球界トピックス

10月21日 


東京ドーム:巨人0勝1敗
H  010000202  5
G  210000000  3
[H]若田部−渡辺正−田之上−○吉田−ペドラザ
[G]カリメロ−木村−●槙原
本:今夜の松井さん、J.マッケンジー、松中、ニエベス
 
代打・ニエベス、特大決勝弾! 空中戦制し、ダイエーが先勝! 
20世紀最後を締め括る伝説のON決戦シリーズがついに開幕となったにも拘わらず、茂雄はこの伝説のシリーズに水を指すかのごとく、生え抜き野手では最もシリーズ経験豊富な名手・川相をベンチに幽閉する大暴挙に打って出た。世界的な犠打技術を誇り、正に伝説のシリーズにふさわしい川相を外すと言う究極無比の嫌がらせを敢行し、更に、絶好調ぶりをアピールしていたマルちゃんをもベンチに追いやって、破戒僧・清原をスタメン起用すると言うこの期に及んで選手の好き嫌いを前面に打ち出したペナントレース同様の茂雄の独善的オーダーが展開された事により、ただでさえ杉山暴行猥褻事件や桑田シリーズ戦力外事件等で盛り下がっていた巨人ベンチは、13日に急逝した藤井投手の遺影を飾り、ペナントを制した時に胴上げされた藤井のネーム入りハリーホークをベンチに座らせ、既に、モチベーションは最高潮に達しているダイエーとは対照的に、試合前からより一層重苦しいムードに包まれる事となった。星野監督(中日)の逆鱗に触れるシドニー五輪女子マラソン金メダリスト・高橋尚子による始球式の後、いよいよ試合開始。先発は大方の予想通り、巨人・カリメロ,ダイエー・若田部。大事なシリーズにおいても川相を外された事で不安感が拭えないカリメロから投じられた初球の甘いストレートを先頭打者・柴原がいきなり痛打。センター前に飛ぶ痛烈なライナーとなったものの、これを今夜の松井さんが猛然と突っ込んで好捕。これで幾分リラックスしたカリメロは鳥越を空振り三振に斬ってとると、カリメロ対策で3番スタメンに入った大道にはレフト線へ二塁打を許したものの、続く小久保を高めのつり球を振らせて、三球三振。その裏、若田部に対して、先頭のガッツな貴公子・仁志が初球を叩いて、レフト線へ二塁打。ここで名手・川相にあてつけるがごとく「パカパカ打つだけじゃダメ。1点差のゲームをやらないとシリーズは勝てませんよ、エヘヘヘ〜」などとほたえて、ミニキャンプで無駄な一夜漬け小技特訓をかましていた茂雄は清水に対してバントを命じるも長年の努力で堅実無比の技術を培った川相と違い、所詮、付け焼き刃程度の特訓では何も身につけられなかった清水はファーストへ小フライを打ち上げてしまう大チョンボ早くも川相不在の弊害を痛感させられて意気消沈したマッスル千代の富士は空振り三振。しかし、ここで今夜の松井さんが川相不在では一発に賭けるしかないとばかりにバックスクリーン右へ特大2ランを叩き込み、2点を先制! 直後の2回、ダイエーは先頭の松中がセカンドへのゴロ。これを川相不在で守備のリズムを崩していた仁志がジャッグル。松中が足を痛めていた事で間一髪アウトにはなったものの、これで再び川相不在の不安感が甦ってしまったカリメロに対して、続くJ.マッケンジーがレフトポール際にソロアーチを叩き込み、注目の師弟対決に先勝! その裏、巨人は先頭の江藤が死球を食らって出塁。初回の失敗で懲りたのか茂雄は今度は強攻策を命じると、ニックンは三遊間を真っ二つ。ここで茂雄は村田善に対して今度はバントを命じるも、川相と違って遙かにバント技術の劣る村田善は初球をファール。これで初回のバント失敗が脳裏に浮かんだ茂雄は一転して強攻策に切り換えると、村田善はあえなく空振り三振。続くカリメロに対しては打たせても無駄とばかりにダメ元でバントを命じるも、これまた川相と違ってまるでバントの修練を積んでいないカリメロはピッチャー前にまともに転がしてしまい、若田部はすかさず三塁へ転送し、江藤を封殺。またもや川相不在を痛感させる不吉な展開となった事で仁志は川相不在では一発に賭けるしかないとばかりに激振。打球はスタンドへは届かなかったものの、センターオーバーのタイムリー二塁打となって、ニックンが3点目のホームイン。ダイエーは4回、一死から小久保が三遊間を破るヒットで出塁するも、続く松中の痛烈な打球は無情にもセカンド真正面のゴロとなり、最悪のゲッツー。その裏、巨人は一死から村田善がセンター前ヒット。ここで前の打席でバントを失敗しているカリメロがツーストライクまで追い込まれながら、辛うじてスリーバントに成功。続く仁志がストレートの四球を選んで二死一、二塁となったものの、清水がレフトフライに倒れて、結局、二者残塁。続く5回にはマッスル千代の富士からの打順とあって、王さんは早くも若田部から渡辺正にスイッチ。