1999年10月のドカプロ


10月28日

いよいよ、迎えた日本シリーズ第1戦。1回裏、王さんとの謎の密談後、送りバントの構えの儘、簡単にツーナッシングと追い込まれた岩鬼。岩鬼と王さんの謎の作戦の意図が読めない儘、中日バッテリーはど真ん中勝負に出ると、岩鬼は、その儘、何の変哲もない送りバントを敢行。よもやのバントに水島鎖国政権を何とかかいくぐったサード・ゴメスが猛然とダッシュして、ジャンピングスロー。先発が左腕のカリメロだと言うのに、何故かスタメン出場しているファースト・愛甲に渡って、岩鬼はあっさりアウト。岩鬼は一塁を駆け抜けると、その儘、ライトフェンス近くまで、走っていく謎の行動を見せた後、突然、Uターンし、平然とベンチへ戻ってくるのだった。岩鬼と王さんに確執があるだのないだの、この謎の行動に勝手に幻惑される中日バッテリー。一方、中日ベンチの(この日は、グラサンチンピラモードではない)山田コーチは「岩鬼が犠牲になっても浜名を出す為にバントの際のゴメスのダッシュを見たんだ。短期戦の必勝パターン、先取点を取る為の作戦だ。二人に一人を生かす」などと、勘繰って浜名のセーフティバントを予知したが、これが大ハズレ。浜名は果敢に初球を叩き、愛甲への痛烈なライナーに倒れ、山田コーチは呆然。更に、続く吉永はセンターフライに倒れ、この回、ダイエーは三者凡退。再び、ハショリモードに突入した試合は、両投手パーフェクトピッチングの儘、4回裏、ダイエーの攻撃に突入。再び岩鬼の打席を迎えた所で、中村はマウンドに行き、「チェンジになってから打席に向かう岩鬼を追ったが、やはり、ここもコンタクトを使用せずだ」と自信たっぷり。思いっきり背中を向けているが、この間に装着していたら、どうするつもりだ? ともあれ、前の打席と同じく、ど真ん中一本と決めた所、王さんと岩鬼は、またも謎の密談を交わしていた。今度は、少しカリカリした様子を見せていた岩鬼だったが、打席に入ると、またもバントの構え。しかし、今度は送りバントではなく、バスターに切り替われるスタンス。委細構わず、ど真ん中勝負に出た影丸だが、岩鬼はまたも平然とストライク2つを見送って、カウント2−0。あまりのあっけなさに、また勘繰りモードに入る中日バッテリーだったが、3球目もど真ん中。岩鬼は、これをバントながら芯に当て、打球はピッチャーライナーとなった。この謎の作戦の意図が理解不能のスタンドからは、岩鬼に対して、ブーイングの嵐が飛ぶも、岩鬼,王さん共に、無表情。一体、謎の密談で交わされた作戦は何だったのか? 中日バッテリーが勝手に幻惑されて、制球を乱すのを待っているのか!? 嫌と言う程、見たストレートど真ん中を3打席目で投げられないと言う心理状態に陥らせる、武蔵坊の作戦なのか!? そもそも、岩鬼が雄叫びをあげない事に何か意味はあるのか? 結局のところ、ただのスカシなのか!? 待て、次号! 


