1998/12/11に行われたトークライブの報告です。
すごくおもしろいイベントで、これは記録を残しておかねば!という気持ちで書き始ましたが、なにぶん書き上がるまでに時間がかかってしまいました・・・。ライブを見に行かれた方が「そうそう、そんな話あった」と楽しい時間を思い出してくださり、行かれなかった方にも少しでもその場の雰囲気を味わっていただけたらうれしく思います。
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◆ 『貴族』本当に大丈夫なのか!? (98.12.13) みうらじゅんさんプロデュースのこのライブときたら、あまりにレアでした。オープニングの歌からしていきなり濃すぎ。もう何から語ればよいやらって感じで、とてもじゃないけど一度には書ききれませんので、何回かに分けて報告したいと思います。 まずはデータ編から。
サンケイスポーツの記事によれば、観客は約850人だったとか。会場のキャパは400人と聞いてたんですが・・・。 まずは曲に入る前のところでやめておきます。このライブについて語るための『用語解説集』を作らねばと思ったりもします。なんといいますか、“池田貴族オーガナイザー”を名乗ってみたい気分とでも申しましょうか(爆)。←(ライブをご覧になってた方には通じるはず・・・)
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◆ シーモンキーズ(98.12.14) 自称“イカ天スーパーバンド”シーモンキーズ。 そこに行く前に、まずはみうらさんと貴族氏の出会いについて語らねばならないでしょう。きっかけはイカ天。上にも書いた90年元旦、武道館で行われた“輝く!日本イカ天大賞”の楽屋で、初めて2人は顔を合わせたようです。審査員だったナンシー関さんに、みうらさんが「池田貴族に似てますね」と言われたり、元々貴族氏はみうらさんの漫画のファンだったということもあって、仲良くなっていったらしいです。みうらさんの「今度遊びにきてね」という言葉が社交辞令ではなく、ほんとに家に呼んでくれたのがうれしかったと貴族氏述べてます。 ところで私、ナンシー関さんさすがだな、と常々思っておりました。ナンシーさんは同郷ということもあり(青森)、勝手に親近感を抱いたりしてるんですけど(田舎者にありがち)、そのイカ天大賞当時のみうらさんと貴族氏を比べて、どこがどう似てたんだろう?と思う。今でこそ2人はソックリというのは定説ですが、当時の貴族氏はまだ髪の毛はクルクルっと短めだし、うなじのとこにしっぽとかもついてたし、格好も赤いし。2人にステージで並んでもらって、似てると思う人はいないと思うのです。素に戻ってサングラスをかけると似てる、というのがあったりしたのかもしれませんが、後に“心霊期”(©みうらじゅん)を迎えた貴族氏が見事にみうらさんソックリ、になるのを予言するかのようなナンシーさんの指摘、決して見逃すわけにはいきません。 ・・・しまった、話がシーモンキーズまで行かなかった。
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◆ ロンリネス(98.12.14) やがてみうらさんと貴族氏のつきあいは蜜月期を迎えます。人間椅子の和嶋さんなどと共にみうらさんのテレビにゲストで呼ばれて行っては、番組終了後に夜の街での大暴れを繰り返していたらしい。みうらさんの家は親しいイカ天のメンバーやお笑い芸人さんたちの集会場となって、連日にぎわっていたとか。「・・・とっても元気だったあの頃、いつも隣には貴族がいて、弟みたいに笑ってた」と、みうらさんご自分の本で回想されてます。 (『飲み屋のロック』より) そのような中で披露された『ロンリネス』という曲。高校時代に貴族氏が作詞作曲したもので、Mさんという中学の部活の先輩に捧げられた歌。このMさん、中学時代からいじめられっこで、19歳のときにいじめのトラブルでなんと殺されてしまったらしい・・・。 そんな曲がみんなに大受けして(ウケていいんですか?)、発表の場として結成されたのが、みうらさん、貴族氏、和嶋さんの3人によるユニット、シーモンキーズでした。