1999年2月のドカプロ


2月25日

ホテル大観にて、山田達の部屋で宴の場を開き、ご機嫌な徳川監督。明訓時代を遙かに上回る飲みっぷりに山田達は唖然。際限なく、酒を追加する徳川に対して、山田は「そろそろお開きにして、自分の部屋で飲み直しては」と、追い払おうとすると、しぶとく徳川=雪舟を主張する岩鬼「それともお堂に帰りますか?」と、またしてもカマをかけた! 岩鬼のカマに対して、昼間はとぼけていた徳川だったが、既に、泥酔状態とあって、錯乱しており「あそこ(お堂)は、もういい。寒いでのお」と漏らしたのをきっかけに、ヒゲや衣装は自分のバッグの中だの、山田に痛くない投げ方を教えて3万円ぼったくっただの、次々と自分が雪舟である事を暴露しまくり、ついには、酔い潰れてしまうのだった。全然疑っていない様なフリをしていた山田だったが、「やっぱり大音寺さんは徳川監督だったのか」とうっかり漏らしてしまい、岩鬼に「やーまだ、お前も疑うとったんやないけ!」と、その偽善者ぶりをつっこまれるのであった。翌朝、徳川が寝ている隙に散歩に出た山田は「徳川さんは、昨夜の事は覚えてないだろうから、あの話は聞かなかった事にしよう」と提案し、「サギをせな食えん程、苦しい生活をしとるんやさかい、ええやろ」と岩鬼を初め、皆が同意。「徳川さんはお酒さえ控えりゃ日本一の監督なのに」と山田がつぶやくと、今度は松坂までが「うちの渡辺監督も徳川さんに酒がなかったら五輪代表の監督だと言ってました」と答え、相変わらずの実在人物による自キャラ礼賛! ついに、プロだけでなく、アマ界の渡辺監督にまで、そんな事言わせるとは! 山田達がホテルに戻ると、既に、徳川は姿を消していた。山田達が聞かなかった事にしようと決めた話をホテルの女中が、全て徳川にバラしてしまっていた為、バツが悪くなったのだ。かくして、徳川抜きで、3日目の練習に入った山田達だが、フリーバッティングで、微笑は、ホームランを意識しているとしか思えない極度のアッパースイングと化していた! 「下手するとヒットすら打てなくなる恐れがある。今シーズン大きく崩れなければいいけど、ちょっと心配だな」と思いながらも、薄情な山田は、何も指摘してやろうとはしないのだった。どうせ微笑の事だから、かつて茂雄が「ミスターアイアンマッスルだ!」とかほざいて絶賛したバックスイングなしのフォーク攻略打法(フォークは打てても、インハイのストレートなど、絶対に打てる筈がないので、あの試合のみでやめてしまったと思われる)のごとき、一試合限定の新打法でも画策しているのだろう。微笑の打撃練習が終わると、山田は、松坂に対して、左で打てと命令。「DH制のパ・リーグなのに、何故?」と疑問に思う松坂だったが、これは、セ・リーグへトレードされた時の為の準備…と言うのは、岩鬼が言っていただけで、実際は、右ばかり使っている投手に一番大事なバランスが偏る為、今まで使っていない筋肉を使う、と言うのが狙いらしい。これは、本当にスポーツ理論に基づいた正しい調整法なのか!? 打者ならともかく投手で、こんな調整をやっているプロ選手がいるとか言う情報をご存知の方、是非、教えて下さい!!!(いや、マジで!) 左でも、会心の当たりを飛ばす松坂に「いいセンスだ。松坂の時はDH使う必要はないかも」「こいつは山田と同じ右投左打が本性づらぜ」と、山田達は絶賛! 今度は左打者として祭り上げようとする恐るべき黒い計画! 一体、どこまで松坂を弄べば気が済むのだろう!? さて、自宅に帰っていた徳川は、立派になった教え子達の姿にまたしても涙を流して、それに引き替え、酒に呑まれてしまった自分を恥じていた。「来年は、わしも明訓時代の徳川に戻って、少しはマシになって会いにいかなきゃ」と決意した徳川は、酒徳利を川へ投げ捨て来年も同窓会に参加すべく禁酒を誓うのだった。何だ、近鉄のコーチになるんとちゃうやんか! 全然とんでもない事など起きなかったぞ! 金返せ! 以下、次号!


