1999年5月のドカプロ


5月27日

例によって、自キャラの活躍以外は描きたくないらしく、星野、霊感投手・松坂に3回までパーフェクトと言う好投を演じさせて、序盤は、一気にハショられるのだった。迎えた4回裏、天才児・殿馬が2回目の打席に入った。初回には「この構えで打てる訳がありません」とか、ほざいていたくせに、「一打席目の三球三振は、当然、二打席目への布石だと考えるべきでしょう」などと、手の平を返したかの様な実況をするアナウンサー。1打席程の大きな動きではないにせよ、左足をチョイチョイと動かし、いやらしくリズムを奏でる殿馬に対し、松坂は、初球、アウトローにボールになるスライダーで様子見。これに対し、殿馬は、ボールに向かって覆い被さる様に打ちに行くポーズ。実は、天才なのでは?と言う疑惑の渦中にいる大島は「あれって、もしかして当たったら死球?」と爆弾発言。打ちに行ったからと言って、アウトローの球を食らう選手など、アメリカでベースボールが生まれて以来、一人としている筈もないであろうが、恐るべき発想! 凡人のハイツ田口は、当然ながら、天才(?)の大島の考えについていく事など、出来はしないのだった。松坂は松坂で「インローなら(体に)あてられていたかも」と、早くもビビり出す、相変わらずの小心臓ぶり。これに対して、山田は、2球目にインローのストライク、3球目にアウトハイのボールと散らすと、4球目には「これだけ散らせば、ど真ん中も変化球だ」と、ど真ん中のストレートでストライクをとり、カウントは2−2。ここで、アウトハイのボール球で遊んで6球目で勝負をかけんとしていた山田だったが、遊び球は打たれる、の水島新司イズムにのっとって、殿馬は、そのアウトハイに対し、トランポリン特訓の成果を彷彿させる大ジャンプをかけると、上から叩き付ける曲打ち! 打球は、ショートのエセネオエセ松井の右を抜けると、殿馬得意の打球に回転をかけるバッティングにより、センターの前でバウンドした直後、急激にスライスし、無人の右中間を転々。この間に、殿馬は、楽々と三塁へ。金村弟の「今のは、秘打何ちうんだ?」と言う問いに対し、まさか「だんご三兄弟では!?」と言う読者の不安をかいくぐり、「秘打 チャイコフスキー作 組曲くるみ割り人形第三楽章 花のワルツ!!づら」と応える殿馬だったが、要するに「秘打・花のワルツ」! バカな! 「花のワルツ」と言えば、上から強烈なスピンをかけて、キャッチャー前に叩き付け、強烈なスピンがかかった儘、その場でバウンドする事なく回転し続けた事により、砂煙が花びらの様な模様を描いた上、キャッチャーが、その強烈なスピンによりボールを掴めないと言う秘打だった筈!(アニメでは、ただひたすらにイレギュラーバウンドを繰り返すしょーもない秘打だったが)。「大甲子園」での「回転木馬」と言い、一体、どうしてしまったんだ、殿馬!? い、いや、殿馬程の天才児ともあろう者が、かつて使ったリズム打法を忘れるなどと言う事がありうる筈もない。そうだ、きっと、これは、横浜学院戦で使った「秘打・白鳥の湖」のごとく「編曲版」に違いあるまい。そういう事にしよう。決して、殿馬が痴呆症にかかったとか、そういう事ではないのだ(何で、こんなフォローせなあかんねん! 水島新司、しっかりせいや!)。さて、無死三塁のチャンスを迎えた所で、続くバッターは天才(?)大島。仰木さんは、大島に対して、初球スクイズを敢行させるが、松坂の150kmストレートが手元で伸びて、あえなくキャッチャーへの小フライ。ゲッツーかと思いきや、殿馬は、スタートをきっただけで、すぐに帰塁していた。サインの見落としと勘違いした金村弟だったが、殿馬は、松坂のスピードと大島のバットの角度では100%フライになる、と踏んで、すかさず戻っていたのだ! 殿馬の天才ぶりに恐れおののく金村弟! スクイズを失敗し、バットを叩き付けて悔しがっているかに見えた大島を見た金村弟は「あれは、お前が走らなかった事が頭に来ているんだ。お前に信用されてないから」と解説。殿馬をして「金村弟さんも何でも知ってるづら」と言わしめた金村弟も、また天才なのか!? とりあえず、大島は頭脳はともかく、技術的にはさほど天才ではなかったらしい。さて、一死三塁となって、3番・ハイツ田口は初球を叩くと、ファースト・金村兄へのどん詰まりのゴロ。この打球で、ホームは無理と思われたが、殿馬は果敢に本塁へ突入。ここで、突然6頭身になった殿馬を後目に、金村兄は、ホームへ好返球。山田がタッチに行くと、殿馬は、その頭上を遙かに飛び越えて、これをかわし、先制のホームを踏むのだった。「あれもトランポリンか…」と驚愕するハイツ田口。そして、弁慶高校戦の時にもやらかした、追いタッチで頭上を飛び越されると言うボーンヘッドをやらかした山田は、あの時の悪夢が甦り、顔面蒼白となるのだった。勿論、小心臓の松坂は、言わずもがな…。待て、次号! 


