第11話 茜ちゃんと、鏡と、歳末バーゲン(9月22日放映)

脚本:村井さだゆき
絵コンテ:佐山聖子
演出:大久保唯男
作画監督:高鉾誠

ストーリー概要

高倉に電話で聞かされた通り、Jの魔法クラブに入部が決まり、より不安が高まる沙絵。Jは、高倉には魔法をもっと使う様に促し、七香,油壺,茜に対しては心の隙をつく様な言葉で接する謎の行動を起こしていた。そんな中、来年は部室の半分を返せ、と要求する瑞葉に高倉は怒り心頭。高倉が、過去の数々の苛め三昧の日々をぶちまけた事で、漫研部員に、今、描いている漫画のヒロインと幼馴染みのモデルが自分と高倉なのでは?と勘繰られた瑞葉は、いそいそと引き上げるのだった。一方、相変わらず、油壺と擦れ違いが続く七香を見かねて、励まそうとするものの、逆に平手打ちを食らってしまい、ショックを受ける沙絵。そこへ近づいたJがキスをしようとしている場を高倉は目撃してしまうのだった。また、Jに心の隙をつかれてしまっていた茜は、魔法の影響か、突然巨大化してしまう。


北海道からかけた電話で高倉に聞かされた通り、Jの魔法クラブへの入部が正式に決まったものの、北海道でのJとの一件の事もあり、不安を隠せない沙絵。七香は相変わらず、Jが後輩のくせに呼び捨てしてくる事について、ご機嫌斜めの様ですが、沙絵は、そんな些細な事よりも気に病む事がある様子。一方、校庭でJと二人でグリモワールの解読に勤しむ高倉。肩を寄せあっている二人の後ろ姿を、たまたま通りかかった瑞葉は、二人が仲良く笑い合っている様子を想像してムッとくるのでした。瑞葉って、高倉が油壺や沙絵と二人でいる時には、こういう嫉妬めいた感情は全然抱かないんですかねぇ? まぁ、油壺の場合は、あからさまに高倉が嫌がっているからアレですが…(^^;)。それとも、Jとの様子に沙絵達との時とは違う何か嫌な予感でも覚えたかな? さて、例によって、魔法をどんどん使う様に促してくるJ。魔法の事で夢中になってしまっているとは言え、高倉もまだその辺りの理性は十分に残っている模様で「でも、魔法使いは自分の楽しみや欲望の為に魔法を使っちゃいけないんじゃないのかな。だって、そんな事したら…」と言いかけるものの、Jの無言の微笑みに赤面して言葉を詰まらせてしまうのでした。下校中、沙絵と別れた直後、何か言いたげな様子の七香は、しばらくして、振り向いて、沙絵を呼びかけたものの、既に、沙絵の姿はなし。そこへ一陣の風が吹いて、現れたのはJ。「ねぇ、いつまで沙絵に付き合ってるフリしてるの? 七香はもう自分の魔法で何でもかなえられる筈だよ」と言うJの言葉に怒る七香でしたが、Jは委細構わず「七香が一番望んでる事さ…」と七香に抱きついてきたかと思えば。耳元で「油壺先輩…」とポツリ…。「何であんたにそんな事!」と突き放した七香でしたが、Jの姿は忽然と消えているのでした。一方、茜は、自分がモデルのポスターが貼ってあるのを眺めていると、背後から「何だか私が一人歩きしていくみたい。何がやりたいのかも分からない」と声をかけるJ。「『やりたい事、こ〜んないっぱい詰まってる。もっと私を見つめて』…って言ってるよ」と、指さされたポスターに茜が目をやった隙に「魔法で全部叶えちゃえ」と言う言葉を残して、Jは姿を消すのでした。また、亜希子サンと喫茶店で待ち合わせをしていた油壺に対して「待った? 恋人を待ちわびる目だね」と現れたのは、またもJ。「母親と待ち合わせているだけだ!」と声を荒げて弁解する油壺でしたが、「やっと母親は卒業? 