コント“宅配便”

（彦麻呂）がんばりまーす！心は錦！猿岩石！

　舞台明るくなり、キャッチボールをしている有吉＆森脇（敬称略）

（有）また△△ね〜。ふられちゃったよ〜。
（森）またかよ〜？
（有）ぜんぜんだめだよ〜。
（森）今年で何回目だよ？
（有）もう・・７回目？月イチペースだねー、だいたい。あれ、もうね今回ほんとに
　　　　コンビニの店員だったから軽いかなと思ったんだけど〜。
（森）おぅ。
（有）だめだわ。
（森）何？なんつったの。
（有）え？△△？いやぁ結婚前提にと思ってたから〜。
（森）うん。
（有）「俺の食パン焼いてくださいっ」って
（森）だめだろ〜、それじゃあ。
（有）「はい」って食パン焼かれちゃった。ほんとに。
（森）そうだろうな〜。やっぱり
（有）結婚と即繋がらないのかなぁ？「食パン焼いてくれ」ってのは。
（森）味噌汁とかだったら連想するだろうけどな〜。食パンは〜。
（有）お前だめなの？最近。どうよ。
（森）俺さ、やっと好きな人出来た。
（有）おっ！マジ？
（森）おぅ。
（有）誰？
（森）いや、ちょっとその前にさ、部屋の中でキャッチボール無理だよ。
（有）お前、ゆえよ、早く。
（森）その前に、誕生日だからさ、大家もうるさいし。
（有）どんなコ？どんなコよ？
（森）それがさ〜。すっごいんだよ。隣引っ越して来たんだけど
（有）マジで？
（森）２ヶ月前くらいに引っ越してきたんだけど、そんときに
（有）（めちゃめちゃ興奮状態で）あっ！行くっ？行くっ？告白するっ？
（森）だめだめだめだめ
（有）お△△！
（森）早い早い早い引越ししてくる時に、手伝ったってあげたの荷物。重そうだった
　　　　から。
（有）うん。
（森）それで、１回しか会ってない。かっわいーんだよ〜。
（有）（確認するように）かわいい。どんなかんじの。
（森）広末 涼子
（有）（間髪入れずに）セクシー系
（森）セクシー系じゃないよ。清・純・派！
（有）ああ、清純派。マジ見てぇ〜！！
（森）すっごぃかわいいんだよ、これが。
（有）ぅあ〜！！
（森）まだ一回しか話したことないからさ。
（有）（興奮状態継続）ぅあ〜！！ちょ〜嬉しいよ〜！（持っていたボールを奥の方へ
　　　　放る。）
（森）お前何やってんだよ！

