彩の国環境創造資金は公害を防止するのか?

 県の補助事業、彩の国環境創造資金」を知っていますか
埼玉県発行の案内パンフレットには、「環境問題に取り組む企業などに資金を長期・低利でお貸しします」と書かれてあります。(この制度の詳細は前回の彩の国環境創造資金(旧公害防止資金)は公害を防止した(する)のか?に報告してありますのでそちらをご覧下さい

そしてこの資金が未だに焼却炉に対して使われようとしていることをご存知でしょうか。焼却炉の数の多さで全国的にも悪名を轟かせ、そして、2月には野菜騒動を引き起こした埼玉県が、未だに、焼却炉を整備するための資金の融資を斡旋しようとしているのです。(しかも農地のすぐそばの焼却炉に対して・・・)世界でも類例を見ない焼却炉密集地域を作り出した埼玉県。過去の施策の失敗を繰り返さないためにするべき事は何なのか、住民と共に考えてほしいと思います。

所沢周辺焼却炉に対しての融資

1、J社(インター周辺)
 現在審査中。改善の許可(県の廃棄物対策課で現在審査中)が出しだい、これまでの審査内容に著しい変更がなければ、融資を認める、としている。

貸付対象施設:焼却炉改善(連続投入、冷却装置、バグフィルター設置)
貸付金額:1億5千万円
貸付利率:年利未定
貸付期間:10年以内
(この他に環境事業団からの融資予定額が3億2850万円)
工事完成後の効果(事業計画書に業者が記載)
 1、焼却物を連続投入することによって炉内の温度を常に800度以上に保つ
 2、冷却設備で200度に保ちその後バグフィルターを通すことによりダイオキシンの発生を3〜1ngTEQ/Nm3に抑える
 3、連続投入、冷却装置、バグフィルターの設置は国の恒久対策必須事項

これまでの操業状態
 農地のすぐ脇にあり、道路を挟んで目の前に民家がある。この民家では、長年J社の煙と灰に悩まされてきた。
 施設内に、ごちゃ混ぜのゴミの山を積み上げ、焼却する。奥に黒く見えるのは、野積みにされた焼却灰の山。この保管状況では、風が吹けば、周辺に灰が飛散する事は明らか。施設のすぐ目の前には、民家があり、周囲は畑が広がる。付近の民家では、家の中に煙が直撃し、煤や灰がたまり、気管支疾患などの健康被害もみられ、甚大な被害を受けている。

県の苦情処理簿によれば、灰が降る、黒煙を出す、煙突から未燃物、灰が降ってくる、廃プラ(許可品目外)を焼却している、など、周辺住民からの苦情が絶えない。

1998.8.27には、県から適正処理についての勧告が出ている。具体的には、

1,廃棄物の保管を許可能力以下とすること
2,燃え殻を適正な保管量及び保管方法とすること
3,焼却施設で処理する廃棄物に混入している廃プラを分別し、許可種類のみを焼却すること

その後の、県の1998.9.22の立ち入り調査結果の記録によると、「燃え殻を搬出中であったが、まだ高さが5m程度ある」とされており、燃え殻の保管状況が極めて悪質。

 所沢市への大気汚染防止法届けでは、処理能力は1時間当たり2500kgと2000kgとされており、県の1時間当たり600kgとする処理能力届け出と大きくくい違う。実際、炉の大きさ、排ガス実測値からすれば、県への届け出では能力の過小評価であることは明らか。

 現在、J社は、バグフィルターなどをつける改善変更許可を申請中であるが、県は、処理能力を過小評価したまま審査するなど、住民として納得できない点が多々ある。焼却炉の専門家に聞いたところ、この大きさの炉で、600kgしか燃やさない、とすれば、800度以上を達成するのは無理、という。

 また最近、暴力団がらみの殺人事件で、死体がこのJ社の焼却炉で焼却されたという。警察では、関与はなかった(気がつかずに焼却された)としているそうだが、管理状況に問題はないのか。

 以上のように、違反を繰り返し、周辺住民の苦情が絶えなかった業者に対し、融資をする県に対して、住民は不信感を募らせるばかりだ。

2、K社(くぬぎ山北)

貸付対象施設:焼却炉新設
貸付金額:1億4千万円
貸付利率:年利1.35%以内(信用保証付きの場合は1.05%以内)信用保証認定
貸付期間:10年以内
申し込み理由の概要:
 現在16t/day,24t/dayの焼却炉2基があるが、平成14年12月1日の改正の基準に合うよう改造することが難しい。そこで、新規に60t/dayの連続炉を設置することにより、許可基準適合を図るものである。

 新設炉ではあるが、既存40t炉から60t/dayへの増加は、都市計画法で規定される都市計画地方審議会にかけられるのも免れるそう。また、昨年6月から義務付けられることとなった生活環境影響調査なども施行前に許可申請をすませたため、免れる。しかし、これ以上、この地域での焼却量が増えるのを見過ごしていいのか。
 焼却炉メーカーは荏原製作所。