5月20日

開幕戦で、山田が先制点を叩き出しただけで、首から下が石化する程の小心臓の霊感投手・松坂だったが、客の目は気にならないらしく、落ち着いている様子を見て、山田は感心することしきり…。そうこうしているうちに、両軍のスターティングオーダーが発表されたが、何と、オリックスのトップバッターは、天才児・殿馬だった! 仰木さんが、かつて、3番・鈴木一朗、4番・殿馬と言うオーダーを組んだ事など、まるで記憶にないらしい雀士東尾と須藤コーチは「仰木さんは、猫の目オーダーで知られるが、鈴木、殿馬の1,2番だけは頑として変えなかったのに…」「何か深い訳がありそうですね」と勝手に警戒していた。オリックスナインも、大半は、このオーダーに驚いていたが、大島は「今日の殿馬は何かあるぞ」と察知。すっかりヒゲ面の脇役顔と化してしまった鈴木一朗も、この大島の意見に同意。ま、まさか、大島も、鈴木一朗のごとく、殿馬の天才ぶりを理解出来る天才だったのか!? 一方、ブルペンで、1番・殿馬のオーダーをいぶかしげに思っていた山田は、松坂に対し、様子見として、プレーボール早々150kmを要求していた。「様子見なら、変化球の方が」と言う松坂に、山田は「秘打の変則打法に変化球は危険だ。150km台なら、打ってもそうは飛ばない」と岩鬼の時と似た様な事をほざいていた。今まで、殿馬が秘打でとらえた球は、殆どが直球である事を考えても、これは山田が勝手に思っているだけの、特別、理にかなった結論ではないのだが、山田信者の松坂は、あっさり納得。150kmなら飛ばない…などと、余裕ぶっこいてるなら、下手な事考えんと、全て直球を投げてりゃええやんか! そして、いよいよ試合開始。オリックスの先発は、球界一の遅球王(らしい)星野。どうやら、不知火のハエ止まり超スローボールは、星野のスローカーブより速いらしい…。 その星野に対して、西武打線は「カーブとストレートしかない」と分かっていながら翻弄され(いかにも、「山田が、星野のスローカーブにヤマを張って、スタンドへ叩き込みます」と言う前振りだが、果たして、どうなる!?)、二死後、金村弟もタイミングを外されて、セカンドへの凡フライ。天才児・殿馬は、この打球を鈴木一朗の更に上を行く、全く身体をねじらないでの背面キャッチ。これに仰天した星野は「それで落としたら生かしちゃおかんからな」と怒るが、まぁ、無駄な仮定だろう。その裏、マウンドに上がった松坂は、ヘルメットを宙に回せてから被ったり、2本のバットを立てて脚前挙を行う殿馬の天才的仕草に、いちいちビビる小心臓ぶりを露呈。これを見た殿馬は、打席に入ると、ソデをまくって、バットを立てる鈴木一朗のポーズを真似て、更に、松坂をビビらせるのだった。しかし、山田は「何もない。150kmなら、何だって怖くない」と岩鬼ばかりか、殿馬をもナメまくって、150kmを要求。松坂がふりかぶった直後、殿馬は、バレエスタイルを取ると、またも松坂はビビってしまい、投球を中断。山田に怒鳴られた松坂は、改めて、初球を投じると、これが152kmのど真ん中。しかし、殿馬は、バレエスタイルの儘、平然と見送ってストライク。もう5年目になると言うのに、まるで殿馬の事が分かっていない西武ベンチ「何を遊んでいるんだ」「恐怖の大輔への必死の威嚇だろうて」と、とんでもない勘違い。すると、殿馬は、今度は、体を低く縮める秘打・ポテトチップもどきの構え。これを見た西武ベンチは「コントロールを乱す作戦か」「つまり四球どり」と、またまた途方もない勘違い。委細構わず投じた松坂の153kmのど真ん中を、殿馬は、その構えの儘、またも平然と見送り、カウントは2−0。もう5年目になると言うのに、まるで殿馬の事が分かっていないアナウンサー「この構えで打てる訳がありません」と力強く断言! 鈴木一朗と違って、凡才のハイツ田口も「トランポリンは単なる遊びだったんだ」と愛想をつかしていたが、天才の鈴木一朗は「いや、何かある。一見ふざけている様に見えるが、計算しているんだ」と言い放つが、その後に「…と思いますけど」と、逃げ道もちゃっかり作っておくのだった。これを聞いたハイツ田口は、「次は来る」と態度を一変。松坂が、155kmの快速球を投じると同時に、殿馬が高くジャンプしたのを見て、ハイツ田口は「やったー!」と大喜びしたものの、殿馬は、ただジャンプしただけで、バットを振る事なく、三振に倒れるのだった。もう5年目になると言うのに、まるで殿馬の事が分かっていないオリックスファン「なに遊んでんねん、どアホ!」とヤジを連発。西武ベンチはもう言わずもがなで「これがほんとのとんまだ」と、ほくそ笑むのだった。しかし、当の殿馬は、「だんご三球三振づら」と謎の言葉を残し、飄々とベンチへ引き上げるのだった。この殿馬の不気味な言葉に、今頃になって、殿馬の得意の捨て石打席を思い出した山田「殿馬は、この儘では、終わらない筈だ。次の打席へ何の布石なんだ!?」と、恐れおののいていると、小心臓の松坂にもまた、殿馬の不気味な行動に、戦慄が走っていたのだった。待て、次号! 頼むから「秘打・だんご3兄弟」だけはやめてくれ…。