他の女の子が気になってるから?」と追い打ちをかける様に囁くJの言葉にひっかかってしまった油壺は「僕は別に彼女の事なんて…」と漏らしてしまうのでした。こうなると、もう落ちていくだけの油壺は「特定の誰かを指して言った訳じゃない。大体、あの娘はただの後輩で…。そもそも僕には武男クンと言う…、それも君は彼女が好きな気持ちを隠す口実だとか言うんだろうけど…」と、聞かれてもいない事をベラベラと喋っていると、目の前に立っていたのは、いつの間にかJではなく亜希子サンに代わっていて、全て聞かれてしまった油壺は顔面蒼白状態(笑)。「誰? あたしを置いて、誰が好きなの〜っ!?」と声高らかにして油壺をからかおうとしている亜希子サンでしたが、いつもとは心理状態が違っている油壺は「僕は好きとかそういうのじゃなくて…」と真面目に反論しかけてしまうのでした。どうも、この4人とJが関わっていた時間と言うのは、ほぼ同時刻みたいですねぇ。と言う事は、魔法で分裂したJが4人同時に存在していたのかな? ともあれ、ようやく沙絵と高倉以外にも、本格的なアプローチをかけてきたJですが、相変わらず、その意図は、よう分からんですねぇ。魔法を使わせたい…だけなんでしょうか? 普通に攻めても「魔法使いは自分の欲望で魔法を使っちゃいけない」と言う倫理が前提にあって抑止力が働くから、心理的に追い詰める事で欲望を高めて、抑止力を振り払わせようとしているとか? さて、この日は、Jと絡みがなかった沙絵でしたが、小さな頃から、素敵な事が一杯でワクワクドキドキするものと思っていた筈の魔法の存在に疑問を抱き始めて、不安に陥っているのでした。この時の沙絵のモノローグ中に、ミッキー先輩が飛行機に乗っている絵が出てくる訳ですが、やっぱり、行き先は日本? だとすると、最後の最後で本編に絡んできてくれるのかな? だとすると、かなり楽しみなんですけど…。翌日の放課後、部活にあまり気乗りしない七香に、参加を促すべく説得を試みる沙絵でしたが、昨日のJの言葉が脳裏に焼き付いていた七香は「ごめん、今日は行かない」と欠席を決め込むのでした。また、油壺も部室の前まで来たものの、やはり、昨日のJの言葉が頭に浮かび、その儘、逆方向へ…。一方、校舎の中にある大きな鏡の前を通りかかり、そこに映った自分の姿を見て、昨日のJの言葉を思い出し、マジックワンドを取り出した茜は、一瞬、沙絵の「そういう事に魔法使っちゃいけないんだよ」と言う言葉が脳裏をよぎったものの「もううるさいなぁ〜!」とマジックワンドを振りかざしてしまうのでした。鏡の中の自分が勝手に動いている事に驚いていると、後ろからやって来たのは沙絵。当然、いつもの様に注意する沙絵に対して、「あれしちゃダメ、これしちゃダメって、魔法を何に使おうと勝手じゃないですか。先輩風吹かせないでくれます?」と怒鳴ってしまう茜。こうもストレートに言われてしまっては、ただでさえ自分に自信のない上に、どんな事に魔法を使っていいのか分からなくなってしまっている状態の沙絵は、強く言い返す事が出来ないのでした。それにしても「茜ちゃんが悪い魔女になっちゃったらどうしようって…」ってのが、何とも沙絵らしいと言うか…。そんな態度の沙絵に、またいつものごとく自分が苛めているみたいな気持ちになってしまった茜は「今日は部活出ませんから!」と、その場を立ち去るのでした。落ち込みつつも、高倉のいる部室にやって来た沙絵でしたが、そこへ現れたのは瑞葉。