[か]

川口 真(かわぐち・まこと)

作曲家。編曲家。
1937年11月5日生。兵庫県神戸市出身。東京芸術大学作曲科中退。

芸大在学中からピアニスト、編曲家、CM音楽の作曲家として活動し。'69年、弘田三枝子「人形の家」でポップス作曲家としてデビュー。
以後、由紀さおり「手紙」など和製ポップスを次々と手がけ、ヒットメーカーとなる。河合奈保子らアイドル歌手にも多くの曲を書いている。
編曲家としての仕事も「白い蝶のサンバ」「いい日旅立ち」「時の流れのように」など多数。

'73年「ウルトラマンタロウ」の主題歌が子どもたちに人気で、続く「ウルトラマンレオ」でも主題歌・挿入歌を担当。ウルトラシリーズの主題歌に新風を吹き込んだ。
堀江美都子が歌った「なかよしケンちゃん」の主題歌もなかなかの名曲。
ドラマ主題歌では、「華麗なる刑事」「事件ファイル110」「刑事犬カールU」など。
CMソングに「明治カールのうた」。

軽快でメリハリのきいたメロディは覚えやすく、リズム感あふれる編曲とあいまって、つい口ずさんでしまう曲が多い。
編曲のみの仕事も多い名アレンジャーだが、映像作品では主題歌のみで、劇伴まで担当することはほとんどないのが残念。

「手紙」「夏のあらし」で日本レコード大賞作曲賞。「維新の女」で日本レコード大賞編曲賞。 '98/3/23 ('98/4/7)


川口真といえば、「ウルトラマンタロウ」「ろぼっこビートン」の伴奏で聞かれる「ブンチャ・ブンチャ・ブンチャ・ブンチャ」というサウンドが印象的です。
この人の曲をひとことで表現すると、とても素直な曲。子どもにも歌いやすいコードとメロディで、歌謡曲っぽいくさみがなく、明るいポップスというイメージがぴったりです。
私のお気に入りは、スペシャルアニメ「あしながおじさん」の歌。 (猫)'98/3/23

川村 栄二(かわむら・えいじ)

作曲家。編曲家。
1946年12月6日生。北海道小樽市出身。北海道大学中退。
大学在学中より音楽活動を始め、クラブ活動中心に、ギター・プレイヤーとして放送局、ホテルなどに出演した。
'73年より2年間、ヤマハ・ムネ音楽院で後進の指導にあたる。同時に、ポプコンのアレンジャー、プレイヤーとして活躍。
音楽ディレクター、アレンジャー、スタジオ・ミュージシャンとして、因幡晃、堀内孝雄、中村雅敏、夏木マリらのアルバムに参加した。

映画作品に「小説 吉田学校('83)」「真夜中のボクサー('83)」「ボクの女に手を出すな('86)」。
テレビドラマでは、「銭形平次('87)」「田原坂('87)」「五稜郭('88)」などの時代ものや、「火曜サスペンス劇場(多数)」などを手がける。
'87年「仮面ライダーBLACK」の音楽担当を皮切りに、東映ヒーローものの音楽を次々と担当。新しい特撮ヒーロー音楽の旗手として、注目される作曲家である。 '98/3/3


テレビアニメ作品に「忍者戦士 飛影」と、意外にも女の子もの「光の伝説(=伊藤つかさ)」がこの人。
特撮ヒーローものでは、菊池俊輔、渡辺宙明のあとを継ぐ、「燃えるヒーロー音楽」のクリエイターとして、ファンの期待を集めています。
「BLACK」以降の作品に、「仮面ライダーBLACK RX」「五星戦隊ダイレンジャー」「忍者戦隊カクレンジャー」「仮面ライダーZO(劇場版)」「仮面ライダーJ(劇場版)」「重甲ビーファイター」。

うなるブラス、シンセの♪ぎゅるるるん♪うわわん♪という緊迫感をあおる音、シンセドラムの♪ずだだだずだだだ♪をバックに激しいメロディが展開するアクション・テーマ。「仮面ライダーBLACK」の音楽がまだ聞きなれないこの人と知ったときはどうなることかと思いましたが、観続けるうちに、なるほど新しい特撮アクション音楽がここにある、とうなったものでした。

音作りの特色はやはりシンセで、この世のものならぬ異形のものや、怪しい雰囲気、異界の風景などを描写するときに底力を発揮。ギタリスト出身らしく、エレキギターの使い方もカッコいい。こちらは、ヒーロー描写に効果的に使われます。
川村劇伴は、「RX」や「ダイレンジャー」のような異世界ファンタジー色の強い作品で、生きるように思います。 (猫)'98/3/3 ('98/3/11)


