【映画鑑賞録】宇宙戦争
「誤解されそうなSF超大作」
あらすじ
港湾労働者のレイは、離婚で離れて暮らしていた子供達と週末を過ごそうとしていた。
しかし、強烈な雷が落ちた後、突然地中からトライポッドと呼ばれる謎の物体が現れて、人々を襲い、街を破壊する。
子供達を連れて、レイは必死の逃避行を敢行する。
トライポッドは、遠い異星から来た宇宙人の操る兵器であり、彼らは地球侵略へやってきたのだ。
果たして人類は滅びを迎えるのか、レイ達親子は生き残ることが出来るのか。
:HGウェルズの有名なSF小説を、「未知との遭遇」「ET」のスティーブン・スピルバーグ監督が、
トム・クルーズ主演で映画化した今夏話題作の一つ。
すでに上記の紹介だけでも、そのネームバリューに凄さに期待をいや増すというもの。
2005年の夏となれば、スターウォーズエピソードVも公開されるため、
比較しやすく話題になるのも当然といえる。
そんな映画界の重鎮達の名前が、「勝手な」期待と願望を抱かせてしまう気がする。
抱いたが最期、「主人公親子が異星人からただ逃げている映画」という話の筋に愕然としかねない。
ここ最近流行っていたパニック映画(ディザスター映画ともいうらしいが、詳しく知らない)の系譜であるため、
そうした映画を観てきた方には、物足りないかもしれないし。
(こうしたパニックものお約束といえる、非常時で理性を失った人間の描写も登場する)
壮大なSF超大作をご期待された向きには、まったく合わない。
トム・クルーズも断じてヒーローではない。役としては普通の人。
これで、いかにも中年のおやじさんとかならわかるが、そこはトム・クルーズなので、
存在感あるから普通の人っぽさが足りていない。
いつエイリアンを倒してくれるのか、ワクワクさせてしまうのだ。
後半見せ場はあるのだが、その一箇所だけ。
侵略者へ立ち向かうような素振りはまったくない。
では、この映画の良さとは何か?
ポイントは、各種破壊描写だ。街が破壊される際の、建物の崩壊ぶりがとにかく丁寧。
このクオリティは、なかなか出せない。
リアルかどうかはさておき、地面のひび割れ方とか音とか、リアルなトライポッドの動きとか。
親子の逃亡も危機が連続しておき、緊張が途切れる瞬間がほとんどない。
だから、逃げ延びた先にも異星人の襲撃が次々とあったりする展開や迫力ある描写をとにかく体感する映画だ。
手に汗握る逃亡劇にも、やがてラストが訪れる。
地球には……、○○があって異星人が○○するというオチだ。
ネタバレになるので記載しないが、あまりにあっさりとしすぎる感がある。
おそらく、スピルバーグ監督は「有名小説だから、みんなはオチ知っているんでしょ」的な気分だったに違いない。
それまでの逃亡劇がなんだかわからないほどのあっさり感覚。
こってり系ラーメンを食していたら、気が抜けるほどの後味という所だろうか。
・この映画を楽しめるポイントは、非常にシンプルな物語であることを理解して見れるかどうかだろう。
私自身は、逃亡劇の緊張感と描写だけで十分楽しめたのだが。
カタルシスや大どんでん返しがない分、期待はずれに思われる可能性が高い。
スターウォーズを比較したがる向きには、あわない映画だろう。
というわけで、公開時期とかで随分損しかねない。
「スターウォーズには及びのつかないスケールの映画」とかいわれのない批判が出そうなのは眼に見えている。
・周囲の雑音や自分の過剰な意識をシャットアウトして、ご覧いただければ、見ごたえあり楽しめる映画だと思う。
ちなみに、映像の迫力を考えると、映画館で見た方がお得である。
是非、一つ一つ細かい描写に驚いてもらえれば、と思う。
恒例の蛇足
:トム・クルーズの子供役を演ずるダコタ・ファニング(確かマイ・ボディガードにも出てたはず)が、
随分美人(本当に遺伝子受け継いでいるか心配したくなる)で、しかも迫真の演技をする。
彼女の絶叫には真に迫っていて、本当に驚く。この映画の何パーセントかは彼女によって、リアリティを得ている。
:この映画でセリフだけの描写だが、日本人強すぎ。
もしかしたら、ウ○ト○マンあたりがやっつけてくれたのだろうか。もしくは、ゴ○ラかガ○ラ?
コーナーTOP
TOP