[た]

田中 正史(たなか・まさふみ)

作曲家。
1928年7月1日生。大阪府立化学工専(現大阪府立大学)卒。
井口基成、深井史郎に師事。

テレビドラマ音楽の最古参のひとり。
作品に、NHK朝のテレビ小説「うず潮」「火の国に」、同じくNHK「みだれがみ」「横堀川」、日本テレビ「黒部の太陽」など。
アニメでは「サスケ」「黄金バット」「妖怪人間ベム」で、60年後半にもっともカッコいいアニメソングを書いていた作曲家。
「サスケ」「黄金バット」の、短いフレーズでたたみかける疾走感にあふれた音作りは、子ども心にわくわくした。「妖怪人間ベム」では、ビッグバンド風の斬新なアレンジで度肝をぬき、人間オケ(口で楽器のマネをする)で伴奏まで演奏するという芸がはやったほど。

映像音楽以外の作品に、創作オペラ「羽」、バレエ音楽「オルフェス」などがある。
'98/4/10


田中正史のアニメソングは、どれもスタンダードとなっている名曲ですが、「この1曲」を選ぶとしたら、やはりスイング感あふれる「妖怪人間ベム」でしょう。とても妖怪ものの音楽とは思えません。カッコよすぎ。
余談ですが、「妖怪人間ベム」主題歌の没になった歌詞は「はやくだれかにのりうつれ!」という、かなりダークな内容でした。 (猫)'98/4/10

玉木 宏樹(たまき・ひろき)

作曲家。バイオリニスト。
1943年3月13日生。神戸市出身。東京芸術大学音楽部器楽科卒(バイオリン専攻)。
10歳よりバイオリンを習い始め、大学在学中より東京交響楽団のメンバーとして活動する。しかし、集団生活と平均律重視のクラシックが肌に合わずドロップアウト。
作曲・指揮を山本直純に師事し、テレビ、映画、CMの音楽を書き始める。
卒業後、弦楽四重奏団「アルキカルテット」を主催。'83年には玉木弦楽四重奏団を結成して活動している。

オリジナル作品に、バイオリン協奏曲「アミナダブ」、シンセサイザー交響曲「雲井時鳥国(くもいのほととぎすこく)」、ピアノのための練習用組曲「山手線」など。
テレビ音楽では、時代劇「大江戸捜査網」、NHK朝のテレビ小説「おていちゃん」、アニメ「アニマル1」、そして円谷プロのミステリーもの「怪奇大作戦」が代表作。
映画音楽では、藤田敏八、沢田幸弘監督の一連の日活ニューアクション作品を多く手がけている。
CM作品は1500曲を超える。

プロフィール、作品歴、最近の活動等は、ご本人が運営するホームページ(http://www.music.co.jp/~archi/)に詳しい。
自らバイオリンで奇妙な演奏をしたり、内外の変わった曲の研究をして実作でも遊び心に満ちた曲を書いたりする、実験精神あふれる作曲家で、その成果の一端はCD「玉木宏樹の大冗談音楽会(コロムビア)」で聞くことができる。
また、クラシックの主流である平均律に疑問を抱き、美しいハーモニーを奏でる純正律音楽の啓蒙と実演を積極的に続ける音楽家でもある。そちらの方の成果は、「ミネラル・ミュージック」なる名称でCDにまとめられ発売中。
最近('98.4)新聞にも載った話題では、純正律で音楽を奏でるからくり時計をメーカーと共同で開発したとか。

著書に「猛毒!クラシック入門」「音の後進国日本」。
'98/4/12


師匠の山本直純と組んだ「怪奇大作戦」は、ハーモニカやサックスの奏でるテーマ曲にしびれまくりの1作。音楽からして「子どもは見ちゃだめよ」と語りかけてくるようです。
夜7:30の番組にこの音作りとは、あの頃の円谷プロはほんとに先端的でした (猫)'98/4/12

[ち]

[つ]

津島 利章(つしま・としあき)

