Metallica
これだけの存在になったのだから、よもや知らないモノは居るまい。全てのマテリアルを網羅している訳ではないが、まぁ充分だろう。
KILL'EM ALL 1. Hit the lights James Hetfield(vo,g) |
全てはこのアルバムから始まった。当時どこにでも転がっていそうな安直なジャケット、良いとは言えないsound production、やたらと目に付く攻撃的な詞、所々に見られるミス。それでもこのバンドのシーンへの登場は、σ(^^)には衝撃的だった。裏ジャケットに入っていた"Bang That Head That Doesn't Bang"のフレーズ、「血染めのハンマー」等というカッコ悪い邦題を今でもはっきりと思い出せる。当時は明らかにとるに足らない存在のバンドだったが、この1stアルバムでメンバが持つポテンシャルの片鱗を見てとることが出来る。アルバム・リリースまではメンバが流動的であったが、何とかクレジットされているラインナップに落ち着き活動を始める。初期のMetallicaには現MegadethのDave Mustaine(vo,g)が居たが、James Hetfield(vo,g)と折り合いが悪く首にされたことはあまりに有名。
リフやリードが速かったのはもちろん、曲も複雑で荒々しい。1のHit the lightsからいきなり飛ばす。これは初期の名曲だ。他にもある。The four horsemen、Moterbreath、Whiplash、Seek & destroy等も人気が高く、ライブでは必ずプレイしていた。技術的にはまだまだ未熟で、特にギターでそれが顕著。それでもこのバンドがシーンに受け入れられたのはおそらくそれまでに存在していなかった楽曲形態だったからだろう。何せこの頃といえば、まだThrash Metalなる言葉があったかどうかすら怪しい。同様の道を歩んでいたバンドは他にも居たが、現実にそれを成功させていたバンドとしてはMetallicaが最初と言えるだろうか。
1、3、7、10は速い曲。1はMetallicaが初めて世に送り出した曲。ギターもこの当時としては破格の速さだろう。どちらかというとパターンに見事にはまった曲。2はメンバ4人を騎士になぞらえた内容。単調ではあるがちょっと変わったリフが特徴だろうか。リフは普通だがリードはかなり速い。3はいかにもアメリカらしい発想の内容。この曲は別のバンドによってカバーもされている。4はシングルもリリースされた曲で、この曲も後半掻きむしるような速いリードがある。5はCliff Burton(b)のペンによる、ワウを多用したベースが印象的なinstrumental。6は人気曲の1つで、バンドの決意表明を表していることから当時はanthemとなっていた。今となっては特別速いとは思わないが、それでもリフは割とスピーディーに刻まれる。7はイントロの効果がちょっと印象的な曲。この曲もスピーディに進み、electric以外のパートによる展開部もあって面白い。8は目立たない地味な曲。前半は普通のテンポで進むが、後半は打って変わって速くなる。9も人気曲の1つでリードは展開部にあるが、1のように細切れで何度も掻きむしる使われ方で速さも充分にある。10も速い曲で、何と言ってもイントロの入り方とリフがカッコイイ。カッティングがまだ未熟だがそれでも充分にThrash Metalの醍醐味を味わえる。
RIDE THE LIGHTNING 1. Fight fire with fire James Hetfield(vo,g) |
突然にして成長を見せつけられた2ndアルバムがこれだった。最初に世に送り出されたアルバムが突っ走ることを信条とした内容だっただけに、当時驚いたold thrasherも多かったことだろう。太くて冷たいサウンド、湿ったメロディ等、明らかにヨーロッパに近づいていった内容になっている。1のFight fire with fireは速い曲だが、3、4はこれまでとは打って変わってスローな曲。残りの曲もミディアム・テンポだろうか。技術的にも向上している。完成度は高い。もちろん思い入れが強いせいも当然あるだろうと思うが、今でもこの作品がMetallicaの最高傑作だと信じて疑わない。
詩の世界は全8曲全てに共通して死を扱っている。核、処刑、化学、神話、恐怖世界等と様々なジャンルを扱っているが何れもテーマは死だ。詩における主人公は弱い立場が多く、緊張、焦燥、絶望、恐怖等が渦巻く精神世界の描写が多い。ジャケットの出来もなかなか良い。画面からはおそらく伝わりにくいと思うが、明るさの異なる青を何色も使っていて深い。このアルバムではバンド名のロゴタイプに立体的なモノが使われているが、個人的には平面的なデザインであるもう一方のモノよりもこちらの方が気に入っている。
