1999年1月のドカプロ


1月28日

ベンチに下がった獅子丸は、須藤コーチの予想に反して、キレる事なく、静かにベンチに腰を下ろした。雀士東尾は「オレでも交代させる。獅子丸の大きなモーションでは、山田の肩を持ってしても、タクローに走られる。走られれば、ヒット1本で1点だ。ササキ様が控えている以上、致命的になる」と偉そうに蘊蓄をたれるが、結局、マウンドでの山田と獅子丸の会話の内容も、まるで不明の儘。交代が、山田の意志なのか、獅子丸の意志なのかも分からず仕舞いだ。それでいいのか!? 一方、横浜ベンチもタクローを一塁に釘付けにする為の交代と睨んでいたが、土門は「知三郎には、ドックルがあるからですよ」と、これを完全に否定! これに対して、1点差だと言うのに、ブルペンで投げ込みも行わないでいるササキ様は「ドックルが打ちにくいと言っても、3球続ければ、波留は打つぜ」と波留被告を過大評価(ないしは、ドックルを過小評価)し過ぎのコメントで反論。すかさず、土門は「ドックルは1球でいいんです」と返すと「ドックル以外なら、知三郎は、どの球でもおいしいぜ」と、マウンテンボールも対角線投法も忘れてしまった知三郎をなめきった発言! すると、土門は「波留さんは、石井さんが走るまで打たない。しかし、山田は走らせますよ。二盗、三盗。その2球をストレートを2球続けてストライクをとり、ランナー三塁ツーストライクでドックル勝負です」「そんなバカな冒険があるか」「それをやるのが山田のリードです」と言うササキ様と土門のやり取りを聞いていた谷繁は、「凄いリードだ」と、恒例の山田礼賛発言をかまし、ササキ様も「このリードは誰にも読めない。山田を知り尽くしている土門ならでは…」と関心する事しきり。それにしても、土門が勝手に推測しているだけの事であって、実際に山田がやった訳でもない事に対して、よくもまぁ、これだけ関心出来るものだ。しかも、そんな「凄い」山田が、いつまでも高校時代と同じ様なリードをしている、と思っている事自体、かなり矛盾していないか? この会話を聞いていた権藤さんは「それならば、波留に初球ストレートを狙わせればいい」と、至極、当然の事を言ってのけたが、横浜ナインは、かなり無能なのか、これを名采配かのごとく錯覚!! 指示通り、ストレート待ちをしていた波留被告だが、知三郎は、すかさず、一塁へ牽制。逆をつかれたタクローは、まんまとこれにひっかかり、タッチアウト。どうやら、知三郎への交代は、この牽制刺にあったらしいのだが、はっきり言って、横浜ベンチの一人相撲。下手の考え休むに似たりとは、正に、この事だ。そもそも、あえて、タクローに盗塁を許すのを承知で、ストレートでカウントを稼ごうとするならば、ワインドアップで投げる以外、考えられない! セットポジションで、なおかつ、変化球と比べて盗塁成功率の低いストレートなら、タクローを刺せる可能性は十分にあるからだ。つまり、知三郎が、セットポジションだった段階で、土門の読みは、既に、大ハズレだったのだ! 当初の通り、ランナーの釘付け狙いと判断していれば、タクローは警戒心を強めて、むざむざ牽制で刺される事もなかったであろうに、土門の余計な一言に横浜ベンチ全体が扇動されてしまったのだ! この牽制に、電導性のいい獅子丸は、またもしびれたらしく「男だぜ、知三郎!」と大絶賛。一方、知三郎は、「生まれた時から男ですよ」と軽くあしらうのだった。迎えた9回表、エセ盗塁王・エセネオエセ松井と、どうも水島新司に嫌われているくさい小関は、案の定、凡退するが、二死から、高木大が、ヒットを放ち、2打席連続ホーマーの山田に繋げるのだった。肩に負担がかかるから、トレーナーに5球まで、と止められているらしいカミソリシュートだったが、第1打席の2球しか投げていない事から、谷繁は、カミソリシュート3球勝負を決意! 2球続けて空振りを奪うと、谷繁は、またも酔いしれて「自信を持て。この球は誰にも打てん!」と、前の打席でも、そんな様な事をぬかしてホームランを打たれたのを、すっかり忘れ去ってしまっていた。こんな忘れっぽい奴に正捕手をやらせていていいのか、横浜よ!! 一方、土門は「手首に負担さえかからなければ、多投出来るのに…」と、愚痴っていた。肩に負担がかかるんじゃなかったのか!? 一体、どっちなんじゃい!! 同じ週の話くらい設定を統一せいや! さて、勝負の3球目だが、山田は、これを辛うじてカット。この上なく悔しがった悔しがった谷繁だが、気を取り直して、4球目のリードを考える。「今のファールは、タイミングがあっていた。(5球投げた事で本来のキレが出ない)シュートは危険だ。本能的にストレートに対応出来る山田に球威の落ちたストレートも危ない。それなら…」と逆に内角に食い込むカープを要求。これに首を振った土門に対して、ストレート、フォークとサインを切り替える谷繁だが、土門は、一行に首を縦に振らない。このやり取りを見た山田は「土門さんが投げたがっている球が来る」と、シュートに的を絞る。こんな山田に読まれているのがミエミエの展開で、第1戦が始まったばかりなのに、肩だか手首だかがイカれてしまうかもしれない球を投げようと言うのは、チームの勝利を考えた策とは、到底言えないのだが、相変わらず、一貫性のない谷繁は、土門の右腕を心配しながらも、これを了承するのだった。5球なら平気なのに6球目で故障する確率が凄まじく高い、などと心配する事自体、かなりナンセンスだが、6球で故障しかねない様な球など、5球投げた段階で、既に、何を投げても一触即発状態の筈だ。まるで「巨人の星」の世界! 「巨人の星」をウソの世界と否定してやまなかった水島新司のやる事だろうか!? 何はともあれ、ミエミエながら投じた渾身のシュートを、案の定、山田は、ジャストミート! 以下、次号! まさか、土門の右腕に破滅の音がして、突如現れた吾朗が土門を背負ってグラウンドを去る、とか言うオチでは!?     


