◆ 服装
二人とも白い半袖Tシャツ、ブルーのGパン、
兄・赤いスニーカー、弟・グレーのスニーカー、
髪を七三にわけている。
声・
つるの剛士:広島から上京した本格派の兄弟漫才師、
お待ちかね、有吉家!
(舞台中央に1本のスタンドマイク、
そでから二人走って登場、向かって左に兄、右に弟が立つ)
<拍手>
兄:はい、どーもありよし兄弟でーす。
弟:よろしくお願いしまーす。
兄:いやー、すごいですね。お客さん、これ、えー半分の入りでね。
<笑>
弟:ねー、はい。
兄:いや、いいですよ。きれいなね。
弟:きれいなね。そうや。
兄:バリバリきれいな・・・
(客を見て一瞬詰まる)まっ、きれいな会場でね。
<笑>
弟:会場かいな。失礼やんか。
兄:えーホンマに。
弟:今日は全員きれいなお客さんやないか。
兄:こんなにおったら全員きれいなわけないやないか、お前。
弟:えー。
兄:ほれ見てみーな。
(客を指さす)
弟:指さしーな。
(指すなという意味)<笑>
兄:なんやこのブサイクは。ほれコイツ見てみーや、ベル、ベラ、ベロ、ベム
やないか。動物みたいやないか。よく見てみーや。
弟:ちがう。ちがうわ。あの方、きれいな人やがな。あの人だって。
兄:なに、えっ。
弟:本来やったら結婚したいぐらいや。・・・
(よーく顔を見る)・・・アハハハ
ごめんなさい。
<笑>
兄:まぁ僕ら若手っていったら、まぁブスの相手でも、まぁ美人の相手でも
してね、がんばっていかなあかんのですけども、僕ら、まーなんと広島の
人間でして。
弟:そうなんです。
兄:広島っていうとね、これ、ええ街でしてね。みなさん東京に住んでますから
ね、なかなかわからないと思うんですけれども、広島っていうところは
中国地方の真ん中へんにあってね、名物もいっぱいあってね、これ、
広島名物って・・・ ・・・
(弟に)しゃべろや!お前!
<笑>
弟:ボーっとしてましたがな。ボーっと。
兄:しゃべろよ。
弟:ちゃんと、ちゃんとするから゛お兄ちゃん゛。
<笑>
兄:お兄ちゃん言うな!恥ずかしいな、おい。
弟:お兄ちゃんやがな。
兄:舞台の上で、お兄ちゃんってどういうこっちゃ、お前。
弟:ええやないか。
兄:オレの方が年上やないか。
<笑>
弟:それ、お兄ちゃん言うんやないか?
兄:゛お兄ちゃん先輩゛とかな、゛お兄ちゃん諸君゛とかな。
<笑>
弟:何人おるんや、お兄ちゃん。
兄:
(優しい声で)も〜ええツッコミ、かわいい弟よ。
(弟の顔をなで回し
チューチューkissをしようとする)<笑>
弟:ヘヘヘ・・・いつもやってませんよ。こんなの。
<笑>やめなさい。
恥ずかしいわ。こんなの。
兄:広島っていったらな、けっこうええ街なんですけども、さっきも言うたけど
料理もおいしいですわね。ね、それでねけっこうね、有名人、これ有名人
いっぱいいます。
弟:あー有名人いっぱいいる。
兄:有名人言うてあげてっ。
弟:吉田拓郎!
兄:吉田拓郎、かっこいいでっしゃろ、これが。♪カップスター〜♪
♪ラブラブあいしてる〜♪
弟:そうそう、ラブラブあいしてる。
兄:
(ギターを弾くまねをして)ふるえてます。
弟:ベンベベンベテケテケテケテケ
<笑>
兄:もっといるやん。言うてあげて。言うてあげてっ。ホンマ。
弟:ミュージシャン、矢沢永吉!
兄:矢沢、かっこいい、永ちゃん。♪君はファンキーモンキーベイビー♪
♪ラブラブあいしてる〜♪
<笑>
弟:一緒やんか。
<笑>吉田拓郎と一緒やんか。
兄:ほかにもいっぱいいるやんか、ホンマ。
弟:若い人で言いますと。
兄:はいはい。
弟:奥田民生!