1、5は速い曲。4はMetallica初のバラード。1はイントロがacousticで、そこから突っ走る本編に突入するというThrash Metalの黄金パターンを築いた、アルバム中で最も速いナンバー。Larsのバスドラのキックがほぼ全編通して速い。核がテーマ。2はイントロのハモリが印象的なミドル・テンポの曲と言っていいと思うが、抒情的なリードで徐々に盛り上がっていく。処刑囚が主人公。3は同名の映画をモチーフにした重厚な曲(邦題は誰がために鐘は鳴る)。ソロパートはないが、曲の所々でシンプルだが聴かせるギターがある。4はMetallicaの新境地、バラード曲。前半はelectricパートなしで進むが後半はJames Hetfield(vo,g)のカッティングの冴えたリズムがあり、更に美しいソロが重なって盛り上がる。生きる気力を失った人間が主人公。5はあまり取り上げられることのない曲だが、1の次に速い曲。ソロは短めだが曲のあちこちで鋭く切り込んでくる。テクノロジーによる死がテーマ。6も殆ど取り上げられない曲。コンパクトにまとまったそれほど悪くない曲だと思うが「短くしようとして失敗した曲がある」と当時のメンバから発言があり、それがこの曲を指していることは周知の事実。7はミドル・テンポだが、このアルバムを代表する曲の1つ。中間部に入るとライブでは必ずDie, Dieという合唱が起こっていた。左右のチャンネルを使い分けるといったこともやっている。古代エジプトの神話がモチーフ。8は抒情的なギターで始まるdramaticなinstrumental。ここではCliff Burton(b)によるワウが聴ける。リフの構築による曲作りがなされたナンバー。
MASTER OF PUPPETS 1. Battery James Hetfield(vo,g) |
このアルバムでHMシーンの中においてもその名が知れ渡るようになっただろうか。サウンドは前作からはまた変わってドライになった。楽曲も更に磨きがかかった。1、2、4、5、7、8と人気曲が多いが、中でもMetallicaのファンにとって1のBatteryは名曲ではなくanthemだ。スピーディにプレイしながらもリフはきっちりと刻まれている。カッティングの切れ味も良い。複雑さも相変わらず。速さも同居している。なおかつスローパートもある。静と動を巧みに織り交ぜたアルバム。前作リリース後にMetallicaは当時としては異例のメジャー・レーベルとのサインを得た。本作がそのメジャー・レーベルからのリリース第一号となる。sound productionも格段に良くなっている。特に7のinstrumentalは幾重にもオーヴァーダビングされ、すばらしいギターが聴ける。
しかし絶頂期に入ろうかという矢先にバンドを不幸が襲った。バンドに音楽的バックボーンをもたらしたとされるCliff Burton(b)が、ヨーロッパをサーキット中に移動用バスのスリップ事故により死亡。Metallicaはバンドの命となる、曲作りのペンを失ってしまった。折しもファンが長らく渇望していた初来日公演が間もなくという時であった。Cliffは日本でMetallicaを待っていたファンにとうとう一度もパフォーマンスを見せることなく、他界してしまった。
1、5、8は速い曲。4はバラード。1はこのアルバムを代表する曲で、イントロからいきなり聴くモノを魅了する。James Hetfield(vo,g)のカッティングによるリフが冴える。Lars Ulrich(dr)のリズムも変幻自在で良い。この曲の良さはおそらくHMを聴かない人間でも判るだろう。Batteryは力の源を象徴するキーワードとして選ばれたのだろうか。バンドとファンのつながりをテーマにしたanthemだ。2は8分に及ぶ長い曲だが、これもアルバムを代表する曲。複雑なリフで構成した曲だが、展開部では静寂をたたえたギターが聴ける。ドラッグがテーマ。3は前作の8と同様に恐怖世界を描いたモノ。スロー・テンポだが、ずっしりとしたリフの重厚な曲。Kirk Hammett(g)のリードも摩訶不思議なフレーズを奏でる。4はしっとりと始まるバラード曲。アメリカらしい乾いたギター・サウンドがよく合う。前半はつとめてスローに徹し後半は躍動感を生む、静と動を巧みに使い分けた曲。狂気がテーマ。5も1同様に攻撃的なリフ・ワークが聴ける速い曲。冒頭からいきなりリフで攻めてくる。たたみかけるという表現が良いだろうか。戦争がテーマ。6は通常ライブのセットリストには組み込まれることのない曲だが、曲自体や曲の構成がユニーク。実は回数は少ないがライブでプレイされたこともある。後半は鋭いリフ・ワークがたたみかける。7はムーディなinstrumental。細かいギター・ワークといい、リフの展開といい非常に良い出来だ。8もリフがスピーディに刻まれる攻撃的で速い曲。この曲でも鋭いカッティングが冴えている。Kirkのソロも突っ走る。
