宇宙の艦船


特集・一年戦争前後の宇宙艦艇

 昨今、ガンダム20周年記念(今年は、19年目。20周年は、1999年である)ということで、ガンダムのことを取り上げる向きも多くなってきたようだが、各メディアともモビルスーツやキャラクターばかりが紹介され、軍艦が紹介される機会はかなり少ない。今回は、そこでガンダムの世界における軍艦を一年戦争(いわゆるファーストガンダムのストーリー)前後(宇宙世紀0079.1.03〜0080.1.01)に登場する物を主に紹介したい。題して、世界ならぬ宇宙の艦船である。

 

 

特集・一年戦争前後の宇宙艦艇

  一年戦争前後の宇宙艦艇とその背景

  地球連邦軍において宇宙軍が成立したのは、宇宙世紀0059年(UC.0059)で、一年戦争の20年前のことである。地球圏の各コロニーには、地球連邦軍の駐留軍が存在していたが、各サイド間を行き来する宇宙艦艇はなかった。しかし、110億人までに膨れ上がった人類社会の秩序維持には、大規模な宇宙艦隊を必要としたのである。ただ、1年前の0058年に独立宣言したサイド3(ジオン共和国)への牽制という意味もあったのであろう。0060年には、60年代軍備増強計画を発動。ルナツーを軍事基地化を進めるなど、急速に軍備を進めていく。

 一方、0058に樹立したジオン共和国は、対話による自治権獲得をめざしているが当初から国防隊が存在しており、国軍にそして、0068年のジオン・ズム・ダイクンの死を経て0069年のジオン公国へと移行してゆくなかで、宇宙軍の拡大を進めていった。むろん、連邦に対抗するためである。0070年代に入り、ミノフスキー粒子の応用によっていわゆるメガ粒子砲に実用化時代に入る。ミノフスキー粒子に関する細かい記述は避けるが、この従来の物理学に革命を起こしたこの粒子によって、従来の兵器体系に変革が起きたのは事実である。そして、ミノフスキー粒子によって生み出されたモビルスーツ(以下、MS)は、電子戦が不可能になった時代に適応した兵器だった。艦艇もMSに対応した設計になってゆくのは必然だった。ジオン公国のムサイ級巡洋艦は、宇宙世紀で初めて、MSの運用を前提として設計された艦艇である。だが、連邦軍は、MSの重要性が予見できなかったために、MSの運用を前提とした艦艇など、建造されるわけがなかった。0070年代に建造されたのは、70年代軍備増強計画によるサラミス、マゼランの2つの艦種であった。連邦軍がMS運用を考えた艦船を建造するのは、一年戦争時のビンソン計画によってであった。

 

 

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 地球連邦軍艦艇

 サラミス級巡洋艦

 一年戦争時の最多の戦闘艦艇で、連邦軍のワークホース。MS登場以前の設計のため、MS運用能力を有していない。ただ、戦争終盤には、MS搭載能力を付加したタイプも建造された。艦底部に大気圏突入用カプセルを搭載しているが、自身による大気圏突入能力はない。だが、加速ブースターによる大気圏離脱能力は有り、星一号作戦(連邦軍のジオンに対する反攻作戦)では、南米ジャブロー基地から多くの艦船が出撃した。戦後も引き続き運用され、武装を強化したタイプとMS搭載能力を有したタイプの二つの派生艦が存在する。ただ、元々、MS運用を前提として設計された艦でないため、MSは3機しか運用できなかった。満載では9機。

 

 全長/198m 全幅/75m 全高/58m 艦体重量/12100t

 武装:メガ粒子砲 7基 6連装ミサイルランチャー 2基

    90mm連装機銃 5基 大型ミサイルランチャー 8基

 

 マゼラン級戦艦

 UC0070年代の軍備増強計画によって建造されることになった。連邦軍の各艦隊の旗艦として運用されている。ルウム戦役での、「アナンケ」、他に「タイタン」、「ナガト」、「ブルラン」などがある。サラミスと同じく、大気圏突入能力はないが、ブースターによる離脱能力は存在する。主砲が14門と重火力を有するが、このころの連邦軍は、メガ粒子砲大艦巨砲主義に陥っていたらしく、MSには何の役には立たなかった。サラミス級と同じく、MS搭載型が戦後に登場しており、主砲2基を取って、MSの格納庫と甲板を増設している。

 

 全長/327m 全幅/102m 全高/96m 艦体重量/62900t

 兵装:連装メガ粒子砲 7基 連装90mm対空機銃 14基 ミサイルランチャー     8基

 

 ペガサス級強襲揚陸艦

 V作戦によって、建造開始された艦船であり、MS運用前提に建造された連邦軍最初の艦種である。大気圏突入離脱能力を有しており、ミノフスキークラフトによって、地上でも飛行が可能である。当時のテクノロジーの粋を集めて作られた艦艇であり、建造時期によって、かなりフォルムが違う艦種でもある。ネームシップのペガサスのものと、トロイホースタイプ、アルビオンタイプと、かなり違うのは、その都度、新しい技術を取り入れているからである。

 

 全長/250m 全幅/110m 全高/97m 艦体重量/68000t

 兵装:580mm連装砲 1基 連装メガ粒子砲 2基 小型ミサイル 36基

    3連装大型ミサイルランチャー 12基 20mm連装機銃 32基

 MS搭載数:6機

 