　＝部屋のチャイム鳴って＝

（森）あ〜。大家来たよ〜。
（有）（慌てて）かっ、かっ、帰る。（立ち上がって帰ろうとする）
（森）帰ってもだめだよ〜。もういるから
（有）（どうしようか焦ってる）
（森）まままま、待ってよ。（玄関へ向かう【舞台上手へハケる】）
（有）（めちゃくちゃ落ち着かない様子で部屋の真ん中で座り込んでグローブをさ
　　　　わっている）
　＝しばし間があって、＝その間も落ち着かない様子の（有）さん
（森）（１メートルくらいのダンボール箱を抱えて戻ってくる）
（有）（ダンボールを凝視して）お、大家さんっ！？
（森）なんで大家がダンボール入ってくるんだよ。△△に。違う違う。話聴けよ。
（有）何？
（森）隣の女の子が留守で、３時くらいには帰ってくるかなって言ってんだけど、預
　　　　かってくれって。宅急便が。
（有）なっ！！なあにはいってんのぉ〜！！！（ダンボールにしがみつく）
（森）そうじゃなくて。これで話すきっかけ出来たじゃん。これで友達になったら
　　　　さ。完璧。
（有）御中暮？
（森）なんだおちゅうぼって？違うよ。
（有）じゃあ何よ？
（森）名前が同じだから、たぶん仕送りかなんかだって。
（有）見ってぇ〜！！！（ダンボールにしがみついて）
（森）たぶんね。
（有）あけっ。開けてもわかんないと思うよ。（なぜか半泣き）
（森）だめだめだめ
（有）わぁ・・・。
（森）それでさ・・
（有）（ダンボールに手をかけながら）あっ、待って。こういう話教えてあげる。昔
　　　　の。人で、浦島太郎って人がいたのね。浦島太郎っていうのは、竜宮城へ行っ
　　　　て、玉手箱っていうものをもらったの。
（森）うん。
（有）そして浦島太郎は開けたんだって。よしっ！（開けようとする）
（森）それいい例え？！おじいちゃんなっちゃうだろ。
（有）おじいちゃんになりゃあしねえよ！
（森）当たり前だよ！これでおじいちゃんにはなんねえよ。何△△
（有）によ〜！（悔）
（森）だーめだめ。これ、忘れて。ほんとに。これだけは。あぁ。いや、どーしよ。
　　　　でも。ほんとに告白できるよ。（嬉）
（有）（ダンボールの角からなぜか帯状の紙がはみ出ている。その先には眼鏡がぶら
　　　　さがっている。）それを不思議そうに注目する。
（森）何それ？
（有）なんでこれだけしっかり荷造りしてあって、眼鏡が（端から）びろん。
（森）・・・わかんない。
（有）（不思議そうに眼鏡を触る。）
（森）ま、ま、いいじゃん。これは。ほっとこうよ。
（有）（思いっきり眼鏡と紙を引き抜く。）
（森）何やってんだよ！
（有）出しちゃった・・出ちゃった。
（森）出ちゃったじゃねーよ！どうすんだよ。入れろよ、ほら。早く早く。
（有）（眼鏡をダンボールの隙間から押し込もうとする）
（森）眼鏡は出てただろ！（紙をダンボールの隙間から入れようとするが、上手くい
　　　　かない。）やめろよ〜。お前は〜。
（有）眼鏡を中心に入れた方が・いい・（また眼鏡を押し込む・・・結局上のガム
　　　　テープまでバリバリ開けてしまう。）
（森）あ〜！
（有）（満足そうに）入った！
（森）入ったじゃないよ。開いちゃったよ。
（有）あれっ？
（森）お前、なんてことすんだよ〜（涙）も〜、信用無くなっちゃうじゃねえか
　　　　よ〜。
（有）（悪びれもなく）ごめんごめん。ごめん
（森）ちょ、早く。もうガムテ、ガムテ、ガムテ。だめ、これ（貼ってあったガム
　　　　テープ）もう使い物になんない。
（有）ガムテ・・あっ！ちょっ、待って！もういい。ガムテねえ、もう付けるんだっ
　　　　たら。気になるだろ？お前。ちょっとだけ。
（森）・・・見るだけな。
（有）見るだけ。
（森）見るだけな。触んなよ。
（有）（中を覗き込んで）やっぱ仕送りだな。
（森）これそうだよ。ぽいな。
（有）（箱の中から封筒のような物を取り出し。）ほれ、やさしいなぁ。
（森）触んなって、だから。
（有）これ。一個一個これ
（森）ん？
（有）お母さんなんかの、なんかメッセージが書いてある。
（森）おっ全部についてる。
（有）（封筒に付いているメッセージを読む）『使えるかどうか不安ですけれど。お
　　　　母さんの自信作です！』
（森）やさしいね。
（有）（きっぱりと）これだけ見して。（封筒の中から一万円を取り出して固まる）
（森）自信作でお札・・・
（有）偽札っ！？
（森）作っちゃった？お母さんが。うそっ・・
（有）いやっ、ほんとにこれっ？
（森）違う違うなんかの間違いだって。そんな家じゃない。彼女の家は。
（有）何人！？彼女！
（森）そんな家じゃない。違う違う。何かの間違いだって。他のも見てみようよ。
（有）何やってる人・・・？
（森）（箱からメロンパンを取り出し）『家の畑にありました』
（有）うそっ！！メロンパンよ！？なんでメロンパンが畑？これっ、畑でこれを作
　　　　り。偽札も作る？
（森）まだある。まだある。まだある。（ピーポくんのぬいぐるみを取り出し）『縁
　　　　が美味しいです』
（有）（ピーポくんを奪い取り）縁っ！どれ！？（縁を探す）
（森）縁って言わねえだろ。
（有）（帽子の丸いところを指して）これ！？（かじってみる）・・・・美味しくな
　　　　いっ！俺には美味しくないっ。とりあえず。
（森）何なんだろうな、じゃあ
（有）（大根２本が紐に括られたものが出てくる）（諦めたように）『今月分です』
　　　　・・・。やっぱ俺らはね。かかわらないほうがよかったんだよ。（悔）
（森）あっ！ちょっと待って。ちょっと待って。
（有）偽札造りよ。そんな偽札造る余裕があるなら、もっと娘に楽させてやればいい
　　　　のに！（嘆）