...AND JUSTICE FOR ALL 1. Blackened James Hetfield(vo,g) |
おそらく複雑な曲がもっとも多いアルバム。詩の作りに重きが置かれているアルバムとも言えるだろうか。サウンドは前作から一転してラフな作りで、ライブ感覚を引き起こすかもしれない。1や10は速い曲と言えるだろうか。しかし大半の曲はそうではない。曲の作りはギター、ベース、ドラム、どれをとっても複雑なことこの上ない。聴き手に高度な集中力を要求するアルバムだ。クレジットから判る通り、本作からJason Newsted(b)が参加している。前作のツアー中に起きたCliff Burton(b)死亡事故後の初来日公演時には既にJasonが新ベーシストの座に収まっていた。8のinstrumentalでは亡きCliffが曲作りのマテリアルとして書き残したと伝え聞く、短いフレーズの言葉が入っている。個人的にはそれほどの思い入れはないアルバムだが、それでも中には好きな曲がある。詩からはかなりのことを読みとることができ、密度は相当高い。詩にはかなりの力点が置かれているようだ。形態は違うがコンセプト・アルバムという表現をしても良いかもしれない。内容の方はかなり重い。ジャケットの方は、秩序や平等をもたらすはずの女神像が力により傾き、天秤も金により傾いている。法や正義の崩壊を描いていると言えるだろうか。全体的に陰鬱な雰囲気が支配している気がする。
1、9は速い曲。4はバラード。1は核をテーマとした、アルバム中で唯一Jasonがコンポーズに携わった曲。この曲に限らずこのアルバムの曲はどれもそうだが、Lars Ulrich(dr)のドラムが複雑怪奇で凡人にはとても真似の出来る内容ではない。テクニカル面では最高の部類に入るだろう。2は法をテーマとしているミドル・テンポのナンバー。複雑なリフで構成された濃い内容の曲。Kirk Hammett(g)のギターは相変わらず線の細い乾いたサウンドだが自由奔放。3もややゆっくり目のミドル・テンポのナンバー。Larsのドラムは相変わらず凄い。James Hetfield(vo,g)のヴォーカルはverseでは淡々と歌っているがbridgeやchorus部では若干groove感がある。Kirkのギターはシンプルなハーモニーと摩訶不思議なフレージングの両方がある。4は「ジョニーは戦場へ行った」をモチーフにしたバラード。静かに始まる曲だが、後半はLarsのドラムが炸裂する。この曲ではKirkのギターはシンプルであることに徹しているようだ。5も最初から複雑な始まり方をする曲。このアルバム中では割と軽快な印象を与える曲と言えるだろうか。この曲でもKirkのギターは判りやすいフレージングと摩訶不思議なフレージングを織り交ぜている。6はタイトルからも想像がつく通り重苦しい雰囲気の重厚な曲。詩でもそのものズバリな言葉が使われているが、幼児殺害の事件をモチーフとしている。7はKirkのギターが多めのミドル・テンポの曲。初めはそうでもないが、やはり後半複雑になる。8は9分を超えるinstrumental。コンポーザとして亡きCliffの名がクレジットされている。前述した通り、途中でCliffが残した短いフレーズの言葉がつぶやきのように入っている。冷たくはないがもの悲しいギターが続く。9はこのアルバム中では数少ないスピーディな曲。ここでもやはりLarsのドラムが壮絶だ。また曲の構成も複雑で何度も何度も聞き直さないととても覚えきれない。誤った教育をされる子供が主人公。10はDiamondHeadのカバー。小気味よいリフが印象的なスピーディに展開する曲。
METALLICA 1. Enter sandman James Hetfield(vo,g) |
通称ブラック・アルバムと呼ばれる5作目。あまりにも多くを詰め込みすぎた前作とは打って変わってシンプルに構成されたアルバム。記録的なセールスにより怪物アルバムとなった。従来の完璧を期す作りとは違いオープンになった。またオーケストレーションの導入といった新機軸もある。James Hetfield(vo,g)もかなり歌うようになった。Jason Newsted(b)が本格的にコンポーズに携わるようになったのはこのアルバムから。ロックのgroove感が増した作りになっている。HMを聴かない人でも充分に聴けるだろう。曲構成も今までのような長くなる傾向は影を潜めた。全編通してミドルやスロー・テンポの曲が全てで速い曲はない。前作と違い明るい雰囲気を持っている。詩の世界でも特定のテーマに沿うということはなく、様々なことを題材にしているようだ。かつてのMetallicaではあり得なかったラブ・ソングまでもがある。他にもお伽噺やSFをモチーフにしたモノもある。このアルバムも個人的には昔ほどの思い入れはないが、Metallicaというバンド名でリリースしたことを除けば内容は悪くない。
