所沢周辺焼却処理施設が県に提出した処分実績報告書(H9度より)集計結果

(排出者及び施設操業状況まとめ)

1999.7.7 さいたま西部・ダイオキシン公害調停をすすめる会

事務局代表 前田俊宣

1999年3月に、埼玉県が開示することとなった、処分実績報告書に記載されている排出企業情報を当会において集計し、まとめました。これにより、廃棄物の流れを透明化し、排出者責任を明らかにすることを目的としています。また、所沢周辺で安易に焼却処理されている大量の廃棄物を排出する企業に、当地域の環境汚染の実態を知ってもらい、その責任を自覚していただきたいと、考えています。

1、集計対象

 所沢周辺法対象産業廃棄物焼却施設のうち、自社処分施設を除いた25業者(38炉)の処分実績報告書(H9年度)。うち、未提出2社(長島総業、ヤマ商物産)

名称 処分実績報告書 名称 処分実績報告書
石坂産業(株) 加藤商事(株)
(株)クマクラ ヤマ商物産(株) ×
(有)長嶋総業 × (株)大進興業
大生商事(株) (株)新明
(株)山一商事 東明興業(株)
(有)協和産業 (株)大空リサイクルセンター
カザト(株) (株)サニテック
クリーンサービス(株) ミヨシ産業(株)
日栄興産 (株)金龍土木工業
(有)共進産業 美山クリーン(有)
大徳技研工業(株) (有)ナガワ
(有)アーバンリサイクル

2、排出廃棄物量順・順位表(排出者BEST100)別表2

1) 焼却可能種類処理量集計結果(排出者BEST100別表2ー1

 焼却可能種類として、廃プラ、紙、木、繊維、動植物性残さ、ゴム屑を集計し、多量排出者を抽出。

2) 総処理量集計結果(排出者BEST100別表2ー2

 1)に、金属屑、ガラス陶磁器屑、建設廃材、混合物などを加えた、総処理量で、多量排出者を抽出。

3) 多量排出者に対して、公開質問状を送付(添付資料)

3、受入廃棄物種類及び、県集計との比較

当地域で処理される廃棄物総処理量は、約68万t,うち、木屑9万t,廃プラスチック5万t,ガラス陶磁器屑17万t,金属屑8万t,建設廃材17万t,そして混合廃棄物8万6千tだった(別表3)。

廃棄物種類では、埼玉県全体(産業廃棄物処理実績集計報告書H8実績H10.2埼玉県より)と比較して、木屑、金属屑、ガラス陶磁器屑が、県処理量全体の約半分を占め、かなり多いことが分かった。(グラフ注 系列1所沢市周辺処理量 系列2所沢市以外埼玉県処理量)

4,地域別

当地域に持ち込まれる廃棄物の排出者住所より、発生場所別に集計した結果、当地域周辺で処理された廃棄物のうち、所沢市で発生した廃棄物は全体のわずか5%。3市2町(所沢、川越、三芳、大井、狭山)でも、7%だった。埼玉県全体では、26%。68万tのうち、東京都からの流入が44万7千tで、65%を占めた。

5、各施設の処理状況

各施設が報告した焼却量で、各施設の処理能力を超過している施設が25業社中12施設あった(別表5)。

6、まとめ

1多量排出者

多量排出者には、ゼネコン、ハウスメーカー、解体業社が名を連ね、建設系廃棄物が大量に東京から持ち込まれている現状が資料からも裏付けられた。特に、年間1万t以上を委託する上位7社で、当地域総処理量の約28%を占め、多量排出者の責任は大きい。今後、これらの企業の廃棄物処理責任を問う必要がある。

2、処理能力超過施設について

各業者が焼却したと報告した処理量からも、処理能力(日量×年間300日稼働として計算)を超過している施設が多く見られた。届け出処理能力を遵守することは、法律で定められており、これらが守られていないことによる周辺環境への汚染の影響は甚大。受け入れ超過により、日夜を問わず煙を出し続け、施設内にゴミや焼却灰の山を積み上げる操業実態がある。

また、処理能力を過小に届け出していると思われる施設もいくつかある。

3、所沢市(3市2町)で流入規制を

 処理される廃棄物の大半が東京から持ち込まれたもので、所沢市で発生した廃棄物はわずか5%だった(3市2町で7%)。住民は、これ以上、他地域のごみを受け入れ、環境が汚染されることを許容することはできない。所沢市でも、早急に流入規制を実施し、押し寄せるゴミを拒否する姿勢を示すべき。