第4回 FA−78−1 フルアーマーガンダム


死より逃げる鎧とは

 日本海軍の傑作機零戦は、その類い希なる運動性に比して、その身を守る装甲を貧弱であった。また、他の日本の当時の海軍機も、運動性を重要視する分だけパイロットの生命を守る装甲は非常に脆弱であった。それと対照的にアメリカの戦闘機や爆撃機は、みな堅牢な装甲を有し、パイロットの生還率は雲泥の差があった。

 MSもまた、装甲材質の変更や装甲の厚み自体を強化した。また、ムーバブル・フレームが普及していったのも、装甲強化の利点もあったのだろう。それは、ザクマシンガンの直撃にも耐えるガンダムすら例外ではなかった。

 敵の攻撃を受けようとも、それを弾く装甲。搭乗するパイロットに安心を与えるだろう。それで、機体の運動性が低下する危険性はあるのだが。装甲の強化したガンダム。それは、設計者たちに浮沈のMSという幻想を与えたに違いない。

 この機体は、時代の狭間に消えていった機体である。戦争終了後に強大なMSは不必要だったのだろう。もし、実戦にでたならば、不死身のMSと呼ばれたかもしれない。その幻想がうち砕かれる日まで。

 


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