[は]

服部 克久(はっとり・かつひさ)

作曲家。編曲家。
1936年11月1日生。東京都出身。パリ音楽院卒。
父は作曲家・服部良一。長男・服部隆之も作曲家として活躍中。

6歳でピアノを始め、成蹊高校卒業後、パリ音楽院に留学する。
1958年帰国。日本テレビの「ハニー・タイム」で作・編曲家としてデビュー。
以後、歌謡曲の編曲・プロデュースや、テレビ・映画・CMの音楽を中心に活動している。

古くは1967年「光速エスパー」の昔から活躍する大ベテラン。
洋楽志向の洗練された音楽性に特色があるが、ロックやジャズ系統のバタくささではなく、クラシックをベースとした、日本人好みの美しいメロディラインが持ち味。
幅広い世代に支持される音楽性ゆえに活躍の場も広い。1985年「つくば万博」、1990年「国際花と緑の博覧会」などのエキジビション用音楽も担当するほか、オリジナル・アルバムも多数製作。「音楽畑」のシリーズは、10年以上続いている。

TBSで長く放送された紀行番組「新世界紀行」の音楽は、氏独特のロマンティシズムに満ちた名曲だった。
劇伴作品では、'76年「同心部屋御用帳・江戸の旋風(かぜ)」(第2部)の音楽がCDで復刻・発売中(VAPより)。

日本音楽著作権協会理事。日本アレンジャー協会常任理事。 '98/5/25


アニメでは、「トム・ソーヤーの冒険」と「家なき子レミ」の世界名作劇場への2度の登板が記憶に残ります。
「トム・ソーヤー」は、提供とレコード会社が変わっての第1作。ポップス調の主題歌は新鮮でした。
名作劇場の掉尾を飾った「レミ」では、作品カラーに合わせてマイナーの美しいメロディで、作詞・歌にさだまさしを起用。視聴者の涙をしぼろうとしましたが、一歩及びませんでした。
放送枠は違いますが、同じ名作もの「愛の学校クオレ('82)」も氏の劇伴(主題歌は芥川也寸志)。
'86年「北斗の拳」劇場版では、なぜかオリジナルの青木望に代わって服部克久が音楽を担当しています。 (猫)'98/5/25

羽田 健太郎(はねだ・けんたろう)

作曲家。編曲家。ピアニスト。
1949年1月12日生。東京都出身。桐朋学園大学音楽部ピアノ科卒。

愛称ハネケン。 映画・テレビ・CMの音楽やコンサートの音楽監督などで活躍するほか、ピアニストとしても、テレビの音楽番組や多くのアーチストのアルバム、コンサートなどで、その腕を披露している。

クラシックとジャズを両方学んだことから、その音楽も、シンフォニックなオーケストレーションで聴かせるものと、4ビートのジャジーな軽音楽スタイルの2種類を操る才人である。
シンフォニーの曲でも、弦の高音部がよく響き、低音部が薄いのでやや軽く聞こえるのが特徴で、同じシンフォニー系の作曲家でも、冬木透や横山菁児と比べると、ポピュラー・アレンジに近いライトな印象がある。
しかし、「マクロス」劇伴などで聴くことができる、音楽のバラエティーの豊かさ、メロディ・メーカーとしての才はなかなかのもの。
テレビでは、単発ドラマの音楽を多く担当するほか、音楽バラエティーなどで音楽・音楽監督をつとめることも多い。

1978年テレビアニメ「宝島」の音楽でアニメファンに強烈な印象を残したあと、'82年「超時空要塞マクロス」「スペースコブラ」の2大話題作に、それぞれ異なるスタイルで音楽を付けて注目される。
'80年代のテレビアニメにあっては、

と、ほとんど途切れることなく担当作品が続いた売れっ子。
劇場作品や単発スペシャルアニメでも、
など、ジャンルを選ばない仕事ぶりで、この時期のアニメ音楽を支えた。

また、1977年の「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト」以来、日本コロムビアのアニメ交響曲アルバムの多くにピアニストとして参加。「ヤマト」シリーズにはすべて参加している。
1983年「宇宙戦艦ヤマト 完結編」ではついに宮川泰とともに劇伴を担当。「交響曲 宇宙戦艦ヤマト」では宮川泰作曲分も含めて構成・アレンジを担当し、ヤマト音楽の集大成とした。

劇場映画作品に「戦国自衛隊('79)」「復活の日('80)」「さよならジュピター('84)」など。

その親しみやすいキャラクターと話しぶりゆえに、音楽番組の解説やコメンテーター、教育番組の先生役などとしても顔を出している。 '98/5/25


羽田健太郎といえば、「宝島」。
ビートの効いたジャズ・タッチの音楽が、出崎アニメのスピーディかつ華麗な映像に絶妙のコンビネーションを見せていました。サントラ盤が出たときは狂喜。
続いて2本めの出崎アニメ「スペースコブラ」では、軽快なフュージョン風音作り。サントラには収録されていませんが、ベートーベンなどのクラシックのフレーズを拝借した劇伴も使用されています。ハネケンさんの遊びでしょうか(単に手抜きかもしれない)。
3本めの出崎アニメは、かの「おにいさまへ」。こちらは、クラシック風の音楽で、禁断の園を妖しく包み込んでいます。
以上、「出崎アニメと羽田健太郎」でした。 (猫)'98/5/25

