TVサントラ大作戦

お疲れさま対談

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腹巻猫。劇伴倶楽部の主。
R3RYO-3。本イベントの企画者。

お疲れさまでした。
R3 お疲れさまでした。
このイベントの話はどういうことで決まったんですか。
R3 主宰の川村さんとずっと親しくしていて、川村さん宅に遊びに行ったりしたときに、ぼくが、お土産でCDとかいろいろ持ってってかけて、面白がってもらってたんです。で、川村さんはずっとWindsCafeっていうのをやってたんで、じゃあ、1回やってみないかって話だったんです。
それ以前に、川村さん自身が、冨田勲で1日やりたいっていう話もあったんですよ。けどまあ、どうせだったらTVサントラで1本やったらどうかっていうのをメールでやりとりして、それで決まったんですね。やるよって言われたのが7月なんですよ。2ヶ月しかなかった。
突然ですね、割と。最初から8時間やるって決めてたんですか?
R3 いや、全然。WindsCafeは、だいたい昼の部2時間、夜の部2時間とか、それぐらいなんですよ。だから、全部に2〜3時間かける感じかなあと思ってたんです。それが結局あんなになっちゃいました(笑)。
ぼくのところへ話が来たときは、すでに8時間でした(笑)。
R3 そうでしたよね。
一番やりたかったことっていうのは、どういう感じのことだったんですか。
R3 告知の文章にも書きましたけど、テレビのサントラ音楽っていうのは、軽んじられがちじゃないですか。作曲家にしてみれば、アルバイト的な、いわゆる作曲家の本分じゃないっていうのもあるんでしょうし、レコードも、レコード屋に行けば、一番はしっこの棚に追いやられてるし。だけど、結局テレビっていうメディアを通して、ものすごい数の人が聴いているわけですよね。その復権を図りたかったっていうことです。だから「TVサントラ」っていうタイトルにしたっていうのもありますし。
いわゆる、既成のヒエラルキーがあるじゃないですか。クラシックが頂点で、だんだん安手になっていって、商業音楽っていうのは下卑たもんだという。でも、現実にふつうの人がふつうの感覚で音楽に接しているときに、そういう専門家の人やトップの世界にいる人が言っている価値とはまったく逆転しているってことが非常に多いんですね。わけのわからないものとか、下衆なものこそ、人々が愛しているってことはよくあることだし。そういう既存の地位を当然と思って安住してる人たちに対して、一撃を加えたい、っていうのはありましたね。
テレビのサントラっていうのは、音楽的にすごく軽んぜられるところがありながら、何十年たっても圧倒的な存在感を持って、多く人の心の中に存在するわけですよね。そういうのを、いつまで下の音楽っていう風にほったからしとく手はないだろうと。
再評価っていう。
R3 そうですね。そういう話っていうのは、イベントの当日には全然できなかったですけど。
はい。
R3 ただ、あの場で聴いてた人には、かなりそういう感じを持ってもらえたんじゃないかと思うんですけれど。おぼろげに覚えている曲が、こんなに緻密なアレンジだったのかとか、こんな感じだったっけ、っていうフラッシュバック感みたいなものを味わってもらえたんじゃないかと思うんですけどね。
客層っていうのは、いわゆるアニメファンとか、特撮ファンとか、ではなかったですよね。
