リスクを避けるためのプロバイダー選択方法
あなたは今契約しているプロバイダーをどうやって見つけたのでしょうか?パソコン本体もしくはソフトについていたオンラインサインアップソフト、パソコン誌やインターネット雑誌広告、パソコンショップに置いてあるパンフレット、Webの情報・口コミの場合などいろいろあります。
では、そのように契約したプロバイダで失敗したという人はいるのでしょうか?
まず間違いなくいるはずです。
そうでなければ本音で語って下さいとか書いてあるプロバイダへの不満を書く掲示板でまるで親の敵に会ったがごとく不満や怒りにあかせた書き込みが毎日絶えることなく書き込まれていることなんてありません。
ただ、入ったプロバイダについて不満や文句を言う前にプロバイダ選びの中で安易に決めすぎたところはないでしょうか?
ここでは、安くて速いプロバイダーを探すのではなく、支払ったお金と同等のサービスが得られるプロバイダーを探す上で、価格の割に質の良くないところを出来る限り避けるための1例です。
なお、これに従ってプロバイダーの選択を行っても、やっぱり大はずれなところと契約した、結果的に予想したよりお金がかかった、その他トラブルが発生する可能性は十二分にありますので、あくまでも個人の責任において色々調べた上で、最終的な判断をしてプロバイダーと契約して下さい。
情報収集その1(下準備)
何はなくともまずは情報収集ですが、まずはこのあたりを参考にして自分の使用目的・使用状況・予算を整理しましょう。ただし、固定制を利用する場合には、1998年8月現在で一般的に固定料金制のところで月\3,000以上のプロバイダーはそれなりに快適なところが多いと言う話を聞くので、これを踏まえた方が無難かもしれません。
プロバイダを探す上で、まずはインターネットマガジン(インプレス発行)を購入しましょう。
インターネットマガジンで使用する部分は、
日本のアクセスポイントマップ
主な商用ネットワークサービスプロバイダー料金一覧表
商用ネットワークプロバイダー接続マップ
の3つです。
これを見るのと平行してインターネット上のインターネットマガジンの検索ページ、OPENDOORのプロバイダーパワーサーチやプロバイダエクスプローラー等のプロバイダ検索サイトやプロバイダ情報ページのページ等を参考にして自分の地域プロバイダ情報ページへ接続しましょう。
まず、インターネットマガジンの日本のアクセスポイントマップを見て、そしてプロバイダー検索サイトや地域プロバイダー情報ページで自分の区域の市外局番を検索してみましょう。これで自分の地域に関して大方全てのプロバイダーを網羅することができるので、自分の住む区域にどのくらいの数のそしてどのようなプロバイダーが存在するのかをチェックしましょう。
次にインターネットマガジンの検索ページ、OPENDOORのプロバイダーパワーサーチやプロバイダエクスプローラー等のプロバイダー検索サイトで、自分の希望する条件のいくつかを指定して検索してみましょう。そこで得られたところをとりあえず第一候補として詳しく調べる対象としましょう。
候補の所に対してインターネットマガジンの主な商用ネットワークサービスプロバイダー料金一覧表で内容を確認しましょう。検索サイトとデータが異なる場合にはプロバイダーのWebページで再度確認してください。
次にそこが広告を掲載しているのかチェックして下さい。
もし掲載しているようなら、
どのくらいの規模(全国展開しているのか・既存や設置予定のアクセスポイント数)や
料金(固定制の場合\3,000未満なのかどうか)をみてください。
これは全国展開しているところだとバックボーンがどの位なのかチェックしなければならないのと、また価格が安いところだとお金をかけないヘビーユーザーが集まりやすくなることからです。
あちこちの雑誌へ大々的に広告を掲載しているプロバイダーの場合は、初心者が集まりやすくなり予想以上に混雑することがあり得ます。
地域にもよりますが、042のような中〜大都市クラスの場合、APからプロバイダーのNOCまでが512kbps程度、プロバイダーのバックボーンが、規模が関東全域等ならIIJ・東京インターネット等の大手ISPまたはNSPIXP2/3・JPXP等に45MB、全国規模の大手ならNSPIXP2/3・JPXP等と100MB(LAN接続)(できれば複数の接続)で接続しており、かつWebページ上でアクセス状況等のチェックができるところを選択した方が無難ではないでしょうか。