[ひ]

久石 譲(ひさいし・じょう)

作曲家。編曲家。
本名:藤沢守。
1950年12月6日生。長野県中野市出身。国立音楽大学作曲科卒。

5歳のときからバイオリンを習う。音大在学中からアメリカのフィリップ・グラスらのミニマル・ミュージックに影響を受け、作曲活動を開始。
卒業後、'74年「はじめ人間ギャートルズ」(本名の藤沢守名義)の劇伴を担当し注目される。'76年「ろぼっ子ビートン」も同じく藤沢名義で担当。
その後、大学の先輩である佐藤勝に就いて映画音楽を何本か手がけたあと独立、アレンジャー、映画音楽作家として活躍を始める。
現代日本を代表する映画音楽家として、海外にも注目されている作曲家のひとり。

アレンジャーとしては、アコースティック楽器とシンセを絶妙に配した、ポップで透明感のある現代的なアレンジが持ち味だが、自らの作曲作品では、現代音楽と民族音楽が融合したような独特の音楽性に特色がある。
シンセサイザーを使いながら無機質にならないアレンジ、遠い記憶をゆさぶるような哀感と郷愁を感じさせるメロディ、映像にマッチした音楽構成に定評があり、子どもから大人まで、広いファンを持つ。

テレビアニメに久石譲の名前が登場するのは、'81年「ハロー!サンディベル」のアレンジあたりからで、山本正之のあとを受けて劇伴を担当したJ9シリーズ3作目「銀河疾風サスライガー('83)」のウエストコースト・ロック風のカッコいい劇伴と主題歌アレンジで、本格的に名前を知られるようになる。
続いて、「機甲創世期モスピーダ('83)」「バース('84)」などを担当。
'85年「炎のアルペンローゼ」では、劇中使用される交響曲を既成曲でまかなわず新たに作曲するという、テレビ番組としては贅沢な試みをしていテレビ番組としては贅沢な試みをしている。

1984年、宮崎駿監督「風の谷のナウシカ」の音楽を担当。映画自体の完成度とともに、久石譲の音楽も一躍注目を集める。以後、宮崎アニメにはなくてはならぬ作曲家として、一部の短編作品をのぞくすべての劇場用作品の音楽を担当する。

以上が、宮崎=久石作品。

映画音楽の分野では、大林宣彦監督、北野武監督とのコンビネーションも多い。

以上が、大林=久石作品。

以上が北野=久石作品

ほかには、「Wの悲劇('84)」「早春物語('85)」の澤井信一郎作品や、「アリオン('86)」「ヴィナス戦記('89)」の安彦良和作品(アニメ)、最近では「パラサイト・イヴ('97)」など、話題作を数多く担当。

NHK朝のテレビ小説「ぴあの」、NHKスペシャル「驚異の小宇宙・人体」の音楽も手がけている。

映像を離れた音楽活動にも熱心で、オリジナル・アルバムに「PRETENDER」「MY LOST CITY」「PIANO STORIES」「地上の楽園」などがある。
1998年長野パラリンピック冬期大会の音楽・総合プロデューサーを担当して話題になった。

「あの夏いちばん静かな海」でヨコハマ映画祭音楽賞('92)、「青春デンデケデケデケ」で日本アカデミー賞音楽賞('94)、「もののけ姫」で日本レコード大賞作曲賞('97)、ほか受賞多数。 '98/5/25


正直言うと、宮崎アニメなどではやや音が鳴りすぎ(過剰)の感がありますが、悪口書くと石が飛んでくるので以下沈黙…。
日本の映画音楽作家で、最近これほど有名、話題になった人はいませんね。
私が久石譲の名前に注目し始めたのは、「ハロー!サンディベル」の現代感覚あふれる主題歌アレンジを耳にしたときから。渡辺岳夫をして「すばらしいアレンジャー」と言わしめる新鮮な感覚の響きでした。以後「栄光の背番号3('81)」「機動戦士ガンダムII 哀・戦士編('81)」など渡辺岳夫ご指名の編曲家のひとりとして仕事を共にすることになります。 (猫)'98/5/25

平尾 昌晃(ひらお・まさあき)

作曲家。歌手。
1937年12月24日生。神奈川県茅ヶ崎市出身。慶応高校中退。

高校1年のときにウエスタンバンドに加入しバンド活動に熱中。高校卒業の年に日劇の第1回ウエスタンカーニバルに出場して人気に。
1958年キングレコードより「リトルダーリン」で歌手としてデビュー。
ロカビリー歌手として活躍し、山下敬二郎、ミッキー・カーチス、佐々木功らと共に、ロカビリー旋風を巻き起こした。
歌手として大ヒットした作品に「星は何でも知っている」「ミヨちゃん」がある。
その後、闘病生活を経て作曲家に転向。1966年「想い出」「銀の涙」で作曲家としてデビュー。
以後、演歌からポップスまで、独特の哀愁に満ちたメロディでヒット曲を多数生む。
代表作に「よこはまたそがれ」「わたしの城下町」「瀬戸の花嫁」「霧の摩周湖」「夜空」ほか多数。