「来年度から、部室を半分返して貰う事にしたわ。人数が減るんだから当たり前じゃない」と、またも嫌がらせをかましてきた瑞葉に対して、流石に、堪忍袋の尾が切れたか゜僕に対しての嫌がらせだけなら、まだいい。だけど後輩達に迷惑かける様な事はやめろよ〜っ!!」と、高倉は怒り爆発! 高倉を苛めている訳ではないとシラをきる瑞葉に対して、過去の苛め三昧の日々をぶちまける高倉。それを聞いていた他の漫研部員達は、瑞葉が今、連載中の漫画のエピソードにそっくりな事に気付き、ヒロインとその幼馴染み(超美形!(笑))のモデルが瑞葉と高倉なのではないか?と勘繰り出す(と言うか、まず間違いなく、その通り)のでした。「これって、まさか」「好きだから、苛めてたってヤツじゃ?」などと図星をつかれて、動揺する瑞葉。「覚えてないわね。私はあんたの事なんて全然気にしてないもの」とあくまでとぼける瑞葉でしたが、「そっちが気にしなくたって、こっちはず〜っと気にし続けてきたんだ〜っ!」と言う高倉の言葉に、自分の漫画の展開を彷彿するのでした。この後、しばらく、瑞葉の漫画の絵と実際の彼らの絵がダブって出てくるんですが、もうおかしいの何の…(笑)。特に、高倉、異様にカッコよ過ぎて、大笑い…(^^;)。瑞葉の高倉のイメージって、実は、マジでこんなん?(^^;)。で、「僕はお前の事を〜っ!」と高倉は叫ぶものの、漫画の方では、この後「愛している」「私も…」な〜んて続くもんですから、瑞葉は顔を真っ赤にして、逃げてしまうのでした。高倉の方はと言えば「…ゆる…さ…ない」とボソッと小声で続けていた訳ですが、瑞葉も沙絵も、この部分は全然聞いてないんですねぇ(笑)。状況を全然把握していないながらも、とにかく勝利した事は分かったらしい高倉は「理由は分からんが、ともかく勝った〜っ! 僕は天敵に打ち勝ったんだ〜っ!」大喜び。あまりの嬉しさに、ひたすら舞い上がってしまっている高倉は、高倉が最後に何と言ったのか聞こえていない沙絵が不安を覚えている事など、まるで気付かない始末(^^;)。一方、「あれじゃ、まるで私が苛めたみたいじゃないの。そりゃ、こっちも言い過ぎたかもしれないけど、中富先輩だったら、もっとはっきり言い返してくれるのに…!」とブツブツ言いながら、下校していた茜でしたが、「何だ、やっぱり叱って欲しかったんじゃない」と茜のポスターから声が…。これを機に、茜のポスターから、茜の願望らしき声が次々と聞こえてきた事で動揺した茜は、そこから逃げる様に立ち去ったものの、狭い路地に入り込んでみると、その両側の塀にはズラリと茜のポスターが貼ってあり、次々とポスターから茜が飛び出してきては、やりたい事を次々と並べ立てるのでした。これには苛立ちが隠せずに、路地を抜けた正面に建っていたデパートの特大ポスターに向かって「何がやりたいって言うのよ!」と怒鳴り散らした茜でしたが、特大ポスターの茜が光を放ったかと思えば、茜自身もまた光り出すのでした。さて、七香や茜を連れ戻しに行くと言って、その場を離れた沙絵は、高倉が、あの後、何と言うつもりだったのかを気にしつつも校庭を歩いていると、動揺冷めやらず、木に寄りかかって憂い顔を見せている瑞葉を目撃してしまうのでした。そんな沙絵に気付いて、気丈な態度を取りつつも、沙絵とは顔を逸らして、擦れ違っていく瑞葉。いやぁ、今回の瑞葉は、かなり可愛いですねぇ。このところ、Jが出張ってきてから、どうもかつての「まほTai」らしさに欠けている感が強かったんですが、こういうのを見せられると、何ともホッとしてしまいますね(^_^)。