第10話 雪と、子馬と、ファースト・キッス(9月15日放映)

脚本:小中千昭
絵コンテ:佐藤卓哉
演出:松浦錠平
作画監督:伊藤良明

ストーリー概要

従姉妹の結婚式に参加する為に、北海道の両親の牧場まで行く事になった沙絵と早紀。牧場に着いた沙絵はマジックワンドなしでデッキブラシに乗っての飛行魔法を成功させて、気持ちよく飛んでいると、そこへJらしき声が…。学校では、七香は相方の沙絵がいない上に、油壺への想いが断ち切れない事で、元気がなく、油壺も現実問題として、いつまでもこの儘ではいられない事を自覚してか、何やらいつもと違う神妙な様子。高倉はグリモワールの解読に行き詰まっている所へ助け船を出してくれ、自分より魔法に詳しいと思えるJに魔法クラブへの入部を勧誘。その夜、北海道で突然、沙絵の前に現れたJは「もっと魔法を使おうよ」と呟いて、沙絵にキス。動揺した沙絵は高倉を頼って電話するも、Jの事ですっかり舞い上がっていた高倉は、ロクに沙絵の話を聞いてくれないのだった。沙絵は、Jが入部する事や「もっと魔法を使おうよ」と言う言葉の意味に激しく不安を覚えるのだった。


従姉妹の結婚式に参加する為に、北海道の両親の牧場まで行く事になった沙絵と早紀。一足先に空港に着いた沙絵が長らく早紀を待ちわびていた所、ようやく、彼氏の車で送られてきた早紀が到着。別れ際にキスをする二人をまたしても目撃してしまった沙絵は、赤面して汗ダラダラの動揺状態(^^;)。飛行機に乗り込んでからも、動揺が冷めやらず、ぶつぶつと独り言を言っていた沙絵に対して、不機嫌なのかと思った早紀でしたが、沙絵に否定されると、続いて「(沙絵が独り言で言っていたらしい)ミッキー先輩って誰だっけ? そんな男子の先輩いたんだっけか?」と詮索を開始。変に勘繰られて、必死に弁解する沙絵でしたが「お姉ちゃんじゃないんだから、そんな男子とか彼氏とかキスとか…」と言いかけた所で、しどろもどろになってしまった事で、彼氏とのキスを目撃して動揺している事を見抜かれて「パパには、まだ内緒だよ」とサラリと言われてしまうのでした。ホント、この娘は、隠し事が下手ですね(^^;)。さてさて、ここで沙絵のモノローグで、小説を読んでないか方には、謎の人だったミッキー先輩について、ついに語られるのであります。しかも、絵付き!\(^_^)/ いやぁ、もうてっきり手紙の相手としての名前だけしか出てこないものだとばかり思っていたので、これはかなり嬉しいサービスでありました。ンな訳で、今回は、ミッキー先輩の画像を2枚も入れちゃったぞ!(^^;) 一方、学校の方では、高倉が、意を決して沙絵のクラスを訪れていたものの、七香に事情を聞かされると、何やら不自然な態度で引き返していくのでありました。また、沙絵がいないのが原因か否か、妙に疲れた様子で移動教室に向かう際、OVA5話で油壺と箒でタンデムした時の風景をふと思い出して、胸がうずいてしまう七香。「嫌だ、あたし…。どうして、いつまでも…」と未練を断ち切れずにいる様ですが、文化祭の一件以降、油壺への想いを断ち切るどころか、逆に再燃してしまっている感じになってきてますねぇ。高倉は、どういう経路で情報を掴んだのか、茜のクラスにいるJを覗き見して、男子生徒である(らしい)事を再確認。その様子を見て、嫉妬に狂って(笑)、背後からのしかかってくる油壺。「気になっているのは事実だが、それは沢野口クンが…」と言ってしまった事で、ますます油壺の怒りを買う高倉でしたが、慌てて「何でもない」とその場を立ち去ると、油壺は妙に心配そうな憂いの表情を見せるのでした。沙絵とJの絡みって、高倉は、どこまで知っているんでしょうね? また、どうやって知ったのやら? 今のところ、そういう描写が全然ないので、この高倉の行動は、どうも自然じゃないんですけど…。Jの隣に座っていた茜は、ふと「じんのクンって、最初からこのクラス…だったよね?」と疑問を投げかけるものの、Jは無言で微笑むばかり…。やっぱり、魔法で仕組んで、さも前からいたかの様に振る舞っている様で…。一方、牧場に着いた沙絵は、産まれた時から可愛がっていたお気に入りの馬・ニコルとの久々の再開を楽しみに厩舎へと駆け込むと、ニコルの方も沙絵を覚えていたらしく、なついてくるのですが、髪の毛を咥えられてしまって、四苦八苦…。