1999年6月のドカプロ


6月24日

殿馬の長いバットでの打法など、微塵も記憶に残っていなかった不届き者・山田のヘッポコリードで、殿馬に会心の一打を浴びた霊感投手・松坂! 強烈なカットがかけられていた打球は、ライト小関をかいくぐって、外野を転々。この儘では、ランニングホームランになると焦った山田は、セオリー度外視で、松坂の強肩に賭け、中継に入るよう指示! 無意識のうちに、他の西武ナインの肩では頼りにならないと言う意志表明をしてしまった山田は、これで、ますます反感を買う筈なのだが、デニー以外(杉山は、既に、阪神に移籍と仮定)は、ことごとく山田ウイルスに冒されている西武ナインが、そんな事を気に病む事は、全くないのだろう。さて、打った殿馬は、脱兎のごとく、三塁を蹴って本塁へ突入! 中継に入った松坂は、大友からの返球を受け取ると、すかさず、山田へ期待通りの強肩でダイレクト返球! タイミングは完全にアウトの上、山田の左足がベースを完全にブロックしているとあって、見る目だけは天才かもしれないと思われていた次打者・大島は、回り込む様に指示。しかし、大島の見る目は、まだまだ甘かった…。殿馬は、山田の左膝裏めがめて体当たり! 誰もが殿馬がふっ飛ばされると思いきや、何と飛ばされたのは山田! 誰もが呆然とする中、殿馬は、見事に、サヨナラのホームイン! 山田は「なんだ、今のは!? 当たった瞬間、下半身から力が抜けた」と顔面蒼白! してやったりの殿馬は、「秘走『人体の神秘』づら」と一言残し、飄々とグラウンドを去るのだった。完璧だった筈のブロックを飛ばされた山田は、それを疑問視する松坂に対し、「人間の体にはそこを攻められては、と言う急所がある。そこを突いた殿馬の体当たりだった」と解説。殿馬の人間離れした技の凄さも勿論あるが、山田の「殿馬には当たり負けする筈がない」と言う奢りと、殿馬への侮りがあったのも間違いない。あらゆる点で隙のない男・殿馬を軽んじた事に悔いた山田は、これをバネに大きく成長…などしまいて…。何せ、松坂の「あの人は一体何者なんですか?」と言う問いに対して、山田は、こんな事を言ってのけているのだ! 「そうだな…。音楽家崩れの野球選手かな」 バカを言っちゃいけねぇぜ、山田よ! 世界に通用する天才ピアニスト・殿馬に対して、そういう発言をする事は、世界の名だたるピアニストへの大いなる冒涜であると同時に、それ程のピアノの才能がありながら、「山田を敵に回してみたい」とプロ野球入りした殿馬に対して、失礼な事この上なし! ましてや、その「音楽家崩れ」とやらに、貴様は、惨敗を喫したばかりではないか! 所詮、自分はその程度の小者なのだ…などと言う謙虚な発言の訳はない。ここまでやられてなお、山田は、殿馬を軽んじているのだ! 所詮、奇策にたまたまやられた程度としか思っていないに違いあるまい。一方、松坂は「次の対決は僕が殿馬さんになってリベンジだ。秘投『白鳥の湖』をお見せします」と意気込むのだった。「秘投・白鳥の湖」とは、明らかにボークを取られるであろう投法である事は想像に難くないが、そもそも、これは番場蛮の「大回転魔球」なのでは!? あの偽サムライ・阿波野が実践して、いかに、使えないかを立証してくれたあの魔球だ! 松坂の真意が本気か冗談かはともかく、山田は「大輔なら、やるかも…」と失笑を漏らすのだった。この中継を長屋で観戦していた山猿カットのサチ子は、既に、兄のチームメイトではなくなった殿馬に対して、完全敵視! 「ホームラン打った事なんかないのに、どうして大輔くんから打つのよ!」などと、すっかり熱狂的西武ファンと化していた! 待て、サチ子! 