R3 ないですね。基本はWindsCafeのいつもの常連さんたちでしたし。まあ、結構そういうの好きな人が多かったみたいですけど(笑)。もうひとつの狙いとして、そういう曲をいつも聴いてる人とか、話のわかる人じゃない人たちに音楽を解放したいなあっていうのがありましたから。猫さんが、劇伴倶楽部の案内に「これはいわゆるマニアのオフ会ではありません」って書いてて、「そんなことないですよ」って、ぼくは書きましたけど、やっぱり、実はそうあってほしいっていうのはありましたね。絶対にうちわで盛り上がるだけにはしたくないっていうのがあったんですよ。
ふだんそういうのを聴いてない人に聴いてほしいと。
R3 そうですね。テレビのサントラ系の再評価っていうのは、いわゆる渋谷系とかその辺で、ここ5,6年されてはいるんですけどね。
ラウンジ系とか、モンドミュージックとか。
R3 「ルパン」のリミックスとか。逆にあっち側に近づきすぎるのもなんだなーっていうのもあるんですよ。
そうですね。
R3 あれはあれで、ちょっと鼻にツくところがあるんで。TVサントラはオリジナルの個性が強いものが多いですからね。「1作曲家=1ジャンル」的な。そういうもののリミックスは、鬼門ですよ。
選曲するときは悩みましたよ。あたり前の曲ばっかりかけても仕方がないし。
R3 ぼくの仲間うちでは、当日出したテロップの文章をぺージに全部載せろっていう希望が来てましたよ。あれはちょっとなー。
辛い。
R3 ページに載せるには、はばかられるふざけたコメントが一杯あるんで。(※結局載せてしまいました)
あれを書くのが一番辛かった。
R3 そうですよね。知らない番組もあるし。
苦労の順番からいくと、選曲が一番大変でしたね。好きな曲だけ上げていっても到底収まらないってことがわかって。
R3 2,3時間もあればたいていのことはできるだろうと思ってたのが。
甘かったですね。
R3 めっちゃくちゃ甘かったですよね。
あらためて、こんなに一杯あったのかっていうのを思い知らされました。
R3 番組枠の考え方だって、かなり強引に異質なものくっつけたりしましたものね。「冒険・ファンタジー・アドベンチャー」とか。
で、8時間じゃ足りないと。10時間あったら、もうちょっとすんなりいったかもしれないね。途中から重荷になりだしたのがリクエストですよ(笑)。
R3 大変だったですね。途中で後悔しましたよ。リクエストなんて言い出すんじゃなかったって(笑)。でも、会場の人に喜んでもらえたのは、半分以上、リクエストだと思うんですよね。
リクエストがなきゃ、かかってない曲が、ほとんどです。
R3 そうですね。探すの難しかったし、結局いろんな人の手を煩わしちゃったけど、あれはあれでよかったと思いますけどね。
自分たちがかけたい曲とうまくマッチすればいいんだけど、全然とんでもないものも。
R3 逆に、みんなのテレビの音に対する底無しの記憶、「よくそんなの覚えてるなあ」っていうのが、ぼこぼこ出てきましたね。日ごろ表面には出てこない、10年に1回しかリファレンスされない記憶が、わーっと検索されて出てきた感じで、面白かったですよね。ほぼ同世代で、同じぐらいテレビ見てる人でも、こっちの方面はめっちゃくちゃ覚えてるけれども、あっちは全然知らないとか。
全然違いますよね、傾向が。
R3 ほんとに違いますからね。当日感想のアンケートカードをやりたかったんですけど、あんまりうまくいかなかったんです。本当は、上がってきた細かい感想を拾い上げて、あのイベントは完成っていう風にしたかったんですけどね。そうすると、その音楽が流れていた時代背景とか、その頃の雰囲気みたいなものが、すごい抽出できるんじゃないかと。最終目的は、音とか音楽だけじゃなくて、それが映っている心の側、内面の方、そっちの方にまで突っ込めれば面白いなあと思ったんです。まあ、あれだけ長かったし、会場もまっくらで、アンケートなんか書けなかったんで(笑)、しようがないですね。