兄:奥田民生。お〜く〜だ〜た〜み〜お〜!♪ラ〜ブラ〜ブ♪やん。
<笑>
弟:一緒やねん。
兄:もっといるやん。言うてあげて。言うてあげて。どんどん広島アピール
せな〜、ほれ。
弟:ほかにも?おったっけ?
兄:あの、ほれ、歌!歌やって、おもしろい・・・おもしろい・・・。
弟:あっ、わかった!
兄:はいっ!
弟:風見しんご!
<笑>
兄:なんでー!これ
(ブレイクダンス)歌なんかやらすな。ホンマにもう・・・。
<笑>
弟:知らんがな。風見しんごちがうの?
兄:ちゃう。ちゃう。もっと、少年の瞳をもった!少年の・・・ほれっ。
弟:かわいらしい!
兄:そう!映画にも出た!
弟:相原 勇!
兄:ちがうがな!映画出たかいな。も〜ピーターパンや、それ。ちゃうがな。
弟:ちがうの?
兄:あの有名な二人組、猿岩石!
弟:猿岩石っていったら、もう終わってるやろ。
<笑>
兄:
(顔に力を入れて首を振る)ダダダダダー、ガガガガガー、
(終わってない!と言っているらしい)<笑>
弟:怖い怖い、そう怒りなーや。もうええから、広島のええところ。
兄:広島のええところねー。
弟:そうそうそう。
兄:広島ええところと言えば観光地。
弟:あっこれ観光地。
兄:修学旅行の人とかいっぱい来ますわ、これ。
弟:ホンマやね。
兄:広島と言えば観光地。いっぱい見るところがあるから。
言ってあげて、弟くん。
弟:安芸の宮島!
兄:安芸の宮島、・・・原爆ドームね。
弟:原爆ドームね、これ。あと映画でも有名、尾道!
兄:尾道。・・・原爆資料館んー。
弟:うん。あと、広島市!
兄:んそー。原爆跡地ねー。
弟:原爆ばっかりやんか!
<笑>原爆の話ばっかりやんか!
もっとええところ、言わなあかんやろ。
兄:この前ニュースでやってました。広島のホットなニュースを。
弟:うん、そーかい。うん。
兄:暴走族対警察。
<笑>
弟:ニュースでまぁ言わなしょうがないわな。ゴメンナサイ。
兄:暴走族と警官がだね、街の真ん中でケンカしよるんやで。
弟:すんません。
兄:それでその暴走族の数がなんと千人!
弟:千人。
兄:今どき暴走族が千人いる?
<笑>ね、それに対する警察官が
なんと、5人!
<笑>
弟:そんなわけない。
<笑>暴走族千人に警官5人て。
兄:
(ハンドマイクで言うジェスチャー)「やめなさい!こら、やめなさい!」
弟:それ遠くから言うとるだけやろ。逃げとんのや。
兄:これはちょっとね、暴走族が千人もおる街って、気になってね、
ちょっとね、僕は本を見てみたの。
弟:ほー。
兄:資料によるとね、なんと広島県民の60パーセントがヤクザか暴走族
に所属しているんだってさ。
弟:ホンマかいな。
兄:ホンマ。半分以上!
弟:半分以上?ホンマやな。
兄:で、一般市民が20パー
(%)で
弟:20パしかいてへんの?
兄:残り20パ
(羽)がハトやて。
<笑>
弟:ハト・・・お前、ハトて・・・
兄:ハトと市民がええ勝負やて。
<笑>
弟:おかしいがな、そんな。そんなわけないやろ。
兄:ホンマに怖い街ですよー。
弟:怖い街って、待ちーなお兄ちゃん。ちょっと待って。あのね、広島の
ええとこをここで宣伝したいんや。
兄:そうや。
弟:そうやろ?それなのになんで?広島悪いみたいにしか言うてへんがな。
なんか広島きらいみたいやで、聞いてたら。
兄:バレた?