10月21日

史実よりも早く日本シリーズが開幕すると言う「ドカプロ」連載開始以来初の快挙となった今週! その第1戦の日、見込み記事で有名らしい「スポーツゲリラ」の一面では、何と「天才児・殿馬と里中が交換トレードか」と言うとんでもない見込み記事が踊っていた! 先発陣が小粒なオリックスが里中を欲するのはまだしも、ロッテが観客動員の面でも苦境にあり、小坂と殿馬の「日本一の二遊間、一・二番コンビ」で客を呼ぶと言う理由は、あまりにも無理がある。客を呼ぶのなら、里中を出してしまっては、むしろ逆効果ではないか! そもそも、ゴーグルを追い出し、里中まで出して、先発ローテは一体どうなってしまうのだ!?(まぁ、実際、来季のロッテにはゴーグルも里中もいないのだが) このあまりにも説得力のないトレード話も、恒例のスカシネタと思いたい所だが、まさか、水面下で噂される中西球道ロッテ入りの伏線なのか!? 今のうちに言っておくが、万一、中西ロッテ入りと言う正気の沙汰とは思えない行為を本当に実行したならば、このレビューは打ち切る事になる可能性が高いだろう。日本シリーズの第一戦でのこのガセネタくさい記事に岩鬼と小久保が激怒するなど、ダイエーのロッカールームでは、この事について、しばし会話が流れたが、どうでもいい内容なので割愛する。さて、中日の打撃練習で5月までダイエーにいた河野が快打を連発しているのを見ていた岩鬼の「何でトレードに出したんや。誰とトレードしたんやったかいな? そや鳥越はんや」と、いかにも勿体ないと言い回しにムッと来た鳥越だったが、「けど鳥越はんはホームラン2本打っとるが河野はんは1本や。うちの得やで」と続いたので機嫌が戻る単純さ。鳥越の2本も河野の1本も、優勝後に出ているので、はっきり言って、ホームランによる貢献度は皆無に等しいが、岩鬼の言う事にいちいち説得力など求めても仕方あるまい。河野は優勝するまで、ずっと二軍だった事を考えれば、一応、ペナントでは鳥越の貢献度の方が高いのも事実だろう。ところで、この日の放送のゲストには、もうすっかり常連となった微笑(いかに茂雄ヘッポコ采配により、長年、巨人が優勝していないかが分かる)と、ガセネタくさいトレード話で一躍、時の人となった里中が迎えられていた。報道陣は、里中に対して、トレードの件について質問の嵐を浴びせるも、里中は「(そういう話は)ありませんよ、一度も」と完全否定して、解説席に向かうのだった。解説席で交わされた二人の会話によると、里中は、あと1つで最多勝(と言う事は15勝)と言う所だったらしく、一方、微笑は予想通り、何ら苦労する事もなく50本の大台を突破して、今夜の松井さんやペタジーニを差し置いて、本塁打王に輝いたとの事。松井さん、キング獲らんで良かったね、ホンマ…。とりあえず、今季は、水島鎖国政策の一端と言う事で辛うじて納得してやれるわい。さて、桑原市長の始球式も終わり、いよいよプレーボール。ヒゲがあるので、一応、本人に見えない事もない関川が先頭の打席に立った。「今年のシリーズは一番打者の勝負やと評論家達が言うとるけど、あんさんとわいでは器が違いま。その差ー見せてやりまっせ」などと失礼な事を言う岩鬼だったが、誕生日が同じ4月1日と聞かされた事で、一転して「これも何かの縁ですわい。関川はんには打たれても構いまへんで。昔から言いまっしゃろ、兄弟も同然と」と訳の分からない事をほざき出すのだった。ダイエーの先発・カリメロは、この関川の会心のセンター返しを見事に抑えると、背番号を「7」に変えたのに「8」のリストバンドをつけている李ボンジョム(背番号の方は見えないが「8」の儘の可能性は大と見た!),ルーキー福留も打ち取って、三者凡退の順調な立ち上がり。一方、中日の先発は、後半戦だけで10勝を稼いだらしく、上原(巨人)に1差の19勝をマークした影丸。中村はベンチに引き上げた時から、影丸の投球練習の間も岩鬼の様子を窺い続け、コンタクトを入れていない事を確認すると言う情報戦の効果を発揮。この間、岩鬼は王さんに呼ばれて、長い打ち合わせを行っており、コンタクトを入れず、握りも普通ながら、いつもの元気がなく淡々と打席に入った事で警戒していた中日バッテリーだったが、ここで岩鬼は、いきなりスタンスを投手寄りに揃えての典型的な送りバントの構えを見せた。かつて、岩鬼は、このスタンスでど真ん中を打つと言う事をやっているが、中村の頭には、その情報がないらしく、ここからではバスターは難しいとど真ん中勝負を決意。1,2球目共に、ど真ん中を送りバントの構えの儘、当てようと言う仕草も見せずに見送った岩鬼に対し、影丸は「おれのボールの切れを見てきたのか」と勝手に勘繰って、3球目で仕掛けてくると読んだものの、相変わらず、岩鬼は送りバントの構えの儘。果たして、王さんの謎の指示は一体何だったのか!? またスカシなのか!? それとも、賀間のごときプッシュバントホームランでも狙っているのか!? 待て、次号! 