[き]

菊池 俊輔(きくち・しゅんすけ)

作曲家。
1931年11月1日生。青森県弘前市出身。日本大学芸術学部音楽科(作曲専攻)卒。
魚屋の長男に生まれ、幼少の頃から映画ファンで映画館に通いつめる。「映画と音楽の両方がやりたくて」日大芸術学部へ。在学中から演劇サークルの劇中歌の作曲などを手がけていた。
卒業後、映画音楽家を目指し、木下忠司に師事。佐藤肇監督の「八人目の敵」の音楽に起用されてデビュー。以後、「怪談せむし男」「黄金バット」「海底大戦争」など、佐藤監督作品の音楽をすべて担当した。映画作品では、スリラーもの、任侠ものなどを多く手がけ、「女囚さそり」シリーズは梶芽衣子の歌う主題歌「恨み節」もヒット。
テレビ音楽は、NHK「野菊の墓」('63)から。60年代中頃からテレビの仕事が増え始め、「宇宙パトロール・ホッパ」('65)ではじめてテレビアニメを手がける。

60年代後半から70年代のテレビ音楽を聞いて育った者にとって、菊池俊輔は忘れることのできない作曲家である。
まずは「キイハンター」に始まる東映アクションドラマ。「アイフル大作戦」「バーディ大作戦」を経て「Gメン'75」で頂点に。少年向けでは、「刑事くん」シリーズや「熱血猿飛佐助」の劇伴。「なんたって18歳!」から「赤いシリーズ」「スチュワーデス物語」などへと続く大映テレビドラマの劇伴。時代劇では「暴れん坊将軍」「若大将天下ご免!」「長七郎江戸日記」と、その作品を上げていくだけでテレビドラマ史が語れるほど。
当時現役の特撮・アニメファン(つまり子ども)にとっては、「タイガーマスク」の斬新な主題歌がまずファーストインパクト。続く「仮面ライダー」で完全に"刷り込み"ができ、「バロム1」「変身忍者 嵐」「ゲッターロボ」「バビル2世」「アイアンキング」「ジャンボーグA」など、多感な時期に聞いた菊池節が身体にしみつき、そのままアニソン依存症になってしまった者も多い。

日本人好みのマイナー主体のメロディと、派手なブラスとストリングスが魅力で、特にアクション曲とスリラー曲は、一聴して菊池節とわかる特徴を備えている。また、短調を生かした、悲哀感あふれる悲劇曲もドラマを盛り上げる。
その一方で、「がんばれロボコン」「ポールのミラクル大作戦」「ドラえもん」「Dr.スランプ アラレちゃん」などのコミカル、メルヘン路線にも代表作があり、覚えやすいメロディで子どもに親しまれている。

作品の多さはただごとではなく、完全なフィルモグラフィを作ろうとしたら人生捨てる覚悟が必要。それゆえマンネリ、ワンパという声もあるが、氏がいなかったら日本のヒーローソングの歴史に大きな穴があいていたことは間違いなく、テーマ曲編曲や劇伴での変幻自在のアレンジメントは、やはり誰にもマネのできない技である。
「グレンダイザー」でJASRAC賞外国部門。'89年に同賞国際部門。 '98/2/17 ('98/2/26)


子ども心に、「タイガーマスク」と「ライダーアクション」は歌詞を交換しても歌えると思ってました。
特撮映画ファンには、「ギロン」以降の「ガメラ」シリーズと「吸血鬼ゴケミドロ」が特に印象的。「ゴケミドロ」の音楽は「仮面ライダー」の怪奇音楽の原点です。
この人のすごいのは、「暴れん坊将軍」「ドラえもん」など、いまでも第一線で活躍し続けているということ。'97年暮れ「仮面ライダー同窓会」でも元気な姿を見せていました。 (猫)'98/2/17

岸田 衿子(きしだ・えりこ)

詩人。児童文学者。
1929年12月5日生。東京出身。東京芸術大学美術学部油絵科卒。
父は劇作家・岸田国士。女優・岸田今日子は妹。俳優の故・岸田森はいとこになる。

画家を志して美大に進むが、胸部疾患で10年間の療養生活を余儀なくされる。
その間に詩や散文を書き始め、同人誌「櫂」に参加。'55年処女詩集「忘れた秋」を出版し詩人としてデビュー。
詩集「らいおん物語」「クレヨンの歌」「あかるい日の歌」「ソナチネの木」など多数。
絵本では、同級生・中谷千代子とのコンビで「かばくん」「かばくんの船」「かえってきたきつね」「ジオジオのかんむり」「ジオジオの誕生日」などがある。
絵本の翻訳も多い。
谷川俊太郎とは幼なじみ。