コンセプトは、頭からストッキングをかぶった謎の覆面バンドというものでしたが、あまりの歌いにくさにかぶりものはリタイヤ。実際のステージは素顔で通していたようです。今回はそのシーモンキーズにイカ天ビジュアルズが加わった豪華なステージ。幻の名曲ロンリネスを聴くことができて大満足でした。 ちなみに、INGレーベル(エクスプロージョン)から、『シーモンキーズ』というカセットが発売されています。ライブでは、みうらさんの自宅マンション屋上で撮影したというデモ映像も流れてましたねぇ。これも売ってたんでしょうか。カセット探してるけどゲットできてません。お持ちの方いらしたら、ぜひお話し聞かせてください。
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◆ 秘蔵ビデオ集(98.12.16) この調子でチンタラ書いてたら来年になっちゃうので、ちょっと飛ばします。 みうらさん解説による、貴族氏秘蔵ビデオ映像の数々公開。のっけからカウンター喰らわせられたようなシーモンキーズに、勝るとも劣らない貴重シーン連発です。まずはどんなものがあったか、そのキーワードとともに必死で思い出してみましょう。
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◆ 本人登場(98.12.17) みうらさんとつるんでいた蜜月の時代を過ぎ心霊時代に入っていくため、ここからは本人からも解説をということで、「本人」登場です。“UFOの人”(©みうら) 大槻ケンヂさんも呼ばれました。三兄弟揃い踏み。
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◆ スライドショー(98.12.18) この調子でチンタラ書いてたら再来年になってしまうー。ビデオの後はスライドショーでした。スライドは20枚以上ありました。主な写真を回顧。
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◆ なぜに「貴族」か(98.12.21) 私も前から知りたいと思っていた疑問に、みうらさんが切り込んでくれました。 なぜ池田「貴族」なのか。 本名が「貴」さんなのでそれがベースになっているんだろうな、ぐらいのことは予想してましたが。子供の頃から貴という一文字の名前がどうもすわりが悪くて気に入らなかったのだそうです。当時好きだった近藤正臣のマネをして「貴臣」と書いて「たかし」と読ませようとしていたとか。まぁ、そのうちに近藤正臣でもないかなと思い直し、いろいろ考えたあげく「貴族」にしてみたとのこと。 思うに、子供のときから自分の名前に他の字を付けて表記してしまう、というところからして普通の発想ではないんじゃないかと。しかも、文字を足してすわりを良くするなら、なんで素直に「貴志」とかにされなかったんでしょう(笑) そこらへんにこだわりを感じずにはおれません。感心しちゃうのはサラリーマン(プログラマー)時代にも、貴族と書いて「TAKASHI」とルビが振られた名刺を、取引先の人に配っていたということです。普通のサラリーマンなのに。そこまで徹底できればすごいと思う(そのレアな名刺を見てみたい)。 神妙な空気が必要とされる場では、名乗ることに戸惑いを覚えることなどもあるようです。でも一度聞いたら忘れられない、ナイスネーミングだなぁと思います。おしゃれですしね。名前と衣装では名前の方が先だったんですね。
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◆ なぜに「kizoku」か〜補足〜(99.1.3) かなり間があいてしまってすみませんでした。 時間あけて読み返して、上の説明だけでは不十分だということに気づきました。そもそも「貴臣」とか「貴公子」とか「貴族」と書いて「たかし」と読ませようとしていたはずが、いつから「きぞく」さんになったのか。 時代は原宿歩行者天国でのストリートライブまで下ります。「おれはこの名前のせいでいじめられた、池田貴族(きぞく)だ〜!」とか、観客の前で自己紹介。それを聞いてみんなが信じてくれたので、あ、いいのかなと調子に乗りそのまま「kizoku」を名乗ることにしたのだそうです。普通、本名が貴族だなんて言われて信じる日本人はいないと思いますが、きっと、人々にそう信じさせてしまう何かを発していたのでしょう。
