"お笑い"真夏の夜の夢
原文作成◆NAE
📍 東京・新宿朝日生命ホール
| 役名 | 演者 |
|---|---|
| シーシアス | 森脇和成(手裏剣トリオ) |
| イジーアス | 原口あきまさ |
| ライサンダー | ゴルゴ松本(TIM) |
| ディミートリアス | 有吉弘行(手裏剣トリオ) |
| クインス | 斎藤優(パラシュート部隊) |
| スナッグ | 原口あきまさ(二役) |
| デガワ | 出川哲朗 |
| フルート | 森脇和成(手裏剣トリオ・二役) |
| スナウト | 矢野広崇(パラシュート部隊) |
| ヒポリタ | 斎藤優(パラシュート部隊・二役) |
| ハーミア | おさる |
| ヘレナ | ふかわりょう |
| オーベロン | 三村マサカズ(さまぁ~ず) |
| ティターニア | 大竹一樹(さまぁ~ず) |
| パック | 内村光良(ウッチャンナンチャン) |
| 踊る妖精 | レッド吉田(TIM) |
場面:アテネ、およびその近郊の森
前説
徳永
みなさん、こんばんは~!本日は、お足元の悪い中、劇団プロデョーヌ、旗揚げ公演にお越しくださいまして、誠にありがとうございます。開演の前に、内村プロデューサーより、手紙を預かっております。私、アシスタント徳永が、代読させて頂きます。「皆さん、こんばんわんこ、わんばんこ。なんつって。私、プロデューサー内村は、本公演が、皆様にとって、夏の楽しい思い出となるよう、勝手ながら、いくつかの禁止事項を設けさせて頂きました。その1、上演中の写真撮影、ビデオ撮影、ましてや販売は、ご遠慮ください。その2、軽快な着メロ音は、ご遠慮ください。その3、絶対に、途中で帰らないで下さい。以上みなさまのご協力をお願い致します。連日芸人たちが、忙しいスケジュールをぬっての稽古、そして、その度に朝まで打ち上げ。毎日、飲んだくれていました。その成果を、今日たっぷりと、皆さんご覧ください。劇団プロデョーヌ座長&プロデューサー内村光良」以上、内村さんからの、手紙でした。それでは、大変お待たせ致しました!劇団プロデョーヌ旗揚げ公演、作・演出、内村光良。「お笑い真夏の夜の夢」いよいよ、開演です!
第一幕
第一幕 第一場 アテネ、シーシアスの宮殿
シーシアス、ヒポリタ登場。
シーシアス
ところで美しいヒポリタ。
ヒポリタ
はい。
シーシアス
我々の婚礼の時も間近に迫った。美しい日々をあと四日も過ごせば、新月の宵となる。
ヒポリタ
そうすれば新月が、天高く引き絞られた銀の弓のようにかかり、私たちの婚礼の夜を見守ってくれるでしょう。
シーシアス
ヒポリタ、私は、剣をもってあなたの愛を求め、あなたの心をかちえたのも力づくであった。しかし、婚礼の儀式はすっかり調子を変えて行いたい。華やかににぎやかに、楽しいお祭り騒ぎをもってだ。
ヒポリタ
まあ。
イジーアス、ハーミア、ライサンダー、ディミートリアス登場。
イジーアス
ご機嫌うるわしゅう存じます、シーシアス公。
シーシアス
イジーアスか。何かあったのか?
イジーアス
困り果ててご前に参りました。実は私、娘のハーミアを告訴せねばなりません。前へ出なさい、ディミートリアス。公爵、これは、私が娘を与えることに同意した男です。前へ出なさいライサンダー!
ライサンダー
……。
ハーミア
……。
イジーアス
早くしろ!そしてこれは、密かに娘の心を迷わせている男です。公爵、もしも娘が、公爵のご前で私の選びました、このディミートリアスとの結婚に同意しないときは、古くからの、アテネの特権を私にお許しください。
シーシアス
どうだな?ハーミア。ディミートリアスは立派な紳士ではないか。
ハーミア
ライサンダーもそうです!