（森）違う違う違う。これ、お母さん急いでたんだなぁ。これ、全部紙を貼り間違え
　　　　てたんだ。な？合うから。合うから。待って、待って合うから。待ってよ。
　　　　え〜っと・・・。え〜っと『家の畑に』・・
（有）あっ！わかっ！わかった！メロンパンが今月分ってこと？
（森）違うよ！お前。△△
（有）じゃぁ！
（森）『家の畑にありました』が、これが、大根！ねっ？『今月分』が、これ。お金
　　　　だよ！偽札じゃないんだよ。だからこれが今月分だってことだろ？
（有）（疑いの眼差しで）その線も薄いぞ・・・。
（森）これが自然だもん。だってね。で。え〜と。あと、『縁が美味しい』のはメロ
　　　　ンパンだろ。これ縁美味しいだろ。
（有）（神妙に森脇くんの話を聴いてるが、急にとりつかれたようにメロンパンの袋
　　　　を開け、かぶりつく）
（森）開けんなよ！
（有）美味いっ。
（森）お前すぐ買ってこいよ、新しいの。そんで。え〜と・・『使えるかどうか不安
　　　　だけどお母さんの自信・・作』・・・（残ったピーポくんを持ってちょっと戸
　　　　惑う。）
（有）ど〜使いますかぁ。
（森）なんかにさ・・使・・えるんじゃないかな？
（有）（ダンボールから何か見つける）
（森）あ、まだあるんだ
（有）電話。よく見ろよ。
（森）わかった。これがこれが、『使えるかどうか不安だけどお母さんの自信作で
　　　　す』
（有）お母さん何やってる人なんだ！？【ＫＥＮＷＯＯＤ】とか書いてあるぞ！
（森）ＫＥＮＷＯＯＤの人だよ。
（有）じゃあ、紙がじゃあ、お前これだけ几帳面な人がだよ！これだけ何にもないん
　　　　だよ？
（森）あ、じゃあとりあえず。やっぱこれはこっちだ。（ピーポくんに『自信作』を
　　　　貼る。）
（有）（ダンボールをごそごそ探っている）
（森）電話は使えってことだもん。これは普通に見たらわかるよ。
（有）（報告調）ありましたっ！（紙を誇らしげに掲げる）
（森）なんて？
（有）え〜と。『持ち易いでしょう』
（有）＆（森）・・・・。
（有）持ち易いでしょう？
（森）（電話の受話器を持って）持ち易いでしょう？
（有）いやっ！持ち易いっていう意味ではもうこっちのほうがよっぽど持ち易くない
　　　　？（ピーポくんの帽子をつかんで持ち上げる）
（森）違うよ。これは色んな電話あるけど、この機種は持ち易いでしょっていう意味
　　　　だよ。
（有）（メロンパンを持って）持ち易いでしょ？よっぽどだってメロンパンの方が持
　　　　ち易い訳でね。
（森）・・・あれっ・・？
（有）ちょっと待ってだからな、違うんだよ。いいか？よく考えろよ。
（森）うん。
（有）まぁだから組み合わせが違うんだよ。
（森）ちょっと待ってもう３時になるんだから。（焦）
（有）わかっ、組み合わせが違うって意味なんだから！
（森）うん。
（有）な？
（森）うん。
（有）『使えるかどうか不安だけどお母さん自信作』の偽札！そして、
（森）何言ってんの？お前。
（有）『持ち易い』メロンパンの！え〜と、畑・・に・・からありました。（電話）
（森）これが畑からこう出てくるのかよ！出てくるわけないだろ！
（有）『縁が美味しい』（ピーポくん）『今月分』（大根）・・・どんな女だよ！！
（森）お前が間違ってんだよ！違う違う。もっかいもっかいえ〜と『今月分』がやっ
　　　　ぱお金。そんな家じゃないからね。普通のコだよ。だって。え〜っと、『縁が
　　　　美味しい』のは、やっぱメロンパンだよ。メロンパンメロンパンだよわかる？
（有）それは、じゃあいい。わかった。
（森）『持ち易い』のはこれ（ピーポくん）でいいよ。持ち易い。『畑』は大根で
　　　　やっぱ作ったの！これはお母さんが。
（有）それは作れない！お母さんに！！一つ違う！
（森）なんだよ？
（有）家の畑、畑っていうけども。
（森）うん。
（有）家の畑で“採れました”じゃないの。『家の畑にありました』家の畑に大根が
　　　　このままあったわけないんだから。家の畑にあったのは、やっぱりなんだかん
　　　　だいってもこうなるだろ！（電話につける）
（森）あっ、それでこれ（大根）が自信作だ。え？じゃあこれ（電話）がじゃあなん
　　　　で畑にあるの？
（有）そうだよなぁ〜。（考）
（森）あっわかった！農家なんだ、家が。農家で一日ほとんど畑にいるから、電話を
　　　　畑に置いてんだ
（有）じゃあ、それでいい。（大根の）『使えるかどうか不安だけど』っていうのは
　　　　どういうこと？（大根を吊るした紐を腕にかけて）じゃあ、これカバン？
（森）使えるかどうかっていうのは、料理だよ。料理が苦手になんないように。
（有）ちょっとこれ・・時間ないんだろ？だからもういいんだよ。偽札とかでいいん
　　　　だよ。
（森）だめだめ
（有）え〜？
（二人ダンボール品物を詰め込んで【または放り込んでいく】）
（有）これ〜。ちょっとあれっ？（考）
（森）もういいよ〜。入れちゃお
（有）これ・・・うわっ！！わかったっ！！！
（森）何だよもぅ〜！
（有）（大根の紐を持って）『持ち易いでしょう』？
（森）来るから！来るからもう（半泣き）じゃあもう考えといて、考えといて。取り
　　　　に来るから、取りに来るから。早く！（焦焦）

　＝（チャイム鳴る）＝
（森）だめだこれもぅ〜（泣）
（有）（ピーポくんに眼鏡をかけて森脇くんに見せて）どう！？
（森）なによ〜！もう〜！！！来てんだよ！も〜！！だから早く入れて、入れても
　　　　う。入れてよもう早く！（焦）
（有）（玄関にピーポくん眼鏡付きを抱えて走り出す）すいません！これ何に使う物
　　　　ですか？
（森）（有吉くんに）お〜い！！！（叫）
　＝暗転＝