一方、部活は出ないつもりで帰りかけた七香でしたが、「え〜い、もうっ!」と部室に戻ってみると、部室にいたのは、これまた一旦は帰りかけた筈の油壺。相変わらず、空間の中、七香は勇気を振り絞って「あたし…、先輩の事、前に一度打ち明けて、気持ちの整理つけた…って思ってたけど…、でも…」と持ちかけたものの、その先の言葉を察して、それを聞きたくないのか、油壺は「武男クン、遅いな…」と、あえて高倉の名前を出す事で、七香の言葉を遮ってしまうのでした。Jと喫茶店で交わした時の言葉は、恐らく油壺の本音だと思うのですが、高倉よりも七香の方が気になっている事で、高倉への気持ちが一番じゃなくなっている事を認めたくない…って事なんですかねぇ。そんな中、間の悪い事に、この場にやって来てしまう沙絵。高倉が来ていないと聞かされて「それじゃ、今まで二人っきりで?」と、特に他意はなく漏らした沙絵の言葉に、大きく反応してしまう二人。どうもバツが悪くなったか、「今日は先に帰る」と部室を去る油壺。ようやく、まずい時に来てしまった事に気付いた沙絵は七香に謝りつつも、七香が油壺に未練がある事を察して「思いきって気持ち伝えてみたら? あたし、応援するよ」といつもの調子で声をかけるものの、さっきあんなやり取りがあったばかりの七香は「そんな事…」と顔を曇らせるのでした。そんな七香の心中も分からない儘に「油壺先輩だって、この頃、七香に対する態度、前と違う気するし…。何だって願ってれば、大丈夫だよ、きっと…」と言う沙絵の言葉に、苛立ちが頂点に来た七香は「いい加減な事言わないでよ!」と激しく平手打ちをかまし、立ち去ってしまうのでした。確かに、こりゃ、実情を把握してない沙絵の方がちと無神経過ぎると言えばそうなんですが、ただでさえ、Jとあんな事があったりして魔法に疑問を持つ不安な状態で、茜には反発され、高倉と瑞葉の関係にも動揺している直後に追い打ちをかけるがごとく親友の平手打ち…とは、あまりにも可哀想なんじゃありませんか?(+_+) 良かれと思ってかけた筈の言葉も、七香を激怒させてしまっただけで、理由も分からず、悲しみで涙の止まらない沙絵でしたが、それを見計らったかの様にやってくるJ。「沙絵が泣く事なんてないんだよ。もう一度キスしてあげるから…」と抱き寄せてキスをしようとするJでしたが、間の悪い事に、そこへやって来た高倉に気付き、Jを突き放す沙絵。えらい所を目撃してしまった高倉は「今日は自主トレにしてくれたまえ」と激しく動揺しながら、その場を後にするのでした。ことごとくタイミングが悪い面々ですが、単なる偶然に、Jがつけ込んでいるだけ…と言うよりは、やっぱりJが画策してるんですかねぇ。失意の儘、一人で下校中の沙絵は、公園の前で拾ったクマのぬいぐるみを手に取って、噴水の前に座っていたものの、町の方で巨大化して歩いている茜を発見。マジックワンドを部室に置いてきてしまい、「どうしよう!?」と言う所で、次回に続く。何か、茜って、一番つけ込まれなさそうと思ってたんで、この展開は、結構、意外ですねぇ。それにしても、この所、沙絵や七香の笑顔って、ロクに見てないですよね。「まほTai」って、こんな辛辣な話だったかいな…なんて思ってしまいますが…。OVAの時に感じられた、苦境にあっても、まぁ、何とかなるでしょ…みたいな楽観的なムードと言うのが、全然感じられない最近の展開は、何とも歯痒さを覚えてしまうのでした。