2月18日

突如、明訓同窓会に現れた徳川監督の姿に、すっかり明訓信者になってしまった松坂は「何と言うコーフン。明訓ナインの一員になった様だ。何だか去年の夏、甲子園で投げた俺は明訓の選手だった様な気がしてきた」と大感激! それは幾ら何でも、バックで支えてくれた横浜ナインに失礼と言うものだろう。いや、松坂は、こんな無礼な男ではない筈だ。そう、全て、あの男が悪いのだよ。あの息子を無理矢理、ギッチョに改造した今年で還暦のあの男が! 岩鬼は岩鬼で、相変わらず、徳川=雪舟を強く主張し続け、徳川を詐欺呼ばわりして、カマをかけまくるが、まるで手応えなし! 山田は山田で「肩が確かに治ったんだから(だから、治ってないっつーの!)、あの仙人は詐欺じゃないよ」と、かばい立てし続けるのであった。徳川は、いつの間にやら、仕切り出し、山田らに練習メニューを指示! 山田らがメニューをこなす間、かつての明訓時代を思い出し「思えば、わしの人生で一番輝いていた時じゃった」と涙するのであった。ああ、いつから、そんな腑抜けてしまったのだ、徳川よ…。厳しいメニューにバテバテの松坂だったが、遠投に入ると、急に生き生きとして、山田と軽々と120m遠投をこなすのだった。ここまで、散々、松坂をシメまくっていた明訓5人衆も「凄い肩だ」「こいつは本物だぜ」と、仰天。それにしても、山田と120mキャッチボールの相手が出来る者は他の4人にはいない、とは、一体どういう事だ!? 岩鬼の遠投力は150mあったのではなかったのか!? 相変わらず、設定をすぐ忘れる男よのぉ…。流石に、山田礼賛には飽きたのかと思いきや、結局の所、5人の中で、山田は別格だと言いたいだけの事かもしれんな。いや、きっと、そうだろう…。遠投が終わると、徳川は「よっしゃー、燃えてきたぜ。わしがノックしてやる!!」とバットを握ったものの、ブランクにより、すっかり腑抜けてしまっており、気迫だけが空回りするばかりで、まともなノックも出来ずにぶっ倒れてしまうのだった。2日目の自主トレが終わり、ナレーションが入る。「松坂にはその一つ一つが驚異の連続であった。しかし、松坂以上に驚いたのは明訓5人衆だった。松坂の高校生離れした体力・瞬発力に唖然としたのだ」と…。まるで顔を似せられず、その上、あまりに自キャラを凄い凄いと言わせまくった影響で、史実の松坂があまりの酷い扱いにショックを受けてキャンプでダウンした、と言う情報を聞きつけ、流石に、ヤバいと思ったのか、一転して、松坂礼賛でフォローに必死の水島新司であった。帰り際、徳川に「お堂に戻るんかいな」と、しつこくカマをかける岩鬼だったが、徳川は山田らと同じ大観ホテルに泊まると言う。「やはり、徳川は雪舟ではないのか? しかし、夕食の席でとんでもない事が!」のナレーションと共に、待て、次号! また、そういうオチか! 前回は山田のベース踏み忘れだから、どうせ、今回も大した事ではあるまい…。「わしは、お前らを倒す為に、今年から、近鉄のコーチとして呼ばれたんじゃ」と漏らして、そこへ坂田と広仲(!)が現れ、ニヤリ…とか言う展開だったら、確かに、とんでもない事だが、頼むから、雪舟が、徳川の前に現れて、疑惑は疑惑に過ぎなかった…とか言うのだけはやめてくれよ!  


