くぬぎ山最大手の焼却炉設置業者石坂産業の許可取消訴訟について
2001.6.8
石坂産業の煙を止める会

 三芳町にある石坂産業はくぬぎ山最大手の産業廃棄物処理業者であり、焼却炉を3基(16t、32t、1.28t)持ち、許可上の焼却処理能力は合計約50t/日です。
昭和60年頃から、野焼きをしていましたが、平成1から3年頃にかけて焼却炉を設置し、以降、周辺住民は、大量の煙による悪臭、降灰、粉塵の飛散、施設からの騒音に苦しめられてきました。

今回、周辺住民152名が原告となって、これ以上の操業許可を認められないと、許可取消訴訟を提起することとなりました。どうぞ応援して下さい。

訴状
 

行政訴訟に至った経緯とその理由
★くぬぎ山の焼却炉密集とその経緯
そもそも、くぬぎ山周辺半径約3kmの焼却炉密集(10業者14炉、一廃焼却炉2炉 計16炉が尚操業中)は、野焼きをしていた業者に対して、埼玉県が焼却炉を設置するよう指導し、公的な融資までしたことが発端となっています。このことが焼却炉の密集をうみ、周辺の環境汚染を招きました。石坂産業の2号焼却炉も、平成3年に埼玉県の「彩の国環境創造資金」による融資を受けて設置されています。また、当時の都市計画地方審議会の議事録によれば、石坂産業の焼却炉操業によって、周辺に被害を及ぼすおそれはないのか、との懸念を示す委員に対し、埼玉県担当者が、きちんとした処理をさせるので、そのような心配はない、と応えています。
ところが、その後、周辺住民が度々、石坂産業から出る大量の煙の悪臭や降灰・粉塵の飛散について、苦情を申し立てても、何ら有効な指導その他の対処をせず、今に至っています。汚染を招き、苦情、被害を放置してきた埼玉県の責任は重大であると住民は考えています。
焼却による有害物質の発生が懸念され、さらに、くぬぎ山の焼却炉密集が異常であることが指摘され、この地域の汚染が社会問題化しました。平成10年12月には、周辺住民4000人が焼却停止を求める公害調停を申請。平成11年には、所沢ダイオキシン汚染報道をきっかけとして、所沢産野菜価格の暴落がおき、周辺の農家は大きな打撃を受けました。
所沢市内の焼却炉が廃炉となる中、くぬぎ山は所沢市外(狭山市、三芳町、川越市)であるため、今尚その多くが操業を続け、特に大手である石坂産業に首都圏の産業廃棄物が大量に流れ込み、その煙、悪臭、粉塵により今尚、周辺住民は被害を受け続けています。
周辺住民は、以上のような経過から、これ以上この地域に焼却の許可を下ろさないよう、要望してきましたが、埼玉県は、これを無視し、去る3月11日に、石坂産業に対し、焼却を今後も続けてよいとする更新の許可を下ろしました。

 先月出された、「テレビ朝日ダイオキシン訴訟」の判決は、原告農家側が敗訴。「農家側の名誉を毀損したが、公共目的の報道であり、主要な部分において事実と認められ、違法性が否定され、不法行為責任を負わない」とされました。
この判決を第一に重く受け止めなければならないのは、ダイオキシン対策を遅らせ、農地のそばに多くの焼却炉を許可してきた埼玉県であると住民は考えています。
埼玉県の次から次へと出す許可、そして監督指導の不履行が、結局は、汚染をうみ、周辺の被害を生みました。 
杜撰な許可をする行政の責任を問い、被害を食い止めるために、許可取消を求める訴訟を提起するに至りました。

石坂産業 許可の経緯
昭和51年 廃棄物処分業許可
平成元年変更許可 
木くず焼却 16t/日、木くず破砕 8t/日 建設廃材破砕320t/日、廃プラ減容1.04t/日
平成3年3月11日 処分業変更許可 
   焼却1号炉 2000kg/h 8時間操業 16t/日
     木くず・紙くず・繊維屑・ゴム屑・動植物性残さ
   焼却2号炉 4000kg/h 8時間操業 32t/日
     木くず・紙くず・繊維屑・ゴム屑・動植物性残さ
   焼却3号炉 160kg/h 8時間操業 1.28t/日
     廃プラスチック、汚泥、廃油、ゴム屑、医療系廃棄物・ガラス屑及び陶磁器屑、廃アルカリ
   廃油バーナー 1,2,3号炉 1m3以内 メタノール他
   中和  11.52m3/日 廃酸、廃アルカリ 
       中和後焼却炉で処理(洗浄塔、冷却塔)
   破砕 廃プラスチック 4.8t/日
      建設廃材   320t/日
      木くず    112t/日
   減容 廃プラスチック 12t/日
平成6年 処分業変更許可 
   破砕 金属くず、ガラス陶磁器屑、建設廃材320t/日 が追加
平成8年3月11日 更新許可 平成3年の許可内容に
平成8年10月9日 ばいじん排出基準超過について勧告
平成9年6月18日 ばい煙発生施設変更届出書
  操業時間8時〜17時 → 8時〜20時に変更
  1号炉 焼却能力 2000kg/h→1400kg/h に変更
       バグフィルター設置
  2号炉 焼却能力 4000kg/h→2600kg/h に変更
平成10年3月26日 無許可埋立処分について違反行為の再発防止の勧告
平成11年3月5日 特定施設使用届出書(1,2,3号炉)
       遅延理由書添付
平成11年3月5日 産業廃棄物処理業変更届出書
  遅延理由書添付 平成9年の改善工事の変更の届出
平成13年3月11日 更新許可 平成8年とほぼ同内容