シーシアス
しかし、父親の同意がないだけ、立派さで一歩劣るぞ。
ハーミア
公爵、もし私が、ディミートリアスとの結婚を拒みましたら、どのような重い罰を受けるのでしょう?
シーシアス
二つに一つ。死刑に処されるか、あるいは永久に世人との交わりを断つかだ。
ディミートリアス
思い直してくれハーミア!ライサンダー、お前も余計な横槍を引っ込めて、俺の正当な権利を尊重してくれ。
ライサンダー
君はお父上に愛されてるんだ、ディミートリアス。ハーミアは俺に任せて、お父上と結婚するんだな!
イジーアス
口が過ぎるぞ!
ライサンダー
公爵、私は生まれも財産も、この男に劣らず、ハーミアへの愛にかけてははるかにまさっております。それに、これ以上誇らしく思えることはありませんが、美しいハーミア、その人に愛されております。ディミートリアスは、あのネダーの娘へレナに思いを寄せて言い寄り、その心を勝ち得ております。
シーシアス
私もその話は耳にしておった。ディミートリアス、イジーアス、一緒に来てもらおう。二人に内々で話しておきたいことがある。
イジーアス
かしこまりました、喜んでお供いたします。
シーシアス
ハーミア、お前は、父親の心にそうよう、考え方を改めておくのだぞ。
ライサンダーとハーミアを残して一同退場。
ライサンダー
なんということだ!今まで様々な本を読んだ限りでは、まことの恋が平穏無事に進んだためしはない。必ず障害がある。例えば、身分が違うとか――
ハーミア
まあひどい!身分の違いで、愛し合えないなんて。
ライサンダー
でなければ、年齢の点で釣り合いがとれないとか――
ハーミア
まあ情けない!年齢が違うだけで、恋も出来ないなんて。
ライサンダー
でなければ、身内の者の選択を押し付けられるとか――
ハーミア
まあ情けない!他人の目で、恋人を選ぶなんて。
ライサンダー
ハーミア、僕には一人の叔母がいる。未亡人で、財産があって子供がいない。このアテネから七マイルほどの田舎に住んでいて、僕を一人息子のように思っていてくれる。そこに行けばハーミア、君と結婚できる。そこまではアテネの厳しい法律も、僕たちを追ってこない。ハーミア、もし僕のことを愛してくれるなら、明日の夜、家をこっそり抜け出してきてくれ。そして、五月祭の朝、君が、ヘレナと行った森があるだろう。
ハーミア
そうよ。
ライサンダー
そこで待ち合わせしよう。
ハーミア
ライサンダー!私、誓うわ!今までの、女という女が誓った数を打ち破るほど、男という男が、破ったありったけの誓いにかけて、明日の晩まちがいなく、私は、あなたに会うことにするわ。
ライサンダー
約束だぞ!ハーミア!
ハーミア
ライサンダー!(抱)
ライサンダー
あ、ヘレナが来た。
ヘレナ登場。
ハーミア
こんにちは、美しいヘレナ。どこかへお出かけ?
ヘレナ
美しい?私が?どうしてそんなでたらめを言うの?ディミートリアスが愛してるのは美しいあなたよ。あなたの目は彼方の北斗星、あなたの舌は甘い調べ。病気がうつるように器量もうつるのなら、あなたの美しさをうつして欲しいわ。世界がすべて私のものなら、ディミートリアスは別として、すべてあなたに差し上げるわ。あなたのものにして。
ハーミア
心配しないで。私はもうあの人の前には現れません。それにね、今から、ライサンダーと駆け落ちするの。
ライサンダー
ヘレナ、君には伝えておこう。明日の夜、月の女神フィービがひっそりその、素顔を水鏡に映して覗き見る頃、僕たちは、アテネの城門を抜け出す手はずなのだ。
ハーミア
さようなら、幼友だち。二人のことを祈ってね。それにあなたは、ディミートリアスと、幸せになるのよ。
ライサンダー
ディミートリアスも、君と同じ気持ちになりますように。(ハーミアに)…行こう。
ハーミア
はい。ごきげんよう。
ライサンダーとハーミア退場。
ヘレナ
人によって幸せがこうも違うなんて。そうだ、あの人、ディミートリアスにハーミアの駆け落ちを知らせよう。きっとあの人は明日の夜、ハーミアをつかまえるようあの森へ追いかけて行くだろう。でも、あの人の行き帰りの姿を見られるだけで、恋に苦しむ愚かな私の苦労も、報いられるわけね。それにしてもすごいわ!みんなセリフちゃんと覚えてるじゃないの!どうしたのかしら…でも安心するのはまだ早いわ。きっと、きっとこのあとボロが出るんだわ!