「ドカベン パロ野球編」で水島新司に日本シリーズ開幕投手として任命される”奇策”ネタとしてダシにされる呪いをかけられた一方の桑田がシリーズ戦力外扱いを受ける衝撃的展開となった事で同じく呪いの影響が心配されていた渡辺正だったが、マッスル千代の富士,今夜の松井さん,破戒僧・清原のクリーンアップを三人で退ける好投を展開。直後の6回、ダイエーはその渡辺正からの打順となったが、王さんは惜しげもなく林を代打に投入する積極采配を展開。しかし、林は痛恨の見逃し三振。続く柴原,鳥越も倒れて、結局、この回も無得点。その裏、ダイエー3番手・田之上に対して、巨人は先頭の江藤がバットを折られてどん詰まりとなった事が幸いしてサード前へボテボテの内野安打。続くニックンもライト前へ弾き返して、無死一、二塁。ここまで拙攻に次ぐ拙攻を繰り返しているとあって、名手・川相をピンチバンターとして投入するには絶好の場面となったが、勿論、茂雄がそんな気の効いた采配をする筈もなく、村田善をその儘、打席へ送り、しかも強行策を指示するも、またもやあえなく空振り三振。三たび走者を置いての打席となったカリメロは今度は無難にバントを決めて、二死二、三塁。一塁が空いた事で当たっている仁志は敬遠されて満塁となったものの、続く清水はファーストゴロに倒れて、三者残塁攻めても攻めても残塁を積み重ねるだけと言う川相不在の重さが如実に現れる不吉な試合展開に辟易とし始めたカリメロに対して、ダイエーは直後の7回、先頭の大道が詰まりながらも右中間へしぶとく落とす執念のヒットで出塁。一死後、松中が追い込まれながらもライトスタンド上段へ豪快な2ランを叩き込み、ついに同点! その裏、王さんは4番手として吉田を投入する攻めの継投を展開。吉田はマッスル千代の富士,今夜の松井さんと打ち取ると、破戒僧・清原を四球と捕逸で二塁へ進ませたものの、続く江藤をライトフライに斬ってとる好投。直後の8回、茂雄はカリメロから木村にスイッチすると、その裏、その木村の打順を迎えた所でついに名手・川相を投入。しかし、二死走者なしと言ういかにも一発を狙えと言う場面での起用に江川卓氏もこれが一発を望めない川相への嫌がらせ采配である事を看破! 相変わらず、適材適所を無視した茂雄のヘッポコ嫌がらせ采配をかまされた川相は吉田に球数を投げさせる事が精一杯で、結局、無念の空振り三振。当然ながら、茂雄は9回から川相を守備につかせる事なくベンチに幽閉する嫌がらせを敢行すると、「シリーズでは抑えで使いますよ、エヘヘヘ〜」と言っていたにも拘わらず、岡島,前略・三沢興一らを残した段階で槙原を投入2度と川相に頼れないと言う絶望的な状況を作り上げた上で、抑えとしてのプライドを打ち砕くと言う、いかにも旧三本柱解体プロジェクトを推し進める為の嫌がらせと言わんばかりの起用にモチベーションが下がった槙原に対して、王さんは鳥越に代打・ニエベスを投入すると、これが見事に的中。ニエベスはライト二階席を遙かに越える特大アーチを叩き込み、ついに勝ち越しに成功。更に、畳みかけるダイエーは続く大道がライト線へ二塁打。ここで巨人と違って、勝負所での小技の大事さは大砲打者にも浸透しているとあって、主砲・小久保が送りバントをきっちり決めて、一死三塁。前の打席で一発を放っている松中が敬遠された所で、J.マッケンジーが初球セーフティスクイズを敢行。完全に意表をつき、見事に決まったかに思われたが、セーフティスクイズだった分、三塁走者の代走・村松のスタートが遅れているのを見た破戒僧・清原は本塁へ転送。タイミングはセーフだったが、チュウが見事にブロックして、本塁を死守! これで流れは巨人に移るかと思われたが、ツキはまだダイエーにあった。続く秋山のサードゴロが江藤の眼前でイレギュラーバウンドしたのだ! 打球がレフト前へ転がる間に二塁走者・松中が本塁を陥れ、この回、貴重な2点目を追加! こうなれば、完全にダイエーの必勝パターン。その裏からマウンドに上がった守護神・ペドラザは一死から清水を内野安打で出したものの、マッスル千代の富士,今夜の松井さんと打ち取って、ゲームセット。積極的かつ柔軟な継投・代打策を展開し、終盤で逆転と言う接戦に次ぐ接戦を勝ち抜いてきたペナントさながらの野球をその儘、実践した上、巨人の十八番である空中戦をも制したダイエーが会心のゲーム運びでシリーズを先勝。一方、嫌がらせ絨毯爆撃をかましまくり、名手・川相の使い所を大幅に誤って残塁地獄に陥ると言うペナントさながらの茂雄のヘッポコ采配で敗れるべくして敗れた巨人早くも悪夢の6年連続日本一獲り失敗が見え始め、暗いムードに包まれた。無様な試合展開でむざむざ敗れた巨人に対して、掛布雅之氏は「巨人は1点を大事にする野球を雑にやり過ぎですね。もう少し1点の大切さ、バントの大切さを認識して欲しいですよ」と川相の使い方がなっていない茂雄を猛烈に批判した。