[あ]

青木 望(あおき・のぞみ)

作曲家。編曲家。
名前は、「英語版・銀河鉄道999」では「Nozomu」と表記されているが、ここでは、「著者名読み方辞典」(日外アソシエーツ)に倣った。
経歴不詳(調査中)。

美しいストリングスアレンジで知られるベテラン編曲家で、中島みゆきのアルバムなどにアレンジャーとして参加。コンサートの音楽監督の仕事もある。
「銀河鉄道999('78-'81)」(特に劇場版)の音楽でアニメファンに注目され、以降、「とんがり帽子のメモル('84)」「北斗の拳('84)」「愛してナイト((83)」「は〜いステップジュン('84)」「悪魔くん('89)」などの音楽を担当。横山菁児と並んでシンフォニックな作風で知られる。 '98/2/15 ('98/5/25)


大ベテランなのに経歴の載った資料がない。なぜ?
アニメの仕事は'72年の「今日もどこかでデビルマン」の編曲から。
76年「母をたずねて三千里」の挿入歌編曲や「てんとう虫のうた」の後期エンディング編曲あたりからアニメの仕事が増えます。ダイナミックなオープニングで知られる「ゴワッパー5ゴーダム」の編曲も青木氏です。

音楽監督もつとめた「堀江美都子20周年記念リサイタル」での青木アレンジ「キャンディキャンディ」と「あしたが好き」は、オリジナル以外の編曲版としては最良の出来。
青木望といえばストリングスというくらいですが、「999」や「レディ・ジョージィ」のアレンジで聞かれるピアノも大変印象的。最近のアニソンでは、氏の優雅なアレンジを聞く機会がないのが残念。 (猫)'98/2/15('98/4/6)


阿久 悠(あく・ゆう)

作詞家。作家。
1937年2月7日生。兵庫県淡路島出身。明治大学文学部卒。同大学院修士課程修了。
常に第一線で活躍し続けてきた、日本ポピュラー界を代表する作詞家。
広告代理店・宣弘社に勤務後、'64年放送作家として独立。'68年より作詞を始め、山本リンダ、沢田研二、ピンクレディーらの数々のヒット曲を作詞。代表作は数え切れないが、「どうにもとまらない」「時のすぎゆくままに」「青春時代」「北の宿から」「ペッパー警部」など。

ジャンルを選ばぬ仕事の広さと、歌い出しからキャッチーなフレーズで聞き手の心をつかむ職人的技は、広告代理店の経験が生かされたものか。
昭和53年から作家としても活躍し、「瀬戸内少年野球団」は直木賞候補。映画化もされた。

「時のすぎゆくままに」で日本レコード大賞作詞賞。「北の宿から」で日本作詞大賞。ほか受賞多数。'98/2/15 ('98/2/18)


ジュリーのヒット曲「時のすぎゆくままに」は、実は沢田研二主演ドラマ「悪魔のようなあいつ」の主題歌です。
特撮ファンには、なんといっても「タロウ」「レオ」の作詞で有名。テレビアニメデビューは「デビルマン」。いずれも歌い出しが印象的です。
アニメソングの代表作は、やはり「宇宙戦艦ヤマト」で、ヤマトシリーズには全作参加。宮内國郎の高揚感あふれる名曲「ザ・ウルトラマン」の詞も忘れがたいですね。アニメ「ピンクレディー物語」にもしっかり詞を書いています。
作詞生活30周年記念に発売されたCDセット「阿久 悠大全集」には、「タロウ」「ヤマト」も収録され、特撮・アニメファンを喜ばせました。 (猫)'98/2/15

[い]

いずみ たく

作曲家。演出家。
1930年1月20日生。東京出身。舞台芸術学院本科卒。
朝日放送ホームソングコンクールでグランプリをとったことが、作曲家になるきっかけ。運転手の傍ら作曲活動に励んだのち、三木鶏郎の「冗談工房」に参加。アシスタントをつとめるが、同じ工房の野阪昭如と組んで作ったCMソングがヒットし、独立。
以後、「伊東へ行くならハトヤ」「チョコレートは明治」「ハウス・バーモントカレー」など、作ったCMソングは数知れず、歌謡曲でも「夜明けのスキャット」「夜明けの歌」「世界はふたりのために」「恋の季節」などヒット曲多数。

