第3回 秘打・ポテトチップ
初登場:1年夏 白新戦 9回裏(投手:不知火守)
同結果:ファースト,セカンド後方へのテキサスヒット
前振度:★★★★☆
華麗度:★★★☆
天才度:★★★
系 統:カット系
「白鳥の湖」「花のワルツ」とピアニストらしくクラシックのリズムを基調とした秘打を生み出してきた殿馬だったが、これは全くクラシックとの縁はなし。右足を折り曲げて、左足を伸ばすと言う到底、まともな重心移動など出来ないだろうと思われる構えから、強いテークバックにより左足を浮かせて、後ろに重心を移した後、体ごと前に預ける様に重心を移して、ボールをこする様に叩く打法。打球はファースト,セカンドの後方に落ちるどん詰まりのポテンヒットとなり、つまり、チップの球な打球でポテンヒットと言う事で「ポテトチップ」と言う駄洒落なネーミングとなった。殿馬のリズム打法を封じるべくランナーもいないのにセットポジションからの投球を試みた不知火だったが、到底打てると思えない殿馬の構えに油断して、ワインドアップで投げて、結局、打たれてしまった。殿馬曰く「この打法はリズムのないめちゃくちゃなほど効果のある打法づらぜ」との事だが、以後、リズムを狂わされた時にも、この打法を使う事はなかった。殿馬のカット打法にしては珍しく、特殊な回転をかける訳でもないので、比較的、真似し易い打法である様に思えるが、あの構えから、不知火の様な快速球に対して、一瞬にして体重移動を行うのは、高い柔軟性とバランスの良さを兼ね備えていなければ、至極、困難と言えるだろう。