弟:バレたってどういうことやねん。
兄:バレた?
弟:なんやねん。
兄:実はな、僕なー、東京に住んで5年になるシティーボーイやしな。
<笑>
もう5年にもなるとな、広島を忘れて、もう広島よりもな、東京の方がええん
ちゃうかなって思うんや。東京はオシャレな街やからな。
弟:そんなこと言わんといてーや。広島の人間なんやから、ね。それに
さっきも言うたけど、なんか事件がどうのこうの言うてましたやなー。そんな
の言うたら東京の方が事件多いがな。
兄:そうか?
弟:この前もね、ありました、ありましたね、事件、有名なあれ『春奈ちゃん殺害
事件』
兄:あぁ、あれな。
弟:おっそろしー。
兄:あれ聞いたとき、東京がもう好きやから「春奈ちゃん、あ〜ええ名前やな〜」
<笑>
弟:おかしいて。
兄:「むすめ生まれたら春奈ちゃんにしよう」
弟:やめときや、ホンマに。なんでやねんな。
それにな、そのこともあるし、暴走族のことやったら、まだあるのや。
兄:なになに?
弟:渋谷のチーマー。
兄:チーマー?
弟:これも悪いでっせ。これホンマに。
兄:チーマー・・・ちょっと知らへんな。
弟:知らへんのがな。じゃあチーマーちょっと置いとこ。
兄:まぁまぁ
弟:それなら、新宿。
兄:新宿?
弟:新宿の外国人犯罪。これも怖いですよ、ホンマに。
兄:外国人?
弟:そう外国人。
兄:外国人?いやちょっとわからない。
<笑>
弟:ウソつくなよ!チーマーも外国人も。
兄:広島はこれだからイヤなんや。やめとけホンマに。
(リイチ風に凄む)
せやからやめろホンマに!
<笑>
弟:お前がやめろや。怖いて。
兄:なんでか言うたかて東京のほうが絶対オシャレ。
弟:オシャレ?
兄:街の名前聞いたかて、いい?だって『ぎーんーざー〜』
<笑>
『しーんーじゅーく〜』
(両手を振りながら持ち上げるようなアクション)<笑>
弟:そんな言うたら『ひーろーしーまー〜』
(兄のマネをする)言うたらええやん。
兄:
(泣く)<笑>
弟:なんで泣くんやねん。
<笑>
兄:悲しなってくるわ。
弟:なんでやねん。
兄:ムリヤリやっとるからや。恥ずかしさ吹き飛ばすように。
弟:やっとるけどな、でも。
兄:なんぼ言うたかて僕ら男ですから、女の子がかわいいですから
東京は。
弟:あーそうかなー。
兄:“しゅっ”としとるもん。
(唇をすぼめておすまし顔)<笑>
(舌をペロッ、ペロッと出す)<笑>
弟:ペロッとっすんな。ペロッとすんな。
兄:ペロッとして、かわいいがな。
弟:まぁかわいいな。
兄:それにかしこいしな。
弟:かしこい、うん。
兄:東京の女の子はいろんな情報知ってるやろ。
弟:うん。
兄:インターネット
(?)とかいろいろ見てかしこいやろ。
弟:うん、そうやな。
兄:それに比べて広島は人間自体がアホ。
弟:アホ?
兄:アホばっかりや。
弟:そんなことないやろ。だって広島の人間やて中には真面目な人も
おるがな。なんでやねん。
兄:
(弟の頭を叩く) ゴンッ
<笑>
弟:
(驚く) !
兄:ほらな。
弟:腹立つわ、ホンマに。
兄:♪ツッツツツツ、ツッツツツツ、シュッポシュッポシュッポッポ♪
<笑>
(鼻歌でリズムをとりながら弟の顔を15発ぐらい叩く)
弟:待て、待てや、こらっ、なにしとんねん、パンパンパンパン。
兄:アホやろ。
弟:アホやろて・・・
兄:こうやって
(両手で顔を覆う)「やめて」って言うたら止まるのに、こうやって
やっとるから
(ふつうに顔で受けているから)やられるんや。そうでしょ?アホ!
