バスから降りて、まずは近くの公園で野宿。
翌朝、国境手前の街ルセを目指してヒッチハイクを開始、無一文の猿岩石はついでに
"Something Job?"
の紙を掲げました。
4時間後、ようやく1台の乗用車が止まってくれました。乗せてくれたのは
国境手前の村で農家を営むお父さんとその娘さん。嬉しいことに、この家で2日間
働かせてくれることになりました。
恰幅のいい奥さんに快く迎えてもらい、早速アルバイト開始。
30分歩いて畑に到着すると、最初の仕事はひまわりの種の収穫でした。
からからに乾いたひまわりの花をもぎ、シートの上でたたいて種を落とす、
といった作業です。(放送時のBGM「旅人よ〜カントリーバージョン〜」)
さらにスイカやウリを収穫し、それらを背負ってあぜ道を戻ったのですが、
これがなかなか重労働らしく
有吉「ハァーッ、ヒェーッ!」
こうして午後5時に1日目の仕事が終わり、3日ぶりの食事をごちそうになりました。
さらに10日ぶりに室内に就寝。きちんと1つのベッドに1人です。
翌日の作業は、まず家畜舎の清掃から始まり、牛の乳搾りも体験。
そして発酵させたプラムを運んで、おじさんに渡すという仕事も。
何をやっているかというと、おじさんはそれを蒸留機に移し、
自家製のプラム酒を作っていたのでした。
この日も忙しく1日が過ぎました。
3日目、アルバイト終了。2人は途中で食べるようにと野菜(後に泥棒に
とられたそうです)と、2人で1,000レバ(約\500)の給料を頂きました。
さらに、国境まで送ってもらえることに。
森脇「ヒッチハイク一回得!」
国境に着くと、
有吉「アレを通ってくんだ」
ドナウ川に架かる橋の真ん中が国境線なのです。その国境線をはさんで、
森脇「僕、ブルガリア!」
有吉「僕、ルーマニア!」「キャイ〜ンみたいだ」
かくして13カ国目、ルーマニア入国!
森脇「えっ!どうすんの、じゃあ?」
2日分のバイト代も、これでは紙切れ同然です。
ところが、
有吉「またブルガリアに行ったとき使えるわ」
翌日、国境から1台のトラックのヒッチハイクに成功。
そのトラックは、スイカをお店に運ぶ途中でした。
トラックに乗せてもらったお礼に、スイカをトラックから降ろすのを手伝いました。
すると、別れ際に最後の1個を持たせてくれました。
有吉「あっ、これ サンキュー!」
それから近くの公園にある銅像の下に腰を下ろし、
農家でもらった野菜を夕食にしました。
有吉「うまい!」
まだ野菜は残っているので、明日もこれで食いつなぐことができます。
しかし翌朝二人が起きてみると、野菜とスイカはすべて盗まれていたのです!
有吉「抱えて寝りゃよかったよ」
森脇「絶対大丈夫だと思ってた」
これで猿岩石は、無一文で食べるものもなくなってしまいました。
気を取り直してハンガリー大使館へ。次なる目的地のビザ代はいくらでしょう?
ビザ料金:2人で160ドル(約\17,600)!
有吉「最高じゃねーか今までで」
その通り。今までのビザ料金の最高は、インドでとった
パキスタンからイランへのビザ・2人で3,500ルピー(約\12,000)でした。
その代金を稼ぐため、2人はブカレスト市内で職探しを始めました。3件目で脈あり。
喫茶店(って言うんですか、あれは)の店員が、オーナーに聞いてみてくれるとのことです。
待っている間、猿岩石の目に留まったのは、ごつごつしたでっかいソーセージ?
森脇「うまそう!」
もしもここで雇ってくれたなら、こんな食事にありつけるかも...
のどを鳴らしながら結果を待っていると、オーナー登場。
オーナー「何ですか、あなた達は。迷惑です 出てって下さい!」
冷たくあしらわれ、店をあとにする猿岩石。
有吉「やさしい人いたのになあ」
森脇「イヤなヤツもいるなあ!」
有吉「まあ、そういうなよ」
そのあとも1日中仕事を探して歩き回ったものの、結局この日は全滅。
夕方、前日野宿した公園に戻り、そこで2連泊となりました。
翌日も、仕事を求めて市内を歩き回りました。しかし、この日も働かせてくれる店は
全く見つかりません。2人に絶望感が漂い始めました。
夕方、また公園に戻ると、
森脇「あー、足が…」
2日間飲まず食わずでブカレスト市内を何十kmも歩き回った
疲労と空腹は、極限に達していました。有吉に至っては、すでに放心状態…
2人の足は、いつの間にか寝床であるベンチに向かっていました。
猿岩石は、またも大きな試練にぶつかっています。公園3連泊。
ブカレスト4日目、すでに市内のほとんどの店を回り
すべて断られた2人には、もはや全くなすすべがありません。
森脇「もう、回れないだろう」
有吉「回れないって もう無いもんな店が…」
途方に暮れる猿岩石に、本当の限界が迫っていました。
ふと、有吉が、
有吉「もう、なあ… それしかないよな?」
それを聞いた森脇も、
森脇「とうとうやるしかないな」
有吉「今まで… な?」「自分かばうわけじゃないけどガンバッテきたよ!」
何か重大な決意をしている様子。
有吉「ついに…」
なにをやるつもりなんだ!?
有吉「ついに」
と、その時!
森脇「日本人じゃん」「犬に『こっちおいで』っつったもん今」
犬を連れた女性に歩み寄ると、
森脇「すいません、日本人の方ですか?」
女性「はい」
2人の口から出た言葉は、
見事なハーモニー「お金、貸して下さい!」
女性「???」
2人は、ヒッチハイク始まって以来の借金という手段に出たのです。すると、
女性「じゃあ、今、お金おろさなきゃいけないから」
「ちょっと来てもらえます?カード取りに!」
なんと借金OK!
