#3
ルリカ・ヴェルリシア編
(園場:あの〜ディレクター、ホントーにこれ、やるんですかぁ?)
(ディレクター:「G」の取材には、こーゆーノリがきっと似合う! ……はずだ!
)
(園場、溜め息:しょーがない、やりますよ、もう)
(「Gガンダム」のストーカー調で)
園場 「そぉれでは皆さんお待ちかねェ、
『どんな危険なところでも、電話一本・即参上!!』
園場 香妓梨(そのば かぎり)のダイナマイト・レポォト! の時間が
やってまいりましたぁ!」
(ディレクター:うんうん、いい感じだぁ←馬鹿)
園場 「さぁて本日はぁ、おなじみ宇宙海賊「G」のメンバーにして、
女だてらに腕利きの宇宙船パイロットォ、
ルリカ=ヴェルリシア嬢のお話をうかがいに参っております!
それではダイナマイト・レポォト! レディー! ゴォオ!」
ルリカ「……インタビューは普通の調子でやってくださいね。いちいちその調子ではこっちも気が疲れますから」
園場 「あ、どうも。じゃあ、そうさせてもらいますね……って! まだ視聴者の皆さんに紹介してないのにィ(寂)」
(一瞬のうちに気を取り直す)
園場 「あらためましてこんにちは、ルリカさん。それではとりあえず、自己紹介をお願いします」
ルリカ「わかりました。私の名前はルリカ=ヴェルリシア。海賊戦艦“ヘル&ヘブン
”メインパイロットです」
園場 「本日はよろしくお願いします。しかし、その若さ、しかも女性の身で戦艦の
メインパイロットですかあ。そうなるまでにはそれなりの苦労もなさったんでしょう
ね?」
ルリカ「必要な技能と判断力を身につけ、それなりの実績を残して来た結果です」
園場 「(な、なんかやりにくいな)それなりの実績、ですか。それでは、その当た
りを掘り下げる意味を含めて、経歴などをお聞かせ願えますか?」
ルリカ「すいません。漠然と“経歴”といわれても……どうすればいいのでしょう」
園場 「はあ……それでは、そうですね。まず、出身はどちらですか?」
ルリカ「一応、トレデア、です。正確なところはわかりませんが」
園場 「は? あの、どういう事なんでしょう?」
ルリカ「大体10才くらいより前の記憶が、霧がかかったように不鮮明で、良くわか
らないんです。
ただ、保護されたのがトレデア国内だったので、一応、出身はトレデ アという事になっています」
園場 「はあ。それは……」
ルリカ「あ、あまり気にしないでください。当時はともかく、今は私も気にしていませんから」
園場 「……そうですか。ところで、ルリカさんは以前ネットワークアイドルをなさ
っていたそうですが、そのあたりの事をお聞かせ願えますか?」
ルリカ「わかりました。そうですね……きっかけはヒューさん――私の保護者になっ
てくれた、
ネットワーク技術者のヒュークス=ヴェルリシア氏が、準備段階のネット ワークアイドルのプロジェクトに技術チーフとして招かれたことでした。
その縁で家 に来たプロジェクトのプロデューサーの人が私を見初めて、そのプロジェクトでデビ
ューする事になったんです」
園場 「では、アイドル時代の想い出話などを……」
ルリカ「正直なところ、アイドル時代の事は、あまり印象に残っていないんです。
状 況に流されるまま、拒む理由もないというだけでなってしまったものですし、
ネット ワークアイドルの性質上、私が相手にするのは基本的にネットワークシステムであっ
て、
他の人間……ファンも、関係者も、ほぼシステムを介してしか接触しませんでし
たし。
あ、でも、引退記念でやった、最初で最後の生身のコンサートのことだけは良
く覚えています。
初めて、ファンの人達と直(じか)に顔を合わせて、プレゼントを 手渡されたりもしました。
それで、自分が、“アイドル”というものをやっていたん だな、とはじめて実感したんです。
その時貰ったものには、手作りの湯飲み茶碗なんてものもあったんですよ。……っと、これです。
(と、取り出して見せる。両手にあまるサイズの、“寿”とかかれた湯飲み)
ほら(といってカメラに湯飲みの底を向けると、そこには“ルリルリ命”の文字が)。これ、お気に入りです」
園場 「は、はあ(当人も変ならファンも変だわ、なんでこんなのがいまだにカルト
な人気を誇ってるのよ〜)。それで、なぜ引退を決めたのですか?」
ルリカ「宇宙船乗り(アストロノーツ)になりたいと思えるようになったからです」
園場 「そうなんですか。ところで、なぜまた突然宇宙船乗りを志したんでしょう?
