森脇<以下、敬称略>:中曽根 実の・・・記念日コント、「誕生日」
森脇:
(指をならしてリズムをとりながら、ディアマンテスの「魂をコンド
ルに乗せて」のメロディで)♪ラララ、ライラ、ライラ、ラ〜ラァ♪
<観客のクックックックという笑い声が聞こえる>
森脇:
(靴を脱いで部屋でくつろいでいる・・・らしいが、まだ映像は見え
ず、音声のみ)アァ〜ァ〜〜
(と深いため息のあと)ヒマだなぁ・・・
トゥルル・・・
(←森脇の声)と、そこに電話が入る
森脇:もしもし〜。おおおお、おぉ、宇野かぁ、おお、久しぶり!お〜、ど
うし・・・あっ、温泉?いいねぇ。ほ〜ん、あっ村山も一緒なんだ。
ほ〜ん、あっそう、まあ楽しんでくりゃ〜いいじゃん。
(この当たりから映像が入る。青白チェックのシャツとGパンの森脇、床に
右足を投げ出し、左手で受話器をもって電話中)
森脇:・・・あっそう、はぁ〜〜、お、お、お、えっ?
(足を組んで)そう
だっけ?今日、俺、誕生日だっけ?
(また右足を投げ出して)あっ
そっか〜、自分でも忘れてたよ。おおお、ああ、ありがとありがと。
(受話器を置く態勢になって)おお、じゃまた。楽しんで来・・・
楽しんでな。おお、おお、じゃまた。あ、おっ、おお、またまた、
おっ霞ヶ関で、ハイ
(と、受話器を置く)
<「霞ヶ関で」のところで、けっこう大きな客席からの笑い声。有吉が笑い
ながら「小技を・・・」と言ってるが、聞き取れず>
(受話器を置き、しばらく床の上で右足を投げ出してボーッと座ってる)
森脇:そっかぁ〜、今日は俺の誕生日かぁ・・・
(しばらく沈黙)
森脇:そうだ、自分で祝おうっ!
(と、あぐらをかいて、パチパチパチとゆっ
たりとしたリズムで手拍子しながら、けっこう嬉しそうな顔で)
♪ハッピー バースデイ トゥーミー・・・ズコッ
(で、手拍子して
いる手を大きくずらしてガクッとなる)
♪ハッピー バースデイ トゥー ミー・・・ズコッ
(同上)
♪ハッピバースデイ ディア みのるぅ〜・・・きもちいぃ〜〜!
(自分で笑けながら)♪ハッピバースデイ トゥーミー
(歌が終わると、深刻な顔になって、ハァーっと大きなため息をついて)
森脇:ひとりで寂しいなぁ。ケーキか何か欲しいよなぁ・・・
(しばし沈黙)
森脇:ケイキだけに・・・小渕、呼ぼうっ!
(と、電話に手を伸ばしてコン
ト終了!)
森脇:
(正面に向き直って)ありがとうございました
(と立って深深とお辞
儀をする)
<パチパチパチパチ・・・と観客から拍手と笑い声、そして“お疲れさまで〜
す”の声>
その後、音声のみで、
山崎:えっ、最後分からんかったよ
有吉:景気!
山崎:えっ?
有吉:景気回復のためのぉ・・景気と言えば小渕
山崎・
白川:ああぁ〜〜っ・・・
有吉:フフフフフッ・・・
っていう会話
(?)が入ってます。
バーのカウンターにて。
カウンターで酒を飲む山崎
(左)。マスター役の有吉
(右)は店の片づけをしている
山崎:
(店の壁にかかった時計を見上げながら)もうこんな時間か。
(正面
に向き直って)やっぱりあいつら来なかったな
(と酒を一口)
有吉:
(シェイカーを振りながら)どうしたんですか?
山崎:いや、実はマスター、10年前にねぇ別れた友達がいるんですよ。仲
良し3人グループでね。で、あのぅ・・・10年後の今日、この店
で会おうって、そう言って別れたんです。でも、来たのは僕ひとり
だけです
(と寂しそうにうなだれる)
有吉:
(ずっとシェイカーを振りながら)そんなことだったんですか。まぁ
でもねぇ、10年もあればぁ、みんなぁ、いろいろありますからねぇ
山崎:そうですよね
有吉:会えなくなることもあるかもしれませんね
山崎:そうですね。じゃ、マスター、もう帰ります。お会計してください
(と、立ち上がって、伝票をマスターに渡す)
有吉:ハイハイ。
(伝票を見ながら)えーっとぉ、
(キャッシャーを叩きな
がら)7500円になりラッシュ
山崎:?
有吉:ラッシュ、ラッシュ、パトラッシュ
(←ラにアクセントがあって、パ
トラッシュで声が裏返る)
(二人、じっと顔を見合わせる)
山崎:そ、その口癖は!
有吉:
(嬉しそうに仮面を取るフリをして)やまざきぃ!!
山崎:有吉!