親しみやすく、しかも日本人の心の琴線に触れるメロディが特徴で、小学校の教科書にも載った「手のひらを太陽に」もいずみ氏の作。3歳以上の日本人で、いずみたくの曲を聞いたことのない者はいないとまで言われる。
テレビ音楽では、「青春とはなんだ」に始まる日本テレビ系青春ドラマシリーズの音楽を連続して担当。「飛び出せ!青春」の主題歌で、青い三角定規が歌った「太陽がくれた季節」は大ヒットした。
ブロードウェーで見た本場のミュージカルに衝撃を受け、'77年ミュージカル劇団「フォーリーズ」を結成。自作の演出もこなし、「日本のミュージカル」を作ることに情熱をささげた。

1992年5月11日没。ミュージカル「アンパンマン」のために病床で口述筆記させた「アンパンマン号のうた」が遺作となった。 '98/2/15


アニメでは、リメイク版でも必ず使われる「ゲゲゲの鬼太郎」主題歌が有名。「少年マガジン」の企画版レコードのために書いた曲が、アニメ版に転用されたものです。
ほかに、「宇宙エース」「宇宙少年ソラン」「もーれつア太郎」「魔法少女ララベル」「アンパンマン」など。覚えやすく、親しみやすいメロディが、氏の持ち味。
「さすらいの太陽」は、青春ドラマ主題歌路線ですが、エンディング「心のうた」は、氏の音楽への情熱をそのまま歌にしたような曲で、ひそかにファンだという人が多い名曲です。 (猫)'98/2/15

井上 堯之(いのうえ・たかゆき)

作曲家。編曲家。ギタリスト。
1941年3月15日生。神戸市出身。
高校卒業後上京し、'61年よりザ・スパイダースに参加して、ボーカリスト、ギタリストをつとめる。
'71年に沢田研二、大野克夫らとPYGを結成。リーダー、ギターを担当。
'72年、井上堯之バンドを編成し、テレビ、映画、CMの仕事を多数担当した。
'81年よりフリーとして活動。柳ジョージや萩原健一のセッションなどに参加したのち、'93年から「宇崎竜童&RUコネクション with 井上堯之」に参加する。
アルバム・プロデュースやステージの音楽監督としても活躍しているほか、90年代には、芝居やドラマに、役者として出演も果たしている。

「前略おふくろ様」「傷だらけの天使」などの萩原健一作品を大野克夫と組んで担当。
大野克夫作曲の「太陽にほえろ!」「悪魔のようなあいつ」では、井上堯之バンドとして参加している。
ロック・バンドのカッコよさをドラマ音楽に持ち込んだ、70年代のテレビ劇伴シーンを語るときに決してはずせないひとり。ほかに「寺内貫太郎一家」も大野克夫との共作である。
映画作品には、「恋文」「遠雷」「火宅の人」などがあるが、なんといっても沢田研二が主演した快作「太陽を盗んだ男」のスリリングな音楽が忘れがたい。
最近の映像音楽作品には、「12時間ドラマ・豊富秀吉('95)」「美味しんぼ(松竹映画)('96)」。

「愚か者」で日本作曲大賞優秀作曲家賞、日本レコード大賞。「火宅の人」「離婚しない女」で日本アカデミー賞最優秀音楽賞。'98/2/15 ('98/3/3)


井上堯之バンドといえば、「太陽にほえろ!」のイントロ、やっぱり聞くたびにぞくぞくしますね。(猫)'98/2/15

伊福部 昭(いふくべ・あきら)

作曲家。
1914年5月31日生。北海道釧路出身。北海道帝国大学(現北海道大学)農学部林学科卒。
もはや説明の必要もない日本音楽界を代表する音楽家であり、映画音楽の巨匠。

幼少時、近在のアイヌの民と交流したことが、のちに独特の音楽を生み出す原点となった。
10代の頃から独学で作曲を始め、地方林務官の傍ら作曲した管弦楽「日本狂詩曲」が、'35年パリで選考されたチェレプニン賞第一席に入賞。以後、森林事務所などにつとめながら「土俗的三連画」「交響譚詩」などを発表。
映画音楽は、'47年「銀嶺の果て」(東宝)からで、黒沢明、伊藤大輔、市川崑らを始め、監督、会社、ジャンルを問わず多くの映画の音楽を担当。作曲だけでなく、音楽監督の立場から、音楽の入るタイミング、音量まで緻密に設計する理論派であり、監督と対等の立場で数々の映画の音響演出を支えた。有名なのは、なんといっても「ゴジラ」をはじめとする特撮映画音楽。
のちに東京音楽学校(現東京芸大)の作曲科講師、東京音楽大学教授、同学長をつとめ、後進の指導にも尽力した。門下に、黛敏郎、芥川也寸志、池野成、石井眞木、眞鍋理一郎らがいる。

