殿馬一人

水島漫画史上最高二番打者と言っても過言ではない天才児・殿馬。その卓越したリズム感と類い希なる野球センスから繰り出されるバッティングは、予想通りの高い数値を導き出した。典型的なチャンスメーカーで、得点が打点の5倍以上。アヤしげなフォームで敢行する犠打は、勿論チーム最多。相手投手から最も嫌がられる投げにくいバッターと言われるだけの事はあり、驚異的な粘りとミリ単位でストライクゾーンを見極める凄まじい選球眼から、最多敬遠の山田をも上回るチーム最多の四球を選んでいる。意外に三振が多いのだが、特に、試合序盤での見送り三振が多い。正念場にならないと、どうも本気になれないのか「リズムが合わねぇづら」とか言って、あっさり引き返してくる事しばしば…。流石に、好打者だけあって、どの年代でも、安定して高い打率を残しているが、特筆すべきは、2年秋〜春にかけての凄まじいブレイクぶりだろう。お得意の四球を1個も選ばずに、打ちに打ちまくり、その打率、実に.643は、山田に匹敵する。太平監督が試合放棄を敢行寸前の中、密かに三塁打を打ったりするなど、山田フィーバーの影に隠れての活躍ぶりであった。2年夏も、右肩に銃弾を受けながら、この数字は立派と言うしかないだろう。また、関東大会に驚異的に強い事にも注目。不知火、土門がいるせいか、投手戦になりがちな県予選では、三振も多く、打率も2割台にまで落ち込んでいる。しかし、凡退しても、不知火を不愉快な気持ちにさせて満足するなどと言ったケースが多く、一概に、低迷していたとは言いきれない。尚、打点はゼロで、完全にチャンスメーカーに徹していた。通算成績との比較からして見るに、甲子園での活躍が一番殿馬らしかったと言えるのかもしれない。

 

打率
打席
打数
安打
二塁打
三塁打
本塁打
打点
得点
犠打
犠飛
四球
死球
三振
盗塁
併殺打
勝打
出塁率
長打率
通算
.372
116
94
35
3
2
2
5
27
7
0
15
0
26
1
1
2
.459
.511

年代別

(学年表記は山田を基準としたもの。新潟明訓戦は3年夏扱い)

打率
打席
打数
安打
二塁打
三塁打
本塁打
打点
得点
犠打
犠飛
四球
死球
三振
盗塁
併殺打
勝打
出塁率
長打率
1年夏
.313
17
16
5
2
0
0
0
6
0
0
1
0
5
1
0
0
.353
.438
1年秋〜春
.348
33
23
8
0
1
1
3
10
1
0
9
0
7
0
1
2
.531
.565
2年夏
.333
17
12
4
0
0
0
0
2
2
0
3
0
5
0
0
0
.467
.333
2年秋〜春
.643
16
14
9
1
1
1
2
6
2
0
0
0
1
0
0
0
.643
1.071
3年夏
.310
33
29
9
0
0
0
0
3
2
0
2
0
8
0
0
0
.355
.310

大会別

(県予選は春季大会、秋季リーグ戦含まず)

打率
打席
打数
安打
二塁打
三塁打
本塁打
打点
得点
犠打
犠飛
四球
死球
三振
盗塁
併殺打
勝打
出塁率
長打率
県予選
.267
34
30
8
1
1
0
0
7
1
0
3
0
11
0
0
0
.333
.367
関東大会
.647
20
17
11
0
1
1
2
8
1
0
2
0
2
0
0
0
.684
.941
甲子園大会
.333
60
45
15
2
0
1
3
11
5
0
10
0
12
1
1
2
.455
.444