森脇「やったあ!」
女性は日本からの留学生でした。彼女はホームステイ先から
キャッシュカードを取ってきてくれ、銀行でお金をおろしてくれました。
留学生「160ドル」「あと、これはお餞別と思って返さなくていいです」
さらに10ドルも!
それからお金を返すため、留学生の住所をもらって別れました。
留学生「がんばって!」
森脇「マドンナだ!」
有吉「これ、ヨーロッパで返そうぜ!」
2人は、餞別も含めて170ドルを返すことを心に誓いました。
再びハンガリー大使館に行き、ついにビザ取得。
森脇「やったぜ」
有吉「これが80ドル、ウフフフ」
そして、余ったお金で、公園で野菜を食べて以来3日ぶりの食事をとりました。
有吉「いただきます」
森脇「あー(ため息)」
猿岩石、ハンバーガーで幸せ噛み締める。
スタジオとの電話は、大歓声の中で行われました。
松本明子「今見ましたよ、日本人留学生。よかったね、ラッキーだったね」
有吉「もうラッキーでした!」「もう本当キレイで」
翌日、ヒッチハイクを開始してすでに7時間、まだ車は止まってくれません。
有吉「あ〜」
森脇「あ〜」
元の公園のベンチに腰を下ろし、
有吉「あー、づがれた」
結局この公園で5連泊です。
翌朝、二人はヒッチハイクへの不安を隠しきれないまま2時間が経過し、
昨日の悪夢がよみがえってきました。しかし4時間後、ようやく1台の車が止まってくれました。
森脇「私はピテシティへ行きたいです」「でもお金無いです」
ドライバー「5ドルで(行ってあげるよ)」
お金を払ってはヒッチハイクにはならないので、断念せざるを得ませんでした。
今日も無駄に終わるのか、と思ったその時、
森脇「アレッ?あのトラック!」
止まったトラックに駆け寄る猿岩石。
有吉「お金無いです」
ドライバー「問題ないよ!」
ついに2日越しのヒッチハイク成功!狂喜乱舞する猿岩石は荷台の上でも、
有吉「やったあ!」
森脇「うれしい、やっぱこの瞬間が一番うれしいなあ!」
トラックはブカレストから約10時間走り、クルージョまで運んでくれました。
ドライバー「さよなら」
二人は早速野宿ポイント探しに入り、
ガソリンスタンドのそばの小屋のようなものを見つけました。
森脇「ここ、寝れるな!」「ちょっと聞いてみる?」
有吉「すいません」
有吉はガソリンスタンドの店員を呼び止めると、
有吉「あそこで寝てもいい?」
(カタコト英語+両の手のひらをあわせて顔の横に持ってくるアクションつきで)
ガソリンスタンドの店員「どうぞ!」
どうやら通じたようです。
有吉「助かった、助かった」
今日は屋根つきで野宿ができます。しかし、
有吉「あー、さぶい!」
気温は10℃、野宿にはつらい季節です。と、その時、
ガソリンスタンドの店員「うちに泊まる?」
近くにある家に泊めてくれるというのです!
森脇「ダアッ、ダアッ、ダアッ」(ハイ、ハイ、ハイ)
恰幅のいいお母さん「外は寒かったでしょ」
ご両親を紹介され、暖かく迎えられる猿岩石。そして、温かいスープをごちそうになりました。
有吉「あー、おいしい!」
森脇「あー、体温ったまるわ」
さらに、
有吉「じゃ、お先に」
ブルガリアの農家で入って以来12日ぶりの入浴でした。
翌日、止めてくれた人が国境手前の街まで送ってくれることになりました!
車で約3時間、国境手前のオラデアに到着です。
泊めてくれたガソリンスタンドの店員
「この通りなら(ハンガリーの)ブダペストへ行く車がたくさん通りますよ」
と教わった通りでヒッチハイク開始。
するとわずか30分後に1台の車が止まってくれました。金がないことを告げる猿岩石に、
ドライバー「金なんかもらったら神様に叱られるよ」
何ていい人!このドライバーはブダペストへ帰る途中のハンガリー人でした。
30分で国境に到着し、車に乗ったまま出入国ゲートを通過。
14カ国目・ハンガリーに入国です!
森脇「いい人、つかまえたね」「また、コーヒーおごってもらっちゃったよ」
「(ビザ代)160ドルの国 ハンガリー」
そして、国境からさらに約4時間、首都ブダペストに到着です。
有吉「あー、これはいいわ!」「これはベスト3に入るんじゃないか」
ここで、野宿に最適な公園のベンチの条件を彼らは述べてくれました。
以上3つの条件をすべてクリアしたベンチを発見して、
有吉「こりゃ、いいわ!」
すっかりご満悦です。そういえばブカレストの公園で5連泊したときのベンチは、
第1の条件しか満たしていませんでした。彼らの「野宿道」もすっかり堂に入ったものです。
しかし、夜になって、雨が降り出してしまいました。
ベスト3に入るベンチ(1位は間違いなくここでしょう)をあきらめ、
雨をしのげる場所を探し始めると、地下道を発見しました。しかし、中に入るなり、
有吉「わあー、いかにもで怖いなあ」
そうです、ニューヨークによくありそうな、「いかにも」な地下道なのです。
しかし、雨はしのげるので、ここに寝ることにしました。
森脇「あー、眠れないなー」
不安でなかなか寝付けません。パニーパットでオカマにからまれた悪夢が
よみがえってきたのでしょうか。と、その時、遠くで声がしました。
男「おい、誰かいるぞ!」
有吉「ワァッ、ヤベェーッ!」
怖そうな男二人が近づいてきました。
男A「ここは危険ですよ」
やさしい人でした。
男B「彼らをここで放っておく訳にはいかないよ」
彼らは、二人を安全な場所で寝かせてくれるというのです。
つれていってもらったのは、なんと船の中の船室でした。彼らは船会社の社員で、
知り合いのオーナーの船で、朝まで泊めてもらえることになったのです。
これでぐっすり眠れます。
翌朝、昨日猿岩石を連れてきてくれた人(昨日の「男B」)が来たので、礼を言うことに。
有吉「この船、よく寝れました」
(実際には「ディスシップ、グッドスリープ」と言っていました。通じるものです)
さらに、甘えついでに
森脇「でも、仕事ないです」
と頼むと、男性は会社に電話して相談してくれました。すると、
男性「OK!」
男性は会社の人事の人を紹介してくれ、明日から仕事ができることになりました。
さらに船の中に寝床が用意され、住み込みで働くことができます。
人事担当者「明日、7時です」
寝床の部屋を見て、
有吉「すごいな」
ベッドの幅が、ベンチの5倍はあります。
翌朝7時、昨日の担当者に連れられていった仕事先はドナウ川の観光船でした。
お客さんを乗せ、船は午前7時30分に出航。目的地は、エストラゴンという観光名所です。
その間の二人の仕事はビュッフェの食器洗いでした。
午後1時、エストラゴン大聖堂のあるエストラゴンに到着。
お客さんが降りると、従業員の食事の時間です。
森脇「うん、うまい」
それからの仕事は船の清掃で、客席や通路、甲板からトイレまで3時間にわたる作業でした。
午後5時、帰りのお客さんを乗せて、再び出航。
午後9時ブダペストに帰航しました。お客さんが降りたあとは、後片付けです。
結局仕事が終わったのは午後10時。
そんな日々が6日間が続きました。
7日目の朝、いつものように出勤しようとすると、雇ってくれた船会社の人が来ました。
人事担当者「いいニュースがあります」
「君たちは無料でビエナ(ウィーン)へ行けます」
船でオーストリアに入国できるというのです!