退場。
第二場 街の酒場
クインス、スナッグ、デガワ、フルート、スナウト登場。
クインス
よーしみんな集まったな!
スナッグ・デガワ・フルート・スナウト
うぉーい。
クインス
いいか?この紙にはな、公爵さまの結婚式の夜、お二人の前で披露する芝居を上手にこなしそうな奴を、アテネ中から選んで書いてあるんだ。
スナッグ・デガワ・フルート・スナウト
おぉ~。
クインス
スナッグもフルートもスナウトも、お前たちでなければ成功はないと思って選んだんだ。
スナッグ・フルート・スナウト
おぉ~。
デガワ
なぁピータークインスよ。
クインス
なんだ、デガワ。〈笑〉
デガワ
とりあえず、先に俺たちのやる演目を発表してくれよ。
クインス
はははは、せっかちだなぁ、デガワは。
デガワ
…。
クインス
実は、それをみんなで話し合って決めたいんだ。何を披露すれば、公爵さまや観衆は喜ぶだろうか?
デガワ・スナッグ・フルート・スナウト
ん~。
スナッグ
何だろな~
フルート
歌なんてのはどうだい!
デガワ・スナッグ・スナウト・クインス
うた~?
フルート
うた!こうなんかさ、こう今こう流行のゴスペル調にこうアレンジしてさ。
デガワ
ゴスペル?
フルート
…ア~(フィンガースナップ)
デガワ・スナッグ・クインス・スナウト
ア~(フィンガースナップ)
フルート
♪風に~吹かれて~消え~て~ゆ~くのさ、僕らの~足跡~、風に~吹かれて~
♪白い雲のように/猿岩石(ゴスペル調)
デガワ
ちょっと待てー!ちょっと待て!お前しか目立ってねぇじゃねーかよ。
クインス
ホントだよ。
デガワ
拍手までもらっちゃってお前。俺たちも歌わせろお前。ボンボンしか言ってねぇよ。
クインス
ボンボンしか言ってないよ。
デガワ
大体なんだよボンボンって!
フルート
ウケないかデガワ?!
デガワ
意味わかんねぇよ、ダメダメ、お客さんが飽きちゃうだろうが。
スナッグ
確かに確かにな。
フルート
ダメかなぁ…
スナッグ・スナウト
う~ん。
フルート
一曲しかねぇしな。〈笑〉
クインス
じゃあ例えば何があるかなデガワ。
デガワ
あ~、あっ踊りなんかいいんじゃねーか、ダンス。
クインス
ダンス?
デガワ
アクションだよ~エイトビートだよ~
スナウト
それじゃあデガワ、やってみせてくれ。
デガワ
ミュージックスタート!
♪Beat it/Michael Jackson
スナッグ
だめだよそれ!なにこれ!なにそれ!だめだよそんなの~。やっぱり芝居だろう。
クインス・デガワ・フルート・スナウト
芝居?
スナッグ
うん。
クインス
例えば何がいい?
スナッグ
そうだなやっぱ感動させるには、北の国からかなぁ…
♪北の国から/さだまさし
スナッグ
純、これを食べろ。きっと大きくなる。家で採れたカボチャ、ものは小せぇけど、無農薬だ。る~るるるるるる、る~るるるる。おいで~おいで出ておいで~。キツネが出てきたぁ…パン!(撃)
デガワ
何してんだよ!
スナウト
最悪だよ!
クインス
もういいよ!
デガワ
びっくりしたわ。
クインス
お前らは、引っ込んでろよ!っていうかやっぱり、芝居といったら、シェイクスピアだろ。
デガワ・スナッグ・フルート・スナウト
あぁ~。
クインス
な!
