1998年12月のドカプロ
     


12月24日

横浜の卑劣な超音波作戦にハマり、逆上する獅子丸! これを見た山田は「三位一体の交代の権限は自分にある。このままだとピッチングにならないから、交代させる」と言い放ち、知三郎は、これ見よがしに中嶋とキャッチボールを開始! 山田と知三郎の腹黒コンビネーションにしてやられた獅子丸は、渋々マウンドへ戻った。しかし、なおも二死二塁のピンチで、バッターはトップに返って、石井タクロー。「冷静になるには、余計な力と気持ちを抜く変化球だ。フライを上げると、超音波作戦の術中にハマるから、ゴロを打たせる」とカーブを要求! 一体、いつの間に会得したのやら、新球(笑)カーブを放った獅子丸だが、所詮、覚えたての小便カーブ。ゴロを打たせる筈なのに、会心の当たりを打ち返されてしまったが、金村弟への真正面のライナーで、この場は、3点で凌いだのだった。金村弟がベンチに戻っても、まだ手が痺れている程の痛烈な打球を打たれたにも拘わらず、「イケイケの横浜には、変化球で出鼻をくじきましょう」などと、訳の分からない事をほざいて、結果オーライのリードを正当化する山田であった。更に「3点で抑えていれば、僕達で打って返せますよ」と、他の連中はアテにならないが、自分達、水島キャラなら余裕で返せると言わんばかりに、ナインの前でやたら失礼な発言をかましていた。また、実況席では、三太郎が「シーズン中でも、これ程の調子はなかった。山田が相手だと、こうも変わるのか」と、恒例の山田礼賛発言をしているのだった。さて、試合は、3回表に突入。先頭の高木浩之は、右中間へフライを打ち上げると、西武ナインは、横浜の大歓声でセンター波留被告とライト佐伯の声の連係が乱れると期待するが、観客とチームぐるみのこの作戦で、そんなミスが起きる筈もなかった。声援はピタリと止み、グラウンドに佐伯の「オーライ」の声が響き渡ると、波留被告は自重し、佐伯は、これをキャッチ。途端に、また大歓声。ペナントを制するまで、巧みに練り上げただけあって、見事なまでの一体感! 何と恐るべき、超音波作戦! 続く小関は、空振り三振に倒れると、今度は「ナイススイング、小関ー!」「振れるだけ大したもんだ」「そのうち当たるぜ」と、横浜から皮肉めいたヤジが連発! 史実の日本シリーズでのヘッポコな守備に頭に来ているのか、規定打席にも到達しなかったくせに新人王を獲ったのが歯痒いのか知らんが、水島新司は、相当、小関に思う所があるらしく、これで3週連続の小関叩き! 二死となって、迎えるバッターは獅子丸。「変化球が打てなくて投手へ転向した獅子丸相手にストレートはない」と山田は読むが、これが大ハズレ! 獅子丸ごとき、ストレートで十分と、土門は自信を持って剛球を投じたのだ! 獅子丸は、これを捕らえるが、バットは木っ端微塵! それでも、打球はレフトへ! エセ首位打者・鈴木なおのりは、これを必死に追って好捕。「よっしゃー」と満足気な笑みを見せるが、これは、何と砕け散ったバットの破片だった! 知三郎は、獅子丸の打法を「タイタニック打法」と名付けていたが、違う! 破片を飛び散らせ、打球の場所を攪乱させる、これは正に、宇野球一の「ジャコビニ流星打法」だ! アストロ超人の必殺打法まで会得していたとは、恐るべし、蔵獅子丸! 結局、これは三遊間を抜ける当たりだったのだが、エセ首位打者・鈴木なおのりの大チョンボで、打球は転々。その間に、獅子丸は巨体を揺すって、二塁へと進み、チャンスを作るのだった。全力疾走で息が上がっている獅子丸を休ませる為にも、じっくりいかなければならない所をエセ盗塁王・エセネオエセ松井は、初球から打って、キャッチャーファールフライに倒れてしまった。獅子丸ごときに「なに考えてんだ」などと言われてしまったエセネオエセ松井は「しかし、絶好球だったんだ」などと言い訳するも、絶好球を捕邪飛にしか出来ない辺り、所詮、卑劣かつ愚劣極まりない策謀を図って盗塁王になった男だけあると言えよう。バテバテの獅子丸を見て、西武ベンチは、次の回の投球への影響を懸念するが、山田が知三郎と共にベンチから出てきた。誰もが獅子丸降板と思い、獅子丸はブチ切れ寸前。岩鬼も「最悪のタイミングの交代や」と、2週連続して獅子丸の乱闘を期待した所で来年に続く。まぁ、どうせ獅子丸は一塁辺りで休ませられるんだろう。怒るだけ体力の無駄だぞ、獅子丸よ…。何はともあれ、今週は、エセ首位打者とエセ盗塁王を叩きのめすと言う、久々にいいものを見せて貰った感じの「ドカプロ」であった。