前々から猿岩石に事情を聞いていたこの人、会社に交渉して了解を取り付けてくれていたのでした。
人事担当者「今日ですよ!」
森脇「トゥデイ!?」
2時間後に出航するという船の船着き場まで案内してもらう最中、
会社に立ち寄ってアルバイト代、二人で12,000フォリント(約\9,000)を受け取りました。
そしてウィーン行きの船着き場へ。
人事担当者「元気で!」
乗船の前に、出入の手続きです。オーストリアへのビザは必要ありませんでした。
この先はEUなので、ずっとビザはいらないんでしょうか?
私はその辺よくわかりません。
バイト代をまるまる蓄え、二人は乗船しました。
船はブダペストを出航し、一路ウィーンへ!
そして、ドナウ川を6時間、約300kmのぼったところで、
15ヶ国目となるオーストリアの首都・ウィーンに到着です。
しかし猿岩石、体が冷え切って、感激今一つ。
有吉「寒いなあ!夜どうすんだよ」
気温は10℃。この先のことも考え、防寒具を買いに出かけることになりました。
雑貨屋の店先で二人の目に留まったものは、
有吉「こりゃ、いいわあー!」
寝袋でした。
有吉「エクスキューズミー、これは、ハウマッチ?」
男性店員「600(シリングです)」
寝袋は2つで1,200シリング(約\12,000)、しかし、バイトで稼いだ所持金の
12,000フォリント(約9,000)は、オーストリアでは900シリングになります。
300シリング足りません。すると、
女性店員「安くしてあげますよ!」
有吉「これだけ持ってるんですよ」
有吉が持っているお札を見せると、
森脇「全部出しやがった!」
女性店員「それしかお金ないの?」
有吉「はい」
女性店員「1つは見本だからまけてあげましょう!」
男性店員「あー、そうだね」
300シリング値引きしてもらえました。
森脇「もっと安かったんじゃないかコレ、本当はようー」
有り金全部見せなければもっと安くなったのでは、とちょっと後悔の二人。
店をあとにする森脇は、紙袋を抱えていました。それは、今日の船旅の途中に
日本人観光客から差し入れでいただいたものだったのです。
公園に戻った二人は、その中身のリンゴとワインを今日の夕食にしました。
ワインをラッパ飲みにして、
有吉「あー、うまいね」
そして6日間の労働の結晶、寝袋に入ってみます。
有吉「ああ、温かい」
この温かさとワインのおかげで、最高の野宿になったようです。
翌日、昨日の寝袋購入でまたも無一文になった猿岩石は、ウィーンでも
仕事探しを開始しました。まずはビル工事現場を見つけ、
有吉「すいません、仕事が欲しいです」
作業員「ここで(働きたいの?)」
森脇(すべて日本語で)「しかも僕、建設業経験あります」
「僕、玉掛けの免許も持ってます」
「ガス免(許)もあります!」
作業員「仕事はないよ」
資格は申し分なかったのですが、コトバが...
その後もウィーン市内をくまなく歩き回りましたが、
仕事をさせてもらえるところはありませんでした。
二人に、あのルーマニアでの仕事探しの悪夢がよみがえってきました。
翌日も、朝からさんざん歩き回って全滅です。
何の進展もないまま夕方を迎え、頭の中が真っ白になってきたころ、
何の店かもわからずに、二人はある店に立ち寄りました。
実はその店、"TATTOO"と"BODYPIERCING"の店だったんです。そうとも知らずに、
有吉「仕事がしたいです」
店の人「ウチで仕事したいの?」
有吉「はい!」
店の人「刺青のモデルの仕事ならあるけど…」
ドイツ語のわからない二人は、
有吉「イエス!」
森脇「イエス!イエス!」
猿岩石、ついに体に刺青か!?