1はこのアルバムのオープニングを飾る人気曲。この1曲目からしていきなりJamesの歌い方が変化していることに気づく。2はヘヴィなリフが印象的な曲。ずっしりとした曲だが、ヴォーカルは割と伸びやかと言えるだろうか。3は軽快なミドル・テンポの曲。この曲ではJamesはパワフルに声をぶつけてくる。Metallicaが忘れて久しい怒りを露わにした曲。4はヴォーカリストとしてJamesが新境地を歩んだ曲。情感豊かに歌うJamesのヴォーカルが聴ける。5はシングルにもなった重厚な雰囲気を持ちながらも耳によく馴染む佳曲。6は数ある人気曲に挟まれてイマイチぱっとしない印象。この曲も若干軽快な印象を与えるだろうか。7はこのアルバム中では比較的攻撃的な曲。リフも極めてシンプルだが力を感じる。曲名にもなっているchorus部のキーワードも力強く響く。8はMetallica初のラブ・ソング。オーケストレーションが美しいバラードだ。ここでも4同様にJamesが情感豊かに歌っている。chorus部もシンプルで覚えやすく、盛り上がる。9はどことなく明るい曲。とらえようによってはのどかと言えるかもしれない。この曲もリフが軽快な印象を与える。詩の内容もまた然り。10はJasonのベースをフィーチャして始まる力強い曲。明るい曲調というわけではないが、しかしヘヴィなリフは悪くない。11はこのアルバムでは最も沈んだ暗い雰囲気の曲。重厚なサウンドが支配し、終始一貫して悲壮感が漂う。しかしJasonのベースが非常に良い、ムーディな曲だ。12は割とスピーディに展開する曲と言えるだろうか。リフも小気味よく刻まれる。しかしchorus部では一転してgroove感がある。13はカバー曲で、オリジナルはAnti Nowhere League in 1981。
Load 1. Ain't my bitch James Hetfield(vo,g) |
とうとうHMの枠をも超えてしまった作品。新しいファンを開拓したのと同時にold thrasherは完全に離れてしまっただろう。クオリティは別に申し分ないし、曲の出来自体も決して劣っているとは思わない。問題はMetallicaがリリースしたアルバムということだろうか。やはり古くからのファンは少なからず落胆したことだろう。新しいファンはむしろ喜んでいるようだ。貪欲に様々な要素を取り込んだ作品だ。σ(^^)は、とあるロック・バンドの作品として聴いている。そう思って聴けば決して悪くない。悪くないどころかかなり良い出来だ。James Hetfield(vo,g)、Lars Ulrich(dr)の2人と、Kirk Hammett(g)、及び4thアルバムから新規参入したJason Newsted(b)との間での軋み、特にJamesとの間にあった曲作りの姿勢に関するしこりがなくなったとのことだが、それにしてはJasonの名がクレジットされた曲が1つも見あたらない。またKirkの方の問題は技術的な面でのことで、弱点を克服するべく努力が昔からなされていた。従来は、加入当初よりKirkのギターに弱点があることを見てとったJamesがそれをカバーしてきた。昔のMetallicaでは速い曲をプレイしていたためにそれが目立たなかったが様々なテンポ、曲調を扱うようになるに従って徐々にそれが露見するようになってしまったというわけだ。sound productionは極めて良い。全体的にHMと言うよりはロック色が強い。たまに聴くと良いアルバムだろうか。ジャケットから判るように、このアルバムからMetallicaはバンドのロゴを変えた。
1はgroove感も味わえるが、どちらかというと軽快な曲調だろうか。Jamesのヴォーカルもロックでの歌い方に近づいたと言えるだろうか。リフは重いサウンドだが柔らかさがある。この曲は割と気に入っている。2はルーズさをフィーチャした曲。Jamesのヴォーカルもそれを意識してか、タメを効かせて引っ張る。Kirkのギターによるソロ・パートも当然あるが、どちらかというとJamesのリフに溶け込むようなライン取りがメインだ。脇役に徹したギターという感じだろうか。3はヘヴィなイントロで始まるスロー曲。重厚なギターに合わせてヴォーカル・ラインもロー・トーンでうねりを効かせており、力強い。ここでもKirkのギターはリフを装飾するかのようなライン取りで目立たないが、ソロ・パートはサウンド、フレージング共に聴いていて面白い。4は静かにしっとりと始まるムーディな曲。verseでは静かに歌うが、chorus部はJamesのギターも重なり力強い。