子どものための詩や童話を書いていたことから、'74年「アルプスの少女ハイジ」の作詞を頼まれたのが、アニメソングの作詞を手がけるきっかけとなった。以後、「フランダースの犬」「あらいぐまラスカル」「ペリーヌ物語」「赤毛のアン」と、「世界名作劇場」を続けて手がけ、アニメソング歌詞の質的向上に果たした影響ははかりしれない。

幼い頃からピアノを弾き、チェンバロ、ギターを趣味とするなど、音楽への関心も高かった。
そのためか、岸田衿子の詩は、リズミカルなことばづかいと独特の透明感が特徴である。
大人が子どものために書いた詩にありがちなわざとらしさがなく、子どもの目や耳が自然に感じた世界を、キラキラとあふれるイメージのまま水晶に閉じ込めたような美しさがある。

絵本「かばくん('62)」「かえってきたきつね('73)」でサンケイ児童文学出版文化賞大賞。
音楽物語「オンディーヌ」で文部大臣賞、放送イタリア賞。 '98/3/23


大学で児童文学研究会に(3ヶ月だけ)いた私がいうのもなんですが、子どもの詩はむつかしい。
「子どものための」というお題目が、かせとなってしまうためですが、岸田衿子の詩は、そんなハードルをやすやすと乗り越えて、作為も押し付けがましさもない、ことばの宇宙を作っています。
機会があれば、ぜひ彼女の詩集の1冊でも手にとってみてください。

アニメソング作詞では、「まんがこども文庫」の歌がとびぬけて質が高い。音響監督の田代敦巳の「セールスを意識せずに作りたい」という熱心な依頼に答えたものです。
私の独断的最高傑作は「赤毛のアン」。エンディングの「さめない夢」や挿入歌「わすれないで」など、「目に見えるものより目に見えないもの」をことばにするという岸田詩の特徴が色濃く現れています。(猫)'98/3/23 ('98/4/19)


木下 忠司(きのした・ちゅうじ)

作曲家。
1916年4月9日生。静岡県浜松市出身。武蔵野音楽学校声楽科卒。
映画監督・木下恵介は実兄。

復員後、兄・恵介監督の映画「わが恋せし乙女」の音楽を担当したことから松竹音楽部に入社。映画音楽家として活躍をはじめる。木下恵介作品の音楽は、ほとんど弟の忠司がつけている。
松竹映画を中心に、文芸映画からプログラムピクチャーまで、ジャンルを選ばずに書いた作品は、「伊豆の踊り子」「喜びも悲しみも幾歳月」「野菊のごとき君なりき」など、400本以上にのぼる。
伊福部昭や佐藤勝と並ぶ、日本の代表的映画音楽家のひとり、と思うのだが、地味な作風ゆえか、いまひとつ評価されていないように思われる。

テレビドラマ音楽で有名なのは、なんといっても「水戸黄門」。「人生楽ありゃ…」の主題歌は延々と歌い継がれたスタンダードナンバー。
渥美清の「泣いてたまるか」、ロングランになった渋い刑事ドラマ「特捜最前線」など幅広いジャンルをこなし、単発ものドラマも多い。
TBS系のテレビドラマ・シリーズ「木下恵介劇場」は代表作のひとつ。映画と同じ兄とのコンビの作品で、「冬の華」「兄弟」「三人家族」「二人の世界」など名作を生んだ。

「水戸黄門/ああ人生に涙あり」や「喜びも悲しみも幾歳月」などは、日本風というより、ロシア・東欧風の力強いメロディで歌われる人間賛歌で、戦争を生き延びた人間のバイタリティーが感じられる。 '98/3/23


木下忠司といえば菊池俊輔の師匠で、「ガメラ対バルゴン」の音楽を書いた人、というのが特撮ファンの第一認識。
「…バルゴン」のテーマはとてもエキゾチック。これは南洋の島でバルゴンの卵が発見される作品内容ゆえでしょうが、怪獣映画としては異質、なかなか新鮮に聞こえます。


アニメでは、芹川有吾の感動作「ちびっこレミと名犬カピ(劇場作品)」が代表作。'70年代前半の東映動画作品には、この映画からの音楽の流用が多数あり、劇伴研究の必須科目のひとつになっています。
ほかには、「カリメロ('74)」、オランダ製作の「バーバパパ」日本語版の音楽。
木下恵介や山田太一が脚本に参加したアニメ「日本名作童話シリーズ 赤い鳥のこころ」では、主題歌作曲だけでなくプロデューサーもつとめています。 (猫)'98/3/23 ('98/5/25)