フルート
まぁな。
デガワ
確かに、シェイクスピアといったらロミオとジュリエットとかいいんじゃねぇか?
クインス・スナッグ・フルート・スナウト
おぉ~。
クインス
わかりやすいな。よーしじゃあデガワ、ロミオやってみるか。
デガワ
おっ、本当かい!
クインス
うん。
デガワ
確かに俺の声はマイク要らずの舞台声だからな。
クインス
うん、まぁ確かにそうだな。
デガワ
二人の恋愛の切なさをお客さんに思いっきりPRしてみせるぜ。
クインス
PRか、よし。じゃあジュリエットは…(スナッグに)やりたいのか!
スナッグ
へへ。
クインス
よしじゃあ決定。ジュリエットの乳母役はフルート。
フルート
俺か。
クインス
修道士ロレンス役はスナウト。
スナウト
おっ。
クインス
俺はジュリエットの婚約者、パリス役をやることにしよう。いいな!
デガワ・スナッグ・フルート・スナウト
おう!
クインス
みんなの役のセリフは書き抜いておく。それを明日の晩までに覚えといてくれ。そして街から一マイル離れた、宮殿の森で会うことにしよう。そこで、月の光に照らされながら稽古するんだ。こっそりとな。
デガワ・スナッグ・フルート・スナウト
こっそりと。
クインス
じゃいいな、忘れずに来てくれよ!
デガワ・スナッグ・フルート・スナウト
おう!
フルート
♪風~に~吹かれて~
ゴスペル調「白い雲のように」で一同退場。
第二幕
第二幕 第一場 アテネ近郊の森
踊る妖精登場。
踊る妖精
(前奏)♪口笛はなぜ~遠くまで聞こえるの、あの雲はなぜ~私を、待ってるの~教えておじいさん~やっほーやっほーやっほーやっほー。
ブルース・リー風にパック登場。
パック
あた~!うわぇ~い、うぉう!(側転・バック転)うわぁ~い!いやあ!踊る妖精じゃないか、どこへ行くんだい?
踊る妖精
山々を越え谷を越え、茨をくぐり野をくぐり、私は行きます、月よりも早い翼でどこまでも。女王さまへのお仕事は、夜露で描く緑の輪。さあこの辺りできれいな露を捜さなければ、そろそろ、女王さまが、こちらに、おいでです。さようなら、鼻のでっかいいたずら妖精さん!
パック
おいちょっと待て!おい来い、こっち来い!セリフ溜めすぎ!思い出しながら言ってる。そしてしかも出オチであと笑いがない。いつまでたっても爆笑とれない!これどうしたの。お前それ男なの女なのどっちなの。
踊る妖精
女子ですよ女子。
パック
少女なのババアなのどっちなの。
踊る妖精
(笑)いや少女ですよ。
パック
少女なのね?!
踊る妖精
ティンカー、ティンカーですよ。
パック
(笑)まぁそんなこたぁどうだっていい。今夜ここで、王様オーベロンは宴会だ。でもね、女王さまと鉢合わせたらきっと不愉快に違いないよ、だって女王さまがインドの王様から盗みってきた、いえね、あの…ばかやろう!
踊る妖精
パック!(跳)
パック
わけわからんことすんな!女王さまがインドの王様から盗んできた男の子があんまりにもかわいいものだから、オーべロンはそれを妬んだ。そして狩りに行くときのお供に欲しいって言ったんだけどどうしても女王さまがそれを手放さない。怒ったオーべロンはもう怒りまくって誰彼かまわずツッコミまくって大変さぁ!
踊る妖精
えっ…どんな風にだい?
パック
だからもういんのかよ!みたいに…
踊る妖精
うわぁ出たいつものやつだ!
パック
あぁ!
踊る妖精
いつものやつだわー!
パック
はっ、噂をすれば王様オーべロンが。あれっその後ろからは、女王さまがやってきたぁ!
踊る妖精
やばいやばいっ。
オーベロンとティターニア登場。
オーベロン
今宵の月はまた格別…ティターニアのいない夜はまた格…いんのかよお前!会っちゃったよ!
ティターニア
あぁらこれは嫉妬深いオーべロン。はっはっ(笑)気持ちの悪い!妖精!妖精いるんでしょ!妖精!