2月10日

年が明け、恒例の明訓同窓会の時期がやって来た! 先にホテルに到着した山田以外の4人は、山田を待つ間、しばし談笑。「お前、去年、首位打者違ーたかいな?」「タイトル獲った思たけど、勘違いやったか。そうか、ぁれは2年前やったか」と殿馬をからかう岩鬼。更に、「2年前も3年前も一度もないよ。いいだろ、タイトルの事は」と里中が追い打ち。貴様ら、殿馬に喧嘩売っとるんか!? 結局のところ、水島新司は、あの憎き鈴木一朗さえいなければ、殿馬は毎年首位打者だと言いたいのだろうか? いや、しかし、史実の本塁打王、打点王は、平気で毎年さしおいているのだからして、鈴木一朗だからと遠慮するのは、らしくない。詰まる所、山田や岩鬼に限っては、史実を覆すくらい凄いと言いたいだけなのかもしれんなぁ。ああ、そんな気がしてきたぜ…。当の殿馬は、相変わらず、そんな事は気にもとめず、飄々と聞き流すのであった。やはり、この男は、器がでかい! さて、ここで大方の予想を覆し、里中がいきなり土門の状態を話題に取り上げた! セ・リーグだからと言って、同じ球団でもないのに、何故か詳しい三太郎によると、完全に治ったらしい(って、結局、第6戦に投げられない程、壊れてたのかは推測の域を出ていない)。ああ、やはり、あのケガには大した意義はなかったか。殿馬が、5球しか投げられないシュートをそれだけの代物だと絶賛すると、ここで微笑は日本シリーズから露呈されている日本屈指の山田信者ぶりを発揮し「確かに凄いシュートだが、もっと凄いのはその6球目を投げさせた山田だよ」と礼賛。これでもう7週連続の山田礼賛だ! いい加減にせいや! 集合時間ギリギリになって、すっかり山田信者にさせられた松坂を引き連れて、山田が姿を現した。グラウンドへ向かうマイクロバスの中では、昨年の同窓会が話題に…。大音寺雪舟に山田が3万円ボラれた挙げ句、肩も治さず、放置した儘…と言うあの事件だ。大音寺教信者の山田は、未だに雪舟の事を疑う様子もなく「あの祈祷で肩が治った(治ってないって。投げ方変えただけやろ)」と大喜び。岩鬼は岩鬼で、雪舟を偽徳川と信じており「肩が治ったのは、たまたま治る時期だった(だから治ってないっつーの!)」と主張してやまないのだった。グラウンドにつき、ランニングを終え、キャッチボールに入ると、松坂の260キロある背筋力を引き合いに各人の背筋力の話題に…。虚弱が売り物だった里中はいつの間にやら体が出来ており、何と270キロに達していた! 殿馬は、相変わらず、無駄な努力をせず、「二塁手は遠投50mで充分」と、必要最低限の230キロ三太郎は280キロ、山田が300キロと聞いて、驚く松坂は恐る恐る岩鬼に尋ねると、岩鬼は300キロの計量器を破壊し、球団に怒られて弁償させられたからと、もう計るのはやめてしまったのだと言う。「つまり、300以上と言う事? 化けもんだ。流石、明訓の五人は噂通り凄いな」と、またも自キャラのダシに使われ、凄いと言わされてしまう実に哀れな松坂であった。「スーパールーキー松坂と言えど、俺のキャラに比べたら、まだまだ小物よ!」とほくそ笑んでいる水島新司の顔が目に浮かぶ様だ。その夜、一番最初に寝るのは先輩に失礼だが、最後に寝るのは誰かのいびきで眠れないのでは?と心配していた松坂だったが、かつてあれだけうるさかった岩鬼を含め誰一人としていびきひとつかかない静かな寝息に、また凄さを感じてしまうのだった。こんな事が本当に凄いのか、松坂よ!? 翌朝、6人がグラウンドに到着すると、マウンド上で何者が座っていた。6人の到着に気づき、振り向いたその男は、何と、岩鬼いわく大音寺雪舟こと徳川監督だった! 果たして、徳川の目的は!? 待て、次号!