」
ルリカ「突然じゃないです。私の最古の記憶……瞬かぬ星の果てなき海。
ぼやけた記 憶のさらにその向こう、たぶんものごころつく前のこのヴィジョンが、ずっと私の中
にあったから、なんです。
ヒューさんに拾われ、あれよという間にアイドルになって 、そうやって生きているうちに、段々自分というものを考えるようになって行って、
そしてあるとき気づいたんです。
わたしは、あのヴィジョンの場所……宇宙へ、行きたいんだ、って。きっと私の根っこは、宇宙へのあこがれで出来てる……」
園場 「(へぇぇ、この子、こんな夢見るような表情も出来るんじゃない。
……こうして見ると、きれいな娘ねえ……とっとっと、見とれてちゃいけないわね、仕事仕事
)それで、引退後はどうなさったんでしょう?」
ルリカ「広く宇宙生活者に必要な技能を身につけるため魔天学園へ入学しました」
園場 「(あらら、もとの調子に戻っちゃった)それで、学園生活の方はどうでした?」
ルリカ「いろいろありました」
園場 「え? あの、そうでなくって」
ルリカ「たくさんありました」
園場 「いや、だから……」
ルリカ「冗談です(園場「ほっ」と息をつく)。でも、正直なところ、学園時代の事
は本当に大切な思い出がたくさんあって、とてもすべては語れません。
今の私につながる、という事であえて選びだすなら……エフィと出会った事と、スターシップ・スキルズ・コンテストのことでしょうか」
園場 「エフィさんというと、現在「G」の仲間でいらっしゃる、エフェルナ=アークスラムドさんの事ですよね?
スターシップ・スキルズ・コンテストというのは?」
ルリカ「今も続いているのかはわかりませんが、在学当時魔天学園で定期的に行われていた宇宙船を扱う技術を競うコンテストです。
毎回参加して、いろいろと他では出来ない経験をさせてもらいました。ちなみに、優勝経験も数回あります」
園場 「そうですか。それで、卒業後は傭兵部隊に入隊なさったわけですよね。
なん でまたそれまでの経歴からかけ離れた傭兵部隊へ?」
ルリカ「もっとも腕の振るいがいが有りそうだったからです。
それと、エフィの進路が傭兵だったから……当然すぐに正規のパイロットになれたわけではありませんが、
コ・パイとしてしばらく働いて、それだけの能力があると評価され、当時のマスターの部隊に正規のパイロットとして配属になりました。
仲良しさんのデミさんはじめ、 現在の『G』メンバーと知り合ったのはこのころです」
園場 「そして、例の事件が起こるわけですね?」
ルリカ「例の事件というと、部隊解体の直接の原因になった、マスター・エイジアの上司鉄拳制裁のことですか」
園場 「ええ。エイジアさん、詳しく話してくれないんですよ〜」
ルリカ「はあ。詳しくといっても……要は、私たちの部隊が捨てゴマにされて、
どう にか生還した私たちを置いてマスターが一人で司令に直談判にいって、そのまま行方をくらましただけのことですよ?