殿馬がホームランを打った事がないだと!? 高校では勿論打っているが、プロに入ってからとて、あの広い福岡ドームで、武田(現中日)からレフトスタンド中段へぶち込んでいるのを知らんのか!?(それはつまり、殿馬ごときにそんな所へ運ばれた武田は、ヘッポコ投手だと言いたいのか!?) それとも、西武戦以外は、眼中にないだけの事なのか!? まぁ、恐らくは、前者だろう(正しくは水島新司が忘れているのだろうが)。兄が兄なら、妹も妹。山田家の痴呆ぶりは、家系なのではなかろうか!? じっちゃんが、あの年齢ながら、さほど痴呆癖がない所を見ると、母方の血か!? それはさておき、サチ子が見ていた中継では、他球場の結果が報告されていた。ダイエー対ロッテは、調子がイマイチの里中に対して、男・岩鬼が4三振の大ブレーキで2−3とダイエーが惜敗。日本ハム対近鉄は、開幕当初は不調だった筈の不知火が、そんな事は微塵も覚えてないかの様に貫禄の2安打完封。尚、坂田は出ていたのかすら不明と言う、惨い扱いだ。阪神対広島は、犬飼武蔵、犬神の土佐丸コンビの活躍など、全く取り上げられる事もなく、新潟県民・小林幹英が、2イニングを6連続三振の快投で6−5で広島の勝利。ヤクルト対土門は、カミソリシュートの投げ過ぎで手首がいかれた筈の土門が、既に完調と言う、あのケガは全くもってストーリーに影響しないしょーもないネタだったと言う事を暴露した挙げ句、4−0で横浜の勝利。当然のごとく、中の出番など、出てくる事はなかった。巨人対中日は、星野監督の野口を引っ張り過ぎる継投ミスにより8試合連続の日本新記録をマークした微笑が8回にも2本目の10号を放ち、巨人が快勝した模様。両リーグ共に、混戦模様の戦いが続くペナントは、早くも6月に突入した。ダイエーは、オールスター間近のこの時期に首位に立っていたが、肝心の男・岩鬼は.230 8本 25点と絶不調。しかし、人気は相変わらずで、三塁部門では130万票を越え、ダントツトップ。.340 17本 51点と好調の山田は、ヘッポコリードのJ.マッケンジーくらいしか対抗馬がいないとあって(瓢箪は?)、150万票を獲得してトップ。その山田を完膚なきまでに打ちのめした天才児・殿馬は.380 1本 32点の成績を引っさげて、二塁部門で130万票突破の1位! 例年、投手部門1位の里中だったが、10勝3敗 1.90の成績ながら、10勝2敗 1.92の松坂が、史上初の200万票を突破して、里中の1位を阻止! 史実のオールスターでは100万票すら夢の数字だと言うのに、ことごとく100万票を突破していると言うのは、この世界の人間のオールスターに対する関心が凄まじく高いのか、水島キャラ以外は、鼻にもかけられていない為、水島キャラに集中しているだけなのか、果たして、どちらなのだろう? ましてや、候補者が多い為に、票がバラける投手部門において、まして、里中と言う存在がありながら、200万票と言うのは、異常である。熱狂的西武ファンと化して、里中の事など忘れ去っているサチ子が徹夜で100万票くらい書いたのではなかろうか。とすると、当然、山田もついでに書いている訳で、山田の実数は50万票で、J.マッケンジーに負けていたのでは!?などと言う事も、大いに考えられるだろう。しかし、ここに来て、大事件が起きた! お祭り大好き男の岩鬼が、あまりの不調が理由か否か、とにかく、オールスターの出場辞退を表明したのである! 果たして、岩鬼は、この儘、男を貫くのか!? しょーもない事で心変わりして、安易に出場する様なヘッポコなオチが待っている様な心配もないではないが、待て、次号!   