■Aブロック 来るべき世界

最初のブロックは、結構力入れてやったんですよ。
R3 この構成は、すごいかっこよかったですねえ。これ聴きながら、自分の担当したところは適当につないでるなあ、まずいなあと思ったんですよ。これは劇的な展開がすごいなあと思って。
サンダーバードで始まるっていうのはRYO-3さんから希望があったんで、それだったら、やっぱりバリーグレイ・メドレー、対抗するには冨田勲と。
R3 サンダーバードと冨田っていうのが、川村さんの大のお気に入りでもあったんで、主宰に敬意を払うためにも(笑)。例のカウントダウンから「サンダーバード」、で「スティングレイ」につながる下りで、ばっちりつかみはOKと思いました(笑)。この時、まだあんまりお客さんいなかったけど。
このブロックは、ぼくも聴いたことない曲がずいぶんあったんですよ。聴いたことあっても、もう、ほとんど忘れてる曲とか。選曲的に年代的に自分の世代よりちょっと上で、リアルタイムで見てないし。
海外ドラマは、ぼくも、すごい久しぶりに聴いたってものがありました。「タイムトンネル」なんて、ふだん聴かないし。「プリズナー」は丁度いい音源が手に入ったんで入れたんです。改めて聴いてみると、この頃の海外ドラマの音楽はかっこいいなあ。
R3 かっこいいですよねえ。ぼくは、「スペース1999」の連打があまりにもかっこいいんで、びっくりしましたよ。非常に僕好みの曲調だったんで。
この頃になると、見てない人もだいぶいるんですけどね。
R3 とにかく、このブロックは猫さんの思い入れと構成力に参りましたね。
ほとんど、このブロックだけやれば満足だったかな。ウルトラセブンは、ほんとは組曲でもうちょっとやろうかと思ってたんですけど、ちょっときついんでやめたんです。最初は、ひとつの作品で5分とか10分の組曲にするというのも考えてたんですけど。
ここでは、ちょっとひねったのが、「1974年終末組曲」。
R3 こういう視点で切っていくっていうのをもっとやりたかったし、やるべきだったんですけどね。
ちょうどこの頃が中学1年生で、全部並行して見ていたから印象に残ってるんです。「ヤマト」はスローバージョンかけたかったっていうのもあるかな。
R3 これで1時間たっちゃうんだから、これは時間足りないですよね。これでは、全然あれとあれが入ってないじゃないか、っていうのがありますからね。
そうなんですよ。
R3 半年に1回くらいこういうイベントやって、お金とれないですかね(笑)。それだけ準備は大変なんだけど。作曲家に1人スポットを当てて3,4時間やるっていうので、定例化して、どっかのイベントスペース借りて、制作費回収するぐらいのマネできるんじゃ?(笑)。でも、それぐらいお客さん来ると思うんですよ。ちゃんと宣伝すれば。
最初、やるって決めても、こんなの面白いのかなっていう不安はありましたよ。ただ曲を流すだけで、映像は出さないってことにしたから。音楽を流すだけ、しかも、録音されたやつですからね。と、思ったけど、結構反応はよかった。
R3 始まったばかりの頃はみんな固かったけど。会場も明るかったし、飲み食いも始まってなくて、学校の教室みたいにお行儀よく座ってたから、このままいっちゃうとまずいなと思ったんですけど。
反応がよくなったのは宇野誠一郎メドレーから。

■Bブロック 忘れかけた物語

R3 宇野誠一郎メドレーは、ほんとによかった。これやれたっていうのは、このイベントの収穫のひとつでしたね。あとで感想くれた人でも、これで泣けたっていう人多かったですよ。
ぼくも編集しながら泣けてました(笑)。
R3 あらためて聴いて、宇野誠一郎ってほんとに、すばらしいメロディメーカーだなあって再認識しました。
でも、まだ入ってない曲がたくさんあるんですよ。
R3 「悟空の大冒険」も「ムーミン」も入ってないんですよね。「一休さん」も。
だから、できれば、宇野誠一郎だけで4時間とか、特集組んでやりたいんですよね。
R3 それはぜひやるべきですよ。「ムーミン」のスナフキンのテーマも入れてほしいなあ。
東映長編動画の歌を入れないと。「長靴をはいた猫」とか。
R3 名作ものも、結局「カルピス〜ハウス」劇場でまとめなかったっていうのは、よかったと思いますよ。
ここでは、出崎統の名作アニメをぜひ入れたかったんですよ。「家なき子」「宝島」。
R3 「宝島」はエンディングまで入って、さすがに破格の扱いですね。このオープニングとエンディングの歌は、ほんとに名曲ですよね。
あと、この中では「家なき子」がレアなんです。まったくCD化されてないんで。
R3 「マルコポーロの冒険」は編集したんですか。
2番と3番の間の間奏から入れました。(※テレビでは3番が流れている)
R3 「つぶやき岩の秘密」の石川セリの歌は樋口康雄だったんですね。客席がすごい盛り上がってましたね。
あれは、昔から人気のある曲なんですよ。
R3 ほんとにかっこいい曲ですよ。
うん、すばらしい。
R3 実はぼく、はじめて聴いたんですけど、かなり感動しました。ああいう曲は、ほんとに発掘して再評価すべきですよ。
少年ドラマシリーズは、反響は大きかった。これではじめて拍手が来た(笑)。
R3 そうでしたか。
聴く機会ないですからね。ビデオも今では手に入らないから。
R3 実写魔法ヒロインっていうのも、かなりひねりですよね。猫さんからプランで出てきたときは仰天しましたよ。こっちで行くのか!? って。
苦肉の策で。
R3 「コメットさん」でリクエストが来てましたからね。「魔女先生」は全然OKな、いい曲ですし。
せっかくだから、「ドリちゃん」もかけなきゃと思って。ほんとは、80年代まで広げられたら、東映の不思議魔法少女ものを入れたかったんですけど。「ポワトリン」とか「トトメス」とか。
R3 三沢郷ヒロイン・メドレー。三沢郷がこういう女性スポコンものに集中してるっていうのを、このときはじめて自覚しましたよ。これ以外の女性スポコンものって、なにがありますか。「美しきチャレンジャー」?
そう。あれは筒美京平ですよね。あとは、「金メダルへのターン」が渡辺岳夫。でも、このジャンルだと、三沢郷って感じなんですよね。「サインはV」が圧倒的に印象強いし、「アテンションプリーズ」もそうだし。
R3 これは意外な発見でした。今まで気づかなかった。
ヒーローものとはまた違う魅力がありますよね。

