所沢周辺焼却施設による被害状況の概要
所沢市周辺の新生児死亡率の増加、土壌のダイオキシン濃度の増加、喘息・アトピー性皮膚炎の増加、ばいじん、悪臭による被害、と産廃焼却施設の増加とは明らかな相関があり、NOx,HCl,SOx等の数値からも、健康被害・環境被害の原因は明らかに産廃焼却施設の増加にある。また、ダイオキシン汚染は氷山の一角であり、産廃焼却は光化学オキシダント、酸性雨などの原因ともなり、この地域の環境悪化を招いている。
さらに、埼玉県が数多くの焼却施設を認可してきたこと、監督が不十分だったことから、「くぬぎ山・所沢インター周辺」の健康・環境被害について、県と焼却施設設置者等の「共同不法行為」と位置付け、責任を追及していきたい。
くぬぎ山が美しく広大な平地林であった20年前の様子から、1991年頃に野焼きが始まって以来、あっと言う間に環境が汚染されていった経緯
91年頃から野焼きのひどい煤塵と悪臭に反対運動が始まり、94年には県の指導で焼却炉が建ちはじめた。業者も県も「これで臭いも煙もなくなる」と言ったが、事態は全く逆で、汚染は益々進んでいった。呼吸もままならない汚染に耐えかね、空気清浄機を買ったが、フィルターには油煙がこびりつく。95年には摂南大学の宮田教授が現地の土壌を調べ高濃度のダイオキシン汚染が明らかになった。焼却灰が野積みされ、春先の砂埃も怖い。96年の県の環境調査では、アスベスト濃度も高いことがわかった。子供たちが屋外でのびのびと遊べるきれいな空気と土を取り戻したい。
所沢インター周辺では、
所沢で暮らし初めて湿疹、皮膚炎、アレルギー性鼻炎、目の炎症、喘息に苦しめられている住民は多い。こうした健康被害はインター周辺の産廃焼却施設からの煙が原因と考えざるを得ない。インター周辺の東川沿いは周囲より低くなっているために焼却の煙がたまりやすく、この東川沿いに小中学校や老人センターが建っており、健康被害が心配される。焼却の煙がまともに学校を襲う。所沢市教育委員会の調査でも、この地域の子供たちの喘息やアレルギーの発症率が高いことを示しており、こうした状態に子供を放っておくことは絶対にできない。「こんな状態の学校には行かなくていい」とまで、子供には言っている状況。
くぬぎ山風下地域である中新井地区では
宮田教授のデータによれば、中新井地域の児童公園の土壌がドイツの基準なら立入禁止になるような数値を示している。埼玉県がダイオキシン削減検討委員会を設置したり、県外のゴミ流入に対する事前協議制を設けることにした点等、県のダイオキシン対策は評価できるが、これまで認可してしまった業者に対して指導も監督も不十分である。また、類例を見ない焼却施設の密集とその問題性をなぜ予測できなかったのか、また野焼き業者に対して、「彩の国環境創造資金」による低利融資を斡旋し、焼却炉を建てるよう指導し、結果的に現在の焼却施設密集状態を招いたことは厳しく批判されるべき。
所沢周辺のダイオキシン問題に関心を持って海外からやってきた研究者の言葉から、印象に残ったものとして
「所沢市民はなぜこのような状態で子供を通学させているのか」(ドイツの教育関係者)、
「所沢市民は何故地下水の汚染について言及しないのか、重大な問題だ」(「奪われし未来」野共同著者の一人、J.Pマイヤーズ氏)など。