ひょっこりひょうたん島


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[歌の紹介]
ひょっこりひょうたん島
作詞:井上ひさし、山元護久
作・編曲:宇野誠一郎
うた:前川陽子

前川陽子サマの記念すべきデビュー作。

ジャッジャン、ジャジャッジャジャッジャン、ジャジャジャジャン
と元気よく入るイントロは、

「最初のジャンという音が聞こえたら、外で遊んでいる子どもも、テレビの前に飛んでくるような音楽を」
という思いで作曲されたのだとか。

いまでも古びない名曲だが、当時はNHKのOKをもらうのが大変だった。
子どもの歌といえばマーチの時代。マーチでないとOKがとれないと思った宇野誠一郎は、4種類の曲を作ってNHKの上層部に聞かせ、本命の曲を通させた。
4種類の曲とは、マーチ風、センチメンタルな曲、コミカルな曲、そして放送で使われた曲、の4つ。
OKが出たあとも、上品でないとか、しゃくるような歌い方はやめてくれとか、しばらくは苦情が絶えなかったという。

しかし、そのお上品な枠に収まらないのが、前川陽子サマの魅力なのよ。

当時、前川陽子が所属していた東映児童演劇研究所の講師のひとりが宇野誠一郎の友人で、主題歌のオーディションに前川陽子をつれてきた。
歌のうまさでは、ほかにもっとうまい人がいたと思うのに、「なぜか合格」(堀江美都子との対談より)。
前川陽子の歌唱は、元気でバイタリティにあふれているが、途中テンポがゆっくりになる箇所ではしっかりと情感がこもっており、中学1年生とは思えぬ、堂々たる歌いぶり。
すでにして、大物です。

(この項つづく) '98/6/1


[番組解説]

ひょっこりひょうたん島
1964/4/6〜1969/4/4
NHK 毎週月曜〜金曜 17:45-18:00
1回15分 全1224回

作:井上ひさし、山元護久
音楽:宇野誠一郎
演奏:アンサンブル・ゴールド
人形:ひとみ座
オープニング・アニメーション:久里洋二
演出:雪正一、武井博、椿信夫ほか
出演:中山千夏、熊倉一雄、藤村有弘、小林恭治

5年間にわたってNHKで放送された人形劇。
突然の火山の爆発が原因で漂流を始めたひょうたん島。そのひょうたん島に取り残された個性豊かなキャラクターたちが、漂流先で出会うさまざまな国や人物、そして、ひょうたん島で巻き起こる騒動を、ミュージカルじたてで描いた傑作テレビシリーズである。

人形劇とはいえ、作が井上ひさし、山元護久とあっては、単なる子ども向け番組に終わるはずがない。
ドン・ガバチョやトラヒゲなどのキャラクターはどれも強烈で、それまでの行儀のよい子ども向け番組とは一線を画していた。
オペレッタよろしくキャラクターが突然歌い始めるのも斬新。宇野誠一郎の変幻自在の音楽が、意表をついた歌詞を楽しいミュージカルナンバーに変えた。
そして、井上、山元の2人が「真剣勝負のつもり」で書いた台本は、時事ネタあり風刺あり、現実の事件や人物のネタを次々と取り入れ、そして笑いとばす、娯楽性と反骨精神に満ちたもの。そのアナーキーな面白さが大人にまでファンを生む。
放送当初は、セリフが乱暴すぎるなどと不評が寄せられたが、回が進むにつれ人気が沸騰。最終的に全1224回に及ぶロングランとなった。

人形製作と操作にあたった「ひとみ座」は人形劇専門の劇団で、のちにテレビアニメ「巨人の星」や「コンバトラーV」を監督する長浜忠夫は、このひとみ座の演出家だった。「ひょうたん島」のスタッフロールにも名前が登場する。

人気作だったが、ビデオは消去されてほとんど残っておらず、再放送は困難だった。
が、1993年NHKは、当時のスタッフをできる限り集め、散逸していた台本をファンのノートを頼りに復元。番組を復刻して、「ひょっこりひょうたん島・海賊の巻」として放送した。
キャストも物故した藤村有弘(ドン・ガバチョ役。平成版では名古屋章)以外はオリジナルキャストをそろえた豪華なリメイクで、当時のファンにも違和感なく見られるすばらしい仕事だった。 '98/6/1


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