6月17日

1−1の同点で迎えた9回表、二死満塁、バッター・山田と言う所で、星野に代わってマウンドに上がったのは鈴木一朗! 雀士東尾が、中盤で松坂を打席に立たせたのとは違い、万が一にも失敗は許されない場面…。しかも、敢行した理由が雀士東尾への対抗心だけと来るのだから、失敗したら、中継ぎ投手陣から総スカンとなる事は必至で、チーム全体で内紛が起こっても仕方がない程の無謀な作戦だ。しかし、脳天気なのか、寛容なのか分からんが、観客は勿論、オリックスナイン誰一人として疑念も持たず、鈴木一朗の投球に固唾を飲むのだった。急造投手と言う事で、ストレート一本狙いに絞った山田に対して、鈴木一朗は、初球、セットポジションから、外野からのバックホーム返球のフォームで、真ん中低めに145kmの快速球。ストレート一本狙いだった山田も、この鈴木一朗のフォームに仰天して、手が出ず、カウント1−0。「あの投げ方では、投手と比べて、腕の振りが大きい」と、遅めの始動で構えんとする山田に対して、鈴木一朗は、今度はワインドアップからサイドスローで、アウトローに142kmのストレート! ただでさえ、始動を遅らせるつもりでいた上に、突然のサイドスローに一瞬、変化球が脳裏に浮かんだ山田は、これも手が出ず、あっと言う間に、2−0と追い込まれた。しかし、これを見ていた殿馬が「流石、山田づら。あの鈴木さんが一生懸命工夫して投げてるづら」などとつぶやいてしまった。ぬぅ、そこまでして、山田を誉めずにはいられないのか、水島新司! 本職の投手でもないのに、バカみたいにただストレートを放る訳ないやろが! 工夫して、当然やがな! 殿馬にこんな事言わせるな! そして、3球目、鈴木一朗は、今度は、オーソドックスなフォームで決めにきたのに対し、タイミングバッチリの山田は、これをジャストミート! しかし、センター返しのライナーとなった打球を鈴木がジャンピングキャッチで抑え、スリーアウトチェンジ。結局「奇策は必ず成功する」の水島イズムが炸裂しただけの、実につまらない結末だ。鈴木一朗とのあまりの格の違いに気付かされた山田はシャッポを脱ぐのだった。その裏、先頭の殿馬がバットケースから取り出したのは、規定ギリギリと思われる長いバット。相変わらず、殿馬の事をロクに研究していないとしか思えないアナウンサーは「こんな長いバット振れるんでしょうか?」などと、いぶかしげなコメント。バッターボックスの外寄りに立って構える殿馬を見て、またもビビっている小心臓の霊感投手・松坂は「後ろに立って打つ為の長いバットなんでしょうか?」と疑問を投げかけるが、山田は「…としか考えられない。こんな殿馬の打ち方は長い付き合いで初めてだ」などとほざいていた。最近、妙に忘れっぽいと思ってはいたが、山田よ、あの土佐丸との決勝戦で放った「秘打・別れ」による劇的なサヨナラ優勝ホーマーまで忘れてしまったと言うのか!? まさか、犬神に受けた死球で失った握力が戻った事に泣いて喜んでいたので、殿馬がどうやってホームランを打ったかなどまるで眼中になかったとか言うのでは!? とにもかくにも、殿馬の長いバットによる打法など、まるで記憶にないらしい山田は「外角のストレートなら、届いても飛ばないし第一折れるぞ。だから、ストライクは全て外角のストレートでいいだろう」などと、懲りずに殿馬をなめきった指示。しかし、ここまでシメられ続けて、すっかり怯えてしまっている松坂は「いや、踊りですよ。打席の中で動いて打つんですよ」と、徹底した警戒ぶり。これを聞いた山田の「お前の速球に持ち替えたり踊ったり出来る余裕があるものか」(って、第二打席も、第三打席も余裕たっぷりでやられとるやんけ!)と言う言葉に、山田信者であるが故に騙されてしまった松坂は、外角ストレート攻めを了承してしまうのだった。指示通りに投じられた外角への145kmのストレートに対して、殿馬は、ボールをこする様に激振! 長いバットによる遠心力を利用したカット打法により回転のかかっていた打球は、セカンド高木浩の守備範囲のライナーと思いきや、これが右へ大きくスライスして、ライト線へ。ライト小関のダイビングも及ばず、打球は、ライトのファールフェンスに当たると、左に跳ね返って、無人のライトを転々。この間に、俊足の殿馬は、早くも二塁ベースを回っていた! 間違いなくホームに突っ込んでくると読んだ山田は、本来、キャッチャーないしは、サードのカバーについていなければならない筈の松坂に対して、中継に入る事を指示。果たして、この一打は、サヨナラランニングホーマーとなるのか!? 待て、次号!  