踊る妖精
はーい。
ティターニア
場所を変えるわよ気分が悪い。
踊る妖精
はい。
オーベロン
浅はかな女、俺はお前の夫ではないか。
ティターニア
とすれば私は、あなたの、妻ね。はっはっ(笑)でも私は知っているわ、あなたがこっそりこの妖精の国から抜け出し、一日中麦笛を吹いたり、恋歌を歌ったり、濃いぃひげを剃ったり…コイ、コイ食べたり。
オーベロン
「こい」シリーズ?
ティターニア
濃い、濃いぃジンジャエールを七杯も飲んだり。
オーベロン
濃いぃジンジャエールって何だよお前。
ティターニア
そしてあの、浮気娘フィリダに、夢中だったことをね。
オーベロン
恥を知れティターニア。何故ティターニアが、オーベロンに盾をつくのだ。
ティターニア
まだあるわあなた。あなたは、本当に、ウォシュレットの刺激が好きねぇ。〈笑〉
オーベロン
うっさい!
ティターニア
何なのあれは。
オーベロン
あれが家にねぇからこま…うるさい!
ティターニア
うるさい!うるさいぶた!
オーベロン
お前はぁ…
ティターニア
妖精、妖精!
踊る妖精
はい。
ティターニア
行くわよ。
踊る妖精
はい。
ティターニア
ついてらっしゃい。
踊る妖精
はい。
ティターニア
あの、踊りながらついてらっしゃい。
踊る妖精
てぃく、てぃく、てぃくてぃく。(踊)
ティターニア
近い近い!近いよ!離れて!
ティターニアと踊る妖精退場。
オーベロン
勝手にするがいい。だがな、この侮辱に、仕返しするまでは、この森から一歩も外に出さぬぞ。おいパック!
パック
あぁはいはいはいはいはい。
オーベロン
パック!パック。
パック
はいっ。
オーベロン
なぁにしてんだパック。パック!
パック
はい。
オーベロン
はるか西の方に…
パック
はい。
オーベロン
恋の三色スミレという、不思議な、力を持った花が咲いている。
パック
三色スミレですね?うん。
オーベロン
うん。その花の汁を…
パック
うん。
オーベロン
眠っているものの瞼に滴らせる。
パック
はいはいはい。
オーベロン
目覚めて一番最初に見た者…
パック
あらっ。
オーベロン
たちまち恋心を抱いてしまうという。
パック
あららら媚薬ですな。
オーベロン
そうだ。
パック
ねぇ。
オーベロン
それを今すぐとってきてくれ。
パック
はっ、任しといてください。地球を一回りするのに四十分とかからぬ私です。
オーベロン
早いなおい!一番早いなおい!
パック
一番早いです。
オーベロン
その花の汁をとってきたら…
パック
はい。
オーベロン
眠っている、ティターニアの、瞼にしたたらせてやろう。
パック
あらららららららら。
オーベロン
そして目覚めて最初に見たもの。
パック
はいっ。
オーベロン
それが、犬であれ、猫であれ…
パック
(笑)はい。
オーベロン
恋心に駆り立てられ追いかけまわすだろう。
パック
(笑)なるほどぉ。
オーベロン
西へ急げパック!
パック
わかりました(笑)西ですね!
オーベロン
おう。
パック
では行ってきます!
東へ退場。
オーベロン
こっちだよおい!西だよおい!地球をこう行っちゃったよ!遠いよ!…おっ、誰か来たな。私の姿は誰にも見えない。よし、何の話をしてるか、ちょっと立ち聞きしてみよう。
ディミートリアス、そのあとを追ってヘレナ登場。
ディミートリアス
(殴)帰れよお前は!(殴)帰れ早くお前は!(殴・蹴)お前のことは好きでもなんでもないっつってんだろお前このやろう!それにしても、どこに行ってしまったんだ、ライサンダーと美しいハーミアは。木に囲まれて、気が気じゃない。さぁ、追いかけるのはやめて早く帰れ!