どうも、ここの馬達は、ニコルに限らず、揃いも揃って、沙絵の髪の毛で遊びたがる様で…(笑)。確かに、何だか咥え易そうな髪の毛ですものね(^^;)。さてさて、雪の中、デッキブラシを持った儘、大きく伸びをしていた沙絵ですが、ふとデッキブラシを両手で握りしめたポーズで、マジックワンドを握り締める感じを思い出したのか、「出来たりして…」と試し半分に飛行呪文を唱え始めるのでした。結果は…、見事、成功! デッキブラシで飛ぶと言えば、思い出すのは「魔女の宅急便」。やっぱり、この辺は、意識してパロってるんですかねぇ。気持ちよく空を飛んでいた所へ「もっともっと魔法を使って楽しくなろう」と言うJの声が聞こえてきた事にハッとした沙絵は、飛ぶ事に集中するのを忘れて、真っ逆様に雪で積もった地面に落下してしまうのでした。それにしても、マジックワンドなしで、ああも上手に飛べるとは、沙絵もなかなか上達…したのかな、果たして? Jの影響が、何かしら加わっている気がしないでもないんですがね。一方、放課後、高倉が部室でグリモワールを熱心に読んでいると、今日は部活に出来ない、と伝えにやって来た油壺。「ちょっと家の者(…って、勿論、亜希子サン)と…」などと言いづらそうにしている油壺でしたが「ああ、お母さん。大変だな、油壺も…」と高倉が察してくれると「武男クンと僕は心が本当に通じているんだねぇ」と大感激(笑)。「この儘、ずっとこうしていたい…」と擦り寄って来たものの「勘弁してくれ、そんなの絶対嫌だ〜っ」(笑)と言う高倉の言葉に、突然、冷静になる油壺。「高校3年がずっと続く訳じゃない。武男クンはどうするの? 受験さ…」と急に現実的な事を問いかけてきた油壺に対して、「やってるよ、一応、勉強は…」と応えた高倉でしたが、志望を聞かれると「基礎が分かってないから、もう限界なんだ…。独学なんて限界あるさ…」と、グリモワールを見つめて寂しそうに呟くのでした。これって、グリモワールの研究をする事が志望って事なんですかねぇ? それとも、いつの間にか話がすり替わっただけ? 油壺は、そんな高倉の心中を何となく察してくれた様で優しい笑みを漏らすと、部室を出て、亜希子さんの車に乗せられて行くのでした。そんな油壺を遠くから見送っていた七香は、沙絵もいないとあって、部活は出ない事に…。「ハァ…、何か、こんな自分がイヤ…」と、まだ落ち込んでいる様子。そんな訳で、一人部室でグリモワールの解読に苦しんでいた高倉でしたが、そこへやって来たJが、また助け船を出してくれるのでした。「このグリモワールは、ちょっと古い版だね。間違いが結構残ってる」と高倉の肩越しに覗き込むJに妙にドキドキしてしまう高倉は「まさか僕は美しければ男と女の差など関係ないって、そういう人だったのか〜っ!?」(笑)と激しく動揺するも、「人」と言う字を掌に書いて飲み込んで、何とか落ち着くのでした。そんな高倉の様子など気にもせず、Jは「このクラブ、入ろうかなぁ。魔法はじっと我慢してるんだよ。もっと遊びたいのに、もっと力を見せたいのに…。でも、人は自ら魔法を記憶から消しちゃった」と呟いてみせると、高倉は「入ってくれ、この魔法クラブに…!」と強く勧誘。Jは我が意を得たりとばかりに微笑むのでした。さて、夜も更けて、夕食時の北海道の牧場では、髪の毛をクシャクシャにされてしまった沙絵がブスーッとむくれ顔…。どうやら、あれ以降も、馬達に銜えられまくったみたい…(笑)。「ウチの馬はみんな、沙絵ちゃんの頭が好きなのよね」「ちょ〜っとちょっかい出してみたくなる形してんのよ、きっと…」とからかわれて、より一層むくれてしまう沙絵。両親が明日の結婚式の祝辞の話をしていると、早紀が「あたしの時は、もっとラフにやるから…」とポツリ。この言葉に一瞬場が凍り付き、やがて、佐和子サン(あ、沙絵ママの事ね)が「あんたの時…って、それ、もしかして…」と尋ねるも、別に何事もない様に黙々と食事を続ける早紀。むしろ、沙絵の方が変に動揺して不自然な様子…(^^;)。沙絵の方も変に突っ込まれずに済んだみたいですが、隠し事の苦手な沙絵のいる場で、そんな話題持ち出したら、ヤバいんでないの?