新明が焼却を断念!

焼却施設廃止届・処分業廃止届だされる!
 5月8日、所沢インター近くの焼却炉設置業者(株)新明が埼玉県知事に焼却施設
の廃止届と産業廃棄物処理業の廃止届を提出しました。これで新明は産廃を焼却する
ことをついに諦めることになりました。
 この数年間、焼却停止を求める公害調停、施設の許可取消を求める行政訴訟、新明
に立ち入っての証拠保全、帳簿不備の廃棄物処理法違反での刑事告発、そして5月2
日には焼却炉工事・操業の差し止め訴訟の提起、というように、住民がねばり強く続
けてきた運動が、ようやく焼却廃止という大きな成果を得ることができました。

 (株)新明の焼却炉は、排ガス処理設備は穴が空いたまま、というひどい状況で、
灰は野積み、煙突からは黒煙、灰・煤塵の飛散、悪臭、等ひどいものでした。周辺で
は新明が操業している間中、灰が降り、大変な迷惑を受け続けていました。
 この新明が、焼却炉を改善して、今後ももここで焼却を続ける許可を県より得て以
来、周辺住民は、なんとかして、この新明の操業を止めたい、と運動を続けてきまし
た。
 公害調停弁護団や埼玉弁護士会有志の若手弁護士の方々の協力を得て、総勢26名
の「新明弁護団」が結成され、様々な法的手段に取り組み、また、行政との交渉を行っ
てきました。
 今回の成果は、手弁当で熱心に取り組んでくれた、「新明弁護団」の力に拠るとこ
ろが大きく、弁護団と住民みんなで勝ち取った大きな成果です。

埼玉県の杜撰な許可
 新明の操業のひどさとと同時に、その操業を許可してきた埼玉県の責任を問うべき
だと住民は考えました。住民は、繰り返し、長年にわたり、新明の操業のひどさを訴
え、許可をしないでほしい、と要望し続けていたのです。灰が降る、といくら言って
も、「どこからの灰か分からない」と応える。穴の空いた焼却炉を放置し、住民の苦
情を聞いても、業者にきちんとした対応をとらない行政に住民は怒りを通り越してあ
きれるばかりでした。
 許可申請書を見ても、巨大な焼却炉を4.8tの処理能力(実際はその5倍以上の能力
がある大きさでした)である、として許可、まさに、業者のいいなりの姿勢でした。
住民の声を全く聞こうとしない姿勢に誰のための行政なのか、考えさせられました。
 新明が焼却炉の廃止届を出したことで、県の許可も無効になります。けれど、何故、
埼玉県はずさんな許可を出したのか、どうしても、私たちには理解できないのです。
そして、その姿勢は、全ての焼却炉に、ごみ山に共通しています。許可のがれの処理
能力の過少申告をそのまま認め、工事を勝手に行っても、後追いで認める。住民が灰
が降る、と言っても、悪臭で頭痛がするのだ、と言っても、「どこからのものかわか
らない」と応え何ら対策をとらない。畑のそばでも、たくさん焼却炉があっても、ひ
どい操業を続けている業者であっても、許可を出し続ける埼玉県。許可をしたあと、
業者がひどい操業をしていても、ごみ山が積み上がっても、これは違反ではないかと
聞いても、迷惑を受け続ける住民の立場に立って、ことを解決しようとしないのは何
故なのでしょうか。

 そして、今尚、新明は収集運搬の許可を得ています。今、新明の敷地内には数mの
ゴミの山が野積みにされていて、悪臭を発生させ、数十羽のカラスが集まって、ゴミ
を周囲に撒き散らし、大量の蠅が発生しています。ゴミを野積みにすることはもうた
くさんです。許可されている内容は、コンテナ保管。耐えかねた住民が県の担当者を
呼びつけて、県の担当者は、重い腰を上げ、新明に対して指導をし始めたそうです。
しかし、ごみ山はいっこうになくなりません。引き続き、このごみ山問題にも取り組
んでゆく予定です。

焼却断念を勝ち取るために尽力いただいた弁護士の方々への弁護士料支払いなどの
ためのカンパの協力をお願いしています。

振込先:郵便振替00190-2-183281「裁判を支える会」宛て

北田新明裁判報告

6月4日、北田商事と(株)新明の許可取消を求める行政訴訟第7回公判が行われま
した。
 新明については、廃業が決定したため、県の許可が無効となり、実質的な勝利を得ました。今回は、廃業の確認のための資料と、これまでの県の指導状況の資料を求めました。また、ごみ山のひどい現状を写真資料として、提出しました。


 北田商事については、「その業務に関し不誠実な行為をするおそれ」があることを
示す遵法能力の欠如の一端として、悪臭を発生させ続けるごみ山を違法状態で放置し
ていること、さらに、その業務に用いている敷地内事務所が都市計画法違反であり、
所沢市から撤去するよう勧告が2度も出され、赤紙添付までされながら、無視し続け
ていること、などを証拠として提出しました。
 埼玉県側はこれらを「軽微な違反であり、おそれ条項にはあたらない」としていま
すが、その「軽微な違反」によって、周辺で長年の間、悪臭に見舞われ、被害を受け
続けている人がいることをどのように考えているのでしょうか。
 埼玉県の主張の書面から見て取れる、あまりの不誠実な態度に、あきれるばかりで
す。
 私たちが問題としている悪臭については、業者に対し、「悪臭を全く発生させない
こと」までも求めているのではなく、「悪臭が発散しないように必要な措置を講ずる
こと」を求めている、そして、人の感じる臭気としての臭気判定により、明らかに悪
臭があると判断されても(所沢市調査結果より)個々の悪臭物質測定により、基準を
超えていないのだから、必要な措置が講じられていると判断している、と応えていま
す。
 また、その保管廃棄物について「性状に変化を生じないうちに搬出すること」とい
う条項が廃棄物処理法に規定されているのですが、北田の長期にわたって山積みにさ
れているごちゃ混ぜの廃棄物は真っ黒に変色し悪臭を発散させ、性状に明らかに変化
が生じており、この条項に違反している、との原告側主張に対し、「ごちゃまぜで保
管されていることは違法ではない」と、ずれた応え。

 このような考え方で指導していたら、何年苦情を訴え続けても、よくなっていくは
ずがありません。ごみ山が放置され、悪臭を発散させ続けても、「よし」とする県の
対応が、数多くのごみ山を生んできたのだ、ということに気が付かされます。

次回公判は、7月16日(月)11時半〜 さいたま地裁105号法廷にて。