[く]

[け]

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越部 信義(こしべ・のぶよし)

作曲家。編曲家。
1933年8月21日生。東京出身。東京芸術大学作曲科卒。

池内友次郎に師事。朝日放送のホームソングコンクールで入賞し、その時の審査員、三木鶏郎のアシスタントとなる。
1967年「オモチャのチャチャチャ」で童謡界に新風を吹き込み注目される。以降、子どもの歌、テレビの子ども向け番組の音楽を中心に活躍。
童謡ではほかに、坂田寛夫とのコンビで「地球を7回半回れ」「地球どんどん」など。

テレビアニメでは「鉄人28号(モノクロ版)」から音楽を手がける最古参のひとり。
「ジムボタン」「ジェッターマルス」「リトル・ルルとちっちゃいなかま」「あしたへアタック」など、明朗で活発、ときにちょっとセンチなメロディと、歯切れのよいリズムが特徴で、「これぞアニメソング」というべき作品を書くベテランである。
タツノコアニメとの縁も深く、「マッハGOGOGO」「紅三四郎(初期)」「みなしごハッチ」「樫の木モック」「けろっこデメタン」「風船少女テンプルちゃん」など、初期の良心作の多くに曲をつけている。

アニメ以外では、「ママとあそぼうピンポンパン」や「おかあさんといっしょ」などの幼児向け番組で、子どものための歌を数多く手がけている。
幼児向けの「うたのアルバム」などの仕事も多い。

80年代からシンセサイザーにも手を染め、「太陽の子エステバン」の劇伴に使用。コロムビアの「デジタルトリップ」シリーズでも作品を残している。このシリーズでは越部アレンジ作品がもっとも出来がよい。特に「デジタルトリップ 宇宙刑事シャリバン」は番組本編にも流用された名盤。

日本童謡賞受賞。
'98/4/6


だれもが知っている童謡「オモチャのチャチャチャ」がこの人の作ということは、あまり知られていないのではないでしょうか。

「鉄人28号」はオープニングが三木鶏郎で、エンディング「正太郎マーチ」が越部信義の作。このエンディングは名曲で、2度目のリメイク「鉄人28号FX('92)」でもアレンジ版が作られたほど。

「ジムボタン」のエンディング「ボッコちゃんが好き」の、ムード歌謡のようなアレンジもなかなかスゴイです。 (猫)'98/4/6


小林 亜星(こばやし・あせい)

作曲家。
1932年8月11日生。東京出身。慶応義塾大学経済学部卒。
在学中よりジャズに傾倒し、学生バンドを結成して活動。服部正、小船幸次郎に師事し作曲を学んだ。

いわずとしれたCM音楽の第一人者で、テレビドラマ、アニメーション、歌謡曲、社歌など、その仕事はあらゆるジャンルにわたる。

「レナウン・ワンサカ娘」「レナウン・イエイエ」のCMで一躍注目され、以後、数え切れないほどのCMソングを作曲。
小学校の教科書にも載った「どこまでもいこう(ブリジストン)」や「この木なんの木(日立)」「パッとサイデリア」などは有名だが、ほかにも「え、あの曲も」というCMがたくさんある。
リリカルな「明治チェルシー」、低音のスキャットが大人っぽい「人間みな兄弟(サントリーオールド)」、しっとり聞かせる「酒は男の心意気(清酒大関)」「ふりむかないで(エメロン・クリーム・リンス)」などがそうである。
「安さ爆発・カメラのさくらや」も小林亜星の作(東京ローカルか? これ)。

テレビ音楽の初仕事は「特別機動捜査隊('61-'77)」。
作曲のみの仕事が多い印象だが、もともと編曲もこなす人で、劇伴の仕事もある。「特別機動捜査隊・ミュージックファイル」では、ベースとブラスの音がジャズバンドさながらにからみあう、当時の劇伴サウンドの典型的な音作りを聞くことができる。
映画では、大林宣彦のメジャー第1作「ハウス」のテーマ曲と主題歌を書いている(劇伴はミッキー吉野)。
歌謡曲では、都はるみの「北の宿から」が有名。
また、向田邦子作の「寺内貫太郎一家」に、プロデューサーからぜひにと請われて出演。劇中歌を自作自演した(劇伴は大野克夫)。このドラマ以降、ユニークなキャラクターを生かした俳優として顔を出すことしばしば。バラエティ番組などにも出演している。

