第8話 アリスと、踏切と、ソースせんべい(9月1日放映)

脚本:村井さだゆき
絵コンテ:藤本義孝
演出:藤本義孝
作画監督:志田ただし

ストーリー概要

いよいよ始まった文化祭。魔法クラブでは、ソースせんべいを売りつつ、魔法占いをする事に…。占いのローテーションの一番手を任された沙絵は張り切るも、瑞葉の妨害等もあり、一向に客が来ず。他の魔法クラブの面々も、色々と駆り出されてしまうなど、行き違いもあり、沙絵と交代出来ず仕舞い。延々と一人で取り残されていた沙絵だったが、そんな所へ、アリス姿のJが来訪。コインの表裏を占ってくれと頼まれた沙絵がタロットカードに魔法をかけると、カードは空中で見事な軌跡を描き出し、それをきっかけに、魔法クラブは急に大繁盛し出したのであった。やがて、他の面々も、ようやく部室に辿り着き、それぞれの衣装を身に纏い、占いに、ソースせんべい作りに、客の呼び込みにと意欲的に活動。何とか成功に終わった魔法クラブの文化祭は、静かに幕を閉じるのだった。


非常に不安な引きで終わった前回でしたが、沙絵の不安は払拭されたんだかされてないんだか分からない儘、文化祭に突入。世界の魔法使いと言う感じで、各々それぞれの衣装を身に纏い、ソースせんべいを売りつつ、魔法占いをする…と言う沙絵の提案が殆ど受け入れられた様ではありますが、沙絵は、高倉や七香とあれだけ心が離れていて、魔法クラブが文化祭で活動するかしないかすらあやふやだった訳で、そういう部分を解決するシーンが丸々カットされてしまった事には、少々不満が残りますね。7話と8話の間にもう1話くらい欲しかったかなぁ。さて、占いのローテーションの一番手を任された沙絵が一人で準備に忙しんでいる中、油壺はテニス部の招待試合に出場。油壺の華麗なプレーに油壺安全保証委員会の面々は「綾様〜っ」と黄色い声援。委員長のミチコ以外は「綾様」と呼ぶ事が許されないとばかりに、光とまどかにパンチが飛ぶも、光はスルリとかわして、まどかにはクリーンヒット(笑)。一方、部室に向かおうとしていた茜は魔法クラブでの衣装が仮装と勘違いされて、ダンス部主催の仮装パレードに引っ張っていかれ、部室が気になりつつも「ま、いっか」(よくないって…(^^;))と、いつもの調子で、その儘、ズルズルと…(^^;)。さて、沙絵は、ソースせんべいの材料を持って、部室に辿りつくと、事前に抗議しておいたにも拘わらず、瑞葉の等身大の勧誘ボードが、魔法クラブの部室の入り口を思いっきり遮る様な形で置かれているのでありました。それをよけて中に入ると「すぐに戻る。先に開店していてくれたまえ」と高倉の書き置きが…。とりあえず、沙絵は、一人で占いの練習を始めたものの、「占いの担当でない者も客の整理やソースせんべいの販売や買い出しを手伝う事」と言っていた筈の高倉が、書き置きを残して、来てくれない現実を思い出して、また落ち込んでしまうのでした。その高倉は勧誘ボードが邪魔だと、再度抗議に行っていたものの、相変わらずの蛇に睨まれた蛙状態で、結局、交渉不成立(+_+)。「胸の谷間は大きいくせに、細かい嫌がらせしやがって!」(笑)と、文句を言いつつも、この事態を打破したい考える高倉は人形劇を見て、ある事を思いつくのでした。前回もそうですが、結局、沙絵は、高倉が部室を出て行っているのは、いつだって魔法クラブの為に奔走している、と言う事を果たして、どれだけ理解しているのか、どうもイマイチ疑問ですねぇ。もし、事情を分かっていても、あれだけ落ち込んでしまうものなんでしょうか? いちいち出て行く理由を説明しない高倉にも問題がないとは言いませんが…。まぁ、それはさておき、客も一人も来ず、高倉も戻って来ず、一人で部室に残された沙絵の前に、アリス姿のJが来訪。沙絵とJは5話でまともに顔を会わせて会話している訳ですが、どうも沙絵はあの時の人物と同一人物だと気付かない様子。それにしても、アリス姿のJはなかなか可愛いぞ(笑)。今まで服装とかも中性的で男だか女だか、よく分からなかったJですが、こんな格好しておいて、実は男…なんて事はないですよねぇ?(^^;)。さて、Jは100円玉を投げてよこし、回転しているコインが「表か裏か?」とポツリ。沙絵は急いでタロットカードに魔法をかけて占いを始めると、全てのカードが空中に浮いて回り出し、この間に100円玉は裏を向いた儘、既に止まってしまっているのでした。ふと気付くとJの姿は消えてしまっていたものの、いつの間にか、入り口の瑞葉のボードの裏表が逆になっており、そのせいで漫研と勘違いして入ってきた客が来訪。空中で見事な軌跡を描いているカードを見て感動して騒ぎ出し、徐々に人が集まって来るのでした。一方、放送部員としての仕事が一段落し、部室に向かおうとした七香は、途中の教室で裁縫をしている高倉を発見。もうすぐ自分の担当の番だが(人形を作っているので)しばらく行けそうもないから交代してくれる様、頼まれた七香でありましたが、映研の連中に捕まって、舞台挨拶に引っ張り出されるハメに…。丁度、擦れ違って、七香に後を託された茜も強引な客引きに連れ込まれてしまう始末。一方、魔法クラブの面々に見立てた小さな人形を作り上げた高倉は、これを魔法で歩かせて、宣伝して回っているのでありました。女子生徒達には「可愛い〜っ」と大ウケ。