1月21日

横浜2点リードで迎えた山田の3度目の打席。前の打席で場外弾を打たれているとあって、横浜はまたも卑劣な超音波作戦に打って出た! ライトスタンドの大応援団が一斉に奇声を上げて、山田の集中力を乱そうと言う、エース・土門をまるで信頼していないこの上なくセコい作戦だ! 「稀に見る集中力を持つ」山田を礼賛しながらも心配するベンチの知三郎だったが、これに対して、山田は、何と、ライトスタンドへバットをかざす予告ホームランのポーズ! 「これをやれるのは『日本のベーブ・ルース』男・岩鬼しかいない」と言うのに、何と厚顔無恥な行い! 腹黒いだけでなく、ここまで慢心しきっている山田に、球場全体あきれ返っていたが、西武ベンチだけは「こんな攻撃的な山田は初めて見た」「素晴らしい闘争心だ」と絶賛するのだった。山田の第1打席で「チームの勝利の為には個人の意地など何の価値もない」と言っていた筈の谷繁だったが、そんな事はもうとっくに忘れているらしく「前の打席でストレートを待たれて打たれた。速球王・土門のプライドを考えれば、ここもストレートしかない」とストレートを要求! これに従った土門の渾身のストレートは、やはりストレート待ちの山田が真芯で捕らえたにも拘わらず、そのバットを木っ端微塵に打ち砕き、ファールに! 「その気になった土門のストレートと佐々木のフォークはたとえ山田でも打てん!」と谷繁はすっかり舞い上がってしまい、よりによって天下のササキ様を呼び捨てにする始末…。土門のストレートに酔いしれて調子に乗った谷繁は、続けてストレートを要求するが、そうは問屋が卸さなかった。山田は、これをライト中段へ運び、二打席連続のホームラン! かなり電導性のいい体質らしい獅子丸は、これを見て、またもや「しびれたぜー!」と大感激。「この右腕が折れようが抜けようがお前に任せたぜ! この試合で潰しても構わん!」と殊勝な事をほざいて、まんまと山田に踊らされた獅子丸は7回裏を3人で打ち取ると、土門も負けじと8回表を三者凡退にきってとる。迎えた8回裏、8、9番と簡単に抑え、二死をとった所で、1番・石井タクローがレフト前ヒットで出塁! ここで山田がマウンドに向かうと、岩鬼は、またも懲りずに「交代や。そして獅子丸はキレる」と、しょーもない期待を抱いていたが、この期待は、またも空振り。マウンド上で何やら話し合った末、獅子丸が知三郎に対して、リリーフを要求。山田の指示もなく、突然、リリーフを言い渡された知三郎は、困惑した表情でマウンドへ上るのだった。山田と獅子丸の話し合いの真相は、果たして!? 待て、次号! 「もう貴様らに踊らされるのは御免だ!」と真実を悟った獅子丸が愛想をつかしてサボタージュを敢行した、とか言う展開なら燃えるのだが、どうせ、自ら限界を感じた獅子丸が、プライドを脱ぎ捨て、知三郎にあとを任せたとか、そんな所だろう。   