6月10日

霊感投手・松坂のホームランで、1−1の振り出しに戻り、迎えた6回裏、一死から、天才児・殿馬が3回目の打席に入った。打席に入るやいなや、ほぼ真ん中辺りまで、バットを極端に短く持って、肩の高さに水平に置く不気味な構えを見せる殿馬を見て、「あれでどうやって打つんだ!?」と、相変わらず、ビビッてしまう小心臓の松坂。一方、山田は「グリップを使ったセーフティバント」と決めつけて、一、三塁を守る金村兄弟に対して、前進守備を指示。途中からバットを持ち替える可能性も警戒していた金村弟だったが、松坂の手からボールが離れても、持ち替えないのを見て、一気にダッシュを図った! しかし、殿馬は、その構えの儘、右膝を折ってしゃがみ込むと、一転して、バットだけを立てて、ジャストミート。反動で跳ね上がった打球は、前進してきた金村弟の頭上を越える内野安打となるのだった。バントと決めつけた金村弟にも失態があったとは言え、何よりも、バントをさせないと言う手段を全く考えず、安易に金村兄弟に望みを託して、簡単にやらせてしまった山田の判断ミスに他ならないだろう。金村兄の「今のは秘打何だよ?」と言う問いに対し、まさか「だんご三兄弟では!?」と言う読者の不安をかいくぐり、「モーツァルト 魔笛づら」と応える殿馬。 バカな! 「魔笛」と言えば、バットを左手に持ち、右手でピアノの鍵盤のごとく旋律を奏でながら、一塁線にバントをすると言う秘打だった筈!「大甲子園」での「回転木馬」と言い、二打席目の「花のワルツ」と言い、一体、どうしてしまったんだ、殿馬!? い、いや、殿馬程の天才児ともあろう者が、かつて使ったリズム打法を忘れるなどと言う事がありうる筈もない。そうだ、きっと、これは、横浜学院戦で使った「秘打・白鳥の湖」のごとく「編曲版」に違いあるまい。そういう事にしよう。決して、殿馬が痴呆症にかかったとか、そういう事ではないのだ(って、また、こういうフォローかいな。要するに、水島新司のクラシック・ボキャブラリーは、既に、尽きているにも拘わらず、まだまだ幾らでも存在する名曲の存在を調査する事を怠っているだけなのではないか!? 因みに、「花のワルツ 編曲版」(仮名)は、さんちきサンからの告発により、山田はナベQが完全試合をやった時に、「花のワルツ」封じを敢行していたので、編曲版にしたのではないか?と言う説が持ち上がりました。成程…、それは、一理ありますね)。まんまとしてやられた松坂は「あのづら殿だけは何を考えいるのか読めない」と、呆然(岩鬼の考えかて、おんどれは読めへんかったやないけ!)とした挙げ句、「でも凄い事は凄い」と、またしても「凄い」と言わされてしまうのだった。しかし、この後、見る目だけは天才かもしれない男・大島と、見る目も実力も凡人のハイツ田口が倒れて、結局、この回は、無得点。両軍追加点の取れない儘、迎えた8回表、2回目の打席に入った松坂は、またも星野の球を迷う事なく流し打ち! 