「減らしなさい」と口頭で繰り返すのみ、でした。
これでは、ごみ山を減らすことは不可能です。法的な措置命令、改善命令、帳簿やマニフェストなどによるごみの流れ、お金の流れの解明調査を早い段階で取ること、そのために法的な知識を持った現場職員を配置すること、が必要です。廃棄物の一時保管量は(全てのごみ山は一時保管のはずなのです)、一日の搬出量の7日分を超えてはならない、等の法を守らせることは当然のことです。
また、最も大切なことは、ごみ山の「野積み」を禁止することです。
B排出事業者、土地所有者への啓発
C以上について、ごみ山防止及び対策についての条例を策定すること
6.埼玉県リストの問題点
* 管内であって県内全体のゴミ山リストではない。
* 市の管轄に移管されたものは改善済みになっている。改善済になっているが完全に撤去されていないものがある。(サカタ産業・武蔵野)
* 見逃しているゴミ山、新しく出来たゴミ山がある。
* 増えているゴミ山がある。(岩本土木・常陸・溝口土木)
* 量が実際と大幅に異なっているものがある。
* 所在地がきちんと把握されていない山がある。
7.きちんとした調査が必要
* リストに載っていないゴミ山の存在の調査と追加。
* 面積・量・高さ・角度・崩落等の物理的状況、場所の確認。
* ボーリング等によるゴミの組成、有害物質の存在・流出、ガスの発生。
8.分類と対策順位付け(案)
* 有害物質の存在:多=有害物質の存在・発生・地下浸透等、及び、可能性。
* 物理的危険性 :大=崩落、中・小=山の角度。
有害物質 危険性 |
少 主に残土・ガラ |
有 |
多 |
小 |
9 |
7 |
4 |
中:急角度 |
8 |
6 |
2 |
大:崩落 |
5 |
3 |
1 |
7.対策に当たっての留意しなければならない事項
* 対策費用の負担。
* 地主、近隣住民の意向。
* 学校、児童施設、病院、老人施設、住宅、田畑の存在。
* 撤去時における、作業員・周辺住民の安全確保。