第1回ダイオキシン公害調停期日報告

1998年12月21日の第一次申請から約7ヶ月、待ちに待ったダイオキシン公害調停が7月17日午後1時半より埼玉県庁隣の埼玉県県民健康センターで開催されました。
 この日まで、この公害調停の申請人となった方は4024人。当日は申請人代理人である4人の弁護士(釜井英法氏、佐竹俊之氏、鍛冶伸明氏、秋山 勉氏)をはじめ、申請人101名が出席。これに対し、被申請人側は、埼玉県から環境関係課長・職員等9名と代理人弁護士、及び、被申請人企業25社の関係者や代理人弁護士が出席しました。

 3名の調停委員は、埼玉県の公害審査会から選ばれ、委員長に埼玉県公害審査会会長・弁護士の新井毅俊氏、委員として弁護士の苦田文一氏、埼玉工業大学工学部教授の内山俊一氏があたります。

 調停手続きは非公開であるため、残念ながら、インターネット上では内容について詳しい報告はできません。しかし、調停という、当事者が一堂に会して話し合う場ができたことについて、確かな手応えを感じた第1回でした。今後の調停がどのように進んでいくのか、期待していきたいと思います。

各社新聞記事より
朝日新聞(1999.7.18朝刊)
 
住民実状訴えるー業者・県と初の話し合いー
 
産廃焼却炉が密集する所沢市周辺の住民約4千人が、産廃業者47社と県を相手取り、焼却炉の操業停止や環境調査を求めた公害調停の第1回の話し合いが17日、浦和市で開かれ、住民側が焼却炉の煙と隣り合わせに暮らす実情を訴えた。所沢市周辺の土壌から高濃度のダイオキシンを検出したと発表されてから4年。業者と県、住民の三者が初めて同じテーブルについた。
 調停委員会は県公害審査会会長の新井弁護士等三人で構成される。出席したのは、申請人である住民101人と産廃業者25社の社長や代理人、県担当者の計145人。会議は非公開で、3時間近くに及んだ。県などによると、この日は住民が調停申立の理由を説明した。産廃施設が密集する通称「くぬぎ山」地域の近くにすむ主婦ら3人が焼却炉の煙による生活環境への影響、子供の健康への不安を訴えた。終了後、住民で作る「さいたま西部・ダイオキシン公害調停をすすめる会」の前田俊宣事務局代表は「話し合いはおおむね良好だった。安心して子育てができる環境を早く取り戻したい」と話した。
 産廃業者の一人は、「産廃焼却炉よりも、自治体の清掃工場から大量のダイオキシンが出ている。家庭ゴミの分別が徹底されていないことこそ罪悪だ」などと話した。
 8月6日には、調停委員が現地を視察することも決まった。

読売新聞(1999.7.18朝刊)
 ダイオキシン公害第1回調停
ー子供の健康懸念訴えー
 
住民側「解決への一歩」と評価
 公害調停の第1回調停が17日、浦和市仲町の県民健康センターで開かれた。この日は、代理人4人を含む申請者101人と25社の社長や代理人計34人、それに、県側から県環境政策部の幹部職員等10人が出席。終了後に記者会見した申請者の代表は、「住民と業者、行政が一堂に会し、話し合いの第一歩を踏み出した」と、調停の意義を語った。
 この日は、主に住民側が、3人の調停委員の前で、公害調停を申請した理由と、生活の中で実感している被害や汚染の状況などについて述べた。
 公害調停は非公開が原則であるため、調停委員の意向で、具体的なやりとりは明らかにされなかったが、煙の中での子育ての苦労や、子供の健康についての話も出て、他の母親等が目頭を押さえる場面もあったという。申請者の中核となった「さいたま西部・ダイオキシン公害調停をすすめる会」のメンバーは、この日の調停終了後に記者会見。
 前田俊宣事務局代表は、「日夜悩み続けてきたが、解決に向け第一歩を踏み出した」と顔をほころばせ、22社が欠席したことについても、「日程が合わなかっただけ。話し合いの中で業者に操業を止める決心を促したい」と理解を示した。
 一方、ある業者は調停を終えた後、「住民の言い分は一方的すぎる。我々の焼却灰に含まれるダイオキシン濃度がかなり低いことは、県の調査でも明か」と述べ、「住民が指摘するように土壌のダイオキシン濃度が高いとしたら、住民が出す生活ゴミを長年燃やしてきた市の清掃工場の灰が降り積もったためだ。と、ぶ然とした表情だった。
 調停委員は来月6日に住民らと現地を視察する。