10月14日

0−0で迎えた8回表、デニー以外、背番号を見ないと誰が誰たやらさっぱり分からない西武投手陣がブルペンで見守る中、尻上がりに調子を上げる知三郎は、この回も、疲れを見せぬ力投を展開。あまりの力投ぶりに、いつの間にか、オーバースローになっている事にも、誰も気付かない様だ! かくして、岩鬼に回らないイニングと言う事で、当然のごとく、ハショリモードで誰一人凡退する絵が描かれない儘、8回表も無得点に終わった。その裏、この回、先頭の打席に入った山田に対して、小次郎は155kmの剛球を投げ込むも、山田は、これをあっさりジャストミートして、ライトスタンド中段へ先制アーチを放り込むのだった。余程、この週で決着をつけたいらしく、ロクな前振りもない儘に、あまりにもあっけない演出で放たれたこの一発に、恐らく読者はシラけている事であろうが、西武応援団は大盛り上がり! 打たれた小次郎は小次郎で、明らかに展開を急いでいるのがあからさまな演出のせいで、「あの球を打たれては…」と小コマで一言呟くだけであった。西武1点リードで迎えた土壇場9回表、先頭の松中が、山田曰く「今日唯一のコントロールミス」を逃さず狙い打ち、サード・金村弟の右を破るヒットで出塁。しかし、続く浜名は、この大事な場面で送りバントを打ち上げてしまい、山田に好捕され凡退。続く井口に対して、知三郎はもうすっかり忘れ去られていると思われたドックルを投げ込むも、アナウンサーも「ドックル」などと言う呼称は、すっかり忘れているらしく「ただのナックル」呼ばわり。しかし、井口はこれに泳いでしまい平凡なファーストフライに倒れてツーアウト。あと一人と言う所で、打席には岩鬼が入る御都合的展開を迎えた。岩鬼は、またも懲りずに左手を上にして握る構えを見せると、短絡思考の山田は、またも「マイナスのマイナス掛けはプラス理論」を展開して、悪球を要求。インハイのボールに岩鬼は、すかさず下に握っていた右手を左手の上に握り替え、正規の握りでこれを激打! 山田曰く「まともな握りだが(持ち替えて)短くなった分、本来の岩鬼の遠心力が出ない」影響で、スタンドまでは届かないこの打球をライト・小関が必死に追うも、散々水島新司にいちびられてきた小関がこの期に及んでファインプレーなど見せよう筈もなく、ジャンピングキャッチも及ばず。ショートバウンドでフェンスに当たったせいで、クッションボールがライト方向へ転々とする間に、一塁走者・松中は二塁を回って三塁へ。定岡コーチがグルグル手を回して本塁突入を指示すると、これを自分に対してのゴーサインと思ったか、すぐ背後に迫っていた打者走者・岩鬼も一気に三塁を回って本塁へ突入。大友−高木大と中継されて本塁に好返球が来るも、ダイエー優勝と言う事実の前には、最早、山田と言えども、ただのザコ選手としか思えない描き方で、山田は松中に対してヘッポコブロックであっさり生還を許すと、続いて突っ込んできた岩鬼には、その松中が邪魔でタッチが出来ないと言うショボさで逆転のホームを許してしまう大ボーンヘッドで自らの殊勲の一発も帳消しにしてしまうのだった。この岩鬼の結果オーライの暴走で完全に気を削がれた西武ナインは、その裏もあっさり無得点に終わり(勿論、ハショリモードなので、誰がどう凡退したかなど、まるで不明だ)ダイエーの球団創設11年目にしての初優勝(南海時代を含めると26年ぶり)が決定するのだった。「ドカプロ」連載が始まって以来初めて、史実の日本シリーズ開催前に優勝が決まると言う急ピッチモードとなったが、日本シリーズは、一体いつまで描き続けるつもりなのか!? また来年の春まで延々と続ける長期シリーズにするつもりのか!? 万一、ダイエーが中日に4タテ食らう様な事があったら、一体、どうするつもりなのか!? 毎年恒例の「負けるのが分かっているシリーズ」となっても、3ヶ月は続けるつもりなのか!? 微笑の本塁打王争いは、一体どうなってしまうのか!? 山田と遙の話はやはりスカシなのか!? 待て、次号! 


