貴族が完全燃唱

名古屋で「大生前葬」ライブ

 がんと闘い、歌い続ける名古屋出身のミュージシャン・池田貴族(36)が三十日、名古屋市熱田区のセンチュリーホールで「貴族 大生前葬」と題したチャリティーライブを開いた。池田の母校・愛知県立千種高校の先輩・舘ひろし(49)や在校生、親友のミュージシャン、みうらじゅん(41)、大槻ケンヂ(33)も応援にかけつけ、三千人のファンの声援で、会場は大きな盛り上がりを見せた。

「またやる」

 ライブの終盤、親友みうらじゅん作曲の「天国なんか」を、みうらと歌う池田貴族。背後の幕が上がり、千種高校の後輩百六十人が歌いながら現れた。

 大合唱に、客席は一瞬息をのんだ。そして、満場の拍手がわき起こった。感極まった池田は目頭を押さえた。

 みうらじゅんや大槻ケンヂのパワーあふれるパフォーマンスで盛り上がったステージ。千種高校の先輩・舘ひろしの大ヒット曲「泣かないで」などに、集まった観衆は大喜びだった。

 池田本人も、四月二十一日に発売したアルバム「MiYOU」の曲を中心に、十五曲を披露。高校以来というドラムもたたいた。

 池田は「生きていて、歌えればそれでいい。これからは、がんと一緒に生きていこうと思う」とステージで決意表明。がん遺児を支援する「あしなが育英会」への募金を訴えた。このライブの収益は、同会に寄付された。

 池田が去ったあとも、拍手は鳴りやまず、“予定外”のアンコール。昨年二月に誕生した長女・美夕ちゃん(1つ)のために作ったアルバムのタイトル曲「MiYOU」を熱唱。会場最前列で見守る妻・一美さんと、ひざの上にいた美夕ちゃんに語りかけるように…。そして、美夕ちゃんを抱き上げ、客席に一緒に手を振った。

 がんで四度も手術したとは思えない元気さで、無事ライブを終えた池田。六月中旬に定期検診を受け、再び活動を続ける。「またやるからね」と観客に約束して、会場をあとにした。

【写真】熱唱する池田貴族(手前右端)


1999年5月31日(月)
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