鉄拳制裁を加えて、責任を背負込んで身を隠したらしいというのは後からわかった事ですし、
そのあとのことも、求心力になっていた隊長を失って部隊が解体されただけの事ですし」
園場 「ええ〜〜? もっと詳しい話はないんですかぁ〜〜?」
ルリカ「ありません」
園場 「そうですか(ちぇ)。
それで、部隊解体後はみなさんそれぞれの道を歩んだ わけですが、その時ルリカさんは?」
ルリカ「そのまま傭兵パイロットとして各地を転戦していました。
やはり、腕の振るいがいのある仕事ではありましたから。で、最近になってマスター・エイジアの誘いで「G」へやって来たわけです」
園場 「(経歴についてはこんな所かしら)どうも、ありがとうございました。
それでは今度は、ルリカさんのプライベートな部分をお聞かせください」
ルリカ「どうぞ」
園場 「い〜んですね? それでは第一もォん! 好きな異性のタイプは!?」
ルリカ「ありません」
園場 「へ? ありませんって……えと、その……まさか同性が好きとか?」
ルリカ「ちがいます。……しょうがないですね。
強いていうなら、同じ幻妖どうしと して互いの人格を認め、つきあっていける人でしょうか。
恋愛感情というものがどう もよくわからないので」
園場 「は、はあ……
(ま、まけない! ここでくじけては『どんな危険なところでも、電話一本・即参上!!』のうたい文句が泣くわ!)
それでは第二もォん! ルリカさんの趣味は何でしょうか!?」
ルリカ「工作です」
園場 「はあ? あの、もっと具体的に……」
ルリカ「ウィン君、ちょっと」
(ルリカに招かれてDO−SVがすすすっと寄ってくる)
ルリカ「機体名称DOーSV、精霊式人工人格搭載汎用サポートロボット、ウィン君です。私が作りました。ウィン君? ご挨拶を」
ウィン「はろはろ〜、ただいまご紹介にあずかりましたウィン君です〜」
ルリカ「あと、ウィン君のためのアタッチメントやスキルソフトを作ったり、
身の回 りのものにちょっとしたアイディア改造をしたり……といった工作が最近の趣味です
」
園場 「そ……そうですか……(これって工作と呼ぶのかしら?)。
で、では第三問 ! ルリカさんの身長・体重・スリーサイズは?」
ルリカ「身長は162p、体重は43s、スリーサイズは学園卒業以来測ってないのでわかりません」
園場 「(測ってないって、いったい……え、なに、ディレクター? そろそろ締め
に入れ?)
ところでルリカさん。話は変わりますが、ルリカさんは「G」のみなさん のことをどう思ってるんですか?
まずはエイジアさんから」
ルリカ「マスターですか? 信念と勢いのひと、です。尊敬に値します」
園場 「では、エフィさんは?」
ルリカ「私の学園時代からの無二の親友です。熱血のひとで、“ヘル&ヘブン”で一番の良識派です」
園場 「続いて、アッシュさん」
ルリカ「静かな実力派です。
マスターの事を理解できないというのが口癖ですが、それにしてはすっかり染まってますよね。ただ、敵には回したくないひとです」
園場 「アッサムさんはどうです?」
ルリカ「公私をきちんと分けられている、趣味のひとです。
やる事はきちんとやって いますし、技術者としてはかなりなひとです。
趣味の方は……まあ、私にはわからない世界ですから」
園場 「では最後に、デミさんは?」
ルリカ「仲良しさんですけど、不思議なひとです。まあ、天然ですから。
彼女の得意分野については申し分ない腕前を持ってます。
あとは……ムードメーカーですね、デミさんは」
園場 「有難うございました。それでは今回のインタビューの締めくくりとして、
ルリカさんのこれからの抱負というか、夢などをお聞かせ下さい。あ、それと、出来たら視聴者の皆さんにも一言」
ルリカ「信じた道を、最後の最後までみんなと歩いてゆけたら、と思います。みなさんも、
『自分の人生は、自分の意志で生きるものだ』ということを、どうか忘れないでください」
園場 「はい! 本日は長々とどうも、有難うございました!
……というわけで今回のレポートはここまでです。それでは全魔天のみなさん、またあいましょう!!
次回のダイナマイト・レポートをお楽しみに〜〜!!
(流れ出すエンディングテーマ、スタッフクレジット。撮影器材を片付けて撤収するスタッフ達を映しつつエンドマーク)」
海賊船ヘル&ヘブン・ゲストルームにて