恋の片道切符 |
原文作成◆なかおさん
#3 |
◆ 鳴海との初対面のシ−ン オフィス内、朝礼風景。 同僚に混じって山田・松田並んで立っている。 課長から鳴海がみんなに紹介される。 朝礼終了。皆席に着こうと歩き出すが、山田はぼ−と突っ立て いる。松田がそれに気づき、「ぼ−っとしてんじゃないよ!」 という眼差しで、肩で山田の胸をつつき、着席を促す。 (松田、意地悪そうな顔つき) ◆ 昼休み 鳴海、コピ−室から戻ると同僚は山田の他誰もいない。 山田は一人ポツンと自分のデスクでワ−プロを打っている。 鳴海「あれ、皆さんどこ行っちゃったんですか?」 (山田、ワ−プロを続け画面を見たまま) 山田「連れベンです。ベンはベンでも弁当の”弁”です」 鳴海「はぁ?」 山田「連れ弁当。みんな会議室とか、屋上にいます。」 鳴海「じゃぁ、私も行って来ます。」(鳴海出て行いこうとする) 山田「いや、行かない方がいいですよ。」(鳴海振り返る) 山田「昼友同士かたまってまってますから。」 鳴海「昼友?」 山田「お昼ご飯を一緒に食べるお友達のことです。」 鳴海「なんだかおもしろそうじゃないですか。」 (鳴海再び出ていこうとする。) 山田「(強い口調で)いや、まだあなたは昼友の輪に入れません。」 鳴海「(振り返って)どうしてですか?」 山田「昼友には曜日ごとにロ−テ−ションがあって、何曜日に 誰と食べるか決まってるんです。その中に入り込むのは至難 の技です。」 鳴海「(つぶやくように)へぇ〜、お昼なんて誰と食べたって いいのに...」 山田「そういう掟なんです。」 鳴海「あなたはお昼ご飯食べないんですか?」 (鳴海、山田に歩み寄る) 山田「ちょっと、急ぎの仕事があるんで」 鳴海「よかったらどうぞ」 (鳴海、山田にクリ−ムパンを差し出す) 山田、初めて顔を上げ鳴海を見る。鳴海、微笑んで山田を見ている。山田は不思議そ うな顔を浮かべながら、そっと手を出しパンを 受け取る。鳴海は微笑んだまま退出。山田は「どうして?」 というような表情で呆然とする。 ◆ 鳴海の帰宅中 鳴海、真っ暗な公園をひとり歩いている。後ろから足音が近づく。 不審に思って鳴海、振り返るが誰もいない。気を取り直して歩き 始める。 背後の柱の陰から山田が顔を覗かせ、鳴海を見ている。 鳴海が気配を感じ立ち止まる。山田それに気づいて柱の陰に 隠れる。鳴海再び振り返るが誰もいない。また歩き出す鳴海。 山田、柱の陰から出て鳴海の背後を移動(画面左端から右へ 移動して消える) 鳴海、また立ち止まり振り返る。やはり誰もいないので、かなり 気味悪く感じながらも気を取り直して歩きだそうと向き直る。 山田、突然鳴海の前に現れる。 鳴海「あぁ!.....山田さん」 山田「(思い詰めた目で鳴海を見つめ)あのぉ..ぼくと... つきあってもらえませんか?」 鳴海「え?」 山田、思い詰めた目つきのまま鳴海を見つめる。
村田 崇 takashi@air.ne.jp |