耳に残る多くのアニメソングやCMソングのイメージから、わかりやすく覚えやすい歌を書く人、という印象が強いが、実はジャズ、ロック、歌謡曲、フォークなど、さまざまなジャンルの音楽を自在にあやつるアーチストで屈指のメロディメーカー。アニメソングというのも、この人の引き出しのひとつであろう。本格的な再評価が待たれる作曲家のひとりである。

「北の宿から」で日本歌謡大賞、日本レコード大賞、中山晋平賞。「夢海峡」で古賀政男記念音楽大賞、「ピンポンパン体操」で日本レコード大賞童謡賞ほか '98/3/30


なんつっても、「ガッチャマン」「テッカマン」「ゴーダム」で、菊池俊輔とともに初期のタツノコヒーローものを印象づけた人です。菊池サウンドがマイナーコードでヒーローの孤独や情感をうたうのに対し、小林亜星の歌はストレートで力強い正統派ヒーローソング。
ロボットアニメ主題歌でも、「コンバトラーV」「ボルテスV」「ダルタニアス」「ダイケンゴー」「ゴライオン」「ゴッドシグマ」等々、多くの名曲を書いています。
また、「魔法使いサリー」に始まり、「ひみつのアッコちゃん」「花の子ルンルン」と、東映魔法少女ものの主題歌で、女の子ものアニメの歌のひとつの典型を作りあげました。

特撮ものでは、「怪傑ライオン丸」「ファイヤーマン」の主題歌が代表作。聞くたびに胸を熱くさせる名曲です。劇伴も担当した「河童の三平・妖怪大作戦」は、童謡のメロディをベースにファンキーなアレンジメントをほどこした異色作。妖怪ものとは思えぬメロディですが、水木しげるの原作にはマッチしています。

小林亜星アニメソングの特徴は、メジャーコード(マイナー主体でも、ここぞという場所でメジャーの音を当てることが多い)、親しみやすいメロディ、特にサビのメロディの覚えやすさ、そして曲のどこかしらに独特のスイング感がただようこと。いずみたくや渡辺岳夫メロディとともに、その作品の多くが、時代を超えて歌い継がれる(リメイクされても主題歌が同じ)スタンダードナンバーとなっています。 (猫)'98/3/30


小森 昭宏(こもり・あきひろ)

作曲家。
1931年4月26日生。東京出身。慶応義塾大学医学部卒。
作曲を池内友次郎、ピアノを中村ハマに師事。在学中より民放のラジオドラマの音楽を書いていた。
1958年より慶応義塾大学病院に勤務。外科医として3年間勤めたのち、1960年作曲家に転向。作曲の道を選んだのは、医者の仕事より作曲の仕事の方が忙しくなり、二者択一を迫られてのことという。

外科医から作曲家に転身という、変わった経歴の持ち主である。
飯沢匡と組んだNHK「ブーフーウー」の音楽が好評で、以後、子どものうたを中心に、CMソング、アニメーション、テレビドラマの音楽を手がける。
越部信義と並んで、一貫して「子どものうた」を書き続ける作曲家のひとり。

作品に「音楽物語 窓際のトットちゃん」「ダビデの琴」、NHK朝のテレビ小説「いちばん星」、銀河ドラマ「花丸銀平」「金婚式」「地球の荒野」など。
童謡作品は「げんこつ山のたぬきさん」「おにぎりころりん」ほか多数。

小森昭宏の音作りで印象的なのは、なんといってもパーカッションである。
「アストロガンガー」「超人戦隊バラタック」「忍者キャプター」「バトルホーク」などで聞かれる、ドラム、マリンバ、ピアノ(これは打鍵楽器だが)などの力強い連打は、ほとんど始原的ともいえる興奮を呼ぶ。この生命力あふれる音は「勇者ライディーン」の劇伴でも聞くことができる。
それもそのはずで、小森昭宏には「打楽器奏者のためのプサルテリウム」という純音楽作品があるくらいなのだ。

子ども番組の担当作品を眺めたとき、SFアクションものではメカものよりも生体ロボットや超能力ものが、また、名作もので「くまの子ジャッキー」や「コラルの探検」「リスのバナー」「名犬ジョリー」などの動物ものが多いのが目に付く。これは、おそらく偶然ではないと思う。

日本童謡協会理事。 尚美学園短期大学音楽学科教授。
'98/4/7


誰もが知っている童謡「げんこつ山のたぬきさん」がこの人の作であるとは、あまり知られていないのではないでしょうか。

「勇者ライディーン」主題歌は、当時のSFアクション系番組で主流だったロックのリズムを拒否して、あえてマーチにしたところが新鮮でした。
パーカッションも印象的ですが、「いちばん星」や「くまの子ジャッキー」などの愛らしい旋律も氏の持ち味です。 (猫)'98/4/7


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