アホゆうことや。
弟:あぁ。
兄:東京の女の子はきれいやしね。かしこい。広島の女の子は全部こう、
(火を噴く怪獣のような顔で)『う゛わ〜』『う゛わ〜』『う゛わ〜』
<笑>
弟:怖い、怖いて。・・・さっき見たで、そういうのネタで。
<笑>ホンマにもう。
兄:それでね、
(お前)ナンパする?
弟:あっナンパ?するよ。
兄:ウソ〜。
弟:ナンパは、だって僕、広島でなんて呼ばれてたか知ってる?
兄:こじきっ!
<笑>
弟:こじきちゃうがな。どんな格好で歩いてんのか僕。ちがうがな。
兄:おぉ
弟:“広島の織田裕二”
<笑>
兄:ウソー! 僕なんて言われてたか知ってる?
弟:知らない。
兄:“広島のバスケットボール”
<笑>
弟:それバカにされているんやないの?ただ丸いからそう呼ばれているだけ
やろ。
(兄の顔をボールのように持ち、上下にドリブルしながら走り回る)
ほれっ、シュート!
(両手で投げる)<笑>
兄:
(真っ赤な顔で)コラッ!
<笑>お兄ちゃんバカにするなっ!
<笑>
弟:ちがうがな。あのな、バカにされてるのを教えてあげただけやないか。
兄:バカにされてたんか。
弟:そうや。
兄:それでな・・・
(急に恥ずかしがりうつ向き、爪を噛んでいる)
弟:
(兄を見て)なんでや?
兄:恥ずかしい、みんな笑ってはるもん。
弟:笑ろうてない、笑ろうてない、
(客に)笑うなっ!
<笑>
兄:お兄ちゃんのためにね、怒ってくれてありがと。
(弟の顔をなでまわし
チューチューkiss顔をする)いつもの。いつもの。
<笑>
弟:いつもやってませんよ、こんなの。やめ〜て恥ずかしいって
<笑>
兄:東京のかしこい人ナンパしたって、なかなか成功しませんよ。広島の
人間なんかがやってもね、東京の女の子ねー、
『お姉ちゃん、ご飯食べましょかー?』
『もう食べました』ってね。
『お姉ちゃん、お酒飲みませんか?』
『私飲めません』 ・・・ なんなら
『今、何時?』
『あちらの時計をごらんください』
<笑>
ねっ、全部かわして“闘牛士”
(体の横で布を振る闘牛アクション)<笑>
弟:あ〜な〜・・・
(兄の闘牛アクションを見て)華麗やな、これ。
<笑>
兄:それに比べて広島の子はな、ぜんぜんアホや、
『お姉ちゃん、ご飯食べに行こかー?』
『
(ダミ声で)え゛っ、ご飯?食べたい。食べたい。食べに行こ。
みそ汁食べさせてー!』
<笑>
ご飯や言うてんのに、みそ汁まで欲っするからね。
<笑>
『お姉ちゃん、お酒飲みに行こかー?』
『飲みたい。飲みたい。飲めないけど、なんか飲ませてー!』
<笑>
もう欲しくてなんでも飲ませてみたいな。
弟:そんなわけないやろ。
兄:こんなこと、ムリやろうと思ってなっ、
『お姉ちゃん、』・・・思い切ってやねん、
『お姉ちゃん、』・・思い切ってやねん、
『お姉ぇ・・・』思い切ってやね
弟:早よ言いーな!
兄:言うけどな
『お姉ちゃん、ホテル行きませんか?』
『え゛っ、ホテル?行きたい!ホテルっ行きたいっわー!セックスが
大好きで♪わっしょいわっしょいわっしょいわっしょいそーれそーれ
それ原爆だー♪』
<笑>
弟:なに言うとんねん。なに言うとんねん。ホンマに、なに言うねん。
兄:ホンマに広島ゆうのはええ街ですから、みなさん一度お越しください。
弟:ええかげんにせっ!どうもありがとうございました。