1月14日

山田の場外弾で、心身共に、平常に戻った筈の獅子丸。しかし、4回裏の先頭打者、土門が、投手ながら5番に入っているだけの事はある貫禄のバッティングで、初球を快打! 三遊間を破るヒットで出塁した事で、獅子丸は、またもイライラし始めた。投げ急ぐ獅子丸に対し、山田は間を取って落ち着かせようと必死。送りバントの嫌いな権藤さんの強行策を読んだ山田は、ゲッツー狙いで低めのストレートを要求すると、6番・佐伯は、まんまと、これにハマって注文通りのセカンドゴロで、高木浩は、すかさず二塁へ転送。誰もがゲッツーと思った所へ、土門が猛スライディング! 卑劣かつ愚劣極まりない方法でエセ盗塁王に輝いたエセネオエセ松井の実力では、これをかわしきれず、ゲッツーならず! これに対して、獅子丸は、またもぶち切れて、土門に抗議すべく歩み寄るが、山田がなだめると言う、もう何週続けて同じ事をやっているんだ、と言うあきれかえる展開。山田は、またも三位一体を任されている事を盾にとり、「この儘では、知三郎に代えます」と恐喝。獅子丸は獅子丸で、相も変わらず、この恐喝に屈し、すごすごと引き下がるのだった。7番・谷繁を迎えて「ダブっていこう!」と声をかけ、低めに投げさせると思わせた山田は外角高めのボール球を要求。逃げの投球と思いながらも、嫌々投げた獅子丸だったが、これを捕った山田は、すかさず一塁へ牽制! 注意力散漫な佐伯は、この牽制に引っかかり、タッチアウト! 外角のボール球は、この為の伏線だったと理解した獅子丸は唖然とするのだった。更に、谷繁のキャッチャーフライを山田がダイビングキャッチで好捕! これには、実況も思わず「すごーい!山田のファインプレー」。ああ、今週も「すごい」と言う言葉を使わずにはいられなかった様だ。何はともあれ、山田の相次ぐ好プレーに、今度こそ獅子丸は立ち直り、5回、6回と無得点に抑えるのだった。どうでもいいが、西武は、この二人でしか試合しとらんのぅ。しかも、所詮、獅子丸は「山田がいかに凄いかを強調する」為の道化でしかないのだから、結局は、山田一人でやっとるんや!  さて、3−1と横浜の2点リードの儘、試合は7回表へ突入。山田が3度目の打席に入った所で、次号へ続く。


