彩の国環境創造資金(旧公害防止資金)は公害を防止した(する)のか?

 県の補助事業、彩の国環境創造資金」を知っていますか
埼玉県発行の案内パンフレットには、「環境問題に取り組む企業などに資金を長期・低利でお貸しします」と書かれてあります。これが、どのように使われてきたのか、(特にくぬぎ山で)情報公開請求により確認してみました。

彩の国環境創造資金」の仕組み
貸付対象・・・中小企業が以下の施設の設置や事業の実施に必要とされる経費
 
公害の防止「ばい煙排出抑制施設」、「有害大気汚染物質及び特定物質排出抑制施設」ほか
 青空の創造「低公害車用燃料供給施設」
 地球環境保全「フロン代替、回収、破壊装置」、「省エネルギー設備」、「新エネルギー利用設備」
 生活環境「事業系廃棄物処理施設」、「再生紙原理様促進施設」、「ダイオキシンの自主測定」ほか
 緑の創造「工場などの緑化」、「ビオトープの創造」
条件(99年4月)
貸付限度額・・・1億5千万
貸付利率・・・年1.35%
貸付期間・・・3000万超:10年以内、3000万以内:7年以内
利子補給・・・さらに、零細企業や98年度からはダイオキシン対策としての整備については全てに利子の一部を補助する制度もあり
仕組みと予算
 
大まかな流れは、まず、企業からの申し込みを受け付け、県環境推進課貸付審査会(年12回ほど開催、県の環境各課の課長等で構成)で審査され、認定を行う。貸付が決定されたら、該当銀行に対し、貸し付ける実施額の半額を県が預金する。実際に貸付を行うのは銀行である。預金は毎年年度末に引き上げ、県の予算が実際に使われるわけではない、という。

平成11年度予算は50億。

これまで所沢周辺廃棄物焼却施設設置業者に対してなされた融資
 91〜93年にかけ、くぬぎ山周辺では野焼きが横行していた。その時期にくぬぎ山周辺の6業者に対し、焼却炉設置費用(1社は大規模な改善)が貸付対象として認定されている。

1.A業者(くぬぎ山)194kg/h木くず焼却炉

1993.12.9貸付認定
貸付対象施設:焼却炉設置(写真参照)
貸付金額:4千万円
貸付利率:年利3.0%内
貸付期間:10年以内

申込書に添付された公害の現状
 新規事業、中間処理のための焼却装置にて焼却のため、現状では公害の発生はない(産業廃棄物の収集運搬事業から中間処理施設の設置へ)

審査会の意見
1、廃木材、紙くず以外のものを焼却しないこと
2、年1回ばい煙測定を行い結果を西武環境管理事務所へ報告すること

設置後から現在の状況
 感染性廃棄物及び廃プラの処分をこの炉で行っていた疑いがある。黒煙を発し、灰を積み上げ、廃棄物保管状況は劣悪。再三の指導に従わず、ついに廃炉となった。野焼きをしていた業者に焼却炉を建てるよう指導した結果がこれである。

2、B業者(くぬぎ山北)
1992.1.17貸付認定
貸付対象施設:焼却炉設置(16t/dayを増設)
貸付金額:3千万円
貸付利率:年利5.8%内
貸付期間:10年以内

申込書に添付された公害の現状
 公害なし(建設廃材を収集分別し中間処理を行っている、木くず焼却炉(24t/day)1基設置しているが処理量の増加により焼却炉を増設したい)
大気保全課の意見
1、ばい煙測定を行った場合はその測定結果をその都度大気保全課に提出すること
2、処理施設の維持管理を適切に行うこと
3、焼却量について、適正に管理すること

3、C業者(くぬぎ山北)
1991.3.18貸付認定
貸付対象施設:焼却炉改善工事(8t/day、木くず)
貸付金額:4千万円
貸付利率:年利5.8%内
貸付期間:10年以内

申込書に添付された公害の現状
 炉損傷により黒煙発生。大規模な改善工事

4、D業者(くぬぎ山)
1991.11.29貸付認定
貸付対象施設:焼却炉増設(32t/day、木くず)
貸付金額:4千万円
貸付利率:年利5.8%内
貸付期間:10年以内