■Cブロック 大江戸ワンダーランド

R3 時代劇は、ひょっとしたら、一番笑いが起こっていたかもしれないですね。
ああ、そうかもしれない。
R3 爆笑に次ぐ爆笑でした。
一番、貴重な音源が多いのが時代劇だったんですよ。
R3 とにかく、あの、ナレーション入りっていうのが効きますよね。ナレーションがもう、かっこいいっていうか、面白いっていうか。それでみんな笑って拍手をしてたっていう。
絵がないから余計におかしいんですね。
R3 ここで受けてたんで、やっぱり映像なしでやってよかったと思いましたよ。これで、絵を出してたら、みんな絵とかキャストの文字とかをずっと追っちゃいますからね。
ここで、ナレーション入りをかけるか、レコード版をかけるか、実は悩んだんです。音質はもちろんレコード版の方がいいんだけど、やっぱりテレビで見たときの記憶があるから、ナレーション入りがあるならナレーション入りを使いたいと思って。
「大江戸捜査網」のレコードも「よくぞ手に入った」って感じで手元にあったんだけど、どっちにするか迷った末に、結局レコード版を使わなくて、テレビのナレーション入りを使いました。ナレーションが面白いからいいやと。
R3 面白かったですよ。マシンガンの音入ってるし。大爆笑でした。
時代劇は、やっぱり音源を集めるのに、一番苦労しました。いろんな人から協力してもらったし。
R3 よくぞこれだけ集まった。
CD化されてるのって、ほとんどないですよね。
R3 ないですよね。「赤影」とか「佐武と市」とか「サスケ」とか、アニメ系だけじゃないですか。
歌もので杉良太郎ものなんかは、「杉良太郎ベスト」っていうCDで手に入るんですけど、インストなんて全滅ですよ。
R3 全滅ですよね(笑)。
ひねったのが「暴れん坊将軍」テーマ曲の歩み。渡辺岳夫メドレーも、このブロックにまとめて入れたんです。アニメ主題歌なんかはいつでも聴けるから、貴重な時代劇ものを聴いてもらおうと。
R3 「騎馬奉行」とか「軍兵衛目安箱」なんて、全然知りませんよ(笑)。
カルト時代劇では、どうしてもかけたかった曲があったんですよ。「快刀乱麻」っていう明治ものの主題歌なんですけど。
R3 ずっと候補に上がってましたね。
あれもすごいいい歌なんですけど、音盤化されてないんです。うちにある「テレビ探偵団」のビデオのどれかに入ってるはずなんだけど、探すひまがなくてあきらめたんです。あの歌も、70年代のテレビ主題歌で「つぶやき岩の秘密」と並ぶ、つぼ押し名曲のひとつですね。
R3 時代劇コーナーで、ひとつやり残したなぁと思ったのは、必殺シリーズの「殺しのテーマ」をかけなかったこと。あのトランペットの。
あ、そうそう。そうなんです。劇伴が全然かけられなくって。
R3 あれはむしろ、オープニングにやってもいいくらいかなと思ってたんですよ。時代劇の劇伴で、たぶん、みんなが一番わかるのってあれでしょう。
この時代劇コーナーは、一番貴重でしたね。個人的にも勉強になったし。

■Dブロック Exciting Cool!