1月4日

逆上する獅子丸に代わって知三郎が登板か!?と思われたが、知三郎は、単に、獅子丸へグローブを届けに来ただけだった! 前号、よくグローブを見ていれば、このオチは簡単に分かったのだが(獅子丸は右腕、知三郎は左腕なのだから)、こいつは、うかつだったぜ! この辺が立ち読みレビューの浅はかさよ! かくして獅子丸は続投となった訳だが、相変わらず、息が上がった儘で(そもそも、二塁まで走ったくらいで、こうも呼吸が戻らないと言うのは、考えられないのだが、ここは、普段、余程、走り込んでないのだろうと好意的に解釈しておこう。まぁ、熱心に走り込んでいる獅子丸など、不気味なだけだが…)、西武ベンチは心配顔。しかし、ここで賭博師の下で、年々腹黒くなっていると言われている山田の詐欺師野球が炸裂! 座ると同時にレガースが切れる様に、予め仕込んでおいた上に、予備のレガースを西武ニセドームに置きっぱなしの事を白々しく忘れたフリをして、探し回った挙げ句、結局、中嶋から借りると言うあからさまな遅延行為! これを見た(もうすっかり山田信者になっている)微笑は「素晴らしい咄嗟の判断だ。これは目に見えないファインプレーですね」と、恒例の山田礼賛発言! しかし、ここで男・岩鬼は「どこがファインプレーや! 目に見えとるやないけ、あのせこさ」と、山田の詐欺師野球を痛烈批判! いいぞ、岩鬼! しかし、投手回復の為の遅延行為には、バントで疲れさせるのが水島イズム! すかさず、2番の波留被告は、獅子丸の前に小フライを打ち上げ、獅子丸の呼吸は再び荒れ模様。バテバテの獅子丸に対して、続くエセ首位打者・鈴木なおのりは、獅子丸の股間を抜くセンター前ヒットで出塁! モーションの大きな獅子丸なら二盗を狙える、と踏んでいたなおのりだったが、すかさず、知三郎が「走ってくる」と注意! しかし、注意されて警戒した方が、逆に走り易いらしいのが水島イズム! 警戒されても獅子丸の緩慢な動作なら問題ないと、なおのりは二盗を敢行! 成功を確信したなおのりだったが、山田の強肩の前にあっさり憤死! いかに強肩の捕手でも、結局、盗塁と言うのは、投手の協力なくしては刺せないもの。この状況で、しかもモーションを盗みながら、刺されてしまうと言うのは、所詮、ズル休みで2年連続首位打者に輝いた男の実力は、この程度と言う事か。続く駒田は打ち損じのライトフライに倒れて、どうにかこの回は無得点に抑えきった。4回表に入って、西武ベンチは円陣を組むと、雀士東尾は、一発を捨てて、ヒットで繋いでいく戦法を指示。しかし、ヒット狙いと分かるや、土門は三振を捨て、変化球で打たせて取る投球に切り替えると、大友、高木大とあっさりこれにハマって、わずか3球で二死に。疲労の癒えない獅子丸の表情も恨みがましいものへと変貌していくが、ここで山田が初球を狙い打ち! 変化球攻めから裏をかいて投じた筈のストレートだったが、責任を放棄した雀士東尾のヒット狙いの指示など、山田が従う筈もなく、一発狙いのストレート待ちだった! 読みさえ当たれば、必ずホームランのジャンケン野球と言う予想通りの展開で、打球は、今夜の松井さんのやった事など、山田なら当然出来ると言わんばかりにライト場外へと消えていくのだった。ここで、横浜ベンチは思わず「す、すごい」。あ〜あ、今回も、「山田はすごい」と台詞で言ってしまったね。「しびれたぜ」と、この一発で生き返った獅子丸は、疲労も吹っ飛んで(そんなバカな)、知三郎とキャッチボールを開始するのだった。