岩鬼正美

「三振かホームラン」と言うイメージの強い岩鬼は、案の定、三振とホームランが全打席の半数以上を占めている。これだけ大雑把なバッティングをしていながら、通算打率が.341と言うのは、かなり凄い。勝利打点は山田に続いて11個と多く、1番打者ながら、試合を決める事も多かった。塁に出る度に、走りたがっていた岩鬼だが、盗塁もチーム最多。殿馬、微笑、香車など、俊足の選手は、多数いたにも拘わらず、明訓の盗塁敢行機会は極端に少なかったが、岩鬼は、打者が打ってしまったり、死球だった為に記録にならなかったケースも含めると、ダントツで盗塁敢行数の多い選手だったと言える。悪球打ちのくせに、死球が最も多い事にも注目。相手投手を挑発するなどして、悪球を呼び込みながら打ち損じて体に当たったケースが多いのだが、当然のごとく、当たったからと言って、何らプレーに支障が出る事はなかった。唯一の四球は、光高校戦。悪球もど真ん中も通用しない、と荒木が、大暴投で敬遠したものだ。年代別成績を見ると、如実に分かるのが、岩鬼の打撃が開花し始めたのは、2年生になってからだと言う事だ。1年までは.189だった打率が、2年以降は.457と急激に跳ね上がっているのだ。1年夏は打った安打全てが勝利打点に結びついているものの、ヒットは僅かに3本。甲子園での17打席連続三振(劇中では16連続とあるが、実際には17)が致命的で、実に1.3打席に1回三振をすると言う凄まじさ。1年秋〜春にかけては、意外な事に7安打中6本が単打で打点は僅かに1、勝打もゼロと、返る男に徹していた。大舞台になればなる程、真価を発揮する男、と言ったイメージのある岩鬼だがデータは全く逆の結果を導き出した。大会規模に反比例して、打率が高くなっているのだ。尤も、甲子園の低打率は、1年夏の体たらくが、尾を引いている結果ではあるのだが、それにしても、他打者が総じて打率を落としている不知火、土門相手の県予選で、この数字を残している事を評価すべきだろう。

 

打率
打席
打数
安打
二塁打
三塁打
本塁打
打点
得点
犠打
犠飛
四球
死球
三振
盗塁
併殺打
勝打
出塁率
長打率
通算
.341
131
123
42
6
1
17
31
38
0
0
1
7
50
4
0
11
.382
.821

年代別

(学年表記は山田を基準としたもの。新潟明訓戦は3年夏扱い)

打率
打席
打数
安打
二塁打
三塁打
本塁打
打点
得点
犠打
犠飛
四球
死球
三振
盗塁
併殺打
勝打
出塁率
長打率
1年夏
.125
25
24
3
1
0
2
6
2
0
0
0
1
19
0
0
3
.160
417
1年秋〜春
.241
32
29
7
1
0
0
1
9
0
0
0
3
8
2
0
0
.313
.276
2年夏
.409
24
22
9
0
0
4
6
10
0
0
0
2
9
0
0
3
.458
.955
2年秋〜春
.467
16
15
7
0
0
3
6
6
0
0
0
1
5
0
0
2
.500
1.067
3年夏
.485
34
33
16
4
1
8
12
11
0
0
1
0
9
2
0
3
.500
1.393

大会別

(県予選は春季大会、秋季リーグ戦含まず)

打率
打席
打数
安打
二塁打
三塁打
本塁打
打点
得点
犠打
犠飛
四球
死球
三振
盗塁
併殺打
勝打
出塁率
長打率
県予選
.406
37
32
13
1
1
6
14
17
0
0
0
5
9
1
0
6
.487
1.063
関東大会
.368
19
19
7
0
0
2
2
5
0
0
0
0
7
0
0
1
.368
.684
甲子園大会
.290
72
69
20
5
0
7
13
14
0
0
1
2
33
3
0
3
.319
.667