申込書に添付された公害の現状
 建設木くずの増量により、既存の焼却炉(16t/day)では対応しきれなくなっているため、新たに焼却炉を設置しようとするもの
大気保全課の意見
 木くず紙くず以外のものは焼却しないこと
 悪臭を発生させないこと
 騒音振動について送風機は規制対象となることが考えられるので事前に町公害担当課の指導を受けること

5、e業者(くぬぎ山)
1992.11.12貸付認定
貸付対象施設:焼却炉設置(14.8t/day、木くず)
貸付金額:4千万円
貸付利率:年利4.1%内
貸付期間:10年以内

申込書に添付された公害の現状(目的)
 現場付近には人家もなく松林であるところ煙突を20mにすれば公害の発生も減少する
認定に際しての意見
1、燃焼管理を十分に行い、ばい煙排出にあたっては法令の排出基準を厳守すること
2、焼却は主として木くず、紙くずとし、プラスチック、ビニルは焼却しないこと
3、悪臭公害を発生させないこと

6、F業者(くぬぎ山)
1993.8.5貸付認定
貸付対象施設:焼却炉設置(24t/day、木くず)
貸付金額:4千万円
貸付利率:年利3.1%内
貸付期間:10年以内

申込書に添付された公害の現状
 簡易型の焼却炉のため野焼きに近く、県から指導を受けた。従って現在撤去し、更地になっている。今回低公害型の焼却炉を設置し処理しようとするものである。

審査会意見
 悪臭公害を発生させないこと

設置後から現在の状況
 97年頃、蓋なしで操業し続け、結局野焼き同然だった。

7、G業者(くぬぎ山)
1997.10.1貸付認定
貸付対象施設:集塵装置設置(5t/day、木くず)
貸付金額:8千5百万円
貸付利率:年利1.35%内
貸付期間:10年以内

申込書に添付された公害の現状
現在設置されている簡易スクラバー老朽化が激しく、排出基準値を超え(1000mg/NG97.3.14測定)たため勧告(97.5.16)を受けている。

工事完成後の効果
 大気汚染防止法など関係法令の規制値を満たしダイオキシン対策としての燃焼管理上の問題を合わせて計画。

工事後・・・県の記録によれば、工事完了後すぐに、住民から臭気の苦情があり、調査をしている。新設スクラバーで温度が低下した事による煙の降下が原因と考えられる、としている。


8、H業者(インター周辺)
1991.貸付認定
貸付対象施設:焼却炉設置(24.5t/day、木くず)
貸付金額:4千万円
貸付利率:年利5.8%内
貸付期間:10年以内

審査会資料に添付された公害の現状
 従来、一般廃棄物の処理を中心としてきたが、市の指導もあり、産業廃棄物(建設木くず)の処理を拡大することとした。これに際し、より処理能力の高い焼却炉を設置することとしたい。

意見など
1、付近住民から苦情があった場合は事業者の責任において解決を図ること
2、木くず紙くず繊維くず動植物整残滓外のものを焼却しないこと
3、ばい煙濃度の測定を年3回以上行い、その測定の結果を所沢市役所に提出すること
4、ばい煙濃度を測定し、下の値を超えるばい煙の排出がある場合はその原因を調べて値以下に収まるように対策を講じること
ばいじん:0.2g/NG、塩化水素;250mg/NG、窒素酸化物:150ppm
5,悪臭を発生させないこと
6、灰出しについて、灰が飛散しないように十分配慮すること
7、騒音振動について、二次公害が発生しないように配慮すること

9、I業者(インター周辺)
1998.7貸付認定
貸付対象施設:燃焼ガス処理施設
貸付金額:5千万円
貸付利率:年利1.35%内
貸付期間:10年以内

審査会資料に添付された申し込み理由の概要
 現在、直燃炉(集塵装置なし)及び熱分解炉(集塵装置有り)を稼働させている。97年の大防法・廃掃法の改正に伴い、興空かされた規制基準に適合するよう炉の改造と集塵装置の拡大を諮ろうとするものである。(バグフィルターの設置)