(と抱き合う二人)
有吉: ひゃっはははは・・・久しぶりラッシュ
(二人、離れる)
山崎:や〜、“ラッシュ”って聞くまでお前ってわからんかったよ
有吉:そうラッシュ〜
山崎:ゼンゼン、もう顔とかゼンゼン変わってもうたもんなぁ
有吉:そうラッシュかぁ〜
山崎:あ〜、びっくりしたぁ。でも、口癖、変わってないなぁ。いや〜でも
懐かしいなぁ。いや、こんな店まかされてるんか、お前?
有吉:そうラッシュ
山崎:そうか、いいなぁ
(と、ここで座る)俺なんかなぁ、サラリーマンやっ
てて、毎日毎日満員電車にゆられて大変やでぇ〜
有吉:
(コップを拭く動作に変わって)そうラッシュ
山崎:いや、だからぁ、毎日毎日満員電車に揺られて大変やって・・・
有吉:そう「ラッシュ」
山崎:うまいね、おい〜
(と有吉を指差す)
有吉:
(破顔一笑)
<客席からも笑い声。森脇の「ハハハハ・・・」の声も聞こえる>
山崎:
(また一口飲んで)でも有吉、やっぱり、あいつは来へんなぁ。
有吉:そうラッシュなぁ
山崎:なんかあったんかなぁ?
有吉:何してラッシュか
山崎:そうやなぁ
(ここで白川が登場)
白川:
(カランカランカラン<=白川の声>とドアを開けて)あの〜、すい
ません。あの、ここのお店は、あの〜スナックZ
(ゼット)でよろ
しいですよね?
有吉:そうラッシュよ
白川:あっ、じゃあ、いいんだわ
(と言って、山崎の隣に座る)
有吉:イヤイヤ、今日は、もう閉店ラッシュ
白川:えっ、はい、いえそういうんじゃないです
山崎:
(立ち上がって)いや、もう帰ってください
(と白川を追い出そうと
する)
白川:
(立ち上がって)いえっ、あの〜、あっすいません。あの〜、ご挨拶
が送れてまして、白川の母でございます
(とお辞儀をする)
山崎:えっ、え〜〜っ、白川のお母さん!?
白川:ハイッ
有吉:し、白川はどうしたラッシュか?
山崎:白川に何かあったんですか?
白川:はぁ?いや別にぃ、まぁ取りあえず、水割りでも・・・
山崎:じゃ、10年後にここで会おうって言ったんだよなぁ
(と有吉にあい
づちを求める)
有吉:そうラッシュ
(と、有吉もカウンターから白川の方に身を乗り出す)
白川:はい
山崎:で白川はどうした、白川・・・
白川:いえっ、家で寝てると思うんですけどぉ。はい、起こしたんですよぉ。
あの〜、今日のこと聞いてたんでぇ・・・。
山崎:10・・・
白川:
(山崎の声をさえぎって)そしたらもう、かなりあの〜、もう目くそ
でまぶたが聞かないくらいに寝てたんでぇ、それは起こしちゃマズ
イっていう母心で、Z
(ゼット)に来て・・・
(山崎・有吉:呆然とするところだが、有吉、チョイ笑いかけの顔。客席からも笑い声)
山崎:いやぁ、10年後にね、あのぉ〜、会おうって。なぁ、涙で誓ってなぁ
(と、有吉に助けを求める)
有吉:そうラッシュよ
山崎:ほらぁ、それでぇ〜
(ここで突然、白川がポケットからガムテープを取り出し、首にぐるぐる巻
きはじめる。客席から笑い声)
有吉:
(あわてて)何をしてラッシュか?
白川:ハイ
山崎・
有吉:お母さん!
山崎:どうしたんですか?
白川:いえ、のどが痛いもので・・・
(客席から大きな笑い声)
有吉:おかしいラッシュよ
山崎:変な人だなぁ
白川:
(けっこう嬉しそうに)ハイ
山崎:お母さん
(と自分の膝を叩いてから有吉を見上げて)だから、なぁ、
10年後絶対会おうって・・・
白川:だから、起こしたんですよぉ。で、すごいあれだって言ったんですけ
ど、こりゃやっぱり眠気には勝てないってこと言ってたんでぇ〜。
えっ、何ならあの〜、おともだちとかいっぱいいますから・・・
山崎・
有吉:いや、いや、いや・・・
山崎:3人で、3人でなぁ会おうって・・・
(と、そこでププッ、ププッ、ププッ<=白川の声>と白川のポケベルの音が響く)
山崎・
有吉:な、なんすか?
白川:あっ、ポケベルがぁ、ちょっと。。。
山崎:今どき?
白川:
(ポケベルをポケットから取り出して)あ、メッセージが入ってます
山崎・
有吉:
(ポケベルを覗き込みながら)だ、だれから、誰からですか?
白川:安彦から入ってます
有吉:えっ、何てラッシュか?
山崎:白川から! 白川、何て
(と立ち上がってポケベルを覗き込む)
白川:“メシマダカ”と
山崎:メシっておいっ!
山崎・
白川・
有吉:
(軽くお辞儀をしながら)どうもありがとうございまし
た。