もしその候補となるプロバイダーについて知人・友人で入っている人がいるならば、実際の使用感やその他プロバイダーからの情報公開(工事予定やトラブル発生のお知らせ等)が電子メール等で会員に通知されているかどうかなどを聞いてみた方がいいと思います。
情報収集その2(Webページチェック)
各プロバイダーのWebページをチェックする際に見なければならないこととしては以下の事項があります。
・ サービス内容/料金表
これは必ず見なければいけないところです。それとも各サービスについて、自分の希望するサービスに対応しているのか、またそのサービスについて、簡単に概要だけを書いているのか、詳しい内容や規定まできちんと書いているのかをまずチェックして下さい。
プロバイダーによっては定期・不定期に行われるキャンペーン等で割引になっている場合があります。
料金制度を従量制、キャップ制を採っているところの場合、自分の1ヶ月あたりの推定使用時間に対する料金を計算する必要があるでしょう。
・ アクセスポイントの混雑状況
これを表示しているプロバイダについては、特にテレホーダイタイムの混む時間帯(23:00〜2:00位)に使用する場合には自分の使用するアクセスポイントがどれくらい混んでいるかを確認しましょう。
また会員のみもしくは明らかにしていない所の場合には、プロバイダーに混雑状況を直接問い合わせてみましょう、問い合わせても教えない(答えられない)ところは候補にするのは避けるべきでしょう。
・契約約款・規定
契約約款は利用者であるユーザーとプロバイダーとの契約上の規則を書いた書類です。ここでどの項目に注意しなければならないのかについては後述いたしますのでここでは省略します。
契約約款をWeb上に載せていないプロバイダーについては、とりあえず初めの候補から外すべきでしょう(おそらく資料請求した際に送付するとは思われますが)。
たいていの所についてはWeb上に契約約款を載せなおかつ資料請求時に契約書と合わせて送付してきます。約款はあくまで利用者であるユーザーと提供者であるプロバイダーとの契約内容を示したものなので、Web上にて公開する必要のない資料とは思えません。契約約款を公開しないプロバイダーの場合でも、おそらく資料請求時には送ってくるものとは思われますが、やはり資料を請求する前に最低でも一度は目を通して確認しなければならないものです。
・ サービス・障害情報
回線増強、機器交換、その他回線トラブルの発生状況や新規サービスの案内・サービスの廃止等プロバイダー側からどのくらいアナウンスされているかを確認しましょう。回線増強や機器の保守点検案内そしてトラブル等の発生(トラブルについてはどのプロバイダーにおいてもやはりどうしても完全には防ぎきれないので)について全く発表しない又はプロバイダーの規模の割に少ないところは、避けた方が無難でしょう。もちろん逆にトラブルが頻発に発生するようだったならば当然ですが避けましょう。
・各ページの更新状況
これはよく見られるのですが、サービス・障害情報やその他更新する必要のある部分について、ある時期から更新していないと思われるプロバイダーがあります。一応プロバイダーにとって自分の所のWebページはいわば顔とも言えますし、新しくプロバイダーと契約しようとする人で既にネットワークを使う人はまず見るのですから、このあたりの更新を怠っているような所は人手が足りないもしくは他に問題を抱えていて更新に手が回らないとつい憶測してしまいます。
・ FAQ集
いくつかのプロバイダーにおいては、問い合わせが多い質問及び必要と思われる事項についてあらかじめFAQとして記載しているので、もしあったならばチェックするべきでしょう。プロバイダーによっては痒いところに手が届くところまでFAQで詳しくフォローしています。
契約約款、最低限ここだけはチェックする
まず、先述しましたがプロバイダを探す上でまず契約約款をWeb上で公開しているところ,最低でも資料請求した場合に申込書と一緒に契約約款が入っているところにしましょう。契約約款が存在しないもしくは契約完了までに見せないところは後々トラブルの元となり得ますので絶対に避けましょう。 では契約約款の中で最低どこを見ればいいのでしょう。
・最低契約(利用)期間(クリーンオフ制度の有無/期間も含む)