5月13日

パ・リーグは、8試合を終えて、全球団が4勝4敗の5割と言う大混戦となっていた。山田は12打点、岩鬼は5号と、相変わらず好調で、虚弱児だが松坂より背筋力が高い里中は、何と開幕早々中4日で回されて、早くも2勝! 対照的に、昨年V逸の最大戦犯に貶められた不知火は、今年もその勝ち運のなさをひきずってか、防御率6.25の体たらくで、早くも2敗を喫していた! そして、我らが天才児・殿馬は、開幕前の予言通りに打ちまくり、打率5割でぶっちぎりの首位打者に立っていた! 因みに、坂田は、そこそこやっているらしい。さて、翌日に控えた西武−オリックスの3連戦の初戦に、松坂の先発が予告された。オリックスは、西武の移動日を利用して、グリーンスタジアム神戸で練習を行っていたが、殿馬は、バットを持った儘、30分も、一人、トランポリンで飛び跳ねる謎の特訓を行っていた! いぶかしげに殿馬を見るハイツ田口に対し、(すっかりメジャーモードの無精ひげと化した上に、以前に登場した時とは、すっかり顔が変わってしまっている)鈴木一朗は、例によって、殿馬の天才ぶりを察知し、オーロラビジョンに映された松坂の投球フォームに合わせて、跳ねているのでは?と推測。天才は天才を知る!とはよく言ったもので、この鈴木の推測は、見事に的中。凡人が故に、これを理解出来ず、あきれるハイツ田口を後目に、この特訓で疲れた殿馬は、他のナインを置いて、さっさと自宅へ帰ってしまうのだが、天才なので、特に、文句を言われる事もないのだった。自宅に帰った殿馬は、松坂のビデオを見ながら「白鳥の湖」「花のワルツ」「G線上のアリア」等々、様々な名曲を弾きこなしていくリズム特訓を行っていた! 流石に、天才児・殿馬! パラパラ写真などで、大満足している山田とは大違いのハイソサエティで華麗な特訓だ。しかし、結局のところ、対松坂にピッタリの曲が「だんご3兄弟」に落ち着いてしまう辺りが、水島新司の安直さが窺い知れよう。ブームも下火になりつつある今頃に、世界的ピアニストである殿馬ともあろう者にあんなショボい曲を弾かせる事で、時事ネタでウケを狙おうとは、何とあさましき根性か…。とりあえず、殿馬曰く、松坂のリズムは、それだけ単調だと言う事らしい。さて、その翌日、いよいよ第1戦のプレーボールが近づいていた。松坂効果で、火曜だと言うのに、グリーンスタジアムは、試合開始2時間前から、早くも超満員に膨れ上がっていた。社会人は会社さぼってきとるんかいな!? オリックスファンのヤジを受けながらも、山田とグラウンドを走っていた松坂に対し、殿馬が例によって、一輪車で接近。軽く挨拶を交わしてクールに去っていくのだった。一方、500km離れた東京ドームも、また異様なムードに包まれていた。何と、微笑が、開幕7試合で7試合連続の8ホーマーと言うバカ当たりで、王さん、バースの日本記録にあっさりと到達していると言うのだ! つまり、この試合で、日本新記録に挑む訳だが、微笑が、これだけ打っていても、捕手にすればいいものを外野手をさせられている微笑のあおりを食って清水に加え、名手・川相までもが外される長嶋ヘッポコ采配により、巨人が借金地獄状態で、微笑のホームランは、殆ど空砲に終わっている事は想像に難くない。何はともあれ、記録によってしか凄い事を表現出来ない水島モードに、ついに微笑までもが巻き込まれる日が来てしまったのだ。果たして、どうなる!? 待て、次号! …どうせ、8試合連続でしょ。 