 コロンブス級輸送艦

 一年戦争以前より、連邦軍の主力補給艦艇であった。戦争中は、輸送艦としての任務以外にMSを搭載した、一種の空母的な運用がなされた。戦後もコンテナ部を延長するなどの、改装受けて引き続き運用されている。

 

 全長/145m 全幅/110m 全幅/55m 艦体重量/7300t

 

 

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 ジオン公国軍艦艇

 ムサイ級巡洋艦

 設計当初からMS運用を考えられて設計されたジオン公国軍の主力艦。MS3機運用できるほか、大気圏突入用カプセル「コムサイ」にMS3機搭載できるため、MS6機搭載が可能である。一年戦争を通してのジオンでもっとも、多く運用された艦であり、派生型も2種類存在する。MS4機運用できる後期型は、デラーズ紛争にて多数運用されたタイプである。

 

 全長/234m 全幅/116m 全高/69m 艦体重量/13000t

 兵装:連装メガ粒子砲 3基 大型ミサイルランチャー 2基

    小型ミサイルランチャー 10基

 MS搭載数:3機(コムサイ含めて分6機)

 

 チベ級重巡洋艦

 ジオン公国軍が、まだ、共和国軍であったころ、建造された艦種。当時は、メガ粒子砲の技術がないため、火薬式の主砲を備えていた。70年代に主砲のメガ粒子砲への換装や、MS搭載能力を付加された。元々、設計時に想定されていなかったとはいえ、MSはムサイ級を上回る8機の運用が可能である。最初からMS運用が考えられたチベ級の派生型ティベ級は、12機のMSを運用が可能である。チベ級は、建造当初は戦艦に分類されていたが、グワジン級戦艦の登場によって重巡洋艦となった珍しい経緯を持つ。

 

 全長/235m 全幅/113m 全高/99.4m 艦体重量/16000t

 兵装:3連装メガ粒子砲 2基 ミサイルランチャー 12基

    連装機関砲 18基

 MS搭載数:8機

 

 ザンジバル級機動巡洋艦

 ムサイ、チベ級よりも高い機動性を発揮し、大気圏の突入離脱能力(離脱にはブースターが必要)を持つ、連邦軍のペガサス級のカウンターパートともいえる艦種である。大気内の飛行可能だが、ミノフスキークラフトで飛んでいるのではなく、推力で飛行している。また、ジオン公国軍の艦艇で初めて、ビームライフル用のエネルギ−CAPの補給装置を有している。つまり、他の艦種では、ビーム兵器補給能力がないと言うことだが、戦争後期に就航した艦船にはエネルギーCAP補給装置が付けられている。兵器では、J型ミサイルが挙げられる。このミサイルは、弾丸のような回転を与えてから発射する事でマゼラン級戦艦ですら、一撃で破壊が可能である。なお、このザンジバル級も後期型が存在し、4門だった副砲が8門に増設され、MS発艦用カタパルトも付けられている。

 

 全長/255m 全幅/223m 全高/120m 艦体重量/42500t

 兵装:連装メガ粒子砲 1基 単装メガ粒子砲 4基

    120mm連装機銃 5基 大型ミサイルランチャー 2基

 MS搭載数:6機

 

 グワジン級戦艦

 ジオン公国軍の大型戦艦。ザビ家、もしくはそれに準ずる者しか、使用することができなかった。ザビ家以外で、使用したのは親衛隊のエギーユ・デラーズ大佐、などである。全部で8隻建造された。艦隊の旗艦としても運用されているが、戦争初期と終期しか活躍しなかった。また、艦としての特色としては、MS搭載数が24機と多数で、また、航続距離は、8基の大型タンクによって無補給で木星まで到達できる。

 

 全長/440m

 兵装:連装メガ粒子砲 3基 連装対空機銃 10基

 MS搭載数:24機

 

 ドロス級空母

 カタパルト7基装備、MS182機を搭載の超大型空母。一年戦争以後を見ても、これほどの多数のMSを運用する空母として建造された艦船は存在しない。その意味では、希有な存在といえる。2番艦までに建造された。ア・バオア・クー戦では、そのMS運用能力をいかんなく発揮、連邦軍を恐れさせた。

 

 全長/492m

 兵装:連装メガ粒子砲 6基 連装メガ粒子副砲 2基

 MS搭載数:182機

 

 パプア級補給艦

 チベ級と同時期に建造された補助艦艇。一度に2隻の艦艇への補給が可能である。ただ、一年戦争の時点で、旧式化していた艦種である。

 全長/300m

 

 パゾク級輸送艦

 老朽化していたパプア級の代わりに建造された。パプア級よりも多くの物資が搭載でき、一度に4隻の艦艇に補給を行うことができる。前部のコンテナに人員や食料、後部のコンテナに機械、兵器類が搭載されており、艦橋は後部のコンテナの上部に設置されている。

 

 全長/260m

 兵装:120mm連装機関砲

 

 

 

 今回の参考文献

 ・データコレクション2 機動戦士ガンダム 一年戦争編 (メディアワークス)

 ・データコレクション3 機動戦士ガンダム 一年戦争外伝(メディアワークス)

 ・ENTERTAINMENT BIBLE 1 MS大図鑑 PART 1 一年戦争編(バンダイ)

 ・ENTERTAINMENT BIBLE46 MS大図鑑 PART 7 デラーズ紛争編(下)(バンダイ)

 ・機動戦士ガンダムRPGアドバストエディション(ホビージャパン)

 ・GUMDAM TACTICS MOBILITY FLEET0079公式ガイドブックSUPPLEMENT CD-ROM(勁文社)

 

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