ヘレナ
あなたが私を引きつけるのよ。あなたの引力がなくなれば、私のあなたを追いかける力もたちまち消えてしまうわ。
ディミートリアス
僕が君を誘惑したって?それどころか言ったろう。君のことを愛することも出来ないし、愛してもいないと。
ヘレナ
そう言われるとますますあなたを愛してしまうの。あなたがぶてばぶつほど私はあなたに甘えてしまうの。(殴)あなたがぶてばぶつほどあなたにあまえてしま…(右殴・左殴)ぶてばぶつ…
ディミートリアス
え?!
ヘレナ
あなたが、ぶてばぶつほど…あなたがっ(両手で顔を叩く)どうかおそばにいることだけは許してちょうだい、私は、あなたの飼い犬になりたいと言っているのよ!
ディミートリアス
君は乙女の慎みをなくしてしまったんじゃないのか。遠く街を離れ、その身を男の手に、それも、君のことを好きでも何でもないような男の手にゆだね、しかも、何がわかるかわからぬような…暗い夜だ!どんなことが起こるかわからない、ひと気のない場所だぞ。
ヘレナ
あなたの顔を見ることができる間は、暗い夜ではないわ。それに、私にとってはあなたがこの世の全て。だからここもひと気のない場所ではないの。
ディミートリアス
おれは逃げるぞ。薮の中に隠れるとしよう。君は野獣にでもなんでも食われるがいい。
ディミートリアス退場。
ヘレナ
男は恋ゆえに戦うことができるけども、女にはできない。女は愛を求められるもので、求めることはできない。ついていこう。あの人になら、どんなひどい仕打ちを受けても天国だわ!…マジで痛って~!!
退場。
オーベロン
おぉ、なんという悲劇。あれほどまでに強い愛を抱く心が見向きもされないとは。
パック再び登場。
パック
とってきました!
オーベロン
早いなおい!例の花はとってきたか。
パック
はいここに、そしてなんとビン詰めの汁!
オーベロン
気が利くなっ!…よし、もらっておこう。これを、花園で、妖精を踊らせながら眠りへとついていくティターニアにしたたらせてやろう。
パック
まぁ~人が悪い。
オーベロン
そしてお前もこれを少し持っておけ。
パック
あっそうですか?
オーベロン
森の中に、とてもかわいい恋をしている、ひとことネタの得意なアテネの娘がいる。
パック
はいはいはいはい。
オーベロン
しかし相手の男はその娘を嫌っている。
パック
あら嫌ってんだ。あら。
オーベロン
その男の瞼に塗ってやれ。
パック
あらららやるねぇ。
オーベロン
だがな!
パック
はい。
オーベロン
男が目覚めて最初に見る者は、そのアテネの娘でなくてはならない。
パック
ですね、ですね。ええ。
オーベロン
男はすぐにわかる。
パック
えっ、どんな?
オーベロン
身につけてるアテネの服装が目印になる。
パック
アテネの服装ですね。
オーベロン
うまくやるんだぞ。
パック
はい、私の腕を信じてくださいよ。で、どっちの方角で?
オーベロン
南だ。
パック
わかりました!
西へ退場。
オーベロン
南だよ!みな、きゅう、四分の一おいっ!
退場。
第二場 森の別の場所
ティターニア、踊る妖精登場。
踊る妖精
♪口笛はなぜ~遠くまで、聞こえるの~
ティターニア
あ~気持ちいいわね…。
踊る妖精、踊る。
ティターニア
はっはっ、いい踊りよ、いい踊…狭いっ狭いっもう、距離とんなさいよあんたは。広いんだからこんな、ぶたみたいな顔しやがってよお前は。
踊る妖精
…。
ティターニア
いいですか妖精ちゃん。
踊る妖精
はい。
ティターニア
あなたの得意な踊りを、見せてちょうだい。
踊る妖精
はい。
ティターニア
私はそれを見ながら、眠りにつきますから。
踊る妖精
はい。
ティターニア
…踊ってちょうだい。
踊る妖精
ヒップホップでいいですか?
ティターニア
好きにしなさい。
踊る妖精
ワンエントゥエンドスリーエンドフォー。ワンエンドトゥエンドスリーエンドフォー。女王さま。
ティターニア
それでいいの?
踊る妖精
あっまだ寝てないんですね。
ティターニア
それでいいの?