その作風は、日本の音楽界がめざしていた西洋的な音楽とはまったく異なるもので、誰にも似ておらず、「伊福部昭の音楽」としか言いようがない。その特異性ゆえ、伊福部昭は、日本の純音楽の世界では長らく異端扱いされてきた。
60〜70年代を通して、伊福部昭の音楽をもっとも評価し、愛したのは、黄金期の東宝特撮映画で育った、おもに50年代生まれの特撮ファン第一世代である。伊福部音楽の再評価が盛り上がるのは、80年代に入ってからであるが、それを支えたのが、「ゴジラ」や「地球防衛軍」「海底軍艦」などを熱愛した「怪獣ファン」たちであることは記憶されてよい。

いまでは、40タイトルを超えるアルバムが発売され、研究書も何冊も刊行されるなど、20年前とは隔世の感あり。詳しい経歴や代表作は、そちらを参照いただきたい。
'80年、紫綬褒章受章。'98/2/15


テレビの仕事はないんですが、特撮映画音楽に与えた影響ははかりしれないため、あえて登場していただきました。
正直いうと、腹巻猫は東宝レコード「伊福部昭の世界」「ゴジラ・サウンドトラック」を聞いたときは、あまりピンとこなかったのです。特撮ファン第二世代なもので。
その印象が一変したのは、学生時代、いまはなき池袋文芸座のオールナイトで、「地球防衛群」やら「ラドン」やら「海底軍艦」やら「キングコングの逆襲」やらを観てからで、大スクリーンの映像に劣らぬ迫力で響く伊福部音楽の神髄を思い知ったのでした。
とにかく、伊福部昭は、室内でビデオやステレオで聞いたってダメ。劇場の大スクリーン、大音響で聞かないと、その真価は楽しめません。
アニメファンにも、「わんぱく王子の大蛇退治」というおススメがあります。 (猫)'98/2/15

岩谷 時子(いわたに・ときこ)

作詞家。翻訳家。
1916年3月28日生。旧朝鮮・京城出身。神戸女学院英文科卒。
宝塚歌劇団出版部、東宝文芸部を経て、越路吹雪のマネージャの傍ら作詞家として活躍。
作詞家としてはじめての作品は「愛の賛歌」。「君といつまでも」や「いいじゃないの幸せならば」など、ストレートで情熱的な詞(しかも品のある)が持ち味で、多くのヒット曲を生んだ。
「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」などのミュージカルの訳詞もこの人。

テレビドラマ主題歌の仕事としては、「サインはV」「赤い靴」「パパ愛してる!!」「家なき子(坂口良子版)」など。特に「サインはV」のインパクトは強烈だった。

「ウナセラディ東京」「夜明けの歌」「君といつまでも」などで日本レコード大賞作詞賞。ミュージカル訳詞で菊田一夫演劇賞特別賞。ほか受賞多数。'93年、勲四等瑞宝章受章。'98/2/15 ('98/2/26)


アニメソングでは、なんといっても、ロマンの香り高い名曲「宝島」の作詞をした人。
ほかには、「ふしぎなメルモ」「ミラクル少女リミットちゃん」「草原の少女ローラ」など。「メルモ」の「夢見てたふしぎな世界へ…」のフレーズは、この人ならではです。劇場版「にんぎょ姫」の起用もぴったりですね。

過日、「ママは小学4年生('92)」を鑑賞していたら、主題歌・副主題歌作詞が岩谷先生でした。お年を感じさせぬ仕事ぶりです。 (猫)'98/2/15 ('98/4/6)


[う]

宇崎 竜童(うざき・りゅうどう)

歌手。作曲家。
1946年2月23日生。京都市出身。明治大学法学部卒。
音楽プロダクションの新人トレーナー、GSのマネージャーなどを経て、'73年ダウンタウン・ブギウギ・バンドを結成。斬新な歌詞と音作りで人気グループとなる。
作曲家としては、妻の作詞家・阿木燿子とのコンビで多くのヒット曲を手がける。「ヨコスカストーリー」「プレイバックpart2」などの山口百恵の後期の曲は人気が高い。