verse部は聴いていて60年代を思い起こさせる。5はJasonのベースをフィーチャして始まるナンバー。Jamesのヴォーカルは相変わらず力強く、トーンの使い分けもしている。Kirkのギターも短めではあるが悪くない。Kirkのソロ・パート後にJasonのベースもよく聞こえてくる。この曲も割と気に入っている。6はゆっくりと始まるが徐々にテンポとヴォルテージを上げていき、後半はJamesのヘヴィなギターで盛り上がる。イントロがバラード曲を思い起こさせるが実際には違う。7は前半は淡々とした調子でJamesが歌う。Jamesらしいリフも殆ど聴かれない。途中からやや高めのキーで歌い、この辺からやっとギターが顔を出す。8はLarsのスネアとJamesのヴォーカル主体で始まる。他の曲に比べてJasonのベースも聞き取りやすいだろうか。リズム主体の曲と言えるかもしれない。9はイントロのギターが印象的な曲。8と同様にLarsのドラムが引っ張る、リズム主体の曲だろうか。10は軽快なリズム感のある曲。この曲はロックとしても聴けるがHMとしても聴ける曲だろう。曲がちょっと短めなのが残念だ。11はacoustic。Jamesは語るような歌い方をしている。どこかで聴いたことのありそうな、何かの映画音楽のようにも聞こえる。12もJasonのベースがよく耳に響くイントロで始まる曲。Jamesの引きずるような重いリフが特徴だろうか。他と比べて若干Jamesらしいリフが楽しめる。13はロック色の強いギター主体の曲で、ロックらしくルーズに展開する。ロックから入ってきたファンにはきっとアピールすることだろう。14はJasonのベースが非常に良く、目立ちはしないがしっかりと聴かせてくれる。ベースを楽しみたい人にはこの曲が良いだろう。
Reload 1. Fuel James Hetfield(vo,g) |
元々は前作Loadと本作Reloadに収録の曲は全て同じ時期に作られたモノで、当初2枚組として1つのアルバムに全て収録するともりだったが、断念してLoadとReloadの2回に分けてリリースすることとなった。収録曲の雰囲気はLoadとReloadとでちょっと異なるようだ。ひょっとすると曲を2つに分類してLoadとReloadに分けたのかもしれない。前作LoadではJason Newsted(b)の名がクレジットされた曲が1つもなかったが本作にはある。しかしそれにしてもたったの1曲だけだ。昔からギター・レッスンを受けてきたKirkだが、このアルバムではその影響が色濃く出た結果となっているように思う。また本作では女性ヴォーカルをフィーチャしている曲がある。これもまた新機軸と言えるだろうか。Loadと同様にJames Hetfield(vo,g)の歌い方もかつてのアルバムのようなテンションの張りつめられたモノではなくなっている。前作同様にsound productionは極めて良好で、これもまた前作同様にロック色が強い。Loadの時もそうだったのだが、個人的にはしょっちゅう聴きたいと思えるアルバムではない。たまに聴くと新鮮で良い、という感じだろうか。
1はJamesのヴォーカルがいきなり切り込んでくる、軽快な印象の曲。最近のMetallicaからは珍しく、Lars Ulrich(dr)のドラムを堪能できる。Kirkのギターも勢いがあり、明るい雰囲気の曲だ。2は最初にシングル・カットされた曲で、重くうなるようにJamesが歌う。この曲では女性ヴォーカルをフィーチャしている。アイルランドに在住のマリアンヌ・フェイスフルの声なのだそうだ。ハスキーな声だが、曲のテーマ、モチーフには良く合っている。3はgroove感が色濃く漂う曲。ヴォーカルが低く響き、ギターの使い方が面白い。4はタイトル通り、5作目のブラック・アルバムに収録されたThe unforgivenのパート2となっている。元々は特に意識していなかったが、出来てみたらThe unforgivenそっくりになっていたとのことで偶然の産物のようだ。Jamesはこの曲でも感情を表に出して歌っている。5は軽快なリズムで進む曲で、明るさがある。Kirkのギターもかなりフィーチャされており、聴き応えがあるだろうか。6はJamesのヴォーカルに所々施された効果がちょっと面白い曲。リフやKirkのギターも割と聴けて、気に入っている。7は再びギターがルーズに聴かせる曲。ヴォーカルも後ろに引っ張るような歌い方だ。それはKirkのギターにも表れているだろうか。8もロック色が強く、軽快なリズムが刻まれる。Jamesのヴォーカルも、歌い方やトーンの回し方が面白い。効果も使われている。Larsのドラムも楽しめる。9はイントロの落ち着いていながらもちょっと摩訶不思議なギターが印象的な曲。イントロから一転して力強いリフが入ってくる。