フォー子の部屋
怖い話
部活が終わり、友達5人で仲良く自転車で帰っていました。
その日は部活の練習が8時に終わりました 。
7月でもあったので、辺りは暗くもなく明るくもなくといったところでした。
「たまには違った道を通って帰ろうぜ」という友達の提案もあり、母校でもあった中学の脇を通ることになりました。
その道は長さ30m。
左側は田んぼで見晴らしがよく、右側は中学校でフェンスがあり、高さは10mといったところです。
その道の先は左右に曲がれるところで、左側の道は障害物がなく、先ほどの道からも見ることができます。
右側の道は中学校のフェンスと石垣のせいで見ることが出来ません。
右側の曲がる道は長さ300m。
その道の左側は用水路で、フェンスもあり、用水路の幅も10m以上あります。
道の右側は先ほども言った通り石垣とフェンスがあり、高さは20mといったところでしょうか。
普段はこの道自体、みんな中学の時に通っていたので恐くなかったのですが、まさか、あんなことが起ころうとは‥‥。
次回につづく。
そういうわけで、私たち5人はその道をまっすぐ進んでいました。
そうするとおじいさんが一人、前の方を歩いていました。
私たちは「人がいるねえ」とか話しながら、そのおじいさんに近付いていきました。
すると、おじいさんが『ふっ』と消えたように見えました。それを見た瞬間、5人に寒気が走りました。
「消えたように見えたけど‥‥」
「ま、まさか。ここからは死角になってる右に曲がったんだよ。」
「確かめようか‥‥。」
「うん。」
それで私達5人は全速力で、その左右の曲がり角のところまで来ました。
左側の道は自分たちがいた道からも見ることが出来るので、おじいさんは左側に曲がってないことは一目瞭然でした。
だとすると、右側にしか曲がっていないことになります。
しかし‥‥右側の道にもおじいさんの姿はありませんでした。
「中途半端な明るさのせいで、この右側の道の先におじいさんが歩いてるのが見えないだけじゃないの?行ってみようぜ」
この彼の言葉に私たちは勇気づけられ、絶対に隠れようのない一本道を自転車で全速力で進みました。
しかし、おじいさんの姿は見えませんでした。
300mぐらい行って、私たちは自転車を止め、『あのおじいさんは、めっちゃ足の早い人なんだ』と自分たちに心の中でいいきかせました。
そして友達の誰かが後ろを振り返ると‥‥おじいさんが老人とも思えぬ早さで、私たちに近付いて来ます。
それだけで私たちはパニックに陥りました。
だって、左側は用水路でフェンスもあってその用水路の幅も10m以上あり、左側はフェンスと石垣で20mはあるんですよ?
隠れるところもない。
私たちは、その近付いて来るおじいさんを恐いものみたさで、じぃーと見てました。
近付いてくるにつれ、おじいさんの足は速くなり、顔の表情も見えてきました。
おじいさんは私たちの方を見て、ニヤリっとしました。
「ぎゃーーーーーあ!」一人が叫び、全員、我先にと逃げだしました。
でもおじいさんは追いかけてくるんです。
それも全速の自転車に。
後ろを降り向かずひたすら自転車を漕ぎ、一本道の端のカーブを曲がりました。
自分ともう一人が後ろを見ました。
しかし‥‥追いかけて来る気配が消えていました。
自分たちは恐いのを心の中にしまって、おそるおそる来た道を引き返しました。
そしてカーブまできて、見晴らしのいい一本道を見ると‥‥おじいさんの姿は消えていました。
‥‥‥‥自分たちが見たのは幻だったのでしょうか? 集団催眠でもかかったのでしょうか?
私たちは急いで家路にと向かいました。 その日以来、私たちはその道を通ることを止めました。
(完)
編集記 :
その一本道では隠れられるところは本当に無かったです。
たとえ用水路を飛んだとしても、その向こうは田んぼで見晴らしがいいから、動くものを見失うことはありません。
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