踊る妖精
ワンエンドトゥエンドスリーエンドフォー。ワンエンドトゥエンドスリーエンドフォー。ワンエンドトゥエンドスリーエンドフォー。ワンエンドトゥエンドスリーエンド、フォゥ。おやおや?女王さまはもう寝たようだねぇ。ちょっと油でも売ってこようかな、よいしょっ。
踊る妖精退場。ティターニアは眠る。
オーベロン登場、ティターニアの瞼に花の汁をしたたらせる。
オーベロン
目覚めて見るのが何であれ、それがお前の恋人たれ。そしてたちまち恋焦がれ、その目に恋人とうつれ。化け物来るまでよく眠れ。
退場。
ライサンダーとハーミア登場。
ライサンダー
だいぶ、森の中を歩いて、君も疲れたようだね。
ハーミア
はい。
ライサンダー
それに、実を言うと、どうやら僕も道を忘れたようだ。
ハーミア
えっ?
ライサンダー
ハーミア、ここで休むとしよう。そして、楽しい朝がくるのを待とう。
ハーミア
はい、それがいいです。じゃあ、私は、この土手を枕に寝ます。他を探して寝てください。
ライサンダー
何を言ってんだ。
ハーミア
え?
ライサンダー
ひとつの土手で、二人の枕で充分だ。愛はひとつ。
ハーミア
いや…ちょっ、ちょっ…ちょっと待って。いや。だめ。私はここ。
ライサンダー
ベットもひとつ。胸は二つでも、愛のまことはひとつじゃないか!(襲う)
ハーミア
いや、ちょっと待ってちょっと待って。
ライサンダー
ハーミア、ハー、ハーミア!
ハーミア
ちょっと待ってちょっと待って。
ライサンダー
ハーミア、好きだよ、ハーミア!
ハーミア
わかったわかった。
ライサンダー
ハーミア!ハーミア、ハーミア!
ハーミア
ちょっとやめろっつってんだよ!(蹴)
ライサンダー
ぐぁっ!…何するんだ。
ハーミア
ちょっと、聞いて、ライサンダー聞いて。
ライサンダー
何だいハーミア。
ハーミア
あなたがもしね、私を紳士的に愛してくださるというのならば、少し離れて寝てちょうだい。人が見て、まだ結婚していない、紳士と淑女とわかるぐらい、離れて寝て。それに私はね、やることがあるの。
ライサンダー
二人でやればいいじゃないか!
ハーミア
いや、ひとりじゃないとできないの。
ライサンダー
僕たちの心はひとつじゃないか!
ハーミア
わかってます。
ライサンダー
いたずらなんかしない。
ハーミア
いや、されたら困るのよ。だからちょっと離れて。
ライサンダー
ハーミア!
ハーミア
ちょっと離れて!
ライサンダー
わかったよ。
ハーミア
だめ。
ライサンダー
そんなに、嫌なら…
ハーミア
嫌じゃないのよ、まだ結婚していないから、まだだめなの。人も通るし。
ライサンダー
……?
ハーミア
だめ。
ライサンダー
じゃあ、ハーミア僕は、ここで寝るよ。
ハーミア
はい。それぐらいでいいわ。それでは、いい夢が、訪れますように。そして、あなたの命が続く限り、心変わりなさらぬように。
ライサンダー
僕も心を、合わせて唱えよう。僕が愛を失う時は、この「命」!も失いますように。「命」!「猪木」!
ハーミア
すごいわ…やっぱり本番でのってきたわね…すごい。
ライサンダー
おやすみ!
ライサンダー眠る。
ハーミア
おやすみなさい。(ライサンダーの様子を窺う)寝たのかしらね…寝たの~♪
ライサンダー
(目を覚まして)ハーミア!ハーミア!いいじゃないか、ちょっとぐらいいいじゃないか、ちょっとぐらいいいかい、ちょっと、ハー、ハーミアいいじゃないか!