R3 オープニングが「スパイ大作戦」って、今でも後悔してるんですよ(笑)。
そうなんですか?
R3 あまりにもひねりがなさすぎる。この刑事アクション・ブロックで、ずーっと探してたのになかったのが、「鬼警部アイアンサイド」のオリジナル版なんですよ。あれは、クインシー・ジョーンズなんで、ぼくが出せなきゃシャレにならないなぁと思ってたんですけど、結局、間に合わなかったんですよ。
「コロンボ」のシングルのB面のやつとは違うんですか。
R3 あ、違うと思います。「スタスキー&ハッチ」は、ジャズ方面からも名曲扱いされてて、カバーが一杯あるんですけど、今回は、あえてアメリカ版のオリジナルをかけました。
やっぱりオリジナル版をかけたいですよね。
R3 「警部マクロード」のマカロニっぽい曲が意外にかっこいい、っていうのが発見でしたね。
「マクロード」って全然再放送しないんですよね。
R3 聴いたことないもんな。
見てました?
R3 いいえ。
声が宍戸錠なんです。結構合ってましたよ。
R3 「特別機動捜査隊」は、ほんとは全部でテーマが5期分あるんですよね。全部かけたかったんですけど。ボブ佐久間の前の人の曲もすごくかっこいいんですよ。残念ながらカットしちゃいましたけどね。
ここでは、海外もののテーマ曲のよさを再認識しましたよ。
R3 ほんとですね。「ナポレオンソロ」なんかは言うに及ばず。

■Eブロック リクエスト&バラエティ

R3 リクエスト。オープニングからもう、むちゃくちゃでしたからね。「電線音頭」「ヒゲのテーマ」は完全にぼく個人の趣味です。ここのリクエストは「東村山音頭」だけ(笑)。
90分で終わる予定だったのが、2時間かかりましたね(笑)。
R3 なんでですかねえ。しゃべりが多かったのかな。
曲が多いんですよ。
R3 そうか。もともと90分枠なのに、素材だけで、すでに105分だったんですね。そこでむちゃが入ってる。
R3 これ受けてましたね、海外アニメ。ぼくらよりちょっと下の世代になると、この辺全然わからないんでしょうね。まるっきりやってないですから。ぼくらが見てたのも、東京12chの「まんがの国」とか「まんがキッドボックス」とかですよね。オリジナルはNETがずっとやってたらしいから、ローカル曲の再放送のを、ぼくらはずっと見てたんですね。
ぼくはほとんど記憶ないんですよ、海外アニメって。「チキチキマシン猛レース」とか「ファンタスティック・フォー」とかは覚えてるんだけど。
R3 リクエストが来てて、ぼくもすごく聴きたかったんだけど見つからなかったのが、「冒険少年シンドバッド」なんですよ。
曲の間にCMソングを入れるっていうのは、やってみて面白かったですね。ほんとはCMにも脈絡持たせたかったんですけど、持たせられたのは、「男CM」だけでした。
グーでした。
R3 リクエストで一番感動したのは、「カリキュラマシーン」だったんですよ。ぼく自身が全然聴いてなかったのは、「ズッコの歌」。
ほう。
R3 これは結構感動的でしたね。なんだかんだいって、発見が多かったっていうか、勉強になりましたよ、ほんと。
そうですね。自分の嗜好とは違うところなんで。
R3 特に海外アニメは強力だった。
「わんぱく探偵団」と「怪人20面相」の2つは、編集しようと思って聴いてたら、両方とも頭に20面相が笑いながら能書きたれるところがあったんで、まとめちゃいました。右チャンネルに「怪人20面相」、左チャンネルに「わんぱく探偵団」を入れて、同時に流したんです。笑い声が面白いんですよね。
あと、ここで面白かったのは、「タンサー5」と「ガッタイガー」ですよね。
そうですね。
R3 アニメソングとしても激レアの2つですよね。
CD化されてないですから。
R3 ぼくなんか、番組自体忘れてましたからね。そんなに大昔でもないのに、こんなに忘れられてる番組って珍しいんじゃないですか?(笑)
ぼくも見たことないです。
R3 「なんやそれのコーナー」は、一番大変だったけど、一番面白かったですねえ、探すのが。
「太陽にほえろ!」の曲は、結局リクエストとは違ってたんですよ。でも、TV Grooveのブロックでかけた曲がそうだったんですよ。「Gメン'75」の香港編も違ってたんですよね。リクエストした人は、CD化されてない曲を思い描いていたんですね。「この曲は持ってる」って言われてしまいました(笑)。
「仮面ライダー」の劇伴が当たったのはうれしかったですね。「ピアノの重い曲」っていうリクエストで、候補が3,4曲あったんですよ。それから「イナズマンF」の牧れいが歌った歌っていうのは、一番変なリクエストでしたね。「旧ルパン」の銭形ナレーション版OPは時間の都合でカットしちゃったんですけど。
代わりに教育テレビ・メドレーを入れたんです。
R3 あれも結構、新しいバージョンですよね。リクエストで当確マークつけておいて結局カットしちゃったやつは申し訳なかったですね。でも、当確の曲はできるかぎり拾ったつもりです。結果的にお客さんに喜んでもらえたからよかったと思いますよ。
リクエスト編終わった時点でもう9時ぐらいでしたね。
R3 そうですね。全然予定と違うじゃないか(笑)。