chorus部でのJamesのヴォーカルに効果が使われている。どことなく浮遊感のある感じで面白い。10も明るい雰囲気が支配する軽快なリズムの曲だ。弾むヴォーカルと表現すれば良いのだろうか。Jamesの声もリズムと共に飛び跳ねる。Kirkのギターも同様で自由奔放だ。11はアイリッシュ調のちょっと異色作だろうか。民族音楽のような作りになっている。イントロでは、この曲調にJamesの声はちょっとどうかとも思ったが実際に聴いてみるとそう違和感はない。12もノリを重視したと思われる軽快なテンポの曲だ。Jamesのヴォーカルもその辺をよく心得ており、明るい雰囲気の曲。13はLarsのスネアが目立つ、ゆっくり目で進む曲。Jamesのヴォーカルは所により低くうなるように、所により高めのキーで引っ張るようにと声を使い分けている。
JUMP IN THE FIRE 1. Jump in the fire James Hetfield(vo,g) |
1stアルバムKill'em Allからのシングル。1のJump in the fireはアルバム収録曲そのままなので割愛。2と3はライブテイクとなっている。どちらもその時のバンド状況を反映してかsound productionは非常に悪いのだが、現在のMetallicaにはないaggressiveさがこのライブテイクからはうかがえる。技術的な未熟さが所々に見られるがやはりこの頃のMetallicaのライブを聴けるのはなかなか貴重だ。
CREEPING DEATH 1. Creeping death James Hetfield(vo,g) |
2ndアルバムRide The Lightningからのシングル。ジャケット下部に無粋なプリントが入ってしまっているが当時のレコードによるリリース時には無かったもので、CDでの再発時に入れられてしまったようだ。このアルバムの裏ジャケットにはGARAGE DAYS REVISITEDというキーワードが入っている。これが後にリリースされることとなるTHE $5.98 E.P. GARAGE DAYS RE-REVISITEDのタイトルにあるRE-REVISITEDの1つ前ということになる。1のCreeping deathはアルバム収録曲そのままなので割愛。2と3はどちらもカバー。2のAm I evil?は長めの曲で7分を越える。イントロが非常に長く、また前半はかなりゆったりとしたペースだが後半になると一転してテンポをあげる。James Hetfield(vo,g)が刻むリフはなかなか切れ味があって良い。この曲は3rdアルバムMaster of Puppetsリリース後のDamage, Inc.ツアー時にもセットリストに組み込まれ、曲前半のスローペースの部分だけがプレイされていた。スローパートをプレイし終わるとそのまま続けてDamage, Inc.になだれ込む、という具合だ。3のBlitzkriegは小気味よいリフが楽しめる曲だ。曲の一番最後にはお約束(?)のJamesのゲップが入っている。
THE $5.98 E.P. GARAGE DAYS RE-REVISITED 1. Helpless James Hetfield(vo,g) |
3rdアルバムMaster of Puppetsと4thアルバム...and Justice for Allの間にリリースされた、カバー曲ばかりで構成されたミニ・アルバム。今でこそtributeだとか、カバー曲だけを集めてリリースされるアルバムも珍しくはないが、当時はカバー曲だけでアルバムをリリースすることは結構画期的なことだったように記憶している。この頃はMetallicaが大躍進を始めていた頃で、正に飛ぶ鳥を落とす勢いだった。そんな中でまたもMetallicaがやってくれた、として当時はσ(^^)を含めMetallicaファンは喜んでいたものだ。アルバム・タイトルにあるgarage daysとはMetallicaがバンドとして本格的な活動を始める前、アルバム・デビュー以前のことを言い表している。また、このアルバム制作時には既にJason Newsted(b)が加入している。Jasonのベースが聴くことが出来るのはこのアルバムからとなる。丁度良いことにジャケットにメンバが写っているのでニュー・ラインナップを紹介しておこう。左からJason、Kirk Hammett(g)、Lars Ulrich(dr)、James Hetfield(vo,g)だ。