しかし、
店の人「でもやっぱりだめだね!もっと体格がよくないと」
断られました。
有吉「ちきちょう!」
悔しがってました。
結局この日も仕事は見つからず、また最初の公園へ戻りました。
森脇「ハア〜ッ」
ウィーンの公園で3連泊です。
翌朝、3日目の仕事探しが始まりました。しかし、かれこれ2日間なにも食べていないので、
市内を歩き回るだけの体力は残っていませんでした。
そこで作戦を変更して、ウィーンの駅前に立って通りがかりの人に
仕事を求めることにしました。しかし、
有吉「こんにちは」
森脇「おはようございます」
駅から出てくる人に呼びかけても、誰も見向きもしてくれません。2時間たって、
森脇「長期戦になりそうだな」
3時間たつと、
森脇「あ〜」
駅前で完全に浮いてしまっているばかりか、駅員に目を付けられ始めました。
有吉「ヤベェーッ!」
もう追い払われてしまうのか?と思った矢先、さっきの駅員が戻ってきました。
駅員「お金が無いの?」
有吉「はい!」
すると、
駅員「(仕事あげるから)いっしょに来てください!」
思いも寄らぬアルバイト成立!そして二人は喜びいっぱいで駅の中へ。
有吉・森脇「失礼します!」
二人の仕事は、列車に自転車を積み込む作業でした。オーストリアでは、
自転車での旅行者のために、客車・一般貨物車の他に、自転車専用の貨車もある列車が
運行されているのです。
森脇「よし!」
自転車を積み終えると、
鉄道会社の人「さあ、乗って!」
有吉「わあーっ!」
列車は駅を出発してしまいました。戸惑う二人を乗せた列車は次の駅に着き、
またも自転車の積み込みです。こうして駅に着くごとに旅行者の自転車の
積み降ろしをする事が二人の仕事でした。
自転車に限らず、一般の荷物もかなりの量をさばいていきました。
行き先もわからぬままアルバイトは続き、
森脇「腹減った!」
列車の中の自転車が全てなくなって初めて、ここが終着駅であると気づいた猿岩石。すると、
鉄道会社の人「これは仕事の分です」
給料は2人で500シリング(約\5,000)でした。
と、その時、
ウィーンを出た列車は5時間走って西へ約300km進み、
着いた終着駅パッサウはドイツだったのです!
パッサウの駅のホームで両手を高々とあげ、雄叫びを放つ猿岩石でした。
有吉「どうする?」
森脇「飯食う!」
「金が入ったらすぐ食うよ」
有吉「よし食おう!」
日本人観光客の差し入れ以来3日ぶりの食事にありつきました。
有吉・森脇「いただきます!」
有吉「あ〜」
森脇「うまい」
ここでの食費は40マルク(約\3,000)。アルバイト代の500シリングは
65マルクに換金されたので、残金は25マルク(約\1,800)となりました。
翌日、大都市ミュンヘンを目指してヒッチハイク開始。
2時間後、
森脇「あっ!」
1台のトラックが止まってくれました。
有吉「ミュンヘンへ行きたいです」
ドライバー「いいですよ!」
有吉「今日はついてる!」
トラックの荷台には、日本でも見慣れた金属製の樽や瓶のケースがありました。
有吉「これはビール?」
ヒッチハイクしたのはビール工場のトラックでした。酒好きの有吉は、
有吉「ベリーグッド!」
そして出た言葉は、
有吉「(ビール工場で)仕事できませんか?」
いっしょに荷台にいるビール工場の人「工場は人が足りないから働けると思うよ」
トラックは約1時間走り、工場に到着しました。
工場の人「(仕事の件は)工場長に聞かなければならないのでちょっと待ってて」
祈るようにして待つこと15分、二人の背後から工場長のお出ましです。
工場長「OK!」
有吉「がんばります 全力ファイトで!」(日本語)
「よおし!」
森脇「やったぁ!」
2人のここでの仕事は、他とは違う意味を持っています。
それはあのルーマニアでの窮地を救ってくれた彼女に170ドルを返すため。
ヨーロッパで必ず返そうと誓ったことを、彼らは忘れていません。
仕事は翌日から10日間。工場長が用意してくれた
住み込みの部屋に案内されると、
有吉「オー、ベリーグッド!」
ベッドがないので寝袋で寝ることになりますが、野宿とは大違いです。
そして、その部屋のとなりには、
森脇「バスがある!」
有吉「何日ぶりだ?」
ルーマニアのクルージョ以来14日ぶりです。
風呂から上がった猿岩石、髪の毛の長さにびっくり。
インドで髪の毛を剃って100日以上、ちゃんと髪の毛は伸びていたのです。
この日は5日ぶりに室内で眠り、明日からの仕事に備えます。
翌日、制服をもらって仕事が始まりました。
1日に約10万ビールを生産するというこの工場。有吉はまず、
ビールケースの消毒の仕事を任されました。森脇は生産されたビールを、
出荷するために倉庫に整理する仕事です。有吉いわく「ひ弱」
な森脇の方が、重労働でした。
そして昼休み。給料天引きの3食つきで、そちらの不自由はありません。
午後は二人とも、コンベアに乗って流れてくる空きビンを倉庫に整理する仕事。
工場中が流れ作業なので、とても忙しい仕事です。
森脇「終わりだな」 午後5時に仕事が終了しました。
森脇「腰が…」
有吉「腰が痛ェーッ!」
森脇「あ゛〜」
しかし、有吉の方には、たまらなく嬉しいことがありました。
大好きなビール(に限ったことではありません)が飲み放題なのです!
王冠を歯で開ける、あの荒技を再び使うときがやってきました。
有吉「あ〜」
ハードな仕事がもう9日間続き、アルバイトは10日目の最終日になりました。
夕方5時に仕事が終わると、
工場長「おつかれさま!」
有吉「また、ここも仕事辛いけど、いい人ばっかだったなあ」
ここでもまた、職場に名残惜しさを感じる二人。
そしてこの日、従業員達が二人のために歓送会を開いてくれました。
恐縮しながら参加する二人でしたが、30分もすると、
有吉「アウッ、ワァォッ」 奇声を発しながらビール飲んでます。
有吉「あ゛ー、オヤジ強ぇーよォーッ!」
森脇「うまいか、酒?」
有吉「うまい!」
「ウマイ」
従業員をひかせてしまうまでに変貌を遂げました。
翌日、オフィスに工場長を訪ねました。
工場長「ごくろうさま」
「出会えてよかった」
二人は固い握手を交わし、アルバイト代をいただきました。
さらに、工場の制服を、思い出にとプレゼントしてくれました。
こぎれいになった二人は外のベンチに腰掛け、早速給料袋を開けてみました。
有吉「ワァッ!」
森脇「アラッ!」
二人で何と800マルク(約\58,000)!