■Fブロック ヒーローの伝説

R3 ヒーローものは、タケダ製薬の「提供ジングル」で大拍手来てましたね。
うれしかったですねえ。
R3 空撮でタケダの看板に回り込んでくるやつですよね。
タケダアワーの歌をメドレーでやりたかったんですけど、時間的に無理なんでやめたんです。結局、ヒーローものが一番おざなりになってしまった。入らなくて。なんにも入らなかったですね。
R3 これもリクエストが結構きつかった。
ヒーローもので4時間ぐらいできればよかったんだけど。
R3 それはもう、ヒーローもののみで1日たっちゃいますよ(笑)。
ここはやっぱり冬木透メドレーですね。
R3 これでぼく、はっとしたのは「ウルトラマンレオ」の劇伴ですよ。ぼく、ちゃんと聴いてなかったんですよ。「レオ」は。
「レオ」はね、すごいいいですよ。
R3 いいですよね。だけど、あまりみんな聴いてない。
番組がちょっと虐げられてるから。あの音楽は、ウルトラ第2期ベストっていうくらい、いいんです。
ヒデ夕樹メドレーは、やるって決めたのが前日でした。
R3 これ、びっくりしましたよ。突然現れたから。「え、こんなの今から入れてできるんですか?」って感じでしたよ。
ほんとは、「菊池(俊輔)VS(渡辺)宙明特集」をやるとか言ってたんだけど、入らないからどうしようってことになって。あたりまえに宙明もので「マジンガーZ」とか流しても、つまらないし。ちょっとマイナーな曲で、菊池も宙明もって選んでいたら、ヒデ夕樹があるじゃないか、と。
R3 これはよかったですよ。ほんとに。最初が「力石のテーマ」っていうのは泣けましたね。
最後が「キャプテンフューチャー」の挿入歌。これも泣けました。
R3 「死ね死ね団の歌」は、川村主宰が学園祭で男女混声合唱付きでカヴァー演奏したことがあるらしいです(笑)。それくらい思い入れのある曲だったんですね。
そんなことしてたんですか?(笑)。
R3 川村さんはレーザーディスク持ってるくらいですから。
あと、「ガンバロン」ですね。これも放映時以来、ずっと聴いたことなかったんですよ。それが、イントロ聴いて、頭のメロだけで、全部歌えるようにフラッシュバックしましたから。ガンバロンのレコード、うちにあったんですよ。昔、放映前にソノシートをもらって、うちで聴いてたんですよ。キャラクターの紹介とかがナレーションで入ってるのを。以降、全然「ガンバロン」の曲聴いてなかったんですけど、あの当日、その場で聴いて、めちゃくちゃフラッシュバックしましたね。加えて、あまりにもかっこいいんで。さすが、ミッキー。
R3 子門メドレーは、あらかじめフェードイン・フェードアウトでテープ作っておいたから、全部つなぎになってるんです。15分一発録りで、全部かけかえで、うちでやったんですよ。入ってるCDの都合で、曲順がちょっと制約受けちゃったんで、ベストとはいいがたい曲順だったんですけど。それでも、13曲。13曲のうち8曲が菊池俊輔だったっていうのは驚きましたけどね(笑)。
最後の三沢郷は、2番と3番の間の間奏がかっこいいんですよね。そこまでひっぱりたいんで、ちょっと時間かかっちゃったんです。「流星人間ゾーン」のナレーション入りフルコーラス、しかも、ステレオ版が使えたのはよかったですよ。
「ゴジラ外伝」のLPにだけ入ってるんです。
R3 あのLPに、子門版「ゾーンファイト・マーチ」が入ってるんですよね。
そう。この頃は、ぼくはもう、「終わった終わった」と思って、安心してました。
R3 え、なんでですか?
もう、ぼくの出番はないと思って(笑)。あとは飲むだけだと(笑)。