映像音楽では、NHK大河ドラマのタイトルにエレキサウンドをぶつけた「獅子の時代」('80年)が話題を呼んだ。翌年「1000年女王」(TV版)の音楽でアニメ初登板。角川アニメ「少年ケニヤ」「カムイの剣」の音楽も担当、主題歌も話題になる。特に「カムイの剣」は、和太鼓や民族楽器を巧みに取り入れた音作りが、画面とみごとにマッチした。
ドラマでは倉本聡脚本の「ライスカレー」、映画作品に「駅 STATION」などがある。

バンド解散後は、俳優、音楽プロデューサーとしても活動。日本レコード大賞作曲賞など、受賞多数。 '98/2/15


宇崎サウンドには、大野克夫、井上堯之とはまた違うカッコよさがあり、耳に残るメロディラインとリズムを強調したサウンドは、実はかなりアニソン向き。
アニソンファンにも忘れられてますが、「口うつしにメルヘンください」の「少年ケニヤ」主題歌や、「ヒュルルルル〜」が印象的な「カムイの剣」主題歌は名曲と思います。耳について離れません。
特撮ものでは、「仮面ライダーBLACK」('87、劇伴は川村栄二)が初登板。「重甲ビーファイター」では、ヒーローソングの王道をゆく燃え燃えのメロディがファンの喝采を浴びました。 (猫)'98/2/15

宇野 誠一郎(うの・せいいちろう)

作曲家。
1927年2月27日生。兵庫県出身。早稲田大学文学部仏文科卒。
幼少時からピアノを習うが、小学3年のとき中断。その後独自に勉強を続け、早大進学後、'48年から、池内友次郎、安部幸明に作曲を、斎藤秀雄から指揮を学ぶ。
作曲の道に入ったのは、身体が悪く、どうせ死ぬなら好きな音楽をやって死のうと思ったから。

在学中から自由舞台やテアトル・ブッペなどの劇音楽を手がけた。NHKのラジオ番組「モグッチョチビッチョこんにちは」をきっかけに井上ひさしと知り合い、以後、コンビで多くの作品を作ることになる。一時は三木鶏郎の「冗談工房」にも参加していた。
'63年の「ちろりん村とくるみの木」に続けて担当した「ひょっこりひょうたん島」で、せりふと歌の中間をゆく独特のスタイルが完成される。以後、「W3」「悟空の大冒険」「ふしぎなメルモ」などの手塚作品や、「ムーミン」「やまねずみロッキーチャック」「アンデルセン物語」(TV)「ちいさなバイキング ビッケ」「一休さん」など、おもにメルヘンタッチの名作路線アニメの音楽を担当。
東映長編動画を語るにときもはずせない作曲家で、音楽を書いた作品は、「長靴をはいた猫」(シリーズ全作)「ひょっこりひょうたん島」(アニメ版)「アンデルセン物語」(TVとは関係なし)「少年ジャックと魔法使い」「アリババと40匹の盗賊」。宇野氏が担当した作品では音楽も演出の一端を担っている趣があり、情感あふれるシーンからすさまじいテンポのドタバタへと、息つくひまもなく一気につないで見せる名人芸で、緩急自在ということばがぴったりくる。

その作風は、日本人ばなれした意表をついたメロディラインと、思わず体をゆらしてしまうリズムが特徴。その一方で、「アンデルセン物語」(劇場版)の挿入歌や「アンデルセン物語」(TV版)のエンディング「キャンティーのテーマ」で聞かれるリリシズムあふれる曲想も氏の持ち味のひとつ。一見両極端のようだが、どちらのタイプの曲にも、生きることの喜び、慈しみがあふれている。

舞台劇では、井上ひさしのこまつ座公演のほとんどの音楽を担当している。
「少年ジャックと魔法使い」で毎日映画コンクール音楽賞。「決定版 十一ぴきのネコ」で紀伊国屋演劇賞個人賞。 '98/2/15


日本でミュージカルの音楽を書かせたら、この人にかなう人はいません。全編ミュージカル仕立ての「ひょうたん島」は代表作ですが、当時のフィルムはほとんど残っておらず、リメイク版でしか視聴できないのは文化的損失。宇野氏の才能を味わうには、テレビアニメの溜め取り音楽よりも、東映長編動画を映像ともども鑑賞するのが一番です。
「まんが子ども文庫」の「今月の歌」も書いてますが、宇野氏の実験的な作風とリリカルな面を追求したような曲で、たいへんに難しい歌。こどもには歌えません。 (猫)'98/2/15

[え]

[お]

大野 克夫(おおの・かつお)