有吉「やぁ、こんなもらっていいの?」
二人同時に「すげェーよおー!」
これでついに、あの件が解決します。そう、ルーマニアでの窮地を救ってくれた、
あの人に返すお金ができたのです。
二人は封筒に260マルク(170ドル相当,約\19,000)とお礼の手紙を書き添え投函。
佳菜さんへ先日は、死にかけの僕たちを救って頂き、どうもありがとうございました。
おかげさまで2人は今、ドイツまで来れることができました。
有吉「これできれいになったな」 それでも残り540マルク(約\40,000)。
森脇「もう(ロンドンまで)行けるだろ、これだけあれば」
そして久々にヒッチハイク開始。目的地はフランスです。
2時間後、
有吉「すげェー、いい車だ」 豪華BMWのワゴンが止まってくれました。
森脇「フランス行きますか?」
ドライバー「行くよ!」
森脇「ノーマネー!」
ドライバー「いいよ!」
しかし、ドライバーが車を降りて近づいてくると、
森脇「怖ェーッ!」 とても強そうなお兄さんでした。
有吉「あなたはロックミュージシャンですか?」
ドライバー「スタントマンです」
怖い人でなくて一安心です。しかしカースタントマンだとわかって
ちょっと嫌な予感もしてきました。すると、ドライバーは二人に
シートベルトを締めるように命じました。
そして、彼自身も手に革のグローブを装着。
ドライバー「時間がないから、急がせてもらうよ!」
車はアウトバーンに入り、すさまじい加速を見せていきます。嫌な予感的中!
森脇「オーッ!」
しばらくして小雨が降り出しましたが、かまわずさらに加速。
このときスピードは200km/h出ていました。
しかし、そのかいあって
ドライバー「国境に来たよ!」
400kmの道のりをわずか3時間で走破し、国境を通過。
あっという間に17ヶ国目、フランスに入りました。
そして、金に余裕のある二人は、久々にホテルに宿泊することにしました。
朝食つき、二人で290フラン(約\6,400)です。
ベッドに寝転がり、その感触を確かめる二人。
有吉「安いわ、広いわでいいね」
森脇「何か俺、細いんですけど」
森脇の寝たベッド、有吉の半分くらいの幅しかありませんでした。
これで残金は1,470フラン(約\32,000)。切りつめれば、ロンドンまで
野宿をせずに行けそうな金額です。
翌日、パリ目指してヒッチハイク開始。
1時間後、ふと振り返ると、車の助手席の女性が手を振っているではありませんか。
有吉「わぁっ、パリジェンヌが呼んでる」 しかし、
運転席の女性「カメラ、撮らないで!」
撮影は断られてしまいましたが、パリよりかなり手前のナンシーまでなら
乗せてくれるそうです。二人は快諾!
そして車中では、こっそりとカメラも回り続けていました。
映し出された二人の視線は、女性の脚線美に釘付け。でれでれ顔です。
2時間後、車はナンシーに到着しました。
有吉「チン・チン」(乾杯) 二人は「パリジェンヌ」としばし夢のような時間を過ごしました。
1時間後、
有吉「フランス♪フランスー」 例によって酔っぱらっていると、人が入ってきました。
男A「4000フラン(約\80,000)払え!」
男B「現金だ」
男A「現金」
なんとボッタクリ!
男A「ガタガタ言わねぇで早く払え」 おそらくここで二人は有り金全部を見せたんでしょう。
男A「ふざけんな!4000だと言ってるだろ」
「てめえらこれしかねえのか」
男B「さっさと出て行け!」
ディレクター?「出よ、出よ、出よ」
男A「金もねぇのに女とちゃらちゃらしてんじゃねぇ」
結局、有り金全部1470フラン(約\32,000)を渡すはめになってしまいました。
森脇「あー、もう」
有吉「何で一生懸命働いた金ああやって取られなきゃいけねェーんだよ」
また無一文になってしまい、悔し涙にくれる有吉。また公園野宿に逆戻りです。
有吉「ちきしょう」 有吉は寝袋に頭まで入り、顔を出すことはありませんでした。
翌朝、再びパリへ向けてヒッチハイクを開始しました。
所持金のなくなった二人は、"We want job"の紙もいっしょに掲げていました。
2時間後、1台の車が止まりました。
ドライバー「パリへ行きますよ」
有吉「ノーマネー、OK?」
ドライバー「OK!」
ドライバーは、実家のナンシーからパリに戻る途中の学生さん。
ドライバー「仕事探してるんですか、お金が無くて?」
二人「イエス」
ドライバー「僕の友人の所で働けるかもしれませんよ」
約5時間のドライブの末、花の都パリに到着です。
車の窓から見えるのは、ノートルダム寺院、エッフェル塔、そして凱旋門。
まさしくパリです。
そして、
ドライバー「着きましたよ」
有吉「サーカスだよ!」
着いたのはサーカスの特設テントでした!
学生さんの友人は、このサーカスの団長だったのです。
彼が団長にアルバイトの件を頼むと、
団長「あー、いいとも!」
何とアルバイト成立!