洋楽がベースにありながら、日本人的な情緒に満ちたメロディは、氏独特のもの。
「必殺シリーズ」の音楽は、ライバル番組「木枯し紋次郎」が小室等だったことから、「フォークにはウエスタンで」ということで平尾昌晃が起用されたものだが、氏のメロディメーカーとしての才能が存分に発揮された、テレビドラマ音楽史を語る上で欠かすことのできない作品となった。
「必殺」では、シリーズのほとんどすべての作品にかかわり、劇場用作品も手がけた。いまなお、「無条件に燃える音楽」として、ファンから絶大の支持を受けている。

アニメ作品では、藍美代子の歌が愛らしい「星の子チョビン('74)」が最初だが、注目を集めるようになったのは、'78年から'79年にかけて、「宇宙海賊キャプテンハーロック」「銀河鉄道999」「サイボーグ009(新)」の3大話題作の主題歌を作曲してから。
いずれもマイナーのメロディが胸を打つ、ロマンと哀感に満ちた名曲で、アニメソングのベスト投票をすると、必ず上位に食い込む曲ばかり。
なかなか聴く機会にめぐまれないが、「宇宙空母ブルーノア('79)」も人気が高い曲のひとつ。

劇場用作品に、「エスパイ('74)」(京健輔と共同)がある。

「霧の摩周湖」「渚のセニョリータ」で日本レコード大賞作曲賞('67)、「瀬戸の花嫁」で日本歌謡大賞('72)、「夜空」で日本レコード大賞('73)。 '98/5/25


ファンの夢がかなって、「必殺シリーズ」全作の音楽がCD化されたのが'96年のこと(キングレコード)。もう、涙涙涙でした…。(TvT)
しかも、レコードメーカーがばらばらで、1度にそろえる機会はないと思っていた主題歌が、ほぼ全曲オリジナルで収録されているとは。
生きてればいいことある、実感しましたわ。 (猫)'98/5/25

広瀬 健次郎(ひろせ・けんじろう)

作曲家。
1929年11月5日生。兵庫県出身。慶応大学法学部卒。

在学中より作・編曲活動を開始。
'69年頃音楽事務所「現代制作」を設立し、日劇レビューやCMソング、映画・テレビの音楽に腕をふるうようになる。
特に、60年代から70年代に作られた東宝のプログラムピクチャーで、「若大将」や「駅前」などの看板シリーズを多く担当している。

若大将シリーズ

駅前シリーズ
クレージー・シリーズ

ほかの映画作品に、

など。

テレビでは、アニメ「オバケのQ太郎('65)」(第一作:劇伴は筒井広志)、「ど根性ガエル('72-'74)」(劇伴も)が著名。
ほかに主題歌のみの作曲作品に、「海底少年マリン('69,'71)」「男一匹ガキ大将('69)」がある。

特撮TV映画では、「チビラくん('70)」(劇伴・挿入歌のみ:宮内國郎と共同)、「白獅子仮面('73)」「円盤戦争バンキッド('76)」など、なぜか、マイナー作品ばかりに登板。
オールドファンには、ハンナ・バーバラ作品「大魔王シャザーン」の日本語版主題歌も懐かしいところ。
円谷プロ製作のテレビドラマ「独身のスキャット('70)」の主題歌も書いている。

バート・バカラックばりの軽快で親しみやすく、しかもシャレた音楽を書く人で、宇野誠一郎とも通じる「はずむメロディ」の持ち主。
聞いているだけで楽しくなる明るい音楽だが、「ど根性ガエル」の主題歌・副主題歌を聞けばわかるように、元気なだけでなく、ちょっとペーソスが入っているところが広瀬音楽の魅力である。
「オバQ」「ど根性」「ガメラ・マーチ」などの歌い出しの、一度聞いたら忘れられないフレーズも実に見事。
'98/5/31


特撮ファンにとっては、名曲「ガメラ・マーチ」の作曲者として燦然と名が輝いています。
この歌の初出は「ガメラ対バイラス」ですが、以後の「対ギロン」「対「ジャイガー」「対ジグラ」(いずれも音楽は菊池俊輔)でも主題歌と使用され、「ガメラ」といえば、この歌を思い出す人がほとんどのはず。
「平成ガメラ」でも復活を望む声が高かったそうです(あの作風ではちと無理)。

「オバQ」「ど根性ガエル」での石川進とのコンビは息もピッタリ。陽性で軽快なリズムの広瀬音楽の魅力が100%発揮された名歌唱ですね。 (猫)'98/5/31



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