作曲家。
1936年5月22日生。岡山県岡山市出身。日本大学芸術学部音楽作曲科卒。
在学中の1958年に日本音楽コンクール作曲部門に弦楽四重奏曲で入賞。
卒業後、バリコンセルバトワール(パリ音楽院)に留学。1960年エリザベート国際作曲コンクールに管弦楽曲で入賞。

フジテレビ「三匹の侍」の音楽をきっかけに、東映時代劇映画の音楽を担当するようになる。
以後、娯楽映画の音楽を中心に活躍。
映画では「仁義なき戦い」シリーズが有名。ほかに「地震列島」「海竜大決戦」「ガンマー3号宇宙大作戦」「惑星大戦争」など、通な特撮ファン好みの作品でマニアックな人気がある。
テレビでは、「猿の軍団」「恐竜大戦争アンゼンボーグ」「アステカイザー」と、第2期ウルトラシリーズ終了後の円谷プロ作品を担当して強い印象を残した。
ほかに火曜サスペンス劇場など単発ドラマの常連でもある。
時代劇には18年間続いた「銭形平次」、「旗本退屈男」「新吾捕物帳」などがあるが、いまもっとも人気があるのは中村吉衛門の「鬼平犯科帳」。'97年になって、ようやく待望のサントラが発売された。
舞台音楽でも300本以上の作品あり。

作風は男性的という形容がぴったりくるダイナミックかつワイルドなもので、いまだにパロディに使われる「仁義なき戦い」の有名なブラスの衝撃曲、「鬼平」テーマ曲の重厚な響きを思い起こしてもらえば、氏の持ち味がよくわかる。 '98/4/16


通称、音のハードボイルド(わしがいまつけた)。
「猿の軍団」や「アイゼンボーグ」の音楽の硬派な響きは、それまでの円谷プロの音楽とは一線を画してました。はっきりいって、子どもにはちょっと歯ごたえあり。
しかし、長じてこれらの曲を聞くと、いわゆるアニソン路線でもなく、ポップスでもない、甘さを廃した(しかし情感のある)ストイックな音楽がとても味わい深く聞こえる。
もっと特撮やアニメを書いてほしかったス。 (猫)'98/4/16

筒井 広志(つつい・ひろし)

作曲家。作家。

1935年8月26日生。東京出身。慶応義塾大学法学部政治学科卒。
在学中に演劇研究会の音楽を担当。同じく在学中にTBSラジオ小説「私の好きな小説」の音楽を担当したのがこの世界に入るきっかけ。
卒業後、広瀬健次郎に師事。日劇、東宝歌舞伎、コマ劇場等の音楽を担当。この頃知り合った小林亜星と意気投合し、のちに小林亜星が主催する音楽事務所アストロミュージックに参画。多くのCM音楽、テレビ番組の劇伴を書いた。

テレビアニメは、広瀬健次郎が主題歌を書いた「オバケのQ太郎(第1作)」の劇伴を担当したのが最初。続く「パーマン」でも劇伴を担当(主題歌は越部信義)。
以後、「魔法使いチャッピー」「コンバトラーV」「ボルテスV」「プティアンジェ」「花の子ルンルン」などのアニメ、「快傑ライオン丸」「風雲ライオン丸」等の特撮ものの音楽を数多く担当している。
ちょっとファンキーで暖かみのある音楽が持ち味だが、「ライオン丸」のマカロニウェスタン・タッチのタイガージョーのテーマや、「コンV」の緊迫感に満ちた出撃テーマなども印象に残る。

1980年より小説にも手を染め、「アルファケンタウリからの客」「不思議の国から来た少女」「アンダンテでいこう」「夢を見る前にシャワーを浴びて」などの作品がある。なぜか奇妙なSFや少女小説が多い。
'98/4/14


「コンV」「怪傑ライオン丸」主題歌アレンジのカッコよさは鳥肌ものじゃあ〜。
特にエレキギターがびびびーんとうなる前奏、間奏部のカッコよさは、「スタジオミュージシャンの実力思い知れ」みたいな感じです。小学校、中学校の頃にこんな音楽を聴いてりゃ、アニソンから足を洗えないのも無理ないよな。 (猫)'98/4/14