いじめられたどころか、小学生のときは日替わりでいじめる子を10人も作っていたという暴君池田少年、まるでウソのエピソード作ってます。まぁ日替わりいじめの話も作ってるのかもしれないですけどね。
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◆ 体育会系 vs 文化系(99.1.6) あるときはミュージシャンとしてステージに立ち、またあるときは心霊世界をオーガナイズ。アニメやヒーロー物などのカルト系にも明るく、職歴(プログラマー、SE)を活かしてのコンピューターに関するコラム等、数本を連載中。本も執筆。 といった感じで文化系の香りを漂わす貴族氏ですが、実は体育会系の方でした。小学校では野球やサッカー、中学では陸上部に所属(短距離走で名古屋市記録を保持していたとのこと)、高校でもサッカー部。「これが意外と体育会系なんですわ。」そんな言及にどこか威圧されてしまう、みうらさんと大槻さん(根っから文化系)でありました。 一口に“体育会系”と言っても色々な意味が含まれると思いますが、特徴は上下関係を厳しく意識するか否かというところにある気がします。その思考が染みついているかどうか。単なる礼儀とは別の部分で。私も運動部育ちなので、文化系のサークルで先輩後輩入り乱れて談笑する姿には、かなりカルチャーショックを受けたものです。態度が悪いっていうので、連帯責任で後輩全員グラウンド走らされたりって世界でしたから。 貴族氏の著書の中に、目上であるみうらさんが「ともだち」と呼んでくれることほど、体育会系出身の自分にとって感激することはないと書かれています。みうらさんにとっても新鮮な出会いであったと思われる、“弟・貴族”との蜜月の時代。女が入り込めない世界ですよねそういうの〜みたいな。(それが女性不可欠の世界だとしても(笑)) さっき、威圧されるみうらさんと大槻さんと書きましたが、最近読んだいとうせいこうさんの文章にも、“文化系のコンプレックス”という言葉があって、体育会系 vs 文化系という図式があるらしいということに気づいた次第です。男性特有のものではないかと思います。たぶん女性同士では、ない。別のこだわりの図式というのはあっても。 | ||
◆ 闘病(99.1.23) 当然触れなければならないテーマですが、さすがに書く気になれませんでした。ライブではさんざん笑わせてもらったけれど、ここで笑いにできる話ではないし。レポートは最後にしようかどうしようか、など悩んでるうちに、折しも1/21に貴族氏による記者会見が行われたと、昨日のワイドショーやスポーツ紙で報道がありました・・・。このタイミングに乗り、思い切って書かせていただきます。 来週定期検査がある、とライブのときに貴族氏はおっしゃっていましたが、今回の報道によれば、12月半ばのその検査において、15個のがんが発見されたとのこと。抗がん剤治療のため、クリスマスからこの成人の日までずっと入院していたとのこと。半ば強引に退院してすぐ、4月に発売予定のアルバムのレコーディングに入ったという会見内容でした。 ある新聞には、事実を告げられた報道陣は言葉を失ったとありましたが、それが全てを言い表していると思います。病状の深刻さもさることながら、その本人が、今レコーディングを終えてきて会見を行っている姿を目の当たりにしたら、誰もが絶句せずにはおれないと思います。呆気にとられると言ってもいいかもしれない。まるで他人事のように書いてますが、もちろん私も同じように、何を言っていいかわからなくなっている一人なのです。 ライブで、あんなに笑わせてもらったこと自体、すごいことだと思っていました。貴族氏を見てると感覚が麻痺してしまうけど、いざ自分が同じことをやると想像したら、とてもできることではないとわかる。みうら氏や大槻氏にしたって、友達の病気をネタに笑いを取るのは本当は辛いと思う。なおさらプロの仕事のすごさというのを見せつけられた気がしました。 とにかく、貴族氏には驚かされることばかりです。昨年6月の手術の後、お医者様からは余命半年かもなどと言われたりもしていたそうですが、その半年はもう過ぎました。