■Gブロック TV Groove

R3 最後のプログラムは、電気はついちゃうし、終電が危ない人は帰っちゃうし、会場は酔っ払いでめちゃくちゃになってるし。
すでに11時近かったですからね。
R3 それでも結構、聴いてる人は、聴いててくれたようで。「祭ばやしが聞える」と「悪魔のようなあいつ」に注目してくれた人がいて、これはうれしかったです。
ほう。
R3 やっぱり、リアルタイムでレコードつないでいくのは、緊張感あって面白かったですね。
RYO-3さんが一番やりたかったことですね。
R3 アナログ盤をこまめに買っておいて、やっぱりよかった(笑)。大野雄二メドレーの「大激闘」と「スペースコブラ」って、イントロがそっくりじゃないですか。それをどういうふうにつなげるかって考えて、「大激闘のテーマ」の1コーラスが終わった後、Aメロに戻るときに、イントロをもう1回やるんですよ。そこに、うまく「スペースコブラ」のイントロがつながったんですよ。あれは、会心の一撃でしたね。誰も聴いてなかったけど(笑)。
最後は山下毅雄でなごんでもらおうと思ってたんですけど、会場がもう、そういう雰囲気じゃなくなっていた(笑)。
甘かったですね、8時間で終わるっていうのは。10時間ぐらいかかりましたね。
R3 最後はめちゃくちゃで、バラードセレクションなんて、完全にふっとんでしまいました(笑)。

やり残したことってありますか。
R3 今回、いわゆる王道ものを大胆にカットしたんで、それですね。菊池俊輔、渡辺宙明、渡辺岳夫、ロボットもの、変身ヒーローもの。いわゆる、「絶対に、これなしじゃまずいだろう」っていうものを、思いきりカットしましたからね。
機会があれば、作曲家特集もやってみたいですね。
R3 やりたいですね。
渡辺岳夫特集。来年が没後10周年なんですよ。
R3 もう10年ですか。ぼく、新聞の死亡記事を覚えてますよ。やるんなら、もうちょっと規模の拡大を図りたいですね。
宇野誠一郎特集もやりたいんですね。東映の長編動画の音楽がかけられなかったんで。あとは、バッタもん特集ですか(笑)。
R3 (笑)子門カバーソングもかけられなかったですからね。でも、やるなら、もうちょっとネタを集めないと。
R3 とにかく、突然こんな大仕事に巻き込んでしまい、猫さんには大変申し訳なく、かつ、共同製作者として参加していただけたことに、大変感謝しております。猫さんなくしては、この企画は大スベりしてたに違いないでしょう(笑)。ほんとうにありがとうございました。
また、情報や資料、音源を提供していただいた多くの皆さんにも、この場を借りて、御礼申し上げます。ありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。いろいろ勉強させていただきました。また機会があったらやりましょう。うちでやってほしいという企画者がいたら、ぜひ呼んでほしいですね。弁当つきなら出かけますんで(笑)。

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