設定してあるところについてはたいてい、1、3、6ヶ月、1年と設定されておりこの契約期間内についてはクリーンオフを除いて解約は認めないもしくは退会時にその残り契約期間分の料金を支払うこととなっています。これが記載されていないところについては,利用契約解除方法に従って手続きを行った場合における必要期間と考えてかまいません。
・利用契約解除方法・必要期間
ここはプロバイダの退会方法について記載されているので必ず契約前にチェックするようにして下さい。たいていの所は「退会希望日の○日前までに(弊社の指定する)書面にて提出しなければならない。」となっていますが、実際にはやめる際に電子メール・FAX等で退会する旨をプロバイダーに伝えて退会に必要な書類を請求しなければならないところが大半なので(一部オンラインで出来るところもありますがこれはまれです)記載されて期間から予測される日よりも,実際にやめるまで退会用書類請求・送付受理期間(プロバイダーによって異なるが大体約2〜4週程度)位遅れると考えた方がいいかもしれません。
なお、ODN等の一部大手通信系のプロバイダーでは専用線その他法人向けのサービスについての契約約款とまとめて記載されています。この場合、1ページにまとめられている契約約款にはそれぞれのユーザーごとに異なる内容が記載されており、対象となる利用者の表記が少々区別しにくくなっている場合がありますので間違えないように注意して下さい。
料金について(月契約のススメ)
ここについては、固定料金制もしくはキャップ制(料金の上限が定められている)を取っているプロバイダーについて記載しています。
通常従量料金制又は一定時間固定料金+従量料金制をとるところは大半のところが月契約となっています。ただ、最低契約期間が1年とか設定しているところがあるので契約約款をよく注意して見て下さい。このようなところについても途中解約時には1年又は半年分の料金を退会時に請求しますので実質的には年間契約と変わりません。
プロバイダは一般的に水物です。昨日までは快適だったとしても今日から急に反応が遅くなった又はBUSYでつながらなくなこと。もしくはその逆で遅い、つながらないだったのが回線増強等で快適に変わり以後それがずっと続く,あるいはこの快適・不快の繰り返しを続けるなど様々な場合があります。
プロバイダーはこのような状況に対して、あらかじめこれを先読みして回線増強・バックボーンの増強などの手を打つべきなのですが、Busyが発生して苦情が出てから手を打つようなプロバイダ又は、手は打ったが固定制料金が安い等の理由でプロバイダー側の予想をはるかに超えてユーザー(特にヘビーユーザー)が増加した場合、数ヶ月さらに酷い場合だと1年近くまともに使えない状態にさえなり得ます。
これだと年間契約した場合、いくら契約前に机上で計算した月当たりの金額は安いとはいっても、結局まともに使えなかった期間の料金は無駄になり結果的に高くなります。
使用に耐えられる状態じゃないからさっさと途中解約すればいいとお思いでしょうが、大半の所は途中での契約解除に応じても、支払い済みの接続料金については返金しないので(このあたりについては契約約款に記載されていると思われますが)、いくら月払いより安くなるとは言いましても年間契約は避ける方が無難といえます。
また同様に初期費用が高いプロバイダにおいて、2〜3ヶ月で解約した場合においても、結果的に費用は高くつくのできちんと情報収集した上で判断するようにしてください。
ただし、月契約で契約した場合において不満がある場合においても、3ヶ月程度は様子を見ることをおすすめします。理由としては契約したプロバイダーについて増設・増強工事等の対処状況を見る必要があります。きちんとした対処がとれず状況が全く改善しそうもないと判断したら、早々と契約を解除して新しいところに移りましょう。
月契約のデメリットとしては、給料が振り込まれる前に引き落とされるようになった場合、何らかの一時的な資金不足に陥ったときに引き落としが来ると料金滞納と判定される可能性があることや、クレジットカードではなく銀行振込等の場合,料金の振込忘れなどにより接続を止められたり、振込の際に接続料金の他に振込手数料も支払わなければならないので,実際の接続料金より少し多く金額がかかることを考慮しなければなりません。これでも年間契約した場合において気に入らなかった等で契約解除した場合に比べればリスクは少ないとも言えます。