1はDiamondHead、2はHolocaust、3はKilling Joke、4はBudgie、5はMisfitsがオリジナル。1のDiamondHeadの名はMetallicaファンなら知っているであろう、UKのNWOBHMの流れを組むバンド。Metallicaに、特にLarsには多大な影響を与えた存在。Jamesが刻むリフの冴えはこのアルバムでも相変わらず。結構スピーディなプレイで、アルバムの最初を飾るには良い。2はスコットランド出身のHolocaustというバンドのモノ。重厚なリフで重苦しい曲。Jasonのベースも聴かせてくれる。しかし後半は少しテンポを上げる。それでも重厚さは相変わらず。3はUKのニュー・ウェーヴ、Killing Jokeがオリジナル。イントロのリフがソリッドで良い。これは重い曲ではないが暗い曲。Jamesのヴォーカルは微妙な差のトーンもちゃんと再現しており、お遊び的な要素の強いこのアルバムでもちゃんと心得ているようだ。4もUKのベテラン・バンド、Budgieによる曲。リフがシンプルで判りやすい曲。Jasonのベースが一番光る曲と言えるだろうか。覚え易さもあってか、耳に馴染みやすい曲。5はメドレーとなっているが、どちらもアメリカはMisfitsの曲。Last caressはライブでもよく選曲される。短いが小気味よいリフ、ヴォーカル・ラインが印象的な曲。Jasonのベース・ラインも良い。続いてなだれ込むGreen Hellはスピーディな曲。これも短い曲だが迫力あるプレイを聴かせてくれる。
ONE 1. One James Hetfield(vo,g) |
4thアルバム...and Justice for Allの後にリリースされたミニ・アルバムだ。収録されている内容がかなり面白い。曲名のクレジットを見てすぐに気づくと思うが、Oneが2つ収録されている。片方は通常のアルバム収録のバージョンだがもう一方はデモ段階のモノ、つまり未完成な状態のOneだ。またメジャー・レーベル移籍後としては初のライブ音源も収録されている。実にMetallicaファンのマニア心を擽るミニ・アルバムだ。しかしこの当初既にKirk Hammett(g)のギターに見られる弱点が克明に浮き彫りになっていたように思う。収録されているライブ音源からもそれは明らかだ。
1は4thアルバム...and Justice for Allの収録曲。2はUKのBudgieのカバー。3と4はテキサス州ダラスでの模様を収録したライブ・テイク。5は1の未完成デモ・バージョン。1のOneはアルバム収録のモノそのままなので割愛。2はBudgieのカバーでHarvester of Sorrowのシングルに収録されていたモノ。Jasonのうなりのあるベースが聴ける。判りやすくて印象的なリフ。UKテーストが好きな人なら聴ける曲だ。途中の展開部でもシンプルなギターで聴かせてくれる。3は2ndアルバムRide The Lightning収録曲のライブ・テイク。ミドル・テンポの重厚な曲なのだが、ライブならではのアレンジもなされておりヴォルテージを下げることなくプレイされている。4は3rdアルバムMaster of Puppets収録のバラード曲のライブ・テイク。前半のスロー・パートは力強く、後半は躍動感あるプレイが楽しめる。3と4共にKirkのギターが不安定で残念だ。5は1と同じ曲だが、まだデモ・テープ段階のモノで未完成な状態を収録した異色作。デモ・テープからのモノなので当然ながらサウンドも悪く、詩もまだ決定していなかったらしく後半は「ナ〜ナナナナ〜ナ〜ナ〜ナ〜」となっている箇所がある。Kirkのギターもアルバムに収録のモノとは異なっている部分がかなり多い。アルバム収録の完成されたバージョンと聴き比べてみるのも面白いだろう。
WHEREVER I MAY ROAM 1. Wherever I may roam James Hetfield(vo,g) |
これは5thアルバムであるMetallica、通称ブラック・アルバムの後にリリースされたミニ・アルバム。ブラック・アルバム収録の曲が1曲ある以外は全てライブ音源。ライブ・テイクはロシアはモスクワでのモノだそうだ。やはり聴き所はLast caress〜Am I evil?〜Batteryと続くライブ・テイクだろう。昔に比べてヴォルテージが下がってしまったとはいえ、それでもBatteryをライブ音源で聴けるというのは昔からのMetallicaファンなら涙が出るほど嬉しいだろう。それにしてもライブ・テイクでオーディエンスの反応が寂しいのはどうしたことだろうか。