12月17日

1点を先制された上、横浜10人目の選手と言われる応援団の大歓声に、すっかり頭に血が上った獅子丸。一方、山田は、土門の自らの判断によるバントに「凄い状況プレイだ」と、またしても、台詞によって、水島キャラが「凄い」事を立証するのだった。大歓声により、西武ナインは動揺。金村弟など、「ただでさえ集中力がないのに、ますます集中出来ない」などと、ひどい台詞を吐かされていた。続く7番は、いつの間にやら、変化球の対応がうまい事になっているらしい谷繁! どのみち獅子丸にはストレートしかないので、谷繁が変化球打ちがうまかろうが、下手だろうが、関係ないのだが、いかに、自分が谷繁を研究しているかを証明したい山田は、とってつけた様な理由でストレートを要求! しかし、当たっても簡単には外野には飛ばない筈の速球を、軽々と左中間へ運ばれた! この打球を追った水島外人撤廃イズムにより、何故かスタメンのレフト大塚と、センター大友が激突! 打球はフェンスまで転々とし、谷繁は一気に三塁へと進んだ! 大塚も大友も「オーライ」と声をかけていたが、横浜応援団の大歓声によって、かき消されてしまっていたのだ! 続く8番進藤は、フルスイングをかますも、打球はボテボテと言う水島作品特有のパターンに金村弟がまんまとひっかかり、内野安打となって、2点目を献上! ゲストの男・岩鬼は、自分もこれにひっかかった事があるくせに、金村弟を「パ・リーグの恥」とヤジるのだった。集中力がないだの、パ・リーグの恥だの、散々な事を言われて、金村弟の何と哀れな事か。更に、水島外人撤廃イズムにより、何故かセカンドスタメンに入っている9番リトル万永くんが、170ミリの身長ながら、右中間へと持っていった! 獅子丸は、打ち取ったと判断し、ベンチへ帰ろうとするが、今度は、センター大友と、先週、叩かれまくった小関が、お見合い! 今度は、「任せる」と言う互いの声が横浜超音波作戦により、またもかき消されてしまったのだ! 進藤が返って、この回、ついに3点目! 横浜のペナント制覇及び、日本一は、こういう卑劣な作戦に基づいて成り立っていた、と言う恐るべき事実が発覚! これには、獅子丸もぶち切れ寸前! 「いかん、獅子丸の精神状態は限界だ!」と危惧する須藤コーチだが、雀士東尾は「知りませんよ。この試合、何が起こっても、三位一体にまかせたんですから」と、全てを山田になすりつけ、責任を放棄! 獅子丸のキレっぷりを察知した男・岩鬼は「ちょっとしたクロスや判定でも乱闘になるで」と予測。三太郎の「お前は参加するなよ」と言うオチがついて、次号へ続く!


12月3日

投手ながら、.330と驚異の高打率を誇り、山田のリードもよく知っているだろうと5番に抜擢された土門! 獅子丸は、山田のリードを知っていようが、投げるのは自分だと憤慨し、雀士東尾も、意地をかけて、外野に前進守備を指示! しかし、何と、土門は、初球をいきなり送りバント! 投手とは言え、5番打者のバントを全く予期していなかった山田は呆然。獅子丸は、慌てながらも、何とか処理して、一塁はアウトとし、一死三塁となった。何と、このバントは、横浜ベンチのサインではなく、土門の独断だった! 1点あれば守りきれる、と言う土門の執念のなせる業だったのだ! 続く6番佐伯に対して、須藤コーチは「スクイズもあるぞ!」と忠告するが、雀士東尾はおろか、山田にまで「スクイズは絶対にない」と一蹴されてしまう。山田の読み通り、強攻策で来た佐伯は、初球の150kmを空振り。今までになくスピードの乗った球に、西武ベンチは大喜び。山田も調子に乗って「これなら、外野には飛ばない」と再び、同じ球を要求したが、土門のバントショックで注意力が散漫になっていた山田は、佐伯が、バットをひと握り余して持っていた事に気付いてはいなかった! 軽々とライトへ運ばれてしまったものの、打球はファールゾーンへ。山田は「横へ走って捕るのでは、投げる体勢を整えるまでに時間がかかるから捕るな!」と思いながらも、その事は全く指示せず、そうこうしているうちに、獅子丸は「お前の肩なら刺せるぜ〜っ!」と小関をおだててしまった為、小関は、山田の期待を裏切って、これをキャッチ! タッチアップした駒田を刺すべく、すかさずバックホームするが、ワンバウンドが高く跳ねた事で、山田はブロックも出来ず、駒田はホームイン。横浜が1点を先制したのだった! 先制点に興奮の谷繁は「お前の勝利へのこだわりが、この1点を呼んだんだ!」と土門を絶賛! 土門も「そのこだわりは山田に対する谷繁さんのリードが教えてくれたんですよ」とニヤリ。どうやら、土門は謀反を起こす気はない様だ。「こんな事なら捕らせるんじゃなかったぜ」と獅子丸は、自分の浅はかさを後悔したが、時既に遅し。小関は小関で、背後のライトスタンドの横浜ファンから「小関君、何も悔やむ事はないぞ」「捕れる球は捕る。それが真のプロと言うものだ」「お前はベストを尽くしたんだ」と皮肉めいたヤジを浴びて、一人呆然と立ちつくしていた。山田は「ひと握り余してバットを持った佐伯さんの謙虚な打法が外野まで運んだのだ。一人一人が役割を知っている横浜は、やはり強い」などと、自分のミスを棚に上げて、横浜をベタ誉め。ショックを受けている山田に追い打ちをかけるように、横浜10人目の選手と言われる大応援団が、一気に大歓声を上げ、西武に更なるプレッシャーを与えるのだった。今週は、史実でも、叩かれたのに、漫画でも叩かれて、小関は可哀想だねぇ、に尽きる話と言う事で、待て次号!