ライブに行った人は納得できるはず、貴族氏を常識の枠に当てはめるのは無理です。奇跡を起こしてみんなをアッと言わせる人は、貴族氏をおいて他にいないでしょう。 | ||
◆ 閑談(99.1.27) 何気なくサーチエンジンで検索かけていたところ、上映ビデオの報告のところで書いたキューティ・ナイトの情報が引っかかりました。ので該当する上の報告文も少し書き換えました。矢部美穂ちゃん主演の作品のようです。そう言えば、矢部美穂のCDプロデュースをしたという情報もどこかで読んだなぁ。 先月のアタマくらいには、山口朝日放送でこの『コスプレ戦士キューティ・ナイト』を放映したみたいです。山口朝日放送あなどるべからず! ライブレポートからはちょっと離れた話題でした。あ、ついでに書くと25日に発売になったHot-Dog PRESSに、大槻ケンヂさんと貴族氏の対談が載ってます。『大槻ケンヂの領域無限 ショック!人間対談』第2回ゲストが貴族氏でした。1回目は、え〜と、プロレスのアニマルさん?(立ち読みだけして記憶薄)。 | ||
◆ 心霊・池田派(99.1.30) 心霊の世界ってのはいろいろあるらしい。あ、実際のあちらの世界ではなく、そういうことに関わっている業界という意味での“心霊界”。古くからの勢力である“つ○だ派”や、“稲川派”、“プレステージ派”なんてのがあり、新興の“池田派”も形成されました。ちなみに織田無道さんは初めはプレステージ系稲川派でしたが、次第に派閥を越えて活躍する“オールラウンダー”になったとのこと。なるほど。織田氏と貴族氏とで「心霊漫談」みたいなのをやったこともあるそうです(EXテレビ?)。 “心霊接待”というのがあるそうです。心霊界の方たちは贅沢好きらしく、カニやフグ、などが定番だとか。そんな接待を受けることで、今後自分の悪口を言うことは許さないぞ、という無言の圧力をかけられることになるのだそうです。以前に雑誌の企画でつ○だ先生と対談した後、フグをごちそうになったことを思い出した大槻ケンヂ氏、知らずしてつ○だ派に属させられていたという事実に驚愕してました。 心霊界には詳しくないので、池田派の特徴というのも、他と比較してはよくわからないのですが。リアルな事実関係をそのまま述べる、というあたりに特徴があるようです。昔つきあってたソープ嬢の霊が出たとかそういうの。自殺した知己の霊が訪ねてきた、という話も多いのではと感じる。心霊物で笑いを取ろうとするのも、池田派の作法と言えるでしょう(わかりませんけど)。 新参者の登場を快く思わない余り、貴族氏の持っていった心霊写真を、無許可でご自身のCD−ROMに収録した先生などもいらっしゃるとか。しかもだますような形で。その先生はインターネットをされているし、ヘタなこと書いてなんかの拍子にここもいつか見つかって、「文句あるのかこの小娘!」みたいに念飛ばされたらこわい。よってすべて伏せ字にさせていただきました。見つかりませんように・・・。
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◆ ありがとうございました(^_^)(99.2.17) ・・・すいません。ライブから早2ヶ月がたち、もたもたしてるうちに次のライブが来ちゃいそうなので、『貴族』報告は締めたいと思います。 思い出してもほんとに楽しい夜でした。満足感でいっぱいで、ラフォーレから原宿駅まで急いだ帰り道の、ひんやりした空気が心地よかったことまでよみがえってきます。その半年前見舞いに行ったみうらさんに「貴族なにがしたい?」とたずねられ、「・・・歌っスねぇ」と答えたことで生まれたというあのステージ。同じ時間と空間に居合わせられたのがうれしかったです。歌じゃなく「心霊」でも「サッカー」でもまた楽しかったでしょうけどね(笑)。(←このときの大槻さんのツッコミ笑えた)
貴族さん、みうらさん、出演者の皆さん(スタッフの皆さんも)。今さらですが素敵な時間をありがとうございました。4月の『貴族2』も楽しみにしています。出演者の顔ぶれ見て「わーい!」って感じです。がんばってくださいねー(^o^)。 |