[て]

[と]

冨田 勲(とみた・いさお)

作曲家。
1932年4月22日生。東京出身。慶応義塾大学文学部美術史科卒。
幼年時代を北京で過ごす。
帰国後、戦争を経験。終戦後入ってきた西洋音楽に触れ、ストラヴィンスキー、ラベル、バルトークなどの20世紀音楽に影響を受けた。
慶大在学中に弘田龍太郎、平尾貴四男らに作曲を師事。学生時代からNHK専属で作曲を始める。
この頃、朝日新聞主催の全日本合唱コンクールのために書いた「風車」が一位入賞。作曲家になる決心を固めた。
以後、テレビ、映画、CMなどの音楽を次々を作曲するようになる。

NHKでは、ドキュメンタリー「新日本紀行」、大河ドラマ「花の生涯」「勝海舟」「天と地と」「新平家物語」「徳川家康」、時代劇「文吾捕物絵図」などがある。最近では、NHKスペシャル枠のシリーズ「大モンゴル」「街道をゆく」などで質の高い音楽を提供している。
NHK以外のテレビドラマでは、「だいこんの花」「唖侍・鬼一法眼」「恐怖劇場アンバランス」や、東芝日曜劇場枠の単発ドラマ「りんりんと(倉本聡脚本)」など。
子ども番組でも、NHK「宇宙人ピピ」「空中都市008」から担当する最古参のひとり。特撮ファンにとっては、やはり「キャプテンウルトラ」「マイティジャック」の未来感覚あふれる音楽が忘れられない。
映画では、勝新太郎の「悪名」シリーズや「座頭市」シリーズの音楽を書いている。一般には「飢餓海峡」「学校」が代表作となっているが、SF・特撮ファンにとっては、「ノストラダムスの大予言」「夜叉ヶ池」が記憶に残るところ。そのサウンドの印象もあって、SFと近い作曲家という印象が強い。

アニメーションでは、劇場用の「アラビアンナイト・シンドバットの冒険('65)」「ガリバーの宇宙旅行」を経て、虫プロダクションの作品を数多く担当。
特に「ジャングル大帝」「リボンの騎士」は、その華麗なオーケストレーションが話題を呼んだ。
ほかのアニメ作品には、「ビッグX」「戦えオスパー」「どろろ」、劇場用長編「千夜一夜物語」「クレオパトラ」などがある。
CM作品では、森永エンゼルパイの音楽が有名。

1979年、ドビュッシーの名曲をシンセサイザーで演奏したアルバム「月の光」が世界的にヒット。以後、「惑星」「展覧会の絵」など話題作を発表し、世界のTOMITAとして国際的な地位を築く。
また、シンセサイザーとレーザー光線、花火などを使った「サウンド・クラウド」と銘打ったイベントを世界各地で開いている。

新しい楽器や音色にこだわる実験精神と、すぐれたメロディメーカーの才能が同居する、現代日本を代表する音楽家。
その音楽の第一の特色は、一聴して「トミタサウンド」と気が付く、独特の音色である。冨田勲は、バランスを無視してまでエコー処理をほどこしたりすることで有名で、空間の圧倒的な広がりと、キラめくような華やかさを感じさせるトミタサウンドは、音の加工によって生み出されたもの。のちにシンセサイザーを手がけるのも自然なことといえる。
サウンドだけでなく、大陸的な雄大さと繊細さが一体となったメロディラインもまた、冨田音楽の魅力である。 '98/4/20


トミタといえばシンセサイザー、という時代がありましたが、最近、また映像音楽の方にも力を入れてくれて、虫プロアニメからのファンはひと安心。
「ジャングル大帝」で手塚アニメにも復帰したし、あとは、特撮大作への登板をみんなが期待しています。 (猫)'98/4/20

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