悲鳴をあげながら、打球の行方を追って、振り向いた星野の眼前には、プリマドンナ姿の殿馬が華麗にジャンピングキャッチを決めている姿が映るのだった!(やめてくれ〜、折角の超美技をプリマドンナ姿などで描くのは〜!!) ところで、もうすっかり忘れ去られていた微笑のホームラン記録がかかっている巨人−中日戦だが、こちらは、4−4の同点で6回裏を迎えていた。5回で4点も取られて、この回も満塁と言うピンチにも拘わらず、岩瀬も正津も霊感投手・落合も前田も中山も送り込まずに続投させられていた先発・野口に対して、微笑はあっさりとレフト上段へ運び、産みの苦しみも何もない儘、ただ漠然と淡泊に8試合連続ホーマーをグランドスラムで達成するのだった。これを見た茂雄は「今年の三太郎には、ワンちゃんが55本打った時より凄いムードがある。今年、55本を抜くかもしれんな」と爆弾発言をかまし、連続試合本塁打の記録を抜いただけでは収まらず、更に、世界の王さんをソデにしようとする水島新司の黒い野望が顔を覗かせるのだった。ところで、笑顔で(いや、いつも笑顔だけど)ホームインする微笑を迎え入れる面々の中に、何とバットを持った清水が! 一体、どこを守っているんだ、清水!? 杉山が出ている所を見ると、まさかマッスル千代の富士が欠場しているのか? また、3番が清水だとすると、4番は、松井さんと清原、一体どちらなのか!? 謎が謎を呼ぶ巨人のオーダーだが、結局、何も分からない儘、場面は再び神戸へ…。1−1の儘、迎えた9回表、先頭の高木浩が天才かもしれない大島の前で大きくイレギュラーするヒット(高木浩曰く「秘打・黒猫のタンゴ 猫だまし」)を放ったのを皮切りに、二死満塁で山田を迎えると言うご都合主義的な場面が出来上がっていた。ここで、ついに星野を諦めたかと思われた仰木さんは、広永をライトへ…。広永と入れ替わりで、鈴木一朗が戻って来るのを見て「アクシデントか!?」などと言う実況を真に受ける読者は、誰一人としていなかった。そう、先週の予想がズバリ的中! 鈴木一朗が、その儘、マウンドに上がったのだ! あまりにもミエミエで、まるで意表をつかないこの采配にも拘わらず、スタンドは驚愕し、騒然とする白々しいムードが蔓延! 雀士東尾も「打者・松坂のお返しですか」と泡を食った表情を見せるのだった。どうでもいいが、それ以前に、鈴木一朗を下げてまで守らせるライトに、よりにもよって広永を送る事を、何故、誰もいぶかしがらないのだ!? これも、ペレス不在の水島鎖国野球の弊害か!? それでも、嘉勢とか松元とか、もう少しマシな選手がおるやろが! …などと言う事は、山田は全く考えてないらしく、鈴木一朗と睨み合いを続けるのだった。奇策は必ず成功する!の水島新司イズムが炸裂するか!? はたまた、鈴木一朗をシメる為に、あえて山田に満塁弾でも打ち込ませるのか!? 待て、次号!