「凄いバランスだ。どういう制御系を使っているんだ?」と、ソレ系の人達も絶賛(笑)。これだけの代物をあんな短時間で作ってしまうとは、高倉って、実は、かなり器用!? 折角、うまくいきかけていたPR活動でしたが、「許可のないポスター、看板等の広告は全て没収させて貰います」と、瑞葉率いる文化祭実行委員会の連中に人形を回収され、哀れ高倉も連行されてしまうのでありました。さて、茜はさっき連れ込まれた店から出た後、今度は「素人勝ち抜き歌合戦」とやらに引っ張り出されて、ステージで歌っていると、そこへ演劇部に引っ張って行かれる最中の油壺と遭遇。「中富先輩と交代したからもう行かないといけないんですけど」と言う茜に対して、先程、高倉と擦れ違った時に、七香が部室に行っていると聞かされていた油壺の「中富クンとは武男クンが交代したって言ってたけど…」と言う言葉を聞いて、茜は自分が行かなくて大丈夫だと誤解してしまい(油壺や七香と違って、基本的には暇なんだから、ちゃんと部室に行って手伝ってやんなさいよぉ〜(^^;))、またまた沙絵の応援には誰も行かない状態が続いてしまうのでありました。さて、その沙絵の方は、凄い行列が出来る大繁盛ぶりに大忙し。沙絵は占いで何を見て欲しいのか尋ねるものの、どうも「曲芸ソースせんべい」などと誤解されているらしく、カードが空中で回っているのを見物しつつ、ソースせんべいを食べる出し物に変わってしまっている様子(笑)。一方、七香の方は、例の映画が上映中。何だかんだ言いながら、結局、最後まで出演した様ですね。確かによく分からない…と言うか、えらい抽象的な作品ですけど、あんなに嫌がって逃げ出してくる様な作品でもないんじゃない?(^^;)。で、上映終了後、蛇堂監督が、ブーたれて赤面しっぱなしの七香(笑)と並んで挨拶している訳ですが、お察しの通り、この人、佐藤順一監督のパロで、声も佐藤監督が当てております。ようやく、映研から解放された七香でしたが、そこへテニス部,演劇部から逃げて来た油壺に激突。事情を説明する間もなく、追ってくる連中に、油壺は慌てて七香の手を取って駆け出すのでした。いきなり手を握られて、ときめいてしまう七香でしたが、状況が状況だけに、追っ手から逃げるので精一杯…。何とか逃げ延びた二人は、思わず、大笑いしてしまうものの、油壺への想いを断ち切れない七香は胸が詰まって、やがて笑いながらも顔を逸らして涙をこぼしてしまうのでした。油壺もそれを察して「すまない…」とポツリ。「謝らないで下さいよ。私、笑ってるんだから…」「ごめん…」と、しんみりしてしまう二人。この辺りは、OVA第5話を見ていないと、真には入り込みづらいかも…。あの時に、油壺は一応、七香をふった形になっている訳で、変に気を持たせる様な行為はまずいと言う事を思い出してしまったんでしょうね。個人的に、先が殆ど見えている感じの沙絵と高倉の関係よりも、こちらの二人の行く末の方が気になる所であります。さて、文化祭実行委員会に連行されていた高倉ですが、許可証1枚取るのに何千枚もの書類を書かされる嫌がらせ(笑)をクリアし、人形を使ってのPR活動を再開していた所、そこへ茜と七香,油壺がバッタリ遭遇。これにより、今までず〜っと沙絵が一人で頑張っている事に気付かされたのでありました。高倉は脱兎のごとく、部室に向かうと、もう涙目になっている沙絵が自分の胸に飛び込んできてくれると思いきや、またしても沙絵は、「あとお願いします!」と、トイレに一直線と言うオチが待っているのでした(笑)。いつの間にか、表に戻っていた瑞葉のボードでしたが、魔法クラブの行列に並んでいる客が「何だ、これ邪魔だなぁ」と横にどけられてしまう有様(笑)。ともあれ、ようやく全員が終結した魔法クラブは、それぞれの衣装を身に纏い(個人的には、チャイナドレスの七香がGoodだね)、占いに、ソースせんべい作りに、客の呼び込みにと意欲的に活動を始めるのでした。客の呼び込みの最中、七香が肩に乗せた油壺の人形を見て、思わず微笑んでしまう描写とかが何気なく入っていたりするのが、またたまらないですねぇ。油壺が占いをしている時は、またも油壺安全保証委員会の面々が「綾様〜っ」と黄色い声援。お約束で飛んできたミチコのパンチを、またも光はスルリとかわして、まどかにはクリーンヒット。やるな、光…(笑)。そんなこんなで、文化祭も無事終了。乾杯の場で、一人頑張った沙絵に感謝する高倉とのやり取りにも、今回ばかりは油壺も邪魔をする事はない様で…。ただ、七香とはあんな事があったせいか、つい顔を逸らしてしまうのでした。下校時、沙絵は自分で塗り上げたアーチが外されるのを見かけ、翌朝、それが壊された後の残骸の前にポツリと立ちつくし、束の間の短いお祭り騒ぎが幕を閉じた事を実感し、寂しく思うのでした。前回の引きから、やや飛んでしまったせいもありますが、今回、思ったより沙絵の落ち込むシーンがなくて…と言うか落ち込んでいる暇がなくて…むしろ、頑張っている印象の方が強く出た感じで良かったですね。そう言えば、あれだけ嫌がらせの限りを尽くしておきながら、魔法クラブが、恐らくは隣の漫研を食ったであろう大繁盛ぶりとなった事について、瑞葉はどういう反応をしたのか見てみたかった気が…。一方で七香と油壺の関係も再燃しそうな雰囲気で、今後が楽しみになってしましたね。