作曲家。キーボードプレイヤー。
1939年9月12日生。京都出身。
高校時代にスティールギターを始め、京都の地元のバンドで活躍。'62年スパイダースに参加。PYGを経て、'72年井上堯之バンドに参加。作曲家としては、「時のすぎゆくままに」「勝手にしやがれ」など、沢田研二のヒット曲の多くを書いた。'81年からは大野克夫バンドの名で活動。

劇伴では、「太陽にほえろ!」「傷だらけの天使」が有名で、ロックやカントリー、ジャズの要素をたくみにブレンドした音作りは、熱狂的ファンを生んだ。この2作の劇伴担当は、萩原健一の推薦によるもの。
ほかに、テレビドラマとしては、「前略おふくろ様」「悪魔のようなあいつ」「寺内貫太郎一家」「祭ばやしが聞こえる」「浮浪雲」(倉本聡・渡哲也版)など。映画では、「水のないプール」「十階のモスキート」など内田裕也作品のほとんどを担当している。

バンドプレイヤーらしく、作曲にあたってはメロディとコードを決めるくらいで、音作りはレコーディング時にアドリブで行うという。大野克夫サウンドにみなぎる躍動感、グルーブ感の秘密は、バンドプレイにあり。
80年代以降のサントラでは、シンセの多重録音が多くなるが、いわゆる"打ち込み"ではなく、実際に手で弾いた音を重ねたもので、アドリブプレイヤーのこだわりが感じられる。
「勝手にしやがれ」で日本レコード大賞ほか。'98/2/15


沢田研二「ヤマトより愛をこめて」は宮川泰との競作になり、結局大野氏の曲が採用されました。
特撮ファンには「電撃戦隊チェンジマン」の歌が強烈な印象で残ってます。後年「ダイレンジャー」で久々に戦隊ものに挑戦。またまた名曲を残してくれました。
アニメ「名探偵コナン」では、驚きの大野克夫バンド名義でサントラを製作。往年のファンを喜ばせています。 (猫)'98/2/15

大野 雄二(おおの・ゆうじ)

作曲家。
1941年5月30日生。静岡県熱海出身。慶応義塾大学法学部卒。
慶応高校在学時にジャズにのめりこみ、ジャズピアニストを目指す。独学でジャズを学び、大学では、慶応の名門ジャズバンド、ライト・ミュージック・ソサエティーに入り、ピアノと編曲で活躍した。この頃よりプロ活動を始める。
前田憲男、藤井英一に師事し、スイングジャズの藤家虹二クインテットに1年ほどいた後、さまざまなバンドで、ナイトクラブやキャバレーなどでピアノを弾いた。白木秀雄クインテットを経て、'67年に大野雄二トリオを結成。ジャズ喫茶などでプレイを続けた。

作曲家になるきっかけは、注文されて作ったCMソングから。以降、しばたはつみのレコードプロデュースをはじめ、多くの歌謡曲やCMソング、テレビ、映画の音楽を作曲するようになる。
一般に大野雄二の名を知らしめたのは、やはり「犬神家の一族」「人間の証明」「野性の証明」などの角川映画の音楽である。松田優作の遊戯シリーズ3部作も有名。
テレビでは、日本テレビの「お控えあそばせ」「気になる嫁さん」「パパと呼ばないで」「水もれ甲介」などの石立鉄男主演作品を続けて担当。「大追跡」「大激闘」アニメ「ルパン三世」などアクションものの印象が強いが、NHK「小さな旅」の音楽や、CM「きのこの山」など、愛すべき小品も多い。

大野克夫同様、大野雄二もプレイヤー志向の作曲家で、自らYOU&エクスプロージョンバンドを編成して、レコーディング活動を行っている。都会的でしゃれたセンスの曲作りに定評があるが、その原点はバート・バカラック。
「ルパン」や「キャプテンフューチャー」劇伴「コブラ」主題歌などで聞かれるなまめかしいサックスの響きは、それまでのアニメソングにない大人の香りがして、ファンを陶然とさせた。
'82年日本作曲家大賞優秀作曲者賞。 '98/2/15


渡辺宙明とともに、大野雄二もまた、「編曲と込みでひとつの曲」という作風の人です。「キャプテンフューチャー」も「マシンマン」もなかなかに難しいコード進行の曲で、それをあそこまでカッコよく聞かせるのはアレンジの妙。
「星雲仮面マシンマン ヒット曲集」は全曲大野雄二作曲ですが、編曲をしているのは主題歌・副主題歌のみで、挿入歌は別人のアレンジ。聞いていると、「なんか違う…」という気がして落ち着きません。 (猫)'98/2/15

