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坂田 晃一(さかた・こういち)

作曲家。
1942年2月10日生。東京出身。東京芸術大学器楽科中退。
建築家を志して早稲田大学高等学院に入学するが、2年生のときにチェロを弾き始め、音楽家に進路変更。東京芸術大学に入学する。
しかし作曲に対する思いが強く中退。劇伴音楽家を目指して山本直純に師事し、'67年独立。映画、ラジオドラマ、CMなどの仕事を手がけるようになった。

70年代の日本テレビ系「グランド劇場」に多くの名曲を提供。メロドラマでも下世話に流れず、りんとした透明感のある音楽で、作品イメージを高めた。'73年には、グランド劇場の作品を集めたLP「冬と夏の物語・坂田晃一の世界」というアルバムが発売されている。
日本テレビ系の代表作としては、「2丁目3番地」「3丁目4番地」「冬物語」「北都物語」など。
NHKの仕事も多く、朝のテレビ小説「雲のじゅうたん」「おしん」、銀河テレビ小説「ガラスの女」、大河時代劇で「おんな太閤記」「いのち」「春日局」を担当。

その作風は、中学生のとき出会ったというクラシックを基調として流麗かつ涼やか。どこかさびしげなメロディラインが魅力で、美しい音楽を書かせたら右に出る者はない、とまで言われる。

ビリーバンバン「さよならをするために」(「3丁目4番地」主題歌)はオリコン1位。「池中玄太80キロ」で主演・西田敏行が歌った「もしもピアノが弾けたなら」も大ヒットし、紅白歌合戦にも登場した。
'98/3/11


アニソンファンにとって、坂田晃一といえば「母をたずねて三千里」。この一作で日本アニメ音楽史に残る名曲の数々を書き上げました。哀愁にみちた主題歌、劇中人物が歌う数々の歌、木管とストリングスを多用した劇伴。とりわけジェノバ編よりもアンデス編の音楽が坂田晃一の作風にぴったりで、独立して1枚CDを発売してほしい。完全版音楽集の発売を待っているファンは1万人はいるはずです(断言)。
名作劇場では、「ふしぎな島のフローネ」(主題歌は井上かつお)「南の虹のルーシー」も担当。アニメ版「おしん」でも実写版に続き音楽を書いています。 (猫)'98/3/11

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すぎやま こういち(すぎやま・こういち)

作曲家。
1931年4月11日生。東京出身。東京大学教育学部教育心理学科卒。
学生時代より作曲を始める。
大学卒業後文化放送に入社。報道部、芸能部を経て、'58年、開局前のフジテレビに入社(翌年開局)。ディレクターとして、「ザ・ヒットパレード」「大人の漫画」などの人気番組を手がけた。
ディレクター稼業のかたわら、CM音楽などの作曲を手がけるようになり、のちにフリーの作曲家として独立。ポピュラー音楽のヒット作を次々と発表した。

'60年代に青春を送った人には、ザ・ピーナッツ「恋のフーガ」、ザ・タイガース「モナリザの微笑」「花の首飾り」「君だけに愛を」などが思い出に残っているはず。GSブームの立役者のひとりでもある。
ほかに、ガロ「学生街の喫茶店」、CMソング「ハウスバーモント・カレー(西条秀樹の)」「ロッテ・小梅ちゃん」などが代表作。

映像音楽では、「スカイヤーズ5」「帰ってきたウルトラマン」主題歌、「マシンハヤブサ」などでGSサウンドのムードを残すカッコいい音作りが人気だったが、本格的に注目され始めたのは「科学忍者隊ガッチャマン(劇場版)」の音楽から。
NHK交響楽団が演奏した「ガッチャマン」の音楽は好評で、以後、「ガッチャマンU」「サイボーグ009(カラー版)」「伝説巨神イデオン」など話題作を次々と担当。劇場版「イデオン」の音楽でひとつの頂点を極めた感がある。
映画「ゴジラ対ビオランテ」の音楽も担当している。