ゴールのロンドンまでは距離にして約400km。
2,3日分の食費や宿泊費を稼げば充分とふんだ2人は、
3日間だけの契約をしました。
働くのはROMANES(ロマネス)サーカス。5日後が初日だということで、
その準備に大忙しです。
早速2人に与えられた仕事は、テントに雨が入らないようにする溝掘りでした。
結局この日は丸一日、溝掘り。
ここでも嬉しい賄い付き。夜は団長のキャンピングカーで
食事をいただきました。
しかし寝床のキャンピングカーは団員達で満員のため、
テントの下で寝袋に入って寝ることになりました。
有吉「あーこりゃいいわ!」
森脇「下 じゅうたんだしな!」
寝心地は思いのほか良いようです。
翌日の仕事は、客席のイスのペンキ塗りでした。稽古にはげむ団員の横で、
結局この日は丸一日、ペンキ塗り。
そしてアルバイト3日目、残りのペンキ塗りを済ませると、
今度は動物のエサの整理に入ります。
アルバイト4日目、いよいよロンドンに向けての出発の日を迎えました。
がっ!
起きてみると、森脇のリュックが盗まれていたのです!
中にはパスポートまで入っていました!
報知新聞にも載ったこの緊急事態に対処すべく
森脇はパリ18区警察署に赴き、被害届を提出。
さらに日本大使館にも足を運び、パスポートの再発行を申し込みました。
サーカスのテントに戻ってくると、
森脇「やばい、1週間ぐらいかかる。パスポート」
有吉「1週間か…」
森脇「すまん」
有吉「まあ しょうがない」
そこで、パスポートが再発行されるまで
アルバイトを続けさせてもらうよう、団長に頼んでみたところ、
団長「いいですよ」
快諾でした。
こうして仕事に復帰した二人。森脇は、明日の公演を控えた馬の
ブラッシングを担当しました。
森脇「セットしたろ」
「何しよん」
森脇のうなじに、馬は鼻をひくひくさせ始めました。
森脇「息くさい、もう」
「息くさい、もう」
有吉の方は、山羊の毛並みを整えていました。ツノをしっかりと押さえ、
優しく背中をブラッシング。こちらはおとなしいものでした。
翌日のアルバイト5日目は、公演初日です。この日はテントや
大道具の設置に大忙しでした。
そして午後7時、いよいよ開場。会場は満席となりました。
森脇が手入れした馬は、子供たちに大人気。
有吉が手入れした山羊は、その口に団長が頭を入れるという
不思議な芸を披露してくれました。
午後9時の終演後、二人は後片付けに入りました。
それが終わると、ステージを寝床に眠りにつきます。
団長「稽古しよう!」
アルバイトの期間中に芸を覚えて、出演してくれと言ってきました。
体力に不安のある二人に、団長は空中ブランコ(といっても高さ2mくらい)
に乗って逆さになり、このポーズをしてみろと言います。
有吉はどうにかできましたが、森脇の方はブランコをつっている
ロープに足をかけることすらできません。
翌日も仕事のかたわら、休憩時間に稽古を続けました。有吉は昨日より
上達していたものの、
森脇「イテテテテッ」
「痛い」
森脇は全く進歩なし。
そして団長は、二人に組体操(「サボテン」の、土台が2人バージョンなど)
を伝授しました。ブランコ以外のこともやるらしいのです。
アルバイト9日目、二人が練習していると、
団長「明日出演だ、いいね!」
そして翌日夜7時、開場となりました。まあまあの客入りです。
猿岩石はというと...ピエロになってました。するといきなり出番が!
二人はお互いの足首をつかみ、マットの上ででんぐりがえしを始めました。
1回、2回。たったそれだけでマットの端に来て、最初の演技終了。
森脇「ウエーイ」
お客さんもいっしょに盛り上がってくれていました。
続いては猿岩石が土台となったサボテンです。団員が上に乗り、
さらに横から2人の団員が倒立をしたのを猿岩石が片手で支える
というE難度の技。
次はいよいよ有吉がロープをよじ登り始め、ブランコ演技に入ります。
まず、最初に団長が見せてくれたあのポーズ(ブランコのひもに足をかけて
逆さになり、下に手を伸ばす。よく見るポーズなのでわかりますよね?)
をとりました。そこへ、団員が手をつなぎ、有吉の手につられたままの体勢で
演技を繰り広げました。
結局、森脇にブランコでの出番はありませんでした。
その後はベテランが見事な演技を披露し、二人のデビュー&引退公演は
無事終演を迎えました。
翌日、森脇はパスポートを日本大使館に取りに行きました。
それをパラパラめくりながら、
森脇「苦労して取ったビザが全部無くなった」
苦笑いしながらも、かなり辛そうな表情でした。
そしてサーカスのテントを後にする時が来ました。すると団長から給料が!
さらに昨日のピエロの衣装も記念にといただきました。
団員達に別れを告げる猿岩石でしたが、別れのキスにはちょっと
照れていました。
アルバイト代は2人で1,600フラン(約\32,000)。
これで今度こそ一気にゴールまで行くことができます。
2人は11日ぶりにヒッチハイクを開始しました。目指すはイギリス行きの
カーフェリーが出航する街、カレーです。
1時間後、二人は同時に叫びました。
森脇「よし!」
有吉「止まってくれた!」
早速運転席に駆け寄り、
有吉「ノーマネーOK?」
ドライバー「OK!」
ドライバーはイギリス旅行から帰る家族を迎えにカレーに行くところでした。
森脇「もうちょっとじゃねえかよ!」
3時間後、いよいよドーバー海峡の手前、カレーに到着です。
有吉「ついにきたな、これ書く時が!」
ついに"LONDON"の文字を掲げてヒッチハイク開始です。
これが最後のヒッチハイクになるのでしょうか。
しかし、2時間たっても4時間たっても、止まってくれる車は現れませんでした。
その後もここで2日間進展なし。
さらにその翌日も、強風に耐えながらヒッチハイクしたもののダメでした。
港に浮かぶカーフェリーを見て、
森脇「いいな、アレ」
「乗りてぇー」
ドライバー「どこに行くんだ!」
「ロンドンに行くのか?」
有吉がお金もフェリーのチケットもないことを告げると、
ドライバー「チケット無いのか?!」
助手席の女性「お金無いの?」
ドライバー「悪いけど…」
断られるかと思いきや、
助手席の女性「いいじゃない、乗せてあげましょうよ」
こうしてこれが最後となるヒッチハイクに成功しました!