6月3日

アウトハイの遊び球を完全に読まれて三塁打を打たれた挙げ句、追いタッチで頭上を飛び越されると言う相次ぐ山田の大チョンボにより、1点を先制したオリックス。だが、周囲は、殿馬の天才的プレーに驚愕するばかりで、山田のボーンヘッドなどとは、微塵も思う事はないのだった。迎えた5回表、この日、4回まで高木浩の内野安打1本に抑えてきた星野だが、この期に及んで、対戦打率2割3分に抑える山田キラーである事が、突如、発覚! この2打席目も、スローカーブにタイミングを外される山田を見て「打てそうだけど…」と不思議がる霊感投手・松坂。3球目を捉えたかに見えた山田の打球は、バックスクリーン目掛けて飛んでいくも、もうひと伸び足りず、フェンス際で、谷にジャンピングキャッチされるのだった。続く垣内も、泳がされてセカンド右へのゴロ。これを天才児・殿馬が、右肩に銃弾を浴びた時に行ったマシン特訓により会得したグラブトスで送球すると、何と、ファーストの藤井が股ぐらからミットを出す「秘守・金捕り」で捕球! 藤井が、絶対に失敗の許されないこんなプレーを咄嗟に出来る程の天才とは思えない事を考えると、このしょーもないプレイの為に連夜の特訓を積んできたに違いあるまい。殿馬の背面キャッチには怒った星野だったが、先輩の藤井とあって、怒る事も出来ず、冷や汗を流すばかりであった。「変な計算しないで130kmは素直に130kmと受け止めて…」と嘆く雀士東尾。ここで打席に入ったのは、須藤コーチ曰く「うちで一番素直」らしい伊東。伊東は、果敢に初球を叩くも、これが左足首に直撃! 治療の為に下がった伊東だったが、意外と重傷との事で雀士東尾は、代打を申告! ここで登場したのは、何と!(…などとは誰も思わないであろう)霊感投手・松坂! またしても、自キャラ(も同然だ、この松坂は!)の活躍の為に、負傷退場させられた伊東!!! 何と哀れな事か…。伊東も、いい加減、この酷い扱いぶりに対して、名誉毀損で訴えた方がいいのではなかろうか…!? 明訓同窓会の時は「いいセンスだ。松坂の時はDH使う必要はないかも」とかほざいていたくせに、相変わらず忘れっぽい山田は「どうして野手をさしおいて大輔を?」などと、いぶかしむ。同じく明訓同窓会時に、殿馬は「こいつは山田と同じ右投左打が本性づらぜ」と評していたが、流石に右打席に入った松坂。これを見た仰木さんは「わしの好きな野球をやりおるわい」とニヤリ。このところ、インケツリードが目立つ山田は「130km台のストレートは高校生でも投げるから見慣れているだろう。俺が星野さんをリードするなら、あの大きなカーブで攻めるが…」などと考えながら見守っていたが、星野も山田同様に初球からスローカーブ。しかし、カーブに大ヤマを張っていた松坂は、これを激振! これが、レフトスタンド上段に飛び込むホームランとなり、試合は1−1の振り出しに戻るのだった。自分のインケツリードを棚上げして「凄いな大輔。凄い奴は何をやらせても凄い」などと、持ち上げる山田。最近、慢心ぶりが目立ち、評判が悪い事を察してか「走塁がヘッポコな自分は、凄くない」と謙虚な姿勢を見せているつもりらしい。何はともあれ、相変わらず「凄い」と言わせずにはおれない水島新司だった。雀士東尾は、この代打策成功を見て「野手は星野を知り尽くしている故、読み合いをしてしまい術中にハマる。しかし、大輔は、星野を知らない上に打てる気がしてない(さっき「打てそう」とか言っとるやないけ!)。その為にストレートかカーブかのどちらかに絞り、思いきり振る。宝刀のカーブも待っていると、実は意外と打ちやすい」などと、偉そうに蘊蓄をたれるのだった。要するに、結局、恒例のジャンケン野球が当たっただけに過ぎず、そんなに勝ち誇った様に言う事でもないのだ。これを見た仰木さんは「このお返しせにゃーな、ウフフフ」と不敵な笑み。まさか、星野が代打で登場か!? はたまた、殿馬か鈴木一朗がピッチャーか!? 突然、ビッグマウス川口が代打で出てくる様な事があれば驚くが、仰木マジックも、どうせ大したものではないだろうて…。待て、次号!