丘 灯至夫(おか・としお)

作詞家。
1917年2月8日生。福島県出身。郡山商業高校卒。
詩作を目指したのは、「身体が弱くてふつうの仕事につけなかった」からという。
'32年西条八十の弟子になり、詩の勉強を始める。'38年にポリドールから童謡「僕達の行進曲」「さようなら」「チョッキンチョッキン貯金箱」「お正月さん」を出したのが作詞家デビュー。
'41年NHK郡山放送局に入局。毎日新聞社福島支局を経て、'48年から年東京本社毎日グラフ編集部に勤務する傍ら、'49年から日本コロムビア専属作詞家となり活躍した。'72年退職し、特別嘱託となる。
歌謡曲では、舟木一夫の「高校3年生」が氏の作。

'69年に書いた「紅三四郎」の主題歌(後期)がヒットしたことから、タツノコプロ社長吉田竜夫と意気投合。以後、タツノコプロの作品を多く手がけることになる。
「ハクション大魔王」「みなしごハッチ」「カバトット」「樫の木モック」「風船少女テンプルちゃん」「けろっこデメタン」など、タツノコのメルヘン路線の作品は、ほとんどが氏の作詞。また、アクションものながらメルヘン色のある「新造人間キャシャーン」では挿入歌全曲を作詞するなど、60年代末から70年代前半のタツノコ作品のカラーを印象づけるイメージメーカー的役割を果たした。
タツノコ以外では「キャンディキャンディ」の挿入歌全曲を担当(「幸せのとびら」は除く)。大人ぶらない素直なことばで少女の夢を表現し、渡辺岳夫とのコンビネーションで名曲を生んだ。

丘灯至夫の詩はすべて子どものために書かれた詩で、やさしいことばづかいでキャラクターの心情がストレートに伝わってくる。その作品には「子どもの歌が好き」という氏の人柄がにじみ出ている。
「高校3年生」で日本レコード大賞作詞賞。「ワン・ツー・スリー・ゴー」で日本レコード大賞童謡賞。 '98/2/15


なんと子ども向けに戻した「ガッチャマンF」主題歌でも登板。「とんでも戦士ムテキング」にも詩を書いています。タツノコの(というかテレビアニメの)良心みたいな人ですね。 (猫)'98/2/15

小川 寛興(おがわ・ひろおき)

作曲家。
1925年3月5日生。東京出身。大倉商工中等科卒。
ファンは親しみをこめて「カンコウ」と呼ぶ。
声楽家を志し、藤原歌劇団合唱部でオペラを勉強していた。'47年服部良一の内弟子となり、服部の助言で作曲に転向。'50年独立。

東宝劇場の指揮をとる傍ら劇音楽を手がけるようになり、「月光仮面」「七色仮面」「隠密剣士」などの少年もの劇音楽のパイオニアとなる。
テレビドラマの代表作は、NHKのヒット番組「おはなはん」「細うで繁盛記」、民放では「徳川おんな絵巻」「遠山の金さん捕物帳」(梅之助版)「素浪人天下大平」など。
'60年〜'61年コロムビア専属、'62年〜'72年キング専属を経てフリー。歌謡曲にも作品が多い。

クラシックをベースにしながらも、ポピュラリティーのある親しみやすいメロディーが特徴で、'74年には、キングからテレビドラマのテーマ曲を集めた作品集LPが発売されるなど、人気のほどがうかがえる。
しかし、もっとも人気のある小川劇伴といえば、これは間違いなく「仮面の忍者 赤影」である。作曲者自ら「会心の出来」と語る主題歌「忍者マーチ」、スローバラードでも映える「赤影の歌」、そして、白影のテーマを白眉とする劇中音楽の数々は、「ウルトラセブン」と並ぶ60年代子ども番組劇伴の傑作。時代劇ながら軽快なマーチを主題歌にする陽性の曲作りが、番組の奔放な明るさを支えた。

「さよならはダンスのあとに」で日本レコード大賞作曲賞。'72年、第2回日本童謡賞。'88年、紫綬褒章受章。 '98/2/15


アニメ作品はほとんどなく、「ピュンピュン丸」、日仏合作の「イルカと少年」が上がるくらい。
古い特撮ファンには、アニメ合成が驚きの「大忍術映画ワタリ」「忍者ハットリくん」(実写版)の音楽が懐かしいところ。この2作の劇伴はそのまま「赤影」に流用されています。 (猫)'98/2/15

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