車はロンドンより30km手前のシド・カップという街まで行くそうです。
有吉「やったぁ…」
森脇「腹減った…」
このヒッチハイクをしている2日間、飲まず食わずだったのです。
そして車はフェリーへと入っていきます。
有吉「乗れるのかぁ」
森脇「乗るの」
無事豪華なフェリーに乗り込み、感無量の二人です。
ドライバー「僕らは、ここに居るからサ」
森脇「じゃあ僕たちは…」
有吉「自由にしろって事なの?」
森脇「ここはだって、何かお店だろ?」
しかし、お金がない2人が向かったのは、甲板。
いまだやまない強風に吹かれ、カレーの街明かりを見ています。
森脇「最後の難関を突破したな」
有吉「永かったなあ」
フェリーに乗って1時間半、いよいよ最後の国、大英帝国に入りました!
ここまで乗せてもらった2人は、ついでにロンドンまでの道順も教わりました。
車から降り、
森脇「どうする?」
有吉「寝てる場合じゃないような気分なんだよな」
森脇「ちょっとヒッチハイクしてみる?」
もうがぜんやる気で、笑顔がこぼれだしています。
4日間使い続けた "LONDON" の紙を広げて、
森脇「ボロボロだよ…」
有吉「気合い入れて、やるか!」
ところが、1時間しても、
森脇「来ないぞ…」
車は1台も通りません。
さらに1時間たって、時刻は午前3時になりました。
森脇「時間帯が悪過ぎるな」
「(ロンドンまで)何キロくらいあるのかなぁ」
そこで、地図をもとに、指を5kmの定規代わりにして距離を測ることに。
二人「5、10、15、にじゅう」
本当は30kmです。
有吉「歩いた方が早いゾ」
森脇「確実に着くしな」
というわけで、残り30kmは徒歩で行くことに決まりました。
森脇「2日以上飯食ってなくても20キロ歩…」
有吉「でも不思議と何か…大丈夫だよな」
しかし、歩き始めて2時間もするともう、大丈夫ではなくなってきました。
ここで休憩を取りました。午前5:30にもなると空が白み始め、
歩き始めから4時間が経つ頃には、夜はすっかり明けていました。
森脇「美味そぉ」
空腹から、ハンバーガーショップのポスターに目がいく二人。
ここで空腹のため、またも休憩を取りました。
歩き始めて6時間が経った頃、有吉の重いリュックを交代で背負うことにしました。
その辺に腰掛け、地図で現在地を確認です。
有吉「もう終わっちゃうぜ」
森脇「終わっちゃう、じゃなくてさ、終わらせようよもう」
歩き続けて7時間、ふらふらになった二人の前に、1枚の看板が現れました。
ついにロンドンにやってきました!
森脇「もうロンドン入ったらゴールでいいじゃん!」
そしてロンドン中心部のビクトリア駅の横を通りました。
ここまで来れば、トラファルガー広場まではもう2kmくらいです。
そこで、道行く人に聞き込みを開始しました。
有吉「トラファルガー広場はどこですか?」
女性「ごめんなさい、分からないわ」
英語が通じていない可能性も大でした。
今度は別の場所で、
森脇「トラファルガー広場はどこですか?」
男性「何?」
どうやらカタカナの「トラファルガースクエア」では、かなり通じにくいようです。
しかしこの男性は理解してくれました。
男性「ピカデリー広場を右にいって」
大きなボディランゲージで説明してくれました。さらに、
男性「真っすぐだよ」
なぜか後ろを向き、腰を突き出すアクションで「真っ直ぐ」を表現する芸達者ぶり。
とはいえ、二人はピカデリー広場を知りませんでした。
目印らしき建物を探して歩き続けます。
気がついてみると、交代で背負うはずのリュックは、ずっと有吉が背負っていました。
ちょっと笑顔の森脇です。
そして、歩き続けて9時間、
有吉「(トラファルガー広場って)どんなんだっけテレビで見た時…」
森脇「ライオンがあったんだぜ何か…」
と、トラファルガー広場を思い出していると、二人の前にはそのライオンが!
噴水が!そして詰めかけた人々が!
広場に入ってきた二人は、爆風スランプのサンプラザ中野さんと
パッパラー河合さんのお二人、室井滋さん、日テレの船越さん、そして
広場に集まったたくさんの人に迎えられ、英国王室近衛隊トランペット部隊の
ファンファーレとともに見事ゴールを果たしました!
船越アナ「有吉さんまず、今の気持ちから」
有吉「なんか食べたい...」
声になっていませんでした。3日間食べていないそうです。
船越アナ「ドーバー海峡から、その後、どうしたんですか?」
森脇の話によると、結局カレーでのヒッチハイクは4日かかり、
車で海を渡ったあと途中の高速道路で降ろされて、広場まで30kmの道のりを
夜中の3時からおよそ9時間かけて歩いてきたそうです。
船越アナ「二人の表情をごらんになっていかがですか?」
サンプラザ中野「エー?カッコいいっすよー!」
船越アナ「何度もやめようと思ったというふうに聞いていますが」
有吉「もー、いっ、んっ、もう〜」
森脇「さっきもやめようかと思ってました」
広島の有吉の家に、猿岩石のご家族が集まっていました。
以下はロンドン・広島間の会話です。
森脇の父 精次さん「和成、ようやった」
森脇「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
精次さん「早よ広島へ帰ってこい」
森脇「はい、帰ります」
「お好み食いたい」
精次さん「お好みなら、大丈夫」
「藤井フミヤさん(※スタジオのゲスト)に食べさしてもらえ」
有吉の父 博文さん「みんな見てるからもうちょっと元気を出せえ」
船越アナ「どうですか、偉業を達成して、ご両親をごらんになって」
有吉「はい。そうですね。はい」
博文さん「ガッツだよおまえ」
有吉「あははは」
スタジオの松本明子さん「有吉君、一言ご家族に」
有吉「どうもありがとうございます」
有吉の母 きみさん「がんばったね、よくね」
ありよし「はい」
きみさん「よかった」
松本「お母さん、もう相当心配でした?」
きみさん「はい、もうとても心配でした。はい」
有吉「いやあ、老けましたね」
その後、二人にすばらしいプレゼントが。
なんと「旅人よ オーケストラバージョン」
爆風スランプ with ロイヤルフィルハーモニックオーケストラ!