1は5thアルバムMetallicaに収録のモノ。2は2ndアルバムRide The Lightning収録のバラード曲のライブ・テイク。3はメドレーのライブ・テイクとなっており、Last caressはThe $5.98 E.P. Garage Days Re-revisitedにも収録されたアメリカはMisfitsのカバー、Am I evil?は2ndアルバムRide The LightningからのシングルCreeping Deathに収録されていたUKのDiamondHeadのカバー、3はご存じ3rdアルバムMaster of Puppetsの収録曲。1のWherever I may roamはアルバム収録のモノそのままなので割愛。2は2ndアルバムRide The Lightningに収録されたMetallica初のバラードだが、イントロのKirk Hammett(g)によるソロ・パートは残念ながら酷い出来と言わざるを得ない。しかしそれ以外においては全く問題ない。James Hetfield(vo,g)のヴォーカルも歌うところは歌い、盛り上げる所は盛り上げる。アレンジもなされている。3はメドレーのライブ・テイク。Last caressはThe $5.98 E.P. Garage Days Re-revisitedの時にも選曲されていたモノでMisfitsのカバー。わずかな時間だがJamesのヴォーカルも綺麗に決まっている。また軽快なテンポも全く損なわれておらず、良い出来だ。Am I evil?も2ndアルバムRide The Lightningに収録されていた人気曲Creeping Deathのシングル・カット時に収録された、DiamondHeadのカバー。長い曲ではあるがMetallicaのライブでは定番となっており、曲の後半はカットされ代わりに他の曲がつながるという、いわばpassageという感じだろうか。このライブ・テイクではBatteryにつながる。余談だが3rdアルバムに伴うツアー時にはDamage, inc.がつながっていた。メドレーの最後は迫力あるBatteryで締めくくる。Lars Ulrich(dr)のスネアはスピーディで且つ力強い。このBatteryのライブ・テイクから来る迫力はLarsのパワフルなドラムのお陰だろう。
METALLICA - BAY AREA THRASHERS 1. Hit the lights James Hetfield(vo,g) |
今となっては非常に貴重な音源を収録したモノ。1stアルバムKill'em Allをリリースする以前のライブ音源だ。ジャケットやクレジットを見てすぐに判るかもしれないが、メンバが1stアルバムのリリース時とは異なっている。つまり本当に初期のMetallicaというわけだ。その名を知らない人も多いかと思うのでこの初期のラインナップを紹介しておこう。左の2人はご存じLars Ulrich(dr)とJames Hetfield(vo,g)だ。その隣は現MegadethでヴォーカルとギターをプレイしているDave Mustaine(g)、一番右はRon McGovney(b)だ。初期MetallicaのコンポーズにはDaveも参加しており、5曲目にクレジットされているのもDaveのペンによるもの。しかし、この曲は1stアルバムではタイトルがThe four horsemenに変更されている。1stアルバム収録にあたって5のタイトルが変えられた以外に、詩の方も殆どの曲で変更された箇所がある。Metallicaはアルバム収録に入る前にメンバ・チェンジを行い、バンドからDaveとRonが居なくなる。ベースのRonは音楽業界そのものから姿を消してしまった。Daveの方はその後Megadethを結成するに至る。バンドは後任としてExodusに居たKirk Hammett(g)とTraumaに居たCliff Burron(b)を加入させる。そのラインナップに落ち着いた後にリリースされたのが1stアルバムである。前述の通り収録曲は全てライブ音源となっている。どの曲もアルバムと同等のペースでプレイされている。どこかのクラブか何かで録音したものらしく、残念ながらsound productionは極めて悪い。
1、3、4、7は速い曲。残りの曲も初期Metallicaの曲のうち人気の高いものばかりだ。1はエンディングのギター・リードが圧巻な速い曲。2は聴いてすぐにJamesと判るヴォーカル。歌い方の癖もこの頃既に出来上がっていたようだ。3はリフが小気味よく刻まれるスピーディな曲。この曲もリード・パートが単純なフレーズではあるがかなり速い。4もスピーディに突き進む曲。Larsのロールも良い。5はアルバムより多少スピーディにプレイされている、リフのパターンが多い曲。聴いていると詩が1stアルバム収録のモノとは完全に異なっている。エンディングのリードもそこそこ速い。6は普通のテンポの曲で、リフ、リード共に特別に凄いと思わせる箇所は見あたらない。1stアルバム収録のモノより曲が短い。7はイントロのリフが非常に速い曲。曲自体もかなりスピーディに進む。中間部ではリフ、リード共に弾きまくっているという印象。
GARAGE INC. Disc 1 Disc 2 James Hetfield(vo,g) |
曲についてはまだ。