5月6日

悪球が来なければ、全部三振でいいと開き直った男・岩鬼の激打に呆然とする山田だったが、岩鬼がホームベースを踏み忘れた事で、一気に機嫌回復。早くアピールしたくて仕方のない山田は、思わず顔がほころんでしまったが、これは、山田をおちょくる為の岩鬼の演技だった! 岩鬼は、すかさず戻ってきて、ホームベースを踏み直すのだった。この後、小次郎,松坂の投げ合いで、試合は9回表に突入。先頭の柴原が倒れ、岩鬼が4度目の打席に入った。前の打席の不動の構えから一転、雄叫びを上げて気合いの入る岩鬼に対して、小心臓の松坂は、ビビリながらも、初球をど真ん中へ! 岩鬼は、これを平然と見送って、ストライク。逆転打を浴びながらも、相変わらず、岩鬼を甘く見ている山田は、「コントロールさえ乱れなきゃ、三球三振だ」とほくそ笑み、続く2球目もど真ん中を要求。しかし、岩鬼は、バットで後頭部を強打し、意識朦朧としながら、激振! 打球は、レフト上段へ飛び込む2打席連続のダメ押しアーチとなるのだった! 「大甲子園」の青田戦で使っている作戦だが、「大甲子園」と「ドカプロ」は繋がっていないので、一応、この作戦は、初めてと言う事になるのか!? ホームランを打った岩鬼だったが、頭部へのあまりの衝撃にその儘、昏倒し、林が代走に送られた。プロのくせに、やけに志の低い林「最高だぜ。こんな事でもなきゃ、ベース一周など、夢のまた夢だ」と、自分が打った訳でもないのに、歓呼に応えて手を振りながら、ベースを一周するが、「アホ、お前が打った訳じゃないだろ」「踏み忘れねぇようにしろ、マヌケ!」といちびられるのだった。こんな原稿を送ってしまった水島新司の呪いか、林は、史実の5日の試合で、顔面に打球を受けて退場する事になるのだった。さて、その裏、サードには、柳田が入り、逃げ切りを図ろうとする小次郎だったが、完投のプレッシャーだの、山田への意識過剰だのと無理矢理、理由をつけられて、高木浩、小関にヒットを浴び、二死二、三塁で山田に回ると言う御都合主義的展開に…。ここにきて、なお150kmの速球を投じる小次郎に、あっと言う間にツーナッシングと追い込まれる山田。ここで、J.マッケンジーは「三球続けると捉えられる危険がある。一球外して、次のフォークで勝負しましょう」と指示。このパターンは、外した球をもっていかれるのが水島新司イズムだが、すっかり腑抜けてしまっている小次郎は、先制点もJ.マッケンジーのリードミスで許した事をすっかり忘れて「一人前になったぜ、マッケンジーも…」と全幅の信頼をおいてしまっていた。案の定、外角高めに外した3球目を山田は、強引に振り抜いて、ライトスタンドへぶち込み、松坂にプロ1勝目を献上するのだった。度重なるリードミスに呆然とするマッケンジーをなぐさめながらマウンドを降りる小次郎を見た知三郎は「やはり、ダイエーに入るべきだったか。こんな兄貴の姿を敵として見るのは辛い」と、哀れむのだった。山田を持ち上げるが為に、またも道化役に貶められてしまった岩鬼と小次郎。次の相手は、今レビュー始まって以来となる天才児・殿馬を擁するオリックスらしいが、ついに、殿馬までもが貶められてしまう日が来てしまうのか!? 待て、次号!