ハーミア
ちょっと、やめ…やめろっ!(腹殴・腹殴・顔殴)
ライサンダー
ぐぅっ!!(気絶)
ハーミア
…寝たみたい♪それじゃあ、やること済まして寝ちゃうわ。うん。よいっしょと。(腕立て伏せをしながら拍手)うんっうんっうんっうんっ、ほいっほいっほいっ、ほほっほほっ、ほほほほほ、おうっおうっおうっおうっ…今度筋肉番付でやってみよ。
ハーミア眠る。
パック登場。
パック
森のどこにも見あたらない、アテネの男は見つからない、これでは恋せずにはいられない、花の魔力は試せないーあ~と、お?あっ、あれ?アテネの服装?こいつか王様が言っていた、あー冷たい男っていうのは、にしても濃い顔ね~あ、娘さん?こんなじめじめ湿ったところに寝かせるなんて、血も涙もない男だな、あっぶっさいくだなこれ、これぶっさいくだこれぇー。さ!よし、そいじゃね、さっそくやりましょう。さ、目覚めたときにはねぇ、あなたはもうこの娘さんに二度と、眠れないほどの恋煩い。それまで目を覚まさぬように。よし、早速、王様に知らせよう!
退場。
ディミートリアスとヘレナ登場。
ヘレナ
待ってディミートリアス!
ディミートリアス
帰れよお前は!!(飛び蹴り)
ヘレナ
ひどいわ、私を暗闇に置き去りにしていくの?
ディミートリアス
そうだ、ここにいろ。俺はひとりで行くぞ。
ディミートリアス、森を破壊しつつ退場。
ヘレナ
大丈夫かしら…私が祈れば祈るほど、授かる好意は減るだけ。幸せなハーミアは、いったいどこにいるのかしら。それにしても、羨ましいのはあの男心をひきつける瞳、どうしてあんなに輝くのかしら?涙のせいではないわ。だって、あの人の目は私の目ほど涙で洗われてはいないのだから。おや、だあれ?ライサンダー?死んだのかしら?ライサンダー?眠っているのね?ライサンダー、起きてちょうだい、ライサンダー、ライサンダー!
ライサンダー
(目を覚まして)…美しい…透き通るように美しいヘレナ、これは自然の魔法だ、君の胸を通して、君の心が僕にははっきり見える。ディミートリアスはどこだ?えぇい忌々しい、その名前こそ、剣にかかって死ぬにふさわしい!
ヘレナ
そんなひどいことは言わないで!構わないでしょう、あの人がハーミアを愛したっていいじゃない。ハーミアは、あなたのことを愛してるの。だから満足して。
ライサンダー
冗談じゃない!僕はあいつと過ごした、退屈なときを悔やむばかりだ。ハーミアでない、ヘレナだ!僕が愛するのは。
ヘレナ
どうして私がこんなにばかにされなければいけないの?あなたに侮辱されるようなことをいつ私がしたの?確かに私はディミートリアスから優しい眼差しを一度も受けたことがないわ、だからといって、あなたに侮辱されるわけがあって?ひどい、本当にひどい!
退場。
ライサンダー
ヘレナ~!…えぇい…(ハーミアに唾を吐く)この、アマ!お前はずーっとここで寝ていろ!そして二度と俺に近づくな。甘いものほど摂りすぎるとすぐに飽きがくる。辛いものほど食べ過ぎるとケツが熱くなる!それにガスが溜まる!(ハーミアに屁を放つ)さぁ俺の愛よ、全力を持ってヘレナを崇め、あの人の騎士となるのだ、ヘレナ~!
退場。
ハーミア
(目を覚まして)あっ、あぅっくっさい!あぁやめて、何、なに誰、あなた何、フライデー?ちょっと、やめて、フライデー来ないで、なに私の合コンを撮るって?やめて、やめて来ないで、あれは合コンじゃなくってただの飲み会よ…何なのよ独身だから関係ないじゃない、池尻大橋で飲むことがそんなに悪いの?いいじゃない、やめてちょうだい、事務所通して…あっ!あ、あ、夢?なんだ、正夢みたい…でもね、こんなに苦しんでるのに横であなたは笑ってるの…あ、あれ、ライサン、ライ、ライサン、ダー?ライサンダー?どこにいるの?私の声が聞こえてるんでしょう?出て来て、ライサンダー、ライサンダー!
退場。