2月4日

手首か肘か肩か、どこだがよく分からんが、とにかく、どこかしら壊れてしまう危険のあるらしい土門の6球目のカミソリシュートを完璧に捕らえたかに見えた山田だが、実は、バットの先だった! それでも、フルスイングした山田の打球は、左中間へぐんぐん伸びる! どうも破滅の音がしてしまったくさい土門は苦悶の表情を浮かべながら、「入らない。絶対入らない。入ってたまるか。これは平凡なレフトフライなんだ!」と叫んで、振り返ると、懸命に打球を追った波留被告が、フェンス手前で見事にジャンピングキャッチ。「秋なのにハルだぁー」と、今時、福井アナでも言わない凍えそうな寒いダジャレ実況が飛び出して、ゲームセット! 横浜が日本シリーズ第1戦に勝利を収めたのだった。土門と谷繁は「シュート有り難うございました」「そのサインを出させたのはお前だ。俺には6球目のサインを出す勇気がなかった」と感激しつつ、「あのシュート、たとえ打ってもレフトファールフライが精一杯の球だったのに、左中間まで持っていくんだから恐ろしい男だ」と、恒例の山田礼賛発言も忘れないのだった。雀士東尾は「三位一体、よくやった。この負けは明日に繋がる価値のある負けだ。次の土門は、5戦か6戦だろう。お返しはその時だ」と褒め称えるが、この発言は、何一つその通りにはならなかった。西武は、その後、2勝3敗と王手を取られてしまう。第6戦の先発と思われた土門は、ケガか温存か不明だが(いいのか、そんないい加減な事で!?)、何らかの理由で登板しなかったが、それでも西武は第6戦を落としてしまい、横浜に地元Vを決められてしまうのだった。結局、第1戦の三位一体の戦いは、獅子丸と山田の不注意による失点が響き、大きな1敗を喫したと言う事実が重くのしかかっただけで、何らシリーズの流れを変える事はなかった上、折角、土門を潰しておきながら(?)、その土門を欠いた試合で日本一を決められているのだから、正に、シャレにならない。ササキ様は、あれだけ勿体ぶっておきながら、1コマも投げるシーンが描かれず、結局「わいの嫌いなセ・リーグの守護神の活躍など、何で描かなあかんのや!」と言う水島新司のエゴが露わになっただけであった。さて、話は2ページでドラフト会議に飛んで、西武が松坂を獲得。更に、次のページでは、一気に12月27日にまでタイムワープしてしまった。知三郎の時の様に山田が交渉役になるのでは…!?と言う一連の予想を覆し…と言うか、単に、日本シリーズを引っ張り過ぎた為に時間がなくなったので、松坂は、サッサと西武に決めてしまい、入団発表前日に山田家に挨拶にやって来た。ランニングから帰ってきた山田は松坂の姿に驚き「俺なんかにどうして?」と尋ねると…。ああ、松坂よ、お前もか…。「山田さんは地元神奈川球児の憧れの人です。目標にして頑張って来ましたので、そのご恩に」と、案の定の山田礼賛発言! 憧れと言うのはともかく、何で、あれだけの大投手が不知火や土門でなく、山田を目標にするんだ!? いや、この発言は、あくまでおべっかで、もし、横浜に入った時には土門に対して、同様の挨拶をしに行くつもりだったと仮定すると、なかなかしたたかなヤツと言えるが、まぁ、きっとそうではないのだろう。で、松坂の入団発表も終わり、年も明けました。おめでとうございます。「早く見たいぞ、松坂・山田の黄金バッテリー」てなアオリ文が入って、以下、次号! いかに松坂が凄かろうが、結局、山田のおかげで勝てたとか言う展開で、山田の凄さを立証するダシに使われるのではないかと思うと、もううんざりっス!