球界トピックス

11月19日


 王さん、1位抽選初勝利! 4球団競合も見事に寺原をゲット!
この日、東京・新高輪プリンスホテルでドラフト会議が開かれた。注目の寺原隼人投手(日南学園)は予想通り、巨人,ダイエー,横浜,中日の4球団が競合抽選の結果、3番目にクジを引いた王さんは過去1位抽選3戦全敗とあって、初めて右手で抽選箱に手を伸ばし、見事に当たりクジを引き当てた。真っ先にクジを引きながら、外してしまい、中日を1位抽選8連敗に導いた山田監督は「王さんにまた負けたか。1971年の日本シリーズではサヨナラ2ランを打たれたし、1999年の日本シリーズでもダイエーに負けて日本一になれなかった。王さんには勝てないな」と愕然。また3巡目では寺原を外した際の指名を予定していた杉内(三菱重工長崎),4巡目では神内(延岡学園)と着実に九州勢を獲得し、8巡目では寺原の同僚・井手を指名する周到ぶり。王さんは「ドキドキしながら(クジを)引いた。とにかく当たってよかった。ウチはピッチャーがいなかったので、最高に幸せ。あとはスカウトに任せて、契約のハンコを押したい。 杉内も欲しかったし、欲しい選手が2人獲れて嬉しい。来年は優勝出来る気がする」と満点ドラフトに喜びを隠さなかった。当の寺原は指名直後こそ顔を強張らせ、胴上げやダイエーグッズを持っての撮影を拒否するなど、頑なな態度をとっていたが、3時間後の記者会見では気持ちが落ち着いたのか、「納得いかない所をじっくり話し合ってから決めたい。持ち味はスピード。日本で一番速い人より、1kmでも速い球を投げたい」と既に、気持ちはプロへと向いている様だった。尚、ダイエーは王さんばかりか、中内オーナーまでが同伴して、翌20日、早速、寺原の下へ挨拶に訪れる予定。 

 寺原獲り失敗も、次代のエース候補を続々と確保!
残り物には福がなかった。自由競争枠を放棄してまで寺原獲得に挑んだ巨人だが、無念の敗北。クジを引くのは最後とあって、如何ともしがたい状況ながら、究極のプラス思考で当たりクジが余る事を信じていた若大将・原監督だったが、中日,横浜と外れクジを引いたものの、残り2枚と言う所で王さんにかっさらわれ、「本当に寺原、残念だった。クジは運なのでしょうがない。交渉権がダイエーに行ったので、それを見守るしかない」と、入団拒否で3年後に巨人入りと言う筋書きに最後の望みを賭けるかの様に、未練がましく肩を落とした。しかし、外れ1巡目で「あの渋さが何とも言えない」と名手・川相を信奉するナイスガイ・真田(姫路工),3巡目では残っているか微妙と思われた鴨志田(水戸短大附)の指名に成功と、いずれも次代のエース候補として期待される好素材の高校生投手をゲット上位2名を高校生で占めたのは1987年以来、実に14年ぶり。以降も十川(池田),林(市船橋)と高校生を2人,高卒上がりの社会人で20才と若い石川(JR東日本)を指名し、最年長でも21才の大須賀(東北福祉大)と指名選手6名の平均年齢は18.7才。茂雄政権以来、高校生の上位指名が極端に減っていた巨人だが、近年にないフレッシュなドラフトとなった

 セ・リーグ監督会議開会! 2003年以降の引き分け再試合復活を検討!
ドラフト会議の開会前に同じく新高輪プリンスホテルでセ・リーグの球団代表・監督会議が開かれた。6日の理事会で内定した「順位決定方式を今年、採用された勝利数最優先から勝率最優先に戻す」事を確認したものの、勝利数1位チームが別にに存在した時のプレーオフ開催があっては、事実上、優勝決定方式は勝率も勝利数も今年同様に最優先などされていない…と言う事には相変わらず、誰も気付かない儘だった。また、昨年まで「延長15回,引き分け再試合あり」だったものが、選手会の要望により、今年から「延長12回,引き分け再試合なし」に変更されたが、ノムさん(阪神)が「機構や選手会がどうのこうのではなく、ファンあってのプロ野球。ファンにとっては白黒ははっきりつけた方がいい」と提案。横浜・森監督もこれに同調し、2003年以降の引き分け再試合制の復活も検討された。しかし、森監督は「所詮、(ノムさんと)2人だけの少数意見だから…。順位決定方法等、(既に理事会で)決まっている事を話し合ったり、ここで決めても選手会にお窺いを立てるんだから、監督会議なんて無意味」と会議の存在意義を否定。また「(スピードアップの為に投球練習を)5球から3球にするとか、代打の代打はなくそうとか、冗談じゃない。野球じゃなくなっちゃう」と終始、憮然とした表情を見せていた。

 多菊社長、フジテレビの株式売却の選択肢を否定!
横浜の身売り問題に伴い、ニッポン放送と同じくフジ・サンケイグループのフジテレビがヤクルトの株式を20%所有している事に対して、ナベツネが協約違反として異議を申し立てたが、前日、横浜との共同戦線を全面否認するなど、反論したヤクルト・多菊社長は、この日、「(フジテレビが株を手放す)選択肢はない。これは向こう(横浜)の話だろう。(フジテレビは)31年前から持っていた」と、再び吠えて、ナベツネの要求を一蹴。どうしてもと言うならば、横浜の身売りを認めない方向に持っていくべきと態度を硬化させた事により、ますます事態は混迷を深める事となった。