(^^;) と言うか、別に、バレたらバレたで、別に構わないと思ってるのかな? 部屋に戻った沙絵は、早紀と彼氏が結婚するのかと思いふけって窓の外の満月を見ていると、そこへ宙に浮かんで現れるJ。沙絵が、その姿を見て窓を開けると「もっと魔法を使おうよ。魔法だったら何だって出来る。魔法ならどんな願いだって叶う。それは本当なんだよ…」と呟きながら近付いてきたJは、沙絵にそっとキスをしたかと思うと、すぐに姿を掻き消してしまうのでした。沙絵は、慌てて高倉の家にしどろもどろで電話をかけると、高倉も「落ち着きたまえ、沢野口クン!」と言いながらも、しどろもどろ(笑)。そんな兄を後目に世界史の教科書を講読している貴子が良いですねぇ。「うるさいっての!」と言う高倉の言葉にも、しれっとした様子(^^;)。さて、ようやく落ち着いたらしい沙絵が「おかしな事言うみたいなんですけど、その…、今…、えと…、じんのクンが…」と言いかけると、その名前に反応した高倉は「彼は凄い奴かもしれないよ」と、Jが自分よりもずっと魔法に詳しい事を生き生きとした様子で語り出すのでした。それどころではない沙絵は「聞いて下さい、高倉先輩…。そのじゅりかクンがあたしがいる北海道に…」と言いかけたものの「それは何かの間違いだよ。だって、じんのはさっきまで学校にいたんだ」とあっさり否定されてしまう始末。それでも納得出来ない沙絵でしたが、すっかりJの事に夢中になってしまっている高倉は、沙絵に喋らせずに「それより聞いてくれ。彼、魔法クラブに入ってくれるそうなんだ」と報告。何か嫌な予感がしたのか、顔面蒼白になってしまった沙絵は思わず「だめ〜っ!」と叫んでしまったものの(この時の高倉の反応が見たかったんですけどねぇ(^^;))、その儘、どうやら言いくるられてしまったらしく、電話を切るのでした。ああ、まずいですねぇ、高倉…(^^;)。折角、沙絵があんなに動揺して、わざわざ頼って電話してきたと言うのに、そんな沙絵の事情も、自分の悩みを一気に解決してくれそうなJの存在に舞い上がってしまい、些細な事としか受け取ってあげられないとは…。そもそも、高倉よりずっと魔法に詳しい筈のJが北海道へ瞬間移動魔法等を使って現れていたとしても、何ら不思議ではない筈なんですけどねぇ。結局、全然解決にならなかった上に、Jが魔法クラブへ入る事になってしまった事まで聞かされて、より一層不安になる沙絵。「魔法をもっと使おう」と言うJの言葉も、本当に良い事なのか分からないと、ミッキー先輩に会って何か言って欲しいと言う思いを募らせるのでした。うーん、この状況を解決するのに、ミッキー先輩が登場してくれる、と言うのは、かなり嬉しい展開ですが、果たして、どうなるやら…。舞い上がって、ちょっと暴走気味な気配の高倉が「もっと魔法を使う事」について、正しい判断が果たして出来るのか、と言うと、やや不安ありですしねぇ。明くる朝、登校してきた七香は「七香、おはよう」と言う声に沙絵かと思って振り向いてみると、立っていたのはJ。一年生に呼び捨てにされた上に、一瞬、沙絵かと期待させられてしまった事にムッとする七香。沙絵が北海道にいる事は分かっている筈なのに、沙絵かと思ってしまう辺り、やっぱり沙絵がいないと調子狂っちゃうんですかねぇ。そんな所へ、やって来た油壺に意を決して元気良く挨拶した七香でしたが、目を逸らして「ああ…」と声を落として先へ行く油壺。そんな油壺の反応に七香も思わず目を潤ませてしまうのでした。油壺の七香への心理って、どういう状態なんでしょうね? 相変わらず、高倉一筋で七香には単なる負い目を感じているだけ…なんて事ではない気がするんですけどね。ただ、表向きああいう態度をとり続けていては、七香が落ち込むだけで、見ていて何とも可哀想なんで、そろそろ事態が動いて欲しい所…。一方、北海道の結婚式に参加していた沙絵は、従姉妹の花嫁姿に感動していると、早紀は「あたしの方がもっと綺麗になるからね、沙絵…」と囁いてくるのでした。…と、今回、ここで終わってしまうんですが、この引きは、うーん?と言う感じ…。何だかんだで、早紀と彼氏の関係って、実は、終盤の展開のキーになったりするんでしょうか?(^^;)