このモビルスーツの人気は、おそらくガンダムシリーズでもトップクラスである。このMSで印象を受けたのは、何を言ってもモノアイである。一つ目の巨人サイクロプスのように存在感とインパクトを与えるあの一つ目は、後のMSにも受け継がれる鋼鉄の巨人たちの顔の象徴である。
ザクには、もう一つの特徴がある。それは、量産兵器という位置づけである。かといって、ただやられるだけの存在ではない。主人公を苦しめ、充分に存在感を見せしめる。ガンダムというアニメーションの特徴であり、その他のアニメとの違いを印象づける要素でもあった。ザクは、切られ役というにはもったいない配役だった。もっとも、その後登場するMS達に影が薄くなっていくのではあるが。しかし、今なお人気を持つのは、ガンダムの敵としてガンダムと互する存在として、ファンが認知しているからだろう。
主役の魅力を引き出すのは、脇役達である。時として、脇役は主役に匹敵する存在感や人気を持つ。ザクは、そういうMSでありキャラクターなのだ。そして、ザクの美学は、後の作品群に引き継がれていく。