二人にも熱いものがこみ上げてきていました。
森脇「僕はちょっと感動屋さんなんで、涙がこぼれてしまいました」
フミヤ「いい経験できてよかったね、でも。うらやましい」
「ねえねえ、今さ、何いちばん食べたいの?」
有吉「僕、エーと、焼肉」
森脇「僕は、お好み焼きですね」
フミヤ「これだけ長い旅してる間にさ、惚れちゃったとかないの?」
有吉「いやもうー、ありましたねー」
フミヤ「誰?」
有吉「サーカス団のべティ」
松本「森脇君のパスポートはなくなっちゃったまま?」
森脇「そうです、なくなったままです」
苦労して取ったビザもなくなり、空手着、袈裟、ムスリム服、
ビール工場の作業着など、思い出の品までもが盗まれてしまったのです。
そしてこのあとは室井さんから食事のプレゼントです。
まずはおしながきの読み上げから始まりました。
室井「お食事」
室井「天丼」 有吉「ハイ!」
室井「カツ丼」 有吉「ハイ!」
室井「親子丼」 有吉「ハイ!」
室井「にぎり」 有吉「ハイ!」
室井「ちらし」 有吉「ハイ!」
室井「天ザル」 有吉「ハイ!」
室井「天ぷらうどん」 有吉「ハイ!」
室井「ざるそば」 有吉「ハイ!」
室井「一品料理続いていかせていただきます」
室井「鳥の唐揚げ」 有吉「ハイ!」
室井「焼き鳥」 有吉「ハイ!」
室井「冷や奴」 有吉「ハイ!」
室井「イカ納豆」 有吉「ハイ!」
室井「ほうれん草のおひたし」 有吉「ハイ!」
室井「酢の物盛り合わせ」 有吉「ハイ!」
室井「イクラおろし」 有吉「ハイ!」
室井「お新香。この中でどれがよろしいですか?」
有吉「一つですか!?」
大丈夫。ロンドンてんてん亭から全部用意されていました。
金目の食べ物を奪い合いながらのこの食事、BGMが弦楽四重奏?による
「さくらさくら」から「小さい秋見つけた」に変わったことなど
彼らに知るよしもありません。
ばくばく食いだめを始める猿岩石の横で、
爆風のどちらか「よかったよかった、カツアゲとかしなくて」
松本「万引きもしなかったんでしょ?」
有吉「あっ、万引きは、しました」
スタジオは大爆笑。するとあわてて、
有吉「してないです」
船越アナ「してないそうです」
「たぶん芸能人になる前(のこと)だと思いますんで」
「おなかが満腹になったあとは、どうしたいですか?」
森脇「やっぱり、両親に会いたいです」
総移動距離2万2千km、到達期間190日のユーラシア大陸横断ヒッチハイクは、
すでに悟りきった森脇の一言で完結しました。
しかし喜びもつかの間、突然新たな企画が発表されました。それは、
そこへヴァージングループ会長のリチャードブランソンから
メッセージ映像が入りました。
ブランソン会長「これはヴァージンアトランティック航空のチケット」
「しかし、私のプレゼントはこの2枚のうちの1枚だ」
「どちらか好きな方を選びたまえ」
プレゼントされるチケットは、
悩む猿岩石に、外野の意見もまっぷたつです。
室井「南米の方ほらー、怖いヘビとかワニとかいっぱいいるでしょー?
食べられちゃうよー」
「危ないけどねー、中野さんは南米にはいい女がいるから行け行け
っていうのよ」
サンプラザ中野「南米に行くんだったら、サンババージョンの
『旅人よ』歌いに行く」
藤井フミヤ「そりゃ日本に帰ってきた方がいいと思うよ、とりあえず」
「しばらく休ませてあげたいね」
広島のご家族はというと...
有吉博文さん「本人の意見に任せます」
有吉きみさん「帰ってきて欲しいのが半分と、テレビで毎週出れるから
ちょっといいかなっていうのが...」
森脇精次さん「やっぱり、帰ってきて欲しいですね」
森脇の母 みどりさん「絶対日本に帰ってきて欲しいです」
有吉の弟 隆浩くん「行った方がいいと思います」
森脇の妹 みゆきさん「...」
松田アナ「横でお母さん『帰った方がいいって言いなさい』って言ってます」
黄熱病と破傷風の予防注射を打たれ、
「おいでませ南北アメリカ大陸」という誘惑VTRを見せられ、
新宿での300人ファン投票でも252vs48で圧倒的にマゼラン海峡が優勢でした。
さらに猿岩石だけに猿にも選ばせていました。猿はまず「日本」の
プラカードの下にあるリンゴをつかみ、続いて「マゼラン海峡」の下のバナナ
を取り、バナナの方を食べ始めました。
船越アナ「まとまりましたか?」
サンプラザ中野「十分やりましたよ」
有吉「まとまるか!こんなもん」
「だからね、もうちょっとやって欲しいですよ」
猿岩石ファミリーのみなさんの意見は完全にまっぷたつ。
男性陣はマゼラン海峡、女性陣は日本を勧めていました。
そして、猿岩石の二人は、どちらを選んだのか。
日本か、マゼラン海峡か...
有吉「決まってるだろ」
有吉・森脇「せえのっ!」
森脇「決まってるよ」
...日本。
賢明な判断だったと思います。
猿岩石のお二人、本当におつかれさまでした!
そしてありがとう!!
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