所沢ダイオキシン汚染これまでの経緯

くぬぎ山周辺
 くぬぎ山への廃棄物焼却施設密集(産廃14炉一廃2炉)は1991年頃、美しい林の陰に隠れて野焼きを繰り返す2、3の悪質な業者が入ったことが始まりだった。近くに住む主婦があまりのひどさに声を上げ、市や県に苦情を申し立てたところ、県は業者を指導し、簡易小型焼却炉を立てさせた。まだ、全くダイオキシンが世間で騒がれていなかったとはいえ、この指導はあまりにもお粗末だったといえる。その後、煙は減るどころかかえって増え始め、その異臭は林全体を覆うようになった。しかもいったん炉が立つと次から次へと増え始めた。現在半径500m以内に16炉が密集している。(周辺半径2kmに広げると30炉近くになる)
 そして95年摂南大学の宮田先生によって焼却炉密集地帯の土壌と焼却灰の分析調査が行われ、私達を驚かせた高濃度のダイオキシン汚染が明らかにされた。周辺土壌では最高218pg、そして野焼き後の土壌では500pg、廃炉に残され、放置された焼却灰からはなんと4000pgものダイオキシンが検出された(ドイツでは100pg以上の場合、子供の土壌接触を禁止し、児童施設においては土壌の入れ替え、覆土を行う事としている)。県では96年の冬にくぬぎ山周辺地域の大気と土壌のダイオキシン測定を実施した。その結果、大気では最高2.0TEQ-pgという深刻なものだった。さらに、97年には周辺で大気3.0TEQ-pg/G(三芳町調査より)、98年には宮田先生による第2回のくぬぎ山周辺広域調査結果の中間発表があり、土壌で、65〜448TEQ-pg/gという深刻な汚染が報告された。

くぬぎ山だけではない

 ・・インター周辺の焼却炉、保管積み替え施設
 
産業廃棄物処理施設は所沢東部の関越道所沢インター周辺の方にも数多く存在している。こちらの方が歴史が古く、約20年前からぽつぽつ、と建ち始めた。現在許可対象焼却施設は20以上。保管積み替え施設は小さな物から大きな物まで無数にある。各施設にゴミが山積みにされ、異臭を放っている。野焼きや、小型焼却炉等の煙が頻繁にみられる。建設汚泥の不法投棄も心配される。川沿いにある施設も多く、廃水も心配。そんな心配をよそに東京から関越でトラックに満載されたゴミがこれらの施設に頻繁に運ばれてくる。小学校の横に大きなゴミの山。この国の姿勢を反映している。

所沢市清掃工場焼却炉
 ・・・・1万2000ng/Gダイオキシンデータ隠し
 
市民の不安にさらに追い打ちをかけたのが97年に発覚した所沢市西部清掃事業所のダイオキシン測定値12000ng/G(92年度調査)を市や県が隠していた、という一件だ。値もすごいが、それを隠していた行政に対して市民の怒りと不信は増すばかりだ。98年6月には西部清掃事業所の炉(荏原製作所製)は欠陥炉だったのではないか、という市議会の報告書が出ている。現在市の焼却炉のダイオキシン測定結果は0.28〜9.5ng/Gに抑えられているが、どこまで信用できるのか。 
 

子供たちの健康は大丈夫なのか
 周辺では市民団体の調査によって、新生児死亡率、アトピーなどの疾患率が高いといった報告が出ている。県も新生児死亡率については追認する調査結果を出している。

今後の対策・・・
 国の法改正
 
97年には国の方で一般廃棄物焼却炉のダイオキシン高濃度の実態も公開され、それを受けて大防法、廃掃法の政省令改正が公布された。しかし、これらは、未だ不十分な点が多い、というか、殆ど抜け穴だらけで効力は??。

  1. 既設炉に対する規制が甘い(当地域の大半を占める既設小型焼却炉200〜2000kg/hの排出濃度規制値は10ng/NG=ドイツ0.1ngの100倍)
  2. 200kg/h未満の焼却炉については何の規制もない(今、焼却能力198kg/hの焼却炉が売れ筋だと言う)
  3. 年1回の濃度規制で総量規制なし
  4. 焼却灰に対する規制なし
  5. 誰が守らせるの?監視体制の不備
  6. 業者が測っておけばいい、ダイオキシン測定。罰則無し
  7. 抜本的対策なし。補助金出して施設の改善させて、それでいいの?
  8. 焼却を減らす方向なし
  9. 企業責任なし

 ないないづくしのダイオキシン対策。WHOがダイオキシンリスク基準を引き下げ、コプラナーPCBを加えたことで大慌てで再検討を開始しているようだが、これまでの強硬姿勢がどう変わってくるのか、声を大にして見守る必要がある。

 流入規制
 忘れてはならないのは埼玉県が東京のゴミを中間処理しているという点だ。県内で中間処理されている量の半分以上が県外から流入したものだ。東京で発生した大量の廃棄物が持ち込まれ(年間400万t近く)、焼却されている。県では廃棄物流入になんの規制も設けていない(首都圏で流入規制していないのは山梨・埼玉・神奈川のみ)が、この事が中間処理施設が集中してしまう一因となっている。流入規制はかなりのダイオキシン排出抑制の効果を持つと考え、関係各団体で要望してきたが、ようやく土屋知事が流入規制を検討する、と議会で発言し、動き始めたばかりだ(要望書を提出したとき、廃棄物対策課長は埼玉県は首都圏の中間処理を担っている、これは経済原則だと発言した)。今後の県の動向が注目される。