徹底した洋楽志向と洗練されたサウンドが世代を問わずに支持される作曲家。GSサウンドから交響曲までこなす器用な人だが、どの曲をとっても質が落ちるということがないのがスゴイ。
その特色は、流れるようなメロディと、色彩感豊かなオーケストレーション。流麗、ということばがこれほどぴったりくるコンポーザーはいない。
日本の映像音楽にありがちな貧乏臭さのない、リッチな音楽の書ける人である。

最近では、むしろゲームミュージックの仕事の方が有名であろう。「ドラゴンクエスト」シリーズは、ゲーム音楽のイメージを一新したヒット作で、交響組曲としてレコード化され、コンサートまで開かれている(アニメ音楽の展開と似ている)。
本人も大変なゲームファンで、日本バックギャモン協会の名誉会長を務めているほど。ゲーム音楽の仕事は「天職」だとか。 '98/4/8


「ガッチャマン(劇場版)」は、音楽が変わっていると聞いて「どうなることか」と見に行ったのですが、洋画のようなゴージャスな雰囲気に生まれ変わっていてびっくり。
「ガッチャマンU」は劇場版が好評での起用。主題歌作曲は苦労して、締め切りまでに上がらなかったそうです。エンディングの方がすぎやまこういち的。

サンリオアニメ「シリウスの伝説」の音楽もすばらしかった。サーカスの歌も名曲です。CD化熱望。
NHKアニメ「小鹿物語」の音楽もこの人ですね。「コスモスに君と」に続く、戸田恵子とのコンビネーションです。 (猫)'98/4/8


鈴木 宏昌(すずき・ひろまさ)

ジャズピアニスト。作曲家。編曲家。
1940年5月26日生。東京出身。慶応義塾大学経済学部卒。
大学在学中より「ジョージ川口とビッグ4+1」に加入し、プロとして活動を開始。ブルーコーツ・オーケストラ、石川晶トリオを経て、'68年日野皓生クインテットに参加。
'76年、自らのバンド「コルゲン・バンド」を結成。'79年ザ・プレイヤーズと改名し、現在も活動を続けている。

「コルゲンさん」の愛称で親しまれるベテラン・ジャズプレイヤー。 ライブやコンサートに出演するほか、CM音楽の作曲やマリーンなどのアルバムのアレンジャーとしても活躍。テレビにもピアニストとしてときどき顔を出す、ジャズの世界ではよく知られた人である。
あくまで本業はジャズで、映像音楽の仕事は少ないが、テレビアニメで「海のトリトン」という忘れられない作品を残している。

「トリトン」の音楽は、年長のファンがアニメの劇伴というものにはじめて注目した作品。
主題歌「ゴーゴー トリトン(海のトリトン)」はもちろん名曲だが、劇中音楽も名曲ぞろい。いまでもフレーズを聞くと、「あ、トリトンの音楽」と気がつく印象的なものばかりである。
「トリトン」の音楽は、いわゆる劇伴というより、ジャズオーケストラのセッションプレイという趣で、1曲1曲が独立した音楽として楽しめる。勇壮なマーチあり、アドリブあり、ロックありのバラエティ豊かな内容だが、全体にジャズの香り漂う大人っぽい雰囲気に仕上がっている。
放映当時、この音作りはアニメ番組の中で突出していた。のちの作品にも大きな影響を与えた音楽である。

オリジナルアルバムに「GALAXY」「ザ・プレイヤーズ」「WITH MY WHOLE HEART」など。 '98/4/9


ほかに少女向けアニメ「若草のシャルロット」という作品もあります。
「海のトリトン」は、いずれ当サイトの「クローズアップ」で取り上げるつもり。はじめてテレビ・アニメファンという人種が登場したのがこの作品からで、いまだに根強い人気を持っています。
コルゲンさんは、ファンサービスに、「トリトン」の音楽を自分のバンドで演奏した自主制作LPまで作っていました。

ジャズのオリジナルも聞かなくちゃ! (猫)'98/4/9


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