作品紹介

「もう一度デジャ・ヴ」  1993年 6月
「天使の卵」  1994年 1月
「BAD KIDS」  1994年 6月
「キスまでの距離―おいしいコーヒーのいれ方1」  1994年 9月
「野生の風」  1995年 3月
「青のフェルマータ」  1995年11月
「僕らの夏―おいしいコーヒーのいれ方2」  1996年 7月
「海風通信─カモガワ開拓日記」  1996年 8月
「きみのためにできること」  1996年11月
「翼」  1997年09月
「彼女の朝―おいしいコーヒーのいれ方3」  1997年10月


作品の解説


天使の卵 (エンジェルス・エッグ)

19歳予備校生・歩太と8歳年上の精神科医・春妃。
春まだ浅き日の予感に満ちた出会いから、衝撃のエンディングまで、せつなく、ひたむきな純愛。

予備校生の歩太と、精神科医である春妃の電車での出会いから始まる。
この出会いは、日常当たり前に使っている電車の中で、誰にでも起こりそうな小さな奇跡である。
毎日電車を使っていて、こんな経験はないだろうか。
男なら美しい女性、女ならハンサムな男性を見て憧れたり、同じ電車に乗っているだけでうれしかったり、得した気分がしたり、相手は気づいてすらいないのに目があった気がしてドキドキしたり。
きっとあるはずだ。
こんな当たり前の毎日から始まるから現実味をおびるのだろう。
しかし、ここからは偶然が幾つか起こる。
主人公歩太の父親の担当の精神科医が、偶然・・・。
主人公歩太の彼女の夏樹が、偶然・・・。
こんな偶然から、歩太と春妃親しくなり、苦しみそして・・・。
人を愛することの難しさ、苦しさ、辛さ、そして切なさは、直接心に話しかけてきます。
「あなたならどうしますか?」と。
ラストシーンでは、歩太の心の叫びが直接読者の心に衝撃を与えます。

この作品は、第6回小説すばる新人賞受賞作で、私が村山先生を知るきっかけとなった作品です。
村山先生の魅力がもっとも詰まった作品といえるでしょう。
まだ読んでいない、すべての方におすすめします。
絶対にあなたの心に残る作品になるはずです。
ぜひ読んでみて下さい。

BAD KIDS

海のようにやさしい、海のように激しい、18歳の愛と性の真実。

同姓のチームメイトを激しく想う隆之、18歳。
年上の写真家との関係に傷つく都、18歳。
それぞれの悩みを共有しながら、ピュアな生を疾走する、みずみずしい青春。
若いというのはこういうことと感じる。
ふれたら壊れそう、それでいて強い。
肉体的にも精神的にも微妙な歳、18歳の男と女。
これを両方の視線から描いた珍しい作品。
異質であるが故の面白さと魅力が詰まっています。

「キスまでの距離―おいしいコーヒーのいれ方」

父親とふたりで暮らしていた主人公勝利に突然の突然起こった出来事。
それは父親の転勤だった。
家事全般を一人でこなしていた勝利には、なんら今までと変わらない生活が待っているはずだった。
しかし、父親の手回しから従兄弟である、かれんと丈との三人で一緒に暮らすこととなる。
従兄弟との同居に不安を覚える勝利だったが、三年ぶりに会ったかれんは・・・。

勝利とかれん、二人の関係が徐々に深く強くなっていくラブストーリー。
村山先生の作品にしては珍しく、重々しいテーマのない純粋な恋愛ものとなっている。
もっとも読みやすい作品だと思うので、ぜひ読んでみて下さい。

野生の風

アフリカの風が、私を変える!
サバンナにくるまれた官能のひととき。

いまをときめく染織家・多岐川飛鳥、野生動物の命を撮り続ける藤代一馬。
ベルリンの壁崩壊の夜の運命の遭遇から、感動の、慟哭のラストまで。
究極の恋愛小説。

青のフェルマータ

南珊瑚礁の海で、せつなく、ほろ苦く、激しい大人の恋が生まれた!

南太平洋にイルカとチェロの旋律が響く。
夢の中に言葉を置き忘れてしまった里緒、人生に一度サヨナラしたあの人・・・
トラウマを持つ人々が織りなすイノセントな恋愛小説。

村山先生らしい作品です。
イルカとの心のふれあいが、あたたかく描かれています。
イルカが好きな方はぜひ読んでみて下さい。

海風通信─カモガワ開拓日記

自然派ゆったり美的生活宣言!
初めてのエッセイ集。

素潜りをした途端、千葉県鴨川の海に惚れ込み、移住してしまう。
ログハウス、畑仕事、ハーブ作り、釣り三昧・・・。
房州の自分らしい暮らしを著者の絵と写真を添えて綴る。

きみのためにできること

恋人がふたり、僕の心に棲み始めた。
深く眠った感情が呼び覚まされる・・・。

凄い音を創りたい。
そう願う、音声技師・俊太郎の青春。
夢まではまだ遠いが、ふたりの女性が僕の前に現れ、思いがけず、夢と現実が・・・揺れ動く青春!



母親に「おまえは人を不幸にする」そういわれ、その呪われた言葉から逃れられない・・・。
ニューヨークと広大なアリゾナを舞台に繰り広げる自由と悲しみ。
さまざまな人とので会いや異質な文化とのふれあいによって、マフィこと真冬が、過去のトラウマを癒していく過程を鮮明に描き出した大作。
村山由佳さんの小説の中で、もっとも登場人物が多い作品であるが、一人一人の思いが力強く描かれている。


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