10月7日

勝った方がリーグ優勝と言う西武−ダイエーの最終戦。外の天気は激しい嵐だが、ドームなのでひと安心…と思いきや、西武吹き抜けドームなので、外野席のお客さんはいい迷惑だ! さて、尊敬する岩鬼を先頭打者として迎え、「よろしくお願いします」と挨拶する知三郎だったが、岩鬼に「勝負の世界は”よろしく”はないどー、禁句やどー」と言われると「いくぜ、ハッパー! 打てるか、ゼロゴー」と、一転して態度を豹変! 自分で挑発しておきながら、これにカチンと来た岩鬼は、左手を上にして握る変則打法を展開! 岩鬼が、こんな事をやろうと今更、珍しくも何ともないと言うのに、西武吹き抜けドームのオーロラビジョンでは高い金を使って、わざわざ敵である岩鬼の構えを大写しにする始末。これを見ていたエセネオエセ松井と金村弟は「確かに違反じゃないわけだからいいわけか…健さん」「でも理にかなっていない。基本からして大間違いだよ、稼頭央」と何故かアイコンタクトを交わしていたが、はっきり言って、実にどうでもいいコマなので無視してくれて結構だ。岩鬼のこの構えに対して、山田はインハイへのブラッシングボールを要求。相変わらず、山田を信用しきれないらしい知三郎は、このサインに疑問を持ちながらも、しぶしぶインハイへ…。どう考えてもダイエー戦を見るのが初めてとしか考えられない実況アナが「ああ、岩鬼、危ない、インハイだぁ」などと大袈裟に騒ぐ中、流石に、もう理解している吉永らダイエーベンチは、岩鬼には絶好球とばかりに平然とした態度。岩鬼は、これを果敢に打ちに行くも、打球はピッチャー前のボテボテゴロ。絶好球の打ち損じにショックを受ける呆然と立ち尽くす岩鬼だったが、ストライクを悪球として打てる状態の所へ悪球を投げると悪球でなくなると言う恒例の「マイナスのマイナス掛けはプラス理論」が働いただけの事で、全然おかしくも何ともない(いや、実際は、この理論自体、かなりおかしいのだが…。悪球の悪球掛けは、どう考えても大悪球だろう?)。例によって、山田が得意気に色々と蘊蓄をたれているが、いちいち紹介するのもバカバカしいので割愛だ! 実に、当たり前の事だと言うのに、山田以外は、あの知三郎ですら全く理解出来ていない模様。前から分かっていた事ではあるが、やはり「大甲子園」の知三郎と、こいつはどう考えても別人だな! ともあれ、岩鬼を打ち取った事で固さが取れた知三郎はペースに乗り、柳田,吉永はハショリモードで1コマで打ち取るのだった。一方、その裏、ダイエー先発の小次郎は、いきにりエセネオエセ松井のバットをへし折る力投を展開! この小次郎の姿に「今の兄貴の鬼の様なあの顔…、一度だけ見た事がある」と、7年前の対明訓戦時の小次郎の姿を見る知三郎。「今まで、おれとはプロで何度も対決してきているのに今さら」と正論をぬかす山田だったが、「今までの『負けたら次とり返す』とは状況が違います。負けたら明日はないんです。しかも優勝をとられてしまうんです」と反論する知三郎。つまり、肋骨を折ってまで投げ抜いたケガからの復帰戦も、岩鬼のホームラン王を賭けて防御率1位から落ちる危険性を厭わずして投げ抜いたあの試合も「次がある」などと言う甘い考えで投げていたと言うのか? バカな!? 何も、まだある程度まともに読めた頃の「ドカプロ」まで貶める事はなかろうて…。しかし、山田は「確かにあの時の小次郎さんは凄かった。そしてまぎれもなく牙をむく闘犬だった」などと、またも「凄い」と言う言葉を出して安易に納得し、これまでのダイエー時代の小次郎は、一試合完全燃焼野球の広島野球には程遠いとバッサリ否定してしまうのだった。こんな西武ベンチをよそに、大友,鈴木と続いてバットをへし折り、三者凡退に打ち取る小次郎。この後、両投手の好投